とんでもない名家に生まれたためか、
とにかく身内や知り合いがどれだけ偉くなったかの話が延々でてくる
だれそれの息子は東大総長になり男爵で、
知り合いはポルトガル大使になり、
かつての上司の息子は高名な小説家になり、
とか、そんな話ばかりである。
そのくせ自分は小学校しかでてないから苦労したウンヌンもでてくる。
この、何周も回った挙げ句の自慢がショウキのように充満していて、
とても読んでいられなくなる。
それがレビューの少なさの原因であろう。
まあ、そうゆう、偉大な身内がいたために味わった苦痛や恍惚が鶴見さんの思想の大部分を占めているわけで、
それを前面に押し出したところに彼の素直さや勇気があるのかもしれない。
マイルスデイビスの自叙伝も身内自慢のオンパレードだけれど、まったくイヤな感じを受けなかった。
鶴見さんとマイルスのちがいは何だろう。
業績の明らかな開きか。
個人主義と世間主義のちがいか。
個人の資質のちがいか。
両者の比較はなかなかオモロイ研究になりそうだ。
そもそも、鶴見さんの自慢にひっかかる、すごく気になるオレ自身に何か問題があるのかもしれない。
近親憎悪なのかもしれない。
投影。
鶴見さんの自慢タラタラがしばらく続くとインタビュアがまともな軌道にもどそうとするのだが、やがてまたタラタラが始まってしまう・・・
タラタラタラ・・・
ああ、河合隼雄との対談とかはけっこうオモロかったんやけどなあ
70才を越えてるというのに、相手への遠慮がなくなるといつでもタラタラが始まってしまうというのは、鶴見さんの人生ってけっきょく身内自慢と虚栄に終始していたんやという失望と、あるしゅの誠実さに対するほほえましさを与える現象ではあるわけやけど。
国家による死に、生涯をかけて抵抗したはずの鶴見さんの生涯が、身内がいかに国家の中心に接近できるか、についやされたというのは、まあ単純に皮肉なことやわな。
ま、タラタラは、あるいみ鶴見さんのサービス精神でもあるやろうから、それを我慢できる、気にならない人はこの自伝を読み通せるだろうし、なかなかオモロイ本ではある
さて、わしはこれを最後まで読めるんやろか
「あまりたくさん言葉をつくっちゃいけない」
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期待と回想 語りおろし伝 (朝日文庫 つ 12-1) 文庫 – 2008/1/11
鶴見 俊輔
(著)
哲学者・鶴見俊輔のインタビュー形式による自伝。16歳で留学したハーヴァード大学での哲学との出合い。戦後の『思想の科学』の創刊、「声なき声」「べ平連」での活動や漫画の魅力など、懐の深い思想を持つにいたる思索の軌跡を語りつくした貴重な著作を文庫化。
- 本の長さ654ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞社
- 発売日2008/1/11
- ISBN-104022615591
- ISBN-13978-4022615596
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞社 (2008/1/11)
- 発売日 : 2008/1/11
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 654ページ
- ISBN-10 : 4022615591
- ISBN-13 : 978-4022615596
- Amazon 売れ筋ランキング: - 817,238位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,087位東洋哲学入門
- - 1,122位日本の思想(一般)関連書籍
- - 2,068位朝日文庫
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年6月21日に日本でレビュー済み
谷沢永一さんが「悪魔の思想」(のち自虐史観もうやめたい!)で、告発すべき反日的日本人を12人挙げているが、2番目に登場するのが鶴見。第3章のタイトルが<日本罪悪論の海外宣伝マン・鶴見俊輔への告発状>」「ソ連はすべて善、日本はすべて悪」のデマゴーグ(扇動者)
鶴見は昭和54年夏から翌年春にかけて、国際交流基金の援助を得てモントリオール市のマッギル大学で講義したが、その目的は昭和年間の日本国民がいかに愚かで、いかにつまらぬ行いをし、いかにバカな生き方をしたかを繰り返し繰り返し説明することだったそうだ。ご本人はこの講演は大いに受けたと自画自賛しているが、当時諸外国は日本を妬み憎み快く思っていなかった。そこへ一人の日本人がわざわざやって来て、日本の悪口ばかり述べ立ててくれたのだから、聴衆はさぞ嬉しかったに違いない。
長い長い講義の中に、一言も日本の国民・文化・歴史・国民の生き方などについて立派だとほめている個所がないそうで、いったいこの人のバックボーンは何だったのか、同胞を蔑み侮り見下すことが、そんなに楽しかったのか、と問い詰めたい気持ちだ。
鶴見は昭和54年夏から翌年春にかけて、国際交流基金の援助を得てモントリオール市のマッギル大学で講義したが、その目的は昭和年間の日本国民がいかに愚かで、いかにつまらぬ行いをし、いかにバカな生き方をしたかを繰り返し繰り返し説明することだったそうだ。ご本人はこの講演は大いに受けたと自画自賛しているが、当時諸外国は日本を妬み憎み快く思っていなかった。そこへ一人の日本人がわざわざやって来て、日本の悪口ばかり述べ立ててくれたのだから、聴衆はさぞ嬉しかったに違いない。
長い長い講義の中に、一言も日本の国民・文化・歴史・国民の生き方などについて立派だとほめている個所がないそうで、いったいこの人のバックボーンは何だったのか、同胞を蔑み侮り見下すことが、そんなに楽しかったのか、と問い詰めたい気持ちだ。
2008年1月14日に日本でレビュー済み
後藤新平を母方の祖父に、父に鶴見祐輔を、姉に鶴見和子を持つ戦後の知の高峰の一角鶴見俊輔の語り下ろし自伝。
率直無比なところが少しも嫌味がないのは、不思議なくらいであるが、かつての盟友小田実も昨年没し、姉和子もいなくなった現在、俊輔の語りも歴史の語り部めいて聞こえてくる。
都留重人や桑原武夫との交流は有名だが、葦津珍彦との交友は全然知らなかった。
葦津との交流が象徴的に示すように、思想的振幅は相当に幅広い。これは寛容の精神と言えるものか、これこそがプラグマティズムというものなのか。それとはまた別の問題なのか。
プラグマティズムにいい印象がない(偏見がある)評者にはわからないところだ。
全編に渉って公平無私であろうとしていることはよくわかる。頻りに、マルクス主義者ではないことを強調しているが、それもまた彼の誠実さの現われではあろう。
「刀を後ろにまわしてまず自分を貫いて、余った切っ先が相手に届くようにすれば、自分を貫いて向こうに届くようなかたちになる」という批評のスタイル、言論公表の態度は彼自身の倫理であり、我々にとって実用的な指標になると思われる。我々はこの人から学ぶべきことがあると信じる。
率直無比なところが少しも嫌味がないのは、不思議なくらいであるが、かつての盟友小田実も昨年没し、姉和子もいなくなった現在、俊輔の語りも歴史の語り部めいて聞こえてくる。
都留重人や桑原武夫との交流は有名だが、葦津珍彦との交友は全然知らなかった。
葦津との交流が象徴的に示すように、思想的振幅は相当に幅広い。これは寛容の精神と言えるものか、これこそがプラグマティズムというものなのか。それとはまた別の問題なのか。
プラグマティズムにいい印象がない(偏見がある)評者にはわからないところだ。
全編に渉って公平無私であろうとしていることはよくわかる。頻りに、マルクス主義者ではないことを強調しているが、それもまた彼の誠実さの現われではあろう。
「刀を後ろにまわしてまず自分を貫いて、余った切っ先が相手に届くようにすれば、自分を貫いて向こうに届くようなかたちになる」という批評のスタイル、言論公表の態度は彼自身の倫理であり、我々にとって実用的な指標になると思われる。我々はこの人から学ぶべきことがあると信じる。