カラシニコフとはミハイル・カラシニコフが作った自動小銃(AK−47が処女作であり、後に改良型が多く作られる)の名であり、銃撃戦の主役である。
カラシニコフ氏の目的は「国を守るため」にこの銃を開発したのだが、今では「悪魔の銃」と呼ばれるほど世界中に出回ってあらゆる問題にからんでいる。
この本はそうした世界の問題(貧困や争い)を、安全な国の住民である私達にわかりやすく説いている。
前作「カラシニコフ」の好評を受けて出された続編なのだが、前回がアフリカを中心とした内容だったのに対し、今回は南米をはじめ広い地域をカバーした内容となっている(広い地域と言ってもいわゆる「発展途上国」の一部ではあるのだが)。
前作を読んでいなくても充分に理解できる内容になっているし、カラシニコフ銃が与える、労働と金とコカインの話もあるのでこちらから先に読んでもいいかもしれない。
今回は紛争よりも、「銃と人々の生活」という感じの内容だ。「稼げる職がないので仕方なく」銃を手にする人が多数であり、本当は本人達も真っ当な職につきたがっている。
しかし、貧しい地区では管理職よりも「銃がらみの仕事」の方がもうかり、それが軍隊か賊かというだけの話だということだ。
今回もカラシニコフ氏のインタビューが含まれているのだが、彼は2004年で85歳になっている。女、子供関係なく人々を殺し続ける銃を作った人物が高齢まで生きているということをどう思われるだろうか?
二作を通じたテーマの一つとして「開発者は罪にとわれるのか?」ということがあげられているのだが、本人の答えは決まっているし母国ロシアでは英雄だ。
「60年も前に私の作った銃が世界中で勝手にコピーされている。まがい物だがそれでも米国製(M−16等)よりもいいという。誇らしいような悲しいような複雑な気分だ」*要約
カラシニコフ氏が言った言葉だが、この本のキーとなる言葉だと思う。
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カラシニコフ II (朝日文庫 ま 16-4) 文庫 – 2008/7/4
松本 仁一
(著)
カラシニコフを切り口に、国家とは、武力とは何かを考える。南米、アフガニスタン、イラクなどを舞台に、アメリカをはじめとする大国のエゴと、それが引き起こす諸問題を報告。パキスタン北部にある銃密造の村ダラのルポも収録する。
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2008/7/4
- ISBN-104022615753
- ISBN-13978-4022615756
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2008/7/4)
- 発売日 : 2008/7/4
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 296ページ
- ISBN-10 : 4022615753
- ISBN-13 : 978-4022615756
- Amazon 売れ筋ランキング: - 254,243位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 274位ジャーナリズム (本)
- - 851位朝日文庫
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年7月7日に日本でレビュー済み
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現場主義の取材姿勢が非常に良い。内容も実態を踏まえた記事をまとめたもので情に流されるのではなく海外の実態が理解できるものであった。
2009年2月4日に日本でレビュー済み
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カラシニコフI(アフリカ編)と同様、自動小銃カラシニコフ(AK47)の引き起こす悲劇を地道な取材の積み重ねの上に解説している。しかし、アフリカ編に比べると取材対象への踏み込みがやや甘いかなという印象が残る。もう少しAK47に頼らざるを得ない人々の声が聞こえてくると良かった。難しい対象ではあるが、もう一歩踏み込んでくれたらさらにいい作品になると思う。
あくまでアフリカ編との比較で「もう一歩」ではあるが、単独の作品として十分に読み応えのあるものであることを追記する。
あくまでアフリカ編との比較で「もう一歩」ではあるが、単独の作品として十分に読み応えのあるものであることを追記する。
2014年5月19日に日本でレビュー済み
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パキスタン/アフガニスタンの銃問題も思うところありますが、不思議な国家(?)ソマリランドに驚きました。
2009年3月1日に日本でレビュー済み
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本書の前作は松本氏の優れたアフリカ・ルポの代表格と言えますが、その続編という事で、期待を膨らませて読みました。本書はその期待を全く裏切らない出来栄えに仕上がっています。本書で取り上げられるのは中南米と中東の国々であり、専門のアフリカを取り上げた前著に比べて掘り下げがやや浅い部分も所々ありますが、どのような国になぜカラシニコフが蔓延するのか、という疑問には十分納得できる仕上がりとなっています。
コロンビア、パナマ、ペルーを始めとする中南米の国々では、国土の多くを占める山脈や、困窮する経済によって無法ゲリラの支配地域が生まれ、銃器密輸と麻薬密売が一体化する状況が生まれています。銃器が麻薬で取引され、カラシニコフの値段が世界一に押し上げられている状況は、銃が安い値段で買い叩かれるアフリカとは大きく異なる所です。
パキスタンでは、パンジャブ人主体の国家への帰属意識が薄いパシュトゥン人によって、ダラ村に代表される部族支配地域が生まれ、ニセモノ銃が蔓延する原因となっています。
アフガニスタンとイラクでは、多民族を統制した恐怖政治が崩壊した事で逆に、首都付近に武装解除に応じない集団を抱え、同じ国内に言葉の通じない民族を抱えるほどに国家への一体感の欠如した状況が生じ、国家形成や武力統制が困難になっています。
アフリカの破綻国家と違って、本書で取り上げられた国々では、国民のために政府が努力する姿勢はあります。しかし共通するのは、様々な事情により、治安の掌握が徹底できていない事、警察や軍隊が信頼されず、大国から流れた銃が社会に溢れている事です。カラシニコフとは、法の支配や治安の掌握が及ばない地域に蔓延する、疫病の象徴だと言えます。治安が確保され、国民が危険に晒されない国家はどうすれば形成できるのか。国家と銃器の関係について、本書からは色々な事を考えさせられると思います。
コロンビア、パナマ、ペルーを始めとする中南米の国々では、国土の多くを占める山脈や、困窮する経済によって無法ゲリラの支配地域が生まれ、銃器密輸と麻薬密売が一体化する状況が生まれています。銃器が麻薬で取引され、カラシニコフの値段が世界一に押し上げられている状況は、銃が安い値段で買い叩かれるアフリカとは大きく異なる所です。
パキスタンでは、パンジャブ人主体の国家への帰属意識が薄いパシュトゥン人によって、ダラ村に代表される部族支配地域が生まれ、ニセモノ銃が蔓延する原因となっています。
アフガニスタンとイラクでは、多民族を統制した恐怖政治が崩壊した事で逆に、首都付近に武装解除に応じない集団を抱え、同じ国内に言葉の通じない民族を抱えるほどに国家への一体感の欠如した状況が生じ、国家形成や武力統制が困難になっています。
アフリカの破綻国家と違って、本書で取り上げられた国々では、国民のために政府が努力する姿勢はあります。しかし共通するのは、様々な事情により、治安の掌握が徹底できていない事、警察や軍隊が信頼されず、大国から流れた銃が社会に溢れている事です。カラシニコフとは、法の支配や治安の掌握が及ばない地域に蔓延する、疫病の象徴だと言えます。治安が確保され、国民が危険に晒されない国家はどうすれば形成できるのか。国家と銃器の関係について、本書からは色々な事を考えさせられると思います。
2011年9月19日に日本でレビュー済み
この本は賞を取ったのでしょうか?そうあるべきだと思いますし、でもその程度でもまだ筆者の努力に遠く及ばないように思います。
この本が出来た頃、私は南アフリカにいました。アンゴラの長い内戦が終わって二年。やっと参戦していた南アフリカもほっと息をついているような街なかの雰囲気でした。
そこで、私は筆者の松本さんに、読後の感想文を送りました。まだずっとアフリカにいるのだろうと勝手に思っていた私に、今は東京で社の論説委員をしている旨と、私が出した手紙に感謝の言葉を添えて返信を下さいました。
驚きと嬉しさと共に、松本さんが、ずっと自分が書いたものが意図したように伝わっているか気にし、そうであってもなくても最大限に読者に感謝している姿勢に、さらに頭が下がりました。
はるかに若年の、しかも知らない人の私にも丁寧に言葉を返して下さる。全て人への愛がある氏のそんな姿もこの場で伝えたいです。そしてカラシニコフで亡くなる人がこれから一人もいないことを祈っています。
この本が出来た頃、私は南アフリカにいました。アンゴラの長い内戦が終わって二年。やっと参戦していた南アフリカもほっと息をついているような街なかの雰囲気でした。
そこで、私は筆者の松本さんに、読後の感想文を送りました。まだずっとアフリカにいるのだろうと勝手に思っていた私に、今は東京で社の論説委員をしている旨と、私が出した手紙に感謝の言葉を添えて返信を下さいました。
驚きと嬉しさと共に、松本さんが、ずっと自分が書いたものが意図したように伝わっているか気にし、そうであってもなくても最大限に読者に感謝している姿勢に、さらに頭が下がりました。
はるかに若年の、しかも知らない人の私にも丁寧に言葉を返して下さる。全て人への愛がある氏のそんな姿もこの場で伝えたいです。そしてカラシニコフで亡くなる人がこれから一人もいないことを祈っています。
2008年8月6日に日本でレビュー済み
すでに単行本「カラシニコフ」として出版されたものの文庫化だ。文庫化にあたって、加筆訂正された箇所が膨大なわけでもないから内容に関することは、単行本のレビューを参考にされたほうがいいと思う。
いきなり19歳の「元少女兵」が登場する。そして、「私は3人殺しました」――と。
ここで私は読むのをやめられなくなった。文庫化にあたって再読したが、少なくとも事実関係は最新のものに改訂されており、やはり同じように一気に読み終えてしまった。
本書は、上巻の主な舞台が「アフリカ」である。カラシニコフ(AK47)は、操作性の簡易さから、少年や少女に与えられ、子供達は大人に命令され、あるいはやむを得ず「人を殺す」。本書で問いかけているのは、その是非ではない。「銃によって成立した国家とは、何なのか」ということだと思う。アフリカは今、小さな「国家」がモザイクのように成立している。そして国家の中に複数の民族が存在し、「紛争」が起こる。旧ユーゴスラビアのように。
本書はそれを大仰に批判するでもなく告発するでもなく、しかし賛同もせず、冷たすぎるぐらいの筆致でルポしていく。内戦状態や無政府状態の国家を、本書では「失敗国家」と言う。ただ断罪しているわけではない。「この国ではこういうことが行なわれている…」と淡々と語られていく。
私がこれらの国に対して何ができるわけでもない。だが少なくとも、「知っておくべきだ」と思わせる本である。
この「下巻」(カラシニコフ2) では、舞台が南米、アジアに移る。ここでも銃密売、麻薬……などが描かれる。そこに見え隠れする「大国」の思惑。「非はどちらにあるのか」と問いかけるのではなく、「こういう事実がある。答えは皆さんが考えて欲しい」そう言っている本だ。ただし、暗く重苦しい読後感は残る…。
いきなり19歳の「元少女兵」が登場する。そして、「私は3人殺しました」――と。
ここで私は読むのをやめられなくなった。文庫化にあたって再読したが、少なくとも事実関係は最新のものに改訂されており、やはり同じように一気に読み終えてしまった。
本書は、上巻の主な舞台が「アフリカ」である。カラシニコフ(AK47)は、操作性の簡易さから、少年や少女に与えられ、子供達は大人に命令され、あるいはやむを得ず「人を殺す」。本書で問いかけているのは、その是非ではない。「銃によって成立した国家とは、何なのか」ということだと思う。アフリカは今、小さな「国家」がモザイクのように成立している。そして国家の中に複数の民族が存在し、「紛争」が起こる。旧ユーゴスラビアのように。
本書はそれを大仰に批判するでもなく告発するでもなく、しかし賛同もせず、冷たすぎるぐらいの筆致でルポしていく。内戦状態や無政府状態の国家を、本書では「失敗国家」と言う。ただ断罪しているわけではない。「この国ではこういうことが行なわれている…」と淡々と語られていく。
私がこれらの国に対して何ができるわけでもない。だが少なくとも、「知っておくべきだ」と思わせる本である。
この「下巻」(カラシニコフ2) では、舞台が南米、アジアに移る。ここでも銃密売、麻薬……などが描かれる。そこに見え隠れする「大国」の思惑。「非はどちらにあるのか」と問いかけるのではなく、「こういう事実がある。答えは皆さんが考えて欲しい」そう言っている本だ。ただし、暗く重苦しい読後感は残る…。
2008年9月27日に日本でレビュー済み
カラシニコフ銃をテーマの中心にすえつつ「国家とは何か」について考える、渾身のルポタージュの続編です。
【主要目次】
第1章 ノリンコの怪(コロンビアのテロ軍団と其処に持ち込まれる中国製カラシニコフの謎、麻薬問題にも言及)
第2章 ライフル業者(ノリンコが持ち込まれる密輸ルートに迫る、アメリカ銃規制問題も)
第3章 流動するAK(パナマやペルー経由の密輸ルート、ペルー日本大使館襲撃事件についても)
第4章 AK密造の村(パキスタンの銃密造村)
第5章 米軍お墨付き(アフガニスタンの現状)
第6章 拡散する国家(イラクの現状)
銃がはびこるのにはちゃんと理由がある、ということが本書I・IIを通読すると良く分かります。腐敗した政治指導者、治安の悪さ、貧困、それ故の教育レベルの低さ、国境線の悲劇(民族間の対立、国境線で分割された民族の悲劇、"国家"への帰属意識の低さ、など)... 本書を読むと、問題は決して局所的ではなくグローバルな問題であることが良く分かりますね。(最近のグルジア問題もしかり)
米国がしかけた戦争の後のアフガニスタン・イラクにおいて「連邦制を目指そう」と言っても、資源・地の利・"民族/宗教/言語"の間の壁・他国の思惑が絡むと、そう単純な話ではないことは自明ですね。"パンドラの箱"を開けてしまった米国はどうする積もりでしょう? ("日本の戦後処理"はあまり参考にならないことは明白だったはず) また日本政府はどのような援助が出来るでしょう?(少なくとも"ODAバラ撒き"が正解だとは思えません。資金援助は大事ですが、その"やり方"が問題。今年の「アフリカ開発会議」のやり方は疑問) いろいろ考えさせられる本でした。
【主要目次】
第1章 ノリンコの怪(コロンビアのテロ軍団と其処に持ち込まれる中国製カラシニコフの謎、麻薬問題にも言及)
第2章 ライフル業者(ノリンコが持ち込まれる密輸ルートに迫る、アメリカ銃規制問題も)
第3章 流動するAK(パナマやペルー経由の密輸ルート、ペルー日本大使館襲撃事件についても)
第4章 AK密造の村(パキスタンの銃密造村)
第5章 米軍お墨付き(アフガニスタンの現状)
第6章 拡散する国家(イラクの現状)
銃がはびこるのにはちゃんと理由がある、ということが本書I・IIを通読すると良く分かります。腐敗した政治指導者、治安の悪さ、貧困、それ故の教育レベルの低さ、国境線の悲劇(民族間の対立、国境線で分割された民族の悲劇、"国家"への帰属意識の低さ、など)... 本書を読むと、問題は決して局所的ではなくグローバルな問題であることが良く分かりますね。(最近のグルジア問題もしかり)
米国がしかけた戦争の後のアフガニスタン・イラクにおいて「連邦制を目指そう」と言っても、資源・地の利・"民族/宗教/言語"の間の壁・他国の思惑が絡むと、そう単純な話ではないことは自明ですね。"パンドラの箱"を開けてしまった米国はどうする積もりでしょう? ("日本の戦後処理"はあまり参考にならないことは明白だったはず) また日本政府はどのような援助が出来るでしょう?(少なくとも"ODAバラ撒き"が正解だとは思えません。資金援助は大事ですが、その"やり方"が問題。今年の「アフリカ開発会議」のやり方は疑問) いろいろ考えさせられる本でした。