同じ年の頃の僕には到底及ばない考え。
この本の発売当時、松さんは26歳の若者であったが、既に役者としてトップスターの地位を築いていた。
当時高校生の僕はこの本を購入し夢中で読んだ。
僕は読んだ感想をノートの切れ端に書いていた。
それは「松さんの”素直さ”を見習おう」という何だが稚拙な文章だった。
出版から約20年後の現在、読み直してみて感じたのが冒頭の言葉である。
松さんの言葉の深みを感じずにはいられなかった。
「何もかもに満たされた人の表情が素敵だとは限らず、困難に直面したときの厳しい表情に深い感動と魅力がある〜きっとそれは人として生きている証なのだ〜」(11p)
最初の一編『鏡越しの顔』の一節。
いきなり強烈なパンチを喰らった。
確かにその通りだと共感した。
この本を再度購入したとき僕は病で真っ暗闇の中に居た。
それでも挫けず、ふて腐らず前を見て一歩ずつ踏み出すことを決心していた。
もしかしたら、その時の僕の顔は魅力的だったのかもしれない。
なぜなら僕は生きようとしていたいからだ。
幸せになって満たされたいと願う気持ちも勿論ある。
でもそれが叶わず、苦しい状況になっても光を求めて闘うべきだ。
この文章からそんな心の持ちようを教わった気がする。
またこんな言葉もある。
「辛いこともすべて楽しめる心が、人を豊かにする〜」(18p)
「メロディを作り出すときは苦しい。〜しかし、苦しくても、その人から生まれた何かには、きっと力が宿ることだろう。私はそう信じたい。」(86p)
「プロとして仕事している以上、〜いくつもの壁にぶちあたりながら進んでゆく。」(91p)
「〜「闘い」がどんな瞬間を生み出せるか……。終わりのない旅を続けている。私の仕事にはこういう果てしなさがあるように思う。」(92p)
これだけの文章が書けるということは傍から見れば華やかな世界にいることと裏腹に壮絶な葛藤の中で闘っていたことを想像させる。
松さんの凄いところは葛藤の中にいても迷いがないことだ。
葛藤を感じたとき僕は真っ先に辞めることや逃げることを考えてしまう。
松さんにはそんな心の弱さを微塵も感じなかった。
自分が信じた道を貫こうとする気概に感動した。
「「これで最後」という日のために「今やるべきこと」をする前向きさは大切だと思う〜。」(131p)
「現役で仕事をしている以上、謙虚でありたいとは思うけれど、遠慮ばかりもしてはいられない。もっと頑張らなきゃという気持ちを持ち続けて、いつまでも必死こいていたいなと思う。」(136p)
松さんのことが大好きだった少年時代、僕は彼女の可愛らしい容姿や透き通った声に魅了されていた。
高校時代の僕がこの本を読んだ時も、きっと表層しか見えていなかったと思う。
約20年振りに読み返してみると心に秘めている強さに気づくことができた。(僕もちょっとは成長したようだ)
「私は私の好きなことをやり続ける。」(179p)
「この世界に夢を求め続けていきたい。そのために、今を生きていこうと思う。」(196p)
過去は変えられないし、未来に何が起きるかはわからない。
だからこそ今だけを生きていく。
そして今だけしかないなら自分が心から好きだと言えることをやるべきだ。
偽物の夢で自分を騙してはいけない。
一度きりの人生なんだから他人や世間など構うものか。
自分が一番望むことを実現させるために行動するべきだ。
僕は僕の好きなことをやり続ける。
そこにどんな苦難があろうとも、幾度心を折られても僕は闘う。
自分が思い描く未来の為に今日を生きよう。
決心した僕の背中を押してくれた『松のひとりごと』に感謝。
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松のひとりごと (朝日文庫 ま 29-1) 文庫 – 2009/10/7
松 たか子
(著)
松たか子等身大のフォト・エッセー集。舞台の上で、日々の暮らしの中で感じる喜び、発見、揺れる思い、孤独……。ストレートに自分の言葉で、ありのままに心境を綴る。潔い文体も魅力的。共演者のポートレートなど、本人撮影の写真も約90点掲載。松たか子のコアを映し出す一冊。2001~03年に綴ったエッセイに、文庫版あとがきに、09年「6年ぶりのひとりごと」を加筆。解説は串田和美氏。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2009/10/7
- ISBN-10402261644X
- ISBN-13978-4022616449
登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2009/10/7)
- 発売日 : 2009/10/7
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 208ページ
- ISBN-10 : 402261644X
- ISBN-13 : 978-4022616449
- Amazon 売れ筋ランキング: - 448,570位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,111位朝日文庫
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2023年10月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
松たか子の写真が、もっと載ってると思ったのですが、あまり載ってませんでした。
もう、松たか子さんも40代ですが、あの頃の、写真を取って置きたくて購入しました。あの頃、本当綺麗。もう1冊も、購入の予定です。
もう、松たか子さんも40代ですが、あの頃の、写真を取って置きたくて購入しました。あの頃、本当綺麗。もう1冊も、購入の予定です。
2013年3月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
じつは、あまりのも、届くのが、遅かったので、キャンセルしてしまいました。ごめんなさい。ひとりごときいてあげられなくてごめんなさい。でもCD3つ持ってるよ。いいの。もし、DVDを買えるチャンスが、あれば、あいましょうね、本も、このさくひん、入れるスペースあったら、また買いますね。ごめんね。
2007年7月31日に日本でレビュー済み
私が初めて松たか子さんに触れたのは
『蔵』というテレビドラマでした。
当時彼女の純粋な演技と姿形に感動
したことから、今までのファン生活が存在します。
そして、今回初めてエッセイを拝読いた
しました。
やはり期待を裏切らな素敵な女性像がありました。
印象に残った文章は、祖母の死に顔について
のものでしたが、その他(犬間関係)などの
記述からも優しい美しさが伝わってきました。
彼女ならではのエッセイという感じでした。
『蔵』というテレビドラマでした。
当時彼女の純粋な演技と姿形に感動
したことから、今までのファン生活が存在します。
そして、今回初めてエッセイを拝読いた
しました。
やはり期待を裏切らな素敵な女性像がありました。
印象に残った文章は、祖母の死に顔について
のものでしたが、その他(犬間関係)などの
記述からも優しい美しさが伝わってきました。
彼女ならではのエッセイという感じでした。
2009年12月14日に日本でレビュー済み
本書は松たか子さんの初めてのフォト・エッセイ集です。
27編の「ひとりごと」と“写真家・松たか子”が撮影した写真が90点収録されています。
2003年に朝日新聞社より刊行された単行本を、文庫本という形で再刊行されました。
文庫本と言っても、一般的な小説などのそれではなく、上質な紙で製本されており、まさに単行本版の縮小版と言える質感の高い作りです。
すでに2003年の単行本をお持ちの方はご興味無いかも知れませんが、本書には再刊行にあたり「あとがき」のあとに、「文庫本あとがき『六年ぶりのひとりごと』」が追記されていますので、それだけでも価値のある一冊ではないでしょうか。
27編の「ひとりごと」と“写真家・松たか子”が撮影した写真が90点収録されています。
2003年に朝日新聞社より刊行された単行本を、文庫本という形で再刊行されました。
文庫本と言っても、一般的な小説などのそれではなく、上質な紙で製本されており、まさに単行本版の縮小版と言える質感の高い作りです。
すでに2003年の単行本をお持ちの方はご興味無いかも知れませんが、本書には再刊行にあたり「あとがき」のあとに、「文庫本あとがき『六年ぶりのひとりごと』」が追記されていますので、それだけでも価値のある一冊ではないでしょうか。
2004年1月4日に日本でレビュー済み
とてもひたむきさが伝わる文章です。舞台俳優であり、女優であり、歌手である松たか子さんは、一途に物事に取り組みます。だからこそ、彼女からは真摯な態度が伝わってくるのだと思います。等身大の自分を表現する。できそうでできることではありません。彼女にはそれができるのです。だからこそ、彼女から目が離せなくなります。舞台の話が多く語られています。このときだけは東京に住みたいという気持ちになりました。
2008年1月31日に日本でレビュー済み
あなたは、
松たか子さんが
好きですか?
正直いって、
女優、歌手
どちらも素敵な女性?
じつは、
本人はズレを感じている・・・
こんなことを
気づかせてくれる
この本は、
ファースト・クラスです!
松たか子さんが
好きですか?
正直いって、
女優、歌手
どちらも素敵な女性?
じつは、
本人はズレを感じている・・・
こんなことを
気づかせてくれる
この本は、
ファースト・クラスです!