落語歳時記をうたった本はないわけではありませんが、本書は抜群におもしろい一冊でした。
新聞の連載にあわせて、四季の落語が全部で七十本。
ふつうならバラバラとひろい読みしたり、興味を覚えた落語を探して、事典的な使い方をするのですが、この一冊は最初から最後まで止まらずに読んでしまいました。
まず一ページ弱にその咄のあらすじ。
これが手際よくまとまっていてストーリーとオチがわかり、落語を一席きいたようなところで、さて、とコラムをちりばめた解説が始まりますが、これが緩急自在で面白いのです。
江戸時代の状況を解説するだけではなく、現代文化と照らしあわせたり、登場する小物の由来を説きあかしたり、落語業界の裏話を絡ませたり、自在に時代をさかのぼっての文化論、またところどころには「落語よもやま話」の囲み記事も入って、著者の属する円楽一門の実話や著者の体験が笑わせてくれます。サービス満点です。
飽きさせないまくら(冒頭ではないので何と言ったらよいのでしょうか)を、心地よくきいている感じです。
しかも書物ならではのきちんとした考証や出典も示されています。幽霊の足がなくなったのはいつなのか、また海外のネタを取り入れた例、江戸時代の旅事情、当時の武士の日記、商家の符牒、江戸の施政、地図、そしてむろん落語の背景、由来、上方との違いなど、奥深い知識がさらさらとさりげなく、しかしきっちりと仕込まれたネタのように無駄なく、目に流しこまれます。おまけに、あちこちに駄洒落をまぜこんで。
この本一冊で凄い芸だと思いました。
読み終えると、背後に広がる江戸時代のぬくもりや、日本文化全体の奥行きを語る著者の視線などを通じて、落語にさらに興味が湧きます。
海外六カ国で原語で落語を語ってまわる著者ならではの、裏話もちら、ちらとあり、次はこれで一冊出してほしいかな・・・と。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
落語歳時記 らくごよみ (朝日文庫) 文庫 – 2013/12/6
三遊亭竜楽
(著)
古典落語70席を春夏秋冬に配し、噺のあらすじに加えて季節にも焦点をあてた、2倍楽しめる落語歳時記。
江戸庶民にとって季節は生活上の大きなメリハリ。
寒さ暑さも気分で克服してしまう笑い文化の神髄を達者な文章で解説する。
朝日新聞(広告特集)連載。
もくじ
<春>
紺屋高尾
雛鍔
長屋の花見
鼓ヶ滝
花見酒
百年目
宮戸川
善光寺由来
たけのこ
半分垢
人形買い
五月幟
狸の鯉
愛宕山
蜘蛛駕龍
城木屋
小間物屋政談
大山詣り
<夏>
鹿政談
笠碁
ぞろぞろ
茗荷宿
道灌
看板のピン
ちりとてちん
水屋の富
鰻の幇間
たがや
夏の医者
応挙の幽霊
青菜
船徳
ねずみ
天災
荒大名の茶の湯
千両蜜柑
お菊の皿
二十四孝
黄金餅
<秋>
目黒のさんま
さんま火事
柳田格之進
猫の皿
甲府い
宿屋の仇討ち
阿武松
長者番付
巌流島
死神
そば清
千早振る
茶の湯
<冬>
時そば
首提灯
風の神送り
三番煎じ
味噌蔵
湯屋番
替り目
お神酒徳利
中村仲蔵
うどん屋
狂歌家主
尻餅
寿限無
初天神
夢金
明鳥
崇徳院
兵庫船
落語よもやま話
あとがき
江戸庶民にとって季節は生活上の大きなメリハリ。
寒さ暑さも気分で克服してしまう笑い文化の神髄を達者な文章で解説する。
朝日新聞(広告特集)連載。
もくじ
<春>
紺屋高尾
雛鍔
長屋の花見
鼓ヶ滝
花見酒
百年目
宮戸川
善光寺由来
たけのこ
半分垢
人形買い
五月幟
狸の鯉
愛宕山
蜘蛛駕龍
城木屋
小間物屋政談
大山詣り
<夏>
鹿政談
笠碁
ぞろぞろ
茗荷宿
道灌
看板のピン
ちりとてちん
水屋の富
鰻の幇間
たがや
夏の医者
応挙の幽霊
青菜
船徳
ねずみ
天災
荒大名の茶の湯
千両蜜柑
お菊の皿
二十四孝
黄金餅
<秋>
目黒のさんま
さんま火事
柳田格之進
猫の皿
甲府い
宿屋の仇討ち
阿武松
長者番付
巌流島
死神
そば清
千早振る
茶の湯
<冬>
時そば
首提灯
風の神送り
三番煎じ
味噌蔵
湯屋番
替り目
お神酒徳利
中村仲蔵
うどん屋
狂歌家主
尻餅
寿限無
初天神
夢金
明鳥
崇徳院
兵庫船
落語よもやま話
あとがき
- 本の長さ264ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2013/12/6
- ISBN-104022617845
- ISBN-13978-4022617842
登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2013/12/6)
- 発売日 : 2013/12/6
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 264ページ
- ISBN-10 : 4022617845
- ISBN-13 : 978-4022617842
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,208,795位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,983位落語・寄席・演芸 (本)
- - 2,668位朝日文庫
- - 154,867位趣味・実用
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中5つ
5つのうち5つ
3グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2013年12月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年2月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
子どもの中学入試対策に、季節や昔の決まり事や道具など解りやすいかなと思い購入しました。
私自身は、新聞掲載時に毎月楽しみにしていたので、読み物として楽しみました。
私自身は、新聞掲載時に毎月楽しみにしていたので、読み物として楽しみました。
2014年2月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
竜楽師匠の軽妙な文章を読み終えると、日本は良いナと素直に思う自分が居ました。落語が素晴らしいのか、日本の季節が素晴らしいのか、竜楽師匠が素晴らしいのか・・・ついでに朝日新聞も褒めておきましょう。