プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
選書938 幼さという戦略 (朝日選書) 単行本 – 2015/10/9
購入オプションとあわせ買い
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2015/10/9
- 寸法18.8 x 12.5 x 1.2 cm
- ISBN-104022630388
- ISBN-13978-4022630384
よく一緒に購入されている商品
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2015/10/9)
- 発売日 : 2015/10/9
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4022630388
- ISBN-13 : 978-4022630384
- 寸法 : 18.8 x 12.5 x 1.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 97,326位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,474位エッセー・随筆 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
1966年生まれ。現在、東京大学文学部准教授。英米文学研究と文学一般の評論を行う。著書には『 英詩のわかり方』、『 英語文章読本』、『 小説的思考のススメ』など啓蒙書と、専門書としては『即興文学のつくり方』、『スローモーション考』、『文学を〈凝視する〉』(サントリー学芸賞受賞)、『詩的思考のめざめ』など。翻訳は『フランク・オコナー短編集』、マラマッド『魔法の樽 他十二編』。紀伊國屋書店のウエブサイト「書評空間」で書評を連載中。小説で1998年に早稲田文学新人賞受賞。
ホームページは
カスタマーレビュー
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
現在の日本は「かわいい」などの「幼さ」の人気がある。本来、「幼さ」というのは、今までは否定的に評価されるものであった。しかし、「幼さ」が文学の上で力を持つこともある。本書では、太宰治や村上春樹などの作品において「幼さ」がどう力を持ったかを述べている。
2.評価
本書で取り上げられた本は未読、または読んでも覚えていないので、レビュアーに内容の妥当性を評価できないという点で星1つ減らすが、「幼さ」が力を持つという発想や内容が面白く、一種の文学案内になっていると思う。
*文中敬称略。
第1章 幼さの文化
第2章 太宰治と幼さの技法
第3章 村上春樹とカウンセリング
第4章 かわいいの美学
第5章 かわいいの境界線
第6章 幼さと逸脱
第7章 幼さの詩学
第8章 幼さと成熟―大塚英志と江藤淳
第9章 老い語りの可能性―小島信夫の場合
第10章 古井由吉の成熟法
終章 老いの中の幼さ
この著者の本は文芸評論なのに、いつも必ずキラッとした文章があります。
今回私が一番そう感じたのは「人間にとって自分の声を聞き届けてもらおうとする衝動は、この世に生まれ落ちたときからはじまり一生ついてまわる業のようなものなのだ」という一文です。
内容については、「幼さの力」を軸に成熟にも触れており、サブカルチャーのこと、実際の子供の性質、枕草子、似ている英単語とのリンク、脱力、老い…など多岐にわたって記述されています。
とりあげられている作家に好きな人がある人ならば「あぁ、だから自分はこの人の作品が好きなのかぁ」と納得できる場面があると思います。もしくは「そうかぁこの作家が苦手なのはこういう性質があるからなのかなぁ」とか。自分の文学的好き嫌いの理由を考えてみるのもとても楽しいと思います。
著者は伝記的側面から作品を読み解くことはあまりせず、いつもテクストの上に証拠を見つけ出すというスタンスです。自分は伝記的側面に重点をといて高校や大学の卒業論文などを書いてしまっていたので、もっと早くこの著者の本に出会えていればよかったと思いました。
ぜひ、これから卒業論文を書く学生さんや、文系進学を考えている高校生の皆さんにも読んでもらいたいです。
また前作の『善意と悪意の英文学史』と語りの丁寧さ・幼さで結びつけられるところもあり、どちらも読んでみるとより楽しめると思います。
実は著者の語りには「ですます」「である」混合型があったのですが前作と今作にはそれがありませんでした。学位を取得するための論文では「「である」調に統一せよ」と我々は教わっているために、まるで全ての文章にそれを適用しなくてはいけない風潮がありますが、本当に素晴らしい文章を書ける人は混合型の方で、より本領発揮するように思えます。
この著者の混合語りが私はとてもお気に入りでした。長文と短文、ですます・であるを黄金比で入れてきてグッとくるのです。
ちょっとそこがなかったの寂しかったですが、「言葉の呪術的側面」や「乗り移り」にも注目されている著者なので、敢えて読者との距離を「戦略的」もしくは「politeness」としてとっているのかもしれません。
「作家と胃病」についても準備中とのことで、とても楽しみです。
以下、紀伊国屋ウェブサイトから目次を引用します。
序章 支配しようとしない声とは?
第1章 幼さの文化
第2章 太宰治と幼さの技法
第3章 村上春樹とカウンセリング
第4章 「かわいい」の美学
第5章 「かわいい」の境界線
第6章 幼さと逸脱
第7章 幼さの詩学
第8章 幼さと成熟―大塚英志と江藤淳
第9章 老い語りの可能性―小島信夫の場合
第10章 古井由吉の成熟法
終章 老いの中の幼さ
✳︎ウェブ目次には名前が記載されていませんが他に扱われている主な作家も載せておきます。
五章…武田百合子
六章…多和田葉子、ルイス・キャロル
七章…萩原朔太郎、T.S.エリオット
後半で、成熟と老いに視点が変わるのだが、結局、成熟とは何か、老いとは何か、にあまり明確に答えないので、使われる用語がわからない。幼さー成熟ー老いを発展段階的に捉えるというより、脱構築をしているせいもあると思われる。個々の作品の解釈としてはいいかもしれないが、「幼さ」との関わりが今一つで、取ってつけたかのように感じる。
「幼さ」という面が、無意識や原始性や非理性、逸脱、混沌と関わり、近代的な理性崇拝とは異なるとともに、庇護欲を掻き立てる。そして、「幼さ」への対処として、カウンセリングや消費社会の注意書きなど、が行われる。
でも、同時に、「幼さ」は、分かりやすさや単純さとかでもある。このあたりから、なんでも「かわいい」とか「幼い」とか付けれるような感覚になってくる。大人の中にある「幼さ」、老人の中の「幼さ」と脱構築されていく。しかし、こうしていく中で、何を持って「幼い」というのかが、徐々に不明瞭になっていく。成熟しようとすることが幼さでもあるというふうにすら感じられる。そして、老いることは、幼くなることのようにもーー。
社会的には、結局言えることは、成熟拒否というより、成熟が不可能になったということではないだろうか。成熟するには、確固たる形式的な社会に認められる規範・趣味に同化していくことで、個性を喪失させていくことが必要だ。
けれど、人が成熟できる、ゆっくりとした時間感覚が、もはやポストモダンの世界では稀有で、次々と生きる速度が早まる中で、幼い頃の思い出が際立っているということと、そして、なんでも「幼さ」と結びつけたくなる心情があるのではないのか。
この本は、「幼さ」の語りや表現技法を、主にしているので、社会批判はあまり含まれませんがーー。