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天国までの百マイル (朝日文庫 あ 28-1) 文庫 – 2000/10/1

4.2 5つ星のうち4.2 1,478個の評価

天国までの百マイル (朝日文庫) [文庫] [Oct 01, 2000] 浅田 次郎
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商品の説明

商品説明

主人公の城所安男は、自分の会社をつぶしてしまい、いまや別れた妻子への仕送りもままならぬほど落ちぶれた中年男。ある日、心臓病で入院する母を見舞った安男は、主治医から病状の深刻さを告げられ愕然とする。そのまま治療を続けても母の余命はごくわずか。残された道はただひとつ、謎の天才外科医にバイパス手術を施してもらうこと。衰弱した母をワゴン車に乗せた安男は、房総のひなびた漁村にあるカトリック系病院目指して、100マイルの道のりをひた走る。はたしてその先に奇跡は待っているのか――。

年老いた親の介護や終末医療というテーマはきわめて現代的で、自らの身の上と重ね合わせずに本書を読み進めることはまず不可能にちがいない。そして、それぞれに成功者となり、老母とのかかわりを避けようとする主人公の兄たちの冷淡ぶりに怒りが込み上げてくる。だが一方で、その兄たちの姿がそのまま、読む者自身を写し出す鏡であることにも気づかざるを得ない。そんな恐ろしい一面を隠し持つ作品でもある。

また、特筆すべきは安男の同棲相手のマリだろう。「ブスでデブ」を自認するホステスのマリは、不幸な生い立ちにもかかわらず底抜けに明るく、安男に惜しみない愛情を注ぐ。この上なくリアルなキャラクターでありながら、同時に、男にとっての理想の女に描かれていることは驚きに値する。本書をせつない男女の恋物語たらしめている名脇役に、ぜひ注目してほしい。(西村 匠)

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 朝日新聞出版 (2000/10/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2000/10/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 293ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4022642483
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4022642486
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 1,478個の評価

著者について

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浅田 次郎
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1951年、東京都出身。1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で吉川英治文学賞を、それぞれ受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 終わらざる夏 上 (ISBN-13: 978-4087713466 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)

カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2023年12月29日に日本でレビュー済み
小説はあまり読まないが、この本にはやられました。
浅田次郎さんがいっぺんで好きになりました。
好き嫌いに理由なんてないですよね、生理的なもの。この小説はいろんなところで僕の琴線に触れました。
- ページをめくる指を止めさせない技巧
- 文字で描写して連想させる風景
- ドラマや映画にしたら俳優は誰がはまり役だろうか、と想像させる人物描写
読み終えた翌日、なぜか読み返したくなりました。
素晴らしかったです。
2020年9月27日に日本でレビュー済み
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亡くなった母を思い出し、色んな想いがこみあげてきました。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2018年9月17日に日本でレビュー済み
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日本で高名な大学病院に見放された母の手術ができるのは、千葉の海岸沿いのカトリックの不思議な知る人ぞ知る病院長だけ。医者の兄も、他のまともに生活するきょうだいは、さっさと諦めて鼻もひっかけない。

ところが、借金持ち、窓際の兄弟には鼻つまみで離婚した妻の高額な慰謝料の要求に追い詰められ、女に甘えて生きてる主人公だけが立ち上がる。窓際臭漂う主治医に紹介されて、新宿から外房の海岸まで、瀕死の母を寝かせて普通の車で走り抜くのだ。その距離100マイル。

究極の負け犬崖っぷちなのに、命を預けてくれる母。出会う人たち。まさに、お医者さまと呼ぶべき、患者も家族も命を守ってくれるゴッドハンドの先生。現代人が、医療もビジネスと割りきり期待しなくなったような病院。涙が溢れます。

マリアさんのことを最後までしっかり読んでください。もう一度、生きてみようと思える本です。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年12月13日に日本でレビュー済み
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浅田は確かに一流のストーリーテラーだろうけど、初期からして長編は短編ほどの出来栄えには程遠いと思う。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年5月30日に日本でレビュー済み
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きれいな状態で速やかに届けていただきました。家族で次々と読んでいます。
2019年6月25日に日本でレビュー済み
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すぐに物語に入りこむ事が出来ました。
まだ、親のいる年齢の人に読んで欲しいと思いました。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2019年10月23日に日本でレビュー済み
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親孝行、家族愛、恋愛、友情あらゆるエッセンスがありいい歳して泣かされました。
血を分けたエリートの家族にも見放される中、ヤクザの金貸しの片山がぶっきらぼうにも差し伸べる救いの手…その行がとても大好きです
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2018年1月16日に日本でレビュー済み
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主人公と年齢が近いからか、主人公に自分を重ねてしまい涙が出てきました。
本を読んで涙が出てきたのは久しぶりです。

家族、兄妹、親、友人、愛人、医療関係者と登場人物は数多く出てきますが、
誰もが体験する可能性のある話で、人ごとではない人間関係が描かれています。

自分の気がつかないところに人情があり、中でも母の大きな愛と愛人の無償の愛には参りました。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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