著者の柳生シリーズの「十兵衛両断」を非常に面白かったので、第二弾として本書を手に取った。
「十兵衛両断」との共通点は、朝鮮との外交上の争いに柳生一族が絡むところだが、本書は舞台が鎌倉東慶寺という尼寺であり、活躍するのは柳生矩香という若き美人剣士である点が大きく異なる。
物語は、故国・朝鮮との縁を切るために「うね」という女性が東慶寺に駆け込むところから始まる。うねは朝鮮出身ではあるが、故郷で虐げられたため自主的に日本に移住したにも拘わらず、朝鮮からは日本に拉致されたので帰国させるようにと強硬な申し入れがあり、無理やり連れ帰られそうになったため、この尼寺に逃げ込んだのだ。
ところが、この一人の女性の存在が、江戸幕府と朝鮮外交団との間で行われている国交回復交渉の大きな障害になり、そこに将軍家光とその弟の家督争いも絡んで、幕府を二分するような大騒動に発展していく。
荒唐無稽ではあるものの、歴史的事実に基づいている部分もあるため結構リアル感もあり、また女剣士柳生矩香の活躍が爽やかで、非常に楽しめる一冊であった。
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柳生薔薇剣 (朝日文庫 あ 45-1) 文庫 – 2008/9/5
荒山 徹
(著)
柳生新陰流と朝鮮妖術師の対決、三代将軍家光の密やかな恋、朝鮮出兵に隠された真実など、時代小説の面白さ満載! 司馬遼太郎の透徹した歴史観と、山田風太郎の奇想天外な構想力を受け継ぐ希有な時代小説家の力作長編剣豪小説。
- 本の長さ311ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2008/9/5
- ISBN-104022644486
- ISBN-13978-4022644480
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2008/9/5)
- 発売日 : 2008/9/5
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 311ページ
- ISBN-10 : 4022644486
- ISBN-13 : 978-4022644480
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,207,298位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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証明
購入したその日に、あまりの面白さに一気読みしました。
第三作「魔岩伝説」 で一般的にはブレイクし、山風はじめ五味康佑、司馬遼太郎、柴田錬三郎といった時代小説作家の遺産(今回の「薔薇」には「十兵衛暗殺剣」「柳生一族の陰謀」といった東映時代劇映画にまで目配せが及んでいるからしびれます!)の上に作品を発表している荒山徹は真の意味での時代伝奇小説の正統な後継者と言っていいでしょう。
デビュー作であることを意識して「奇想天外」ぶりをおさえた第一作「高麗秘帖」、山風忍法帖ファンが泣いて喜ぶはじけっぷりの最高傑作「魔風海峡」もいったん読み出したらやめられないとまらない面白さでした。出世作(一般的認知度を上げた)「魔岩伝説」が実は最も下位の出来なのですから、そのボルテージたるや押して知るべし。
物語上の関連性は薄いので「薔薇」から読み始めてもさしつかえはないのですが、この、「唯一の欠点は短すぎること」である傑作をより愉しむために、最近文庫化もされた傑作「十兵衛両断」を先に読んでからお読みになることを強くオススメします。荒山徹、今回も期待を裏切りません!
第三作「魔岩伝説」 で一般的にはブレイクし、山風はじめ五味康佑、司馬遼太郎、柴田錬三郎といった時代小説作家の遺産(今回の「薔薇」には「十兵衛暗殺剣」「柳生一族の陰謀」といった東映時代劇映画にまで目配せが及んでいるからしびれます!)の上に作品を発表している荒山徹は真の意味での時代伝奇小説の正統な後継者と言っていいでしょう。
デビュー作であることを意識して「奇想天外」ぶりをおさえた第一作「高麗秘帖」、山風忍法帖ファンが泣いて喜ぶはじけっぷりの最高傑作「魔風海峡」もいったん読み出したらやめられないとまらない面白さでした。出世作(一般的認知度を上げた)「魔岩伝説」が実は最も下位の出来なのですから、そのボルテージたるや押して知るべし。
物語上の関連性は薄いので「薔薇」から読み始めてもさしつかえはないのですが、この、「唯一の欠点は短すぎること」である傑作をより愉しむために、最近文庫化もされた傑作「十兵衛両断」を先に読んでからお読みになることを強くオススメします。荒山徹、今回も期待を裏切りません!
ゴルディアス
バラ剣ではなくて、ソウビ剣。 曹美と覚えよう。
曹植さまは美しい貴公子、チィーちゃん、チィーちゃん、ハァハァハァ…。
マジで曹植さまの話題も語られます。
男同士のキスシーンはあるが、
薔薇でもジュネでもサムソンでもなくて、アドンって感じ?
柳生十兵衛の女装シーンもあるし、
腐女子の方は好きなように妄想して下さい。
男装の麗人の女剣士が主人公だが、
他作品に出てきたオスカル様とアンドレは出て来ない。
残念ながら今回は巨大怪獣は出て来ない。
朝鮮妖術師と柳生友景が出てくるのは終盤である。
怪獣やロボットや空飛ぶ円盤が
怪光線出して暴れまわるいつものパターンよりは地味である。
中盤までは普通の時代小説である。
荒山先生のことを知らずに、
普通の剣豪小説と思い込んだ人は、
ラストで異次元での妖術合戦になり、
呆然としただろうな。
ぶっとんだ荒山ワールドに馴れていると、
中盤まで地味過ぎるし、
普通の剣豪小説としては、
妖術師だからと、何の説明もなく空飛んだら呆気にとられるよな。
プロットが未熟というか、整合性に欠ける感じ。
これは妖術出さない方が良かったと思う。
普通の剣豪小説としても、
剣豪を超え兵法家として策を巡らす柳生宗矩の
描写がいいので、高評価出来ると思うのだが…。
曹植さまは美しい貴公子、チィーちゃん、チィーちゃん、ハァハァハァ…。
マジで曹植さまの話題も語られます。
男同士のキスシーンはあるが、
薔薇でもジュネでもサムソンでもなくて、アドンって感じ?
柳生十兵衛の女装シーンもあるし、
腐女子の方は好きなように妄想して下さい。
男装の麗人の女剣士が主人公だが、
他作品に出てきたオスカル様とアンドレは出て来ない。
残念ながら今回は巨大怪獣は出て来ない。
朝鮮妖術師と柳生友景が出てくるのは終盤である。
怪獣やロボットや空飛ぶ円盤が
怪光線出して暴れまわるいつものパターンよりは地味である。
中盤までは普通の時代小説である。
荒山先生のことを知らずに、
普通の剣豪小説と思い込んだ人は、
ラストで異次元での妖術合戦になり、
呆然としただろうな。
ぶっとんだ荒山ワールドに馴れていると、
中盤まで地味過ぎるし、
普通の剣豪小説としては、
妖術師だからと、何の説明もなく空飛んだら呆気にとられるよな。
プロットが未熟というか、整合性に欠ける感じ。
これは妖術出さない方が良かったと思う。
普通の剣豪小説としても、
剣豪を超え兵法家として策を巡らす柳生宗矩の
描写がいいので、高評価出来ると思うのだが…。
LUNAVE
柳生家が主人公の時代伝奇作品です(^-^*)/
他の作家の時代伝奇小説の最後に載っていた他の時代小説紹介で今作を知り、
小学生時代にTVで見たドラマ『柳生武芸帳』シリーズと、時代伝奇小説の元祖・山田風太郎の忍法帖シリーズ(特に柳生3部作)が大好きで、剣豪の中では柳生十兵衛がNo.1な僕としては是非読まなくては!と、読んだ次第です。
作者は朝鮮の歴史に詳しいらしく、たくさんの作品の三大要素が「朝鮮・柳生・妖術」という事で、
今作にも縁切り寺に逃げ込んだ女性を奪略しようとする朝鮮方&朝鮮妖術士が、敵の一部でした。
柳生十兵衛が大好きな者として、十兵衛の大活躍を楽しみにしていた所、何と十兵衛は脇役で、メインは架空のキャラクター・十兵衛の姉の矩香!
男子禁制の縁切り寺を守る役としては、うってつけの女性剣士であり、十兵衛の代わりとして充分楽しめました!
しかしラストで、まさかの展開に!
作者の柳生シリーズはたくさん出てるので今後も楽しみですが、今後は十兵衛が主人公になるのか?それとも矩香が主人公を続けるのか?
主人公がどちらになるのか?も楽しみです。
これ1作のみだとラストで拍子抜けする点もありますが、あくまでも長いシリーズ作品の序盤?としては物凄く楽しめた時代伝奇作品でした!
山田風太郎や時代伝奇作品が好きな方には是非オススメです(^-^*)/
他の作家の時代伝奇小説の最後に載っていた他の時代小説紹介で今作を知り、
小学生時代にTVで見たドラマ『柳生武芸帳』シリーズと、時代伝奇小説の元祖・山田風太郎の忍法帖シリーズ(特に柳生3部作)が大好きで、剣豪の中では柳生十兵衛がNo.1な僕としては是非読まなくては!と、読んだ次第です。
作者は朝鮮の歴史に詳しいらしく、たくさんの作品の三大要素が「朝鮮・柳生・妖術」という事で、
今作にも縁切り寺に逃げ込んだ女性を奪略しようとする朝鮮方&朝鮮妖術士が、敵の一部でした。
柳生十兵衛が大好きな者として、十兵衛の大活躍を楽しみにしていた所、何と十兵衛は脇役で、メインは架空のキャラクター・十兵衛の姉の矩香!
男子禁制の縁切り寺を守る役としては、うってつけの女性剣士であり、十兵衛の代わりとして充分楽しめました!
しかしラストで、まさかの展開に!
作者の柳生シリーズはたくさん出てるので今後も楽しみですが、今後は十兵衛が主人公になるのか?それとも矩香が主人公を続けるのか?
主人公がどちらになるのか?も楽しみです。
これ1作のみだとラストで拍子抜けする点もありますが、あくまでも長いシリーズ作品の序盤?としては物凄く楽しめた時代伝奇作品でした!
山田風太郎や時代伝奇作品が好きな方には是非オススメです(^-^*)/
神無月久音
荒山世界における三大要素、「朝鮮・柳生・妖術」を
フォーマットとする作品の3作目でアリマス。
そして、人よ、驚くなかれ。
なんと、ここに至って、遂に日本人ヒロインが登場するのであります。
今まで荒山作品におけるヒロインは全部朝鮮人(降倭含む)だった
わけですが、まあ、これは荒山先生だから、と考えればいいのか悪いのか。
しかも、そのヒロインが柳生であるわけで、
それはどこの十兵衛ちゃんですか、と問い質したくなる向きも
あるかもしれませんが、まあ抑えて抑えて。
とりあえず、斯様なヒロインと十兵衛の関係についても
あれこれと取り沙汰されたりするわけですが、本作品において
最も光り輝いてるのは、間違いなく僕らの宗矩くんであり、
それだけで当方の胸は一杯となり、というか、
ぶっちゃけあとはどうでもいい、とか思ったりするトコもあったり。
なんてったって、
(では行くがいい。そして全員死ね)
なんて言っちゃうわけですよ。
もうたまりませんな。
朝鮮と妖術については、まあ、ボチボチという感じですかのう。
荒山世界最強サムライ、柳生友景も出てきますし、
あと、何気に「シグルイ」「Y十M」辺りともリンクしかねない
勢いだったりするところが読者の妄想をより引き立てます。
当方は「十兵衛両断」を読んだ後で
こちらを読んだのですが、逆の順で読んだ場合、
読者がどんな感慨を(特に十兵衛に対して)抱くのか
気になるので、好奇心の強い方は、こちらから
読まれるのも一興かと思います。
フォーマットとする作品の3作目でアリマス。
そして、人よ、驚くなかれ。
なんと、ここに至って、遂に日本人ヒロインが登場するのであります。
今まで荒山作品におけるヒロインは全部朝鮮人(降倭含む)だった
わけですが、まあ、これは荒山先生だから、と考えればいいのか悪いのか。
しかも、そのヒロインが柳生であるわけで、
それはどこの十兵衛ちゃんですか、と問い質したくなる向きも
あるかもしれませんが、まあ抑えて抑えて。
とりあえず、斯様なヒロインと十兵衛の関係についても
あれこれと取り沙汰されたりするわけですが、本作品において
最も光り輝いてるのは、間違いなく僕らの宗矩くんであり、
それだけで当方の胸は一杯となり、というか、
ぶっちゃけあとはどうでもいい、とか思ったりするトコもあったり。
なんてったって、
(では行くがいい。そして全員死ね)
なんて言っちゃうわけですよ。
もうたまりませんな。
朝鮮と妖術については、まあ、ボチボチという感じですかのう。
荒山世界最強サムライ、柳生友景も出てきますし、
あと、何気に「シグルイ」「Y十M」辺りともリンクしかねない
勢いだったりするところが読者の妄想をより引き立てます。
当方は「十兵衛両断」を読んだ後で
こちらを読んだのですが、逆の順で読んだ場合、
読者がどんな感慨を(特に十兵衛に対して)抱くのか
気になるので、好奇心の強い方は、こちらから
読まれるのも一興かと思います。
紫
柳生・朝鮮・妖術のいつもの荒山先生三題噺であります。
…が、美貌の女剣士の痛快華麗な剣戟と愛憎を描いた本作、そのやりすぎなくらい耽美な演出にもかかわらず、アクがないといおうか、薄いといおうか、(この作者にしては)品よくまとまっているがゆえに、普段の荒山先生が書いているものがどんだけ濃いんだよ!とひしひしと実感させられることになるという物語なのです。まさしく清く正しく美しくの世界。
山風先生の「柳生忍法帖」リスペクトと、突然出てきておいしい場面をかっさらっていく某陰陽頭のゲスト出演が嬉しい。
…が、美貌の女剣士の痛快華麗な剣戟と愛憎を描いた本作、そのやりすぎなくらい耽美な演出にもかかわらず、アクがないといおうか、薄いといおうか、(この作者にしては)品よくまとまっているがゆえに、普段の荒山先生が書いているものがどんだけ濃いんだよ!とひしひしと実感させられることになるという物語なのです。まさしく清く正しく美しくの世界。
山風先生の「柳生忍法帖」リスペクトと、突然出てきておいしい場面をかっさらっていく某陰陽頭のゲスト出演が嬉しい。
新井 徹
“縁切寺で名高い鎌倉・東慶寺を舞台とした柳生女剣士の活躍”、その小説の骨格自体は、著者の歴史的想像力の豊かさを存分に感じることが出来、「面白い」。かっこ付きなのは、この小説の評価ポイントのひとつになるであろう著者の“朝鮮観”だ。著者は韓国留学歴もあり、日朝を舞台とした設定に定評のある時代小説家である。当然、読み手の私なんかより、日朝史や、韓国の歴史、文化に造詣が深いことだろう。だからこそ、その“嫌韓流”にも誤解されそうな、過剰に悪意を感じさせる朝鮮の描き方が気にかかる。秀吉の朝鮮出兵の際に日本に“お持ち帰り”され、三十余年を過ごし、すっかり“日本人”に同化した人々を、“いまさら”本国に送還せよと強く幕府に迫る朝鮮側、といった文脈で史実が紹介される。この、日本に連れてこられた朝鮮の人々の気持ちなんて、解釈次第でどっちにも取れる訳で、当然そこには著者の史観が反映される。否が応でも現代の拉致問題を想起してしまうシチュエーションを描くとき、もう少し客観的な視点、描き方が必要じゃないだろうか(まあ、あえてなぞらえて意図的に書いているんだろうけど。そしてそれが気に食わないだけなのだけど)。
ついでに個人的な趣味を言わせてもらうと、柳生友矩が大刀で敵を斬殺するシーンの、“整列行進するしんがりの5人の首を後ろから一太刀ではね、5つの首が宙を舞う”ってのもハリウッド的荒唐無稽で、あちきの美学とは相容れない。涼姫へのかなわぬ初恋が家光を男色に走らせたってのもかなり説得性に欠けると思うんですが...
ついでに個人的な趣味を言わせてもらうと、柳生友矩が大刀で敵を斬殺するシーンの、“整列行進するしんがりの5人の首を後ろから一太刀ではね、5つの首が宙を舞う”ってのもハリウッド的荒唐無稽で、あちきの美学とは相容れない。涼姫へのかなわぬ初恋が家光を男色に走らせたってのもかなり説得性に欠けると思うんですが...