「唐人屋敷」連載5話(92~96年作)、「NEKOMATA・PAPA」(93年)、「東方からの客人」(99年)、「もうひとつの遺言」(90年)、そしてあとがきが収められています。
「唐人屋敷」ハドソン河という言葉が出てくるので舞台はアメリカ東部でしょうか。主人公はアメリカ人と中国人のハーフで、ゆえに特に中華系の異形が見えるお祓い屋という設定です。
主人公の外見を見たとたんに「このモデルはきっとあのジョン・ローンに違いない!?」と思ってしまいました。オールバックにした黒い髪、整った顔立ち、クールな表情もそっくりです。若い方はわからないと思いますが、ジョン・ローンは1990年前後に映画「ラスト・エンペラー」で大ブレイクした香港出身の俳優さんです。当時は日本でも電車の中吊り広告がジョン・ローン一色になったり、貼ってあるポスターが盗まれるくらいの人気でした。この作品は92年作ですからもしかして先生もファンだったのでは・・と。
・・と個人的な推測はおいといて・・ですが(笑)波津先生の代表作「雨柳堂」の中華版という感じです。古いお屋敷や東洋由来の骨董品に憑いている異形たちと語る、またはそれらを巡って引き起こされるトラブルを主人公が解決していきます。まだ物の怪が見えることに慣れないのに、やたらとなつかれる相棒アーネストがいろいろ失敗をして笑いを取ってくれます。
「NEKOMATA・PAPA」はそのタイトル通り、ネコの妖怪猫又がお父さんという中学生朝之助を主人公にしたコメディです。人間じゃないお父さんが当たり前のように世間に受け入れられているのが、荒唐無稽ながら傑作で笑えます。とても楽しい作品です。
「東方からの客人」東洋趣味だった父が亡くなって莫大な資産を受け継いだウィリアム。中国陶磁の貴重なコレクションをめぐって展開する不思議なお話。幻想的な雰囲気がいいです。
「もうひとつの遺言」養女ジェラルディーンにほとんどの遺産を残すと遺言した富豪。相続をめぐるトラブルを描いた作品です。
今回特に感じたのは、目の色の薄い外国人を描く時の波津先生の筆の巧みさです。モノクロの漫画なのに、人物が青い目ブロンドであることがまるで色彩があるかのように感じ取れます。目を濃く書き込まないので使える線はぐっと少なくなるのに表情もちゃんと表現できている、このあたりがすごいと思いました。とにかく美しい絵です。どの作品もとても気に入りました。
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唐人屋敷 (ソノラマコミック文庫 は 28-9) 文庫 – 2009/1/9
波津 彬子
(著)
東洋系憑き物専門! そんなお祓い師の元に持ち込まれる依頼は、奇妙きてれつな一件ばかり。愛すべきアシスタント君と、物の怪たちに囲まれて、今日もいわくつきの物件へ向かうが……。「雨柳堂夢咄」の著者が贈る、オリエンタル・オカルトコメディ・コミック!
- 本の長さ267ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2009/1/9
- ISBN-10402267184X
- ISBN-13978-4022671844
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2009/1/9)
- 発売日 : 2009/1/9
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 267ページ
- ISBN-10 : 402267184X
- ISBN-13 : 978-4022671844
- Amazon 売れ筋ランキング: - 896,897位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年8月14日に日本でレビュー済み
おはらい師の物語。
東洋専門のもののけをおはらいします。
唐子や酒の精がおもしろいです。
東洋専門のもののけをおはらいします。
唐子や酒の精がおもしろいです。
2008年6月29日に日本でレビュー済み
主人公に見えるのは、血筋のせいで「東洋系のもののけ」だけ。なのでタイトルが「唐人屋敷」なのである。この設定も新鮮だった。コンビを組むのは、見えないけれども、もののけに好かれるタチの気の毒な男。途中で見えるようにさせられて(笑)、見えない方がよかったと嘆くあたりには共感する。見えないにこしたことはないわな、そんなもの。
この著者の描くもののけは一貫して可愛らしいが、特にこの作品に出てくる「酒の精」は可愛い。飲み放題だし一人欲しいが、こういう欲の深いヤツのところには来ないんだよね(笑)。
この著者の描くもののけは一貫して可愛らしいが、特にこの作品に出てくる「酒の精」は可愛い。飲み放題だし一人欲しいが、こういう欲の深いヤツのところには来ないんだよね(笑)。
2003年2月9日に日本でレビュー済み
本作の主人公は、物の怪の類が見えるのである。
それで物の怪祓いなどをやっている。
そうゆうストーリーの漫画だ。
この漫画で見所なのは、物の怪達だろう。
悪役(?)であっても、何故か可愛いのである。
こんな物の怪なら、私も欲しいぐらいだ。
それが福の神だったりしたら、なお嬉しい。
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この漫画で見所なのは、物の怪達だろう。
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