兵器のスペック抜粋、軍隊の仕組みや大和の片道燃料云々についてはこの本で説明されているものの、それは参考情報の一部にすぎません。この部分に噛み付いてやれ真実はどうだの、戦闘での有用性がどうだのとネガティブなレビューを大量投下している人たちは本書を本当に最後まで読んだのかな?
何か意図を感じるのは私だけでしょうか。
皮肉ですが、不自然な〝役に立った〝 の数、短い期間に書かれた批判的レビューの多さ、とても参考になるかと思います。
自分の思想にそぐわない書籍を、ろくに読みもせずネガティブレビューで撃沈せしめんとする行為、私が年寄りから聞いた当時の理不尽な赤狩りにそっくりだと思うんですが、勘違いでしょうか。
それはさておき、あまり内容を書くとネタバレになるので部分的に参考になったとこを抜粋します。
大戦以降世界中で戦争がなかった期間はたったの3週間!
ヒトラーやスターリンの息子は戦線で戦い殉死した、ヒトラーも過去に戦ったが、日本の今の政治家は国民に愛国心を要求する割に本人たちは戦線に立つ気がない。
日本の核武装は無意味。他国と土地柄が違いすぎ。
日本は世界で初めて火薬(原爆ではなく)を使った攻撃を受けた国。
いろんなエピソードを交えながら、どうしたら戦争を避けられるか、著者の考えが具体的に書かれてます。当然ながら著者の一意見ですから、言うまでもなくこの書籍をきっかけにして私たちも自分たちで何ができるか考えないといけません。
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反戦軍事学 (朝日新書) 新書 – 2006/12/11
林 信吾
(著)
さまざまな軍事”常識をもとに、戦後体制を批判し、強行外交を唱える作家や知識人が後を絶たない。だが実は、その”常識”の多くは怪しげな俗説や思いこみであり、知識があれば、簡単に論破できるのだ…… だまされないためには、今や戦争を憎む者こそが、軍事に対する基礎教養を身につけなければならない!「駆逐艦/巡洋艦」の違いから、トレンチ・コートの由来まで、全国民が読んで楽しめる、軍事基礎教養講座!
おかげさまで好評を博し、電子版の配信も始まりました。
http://www.papy.co.jp/act/books/1-158236/
戦争に反対する者ほど、正しい軍事知識を持たねばならない、という私のメッセージは、多くの皆様に、たしかに伝わったと思います
震災後、自衛隊の活躍がクローズアップされる一方で、災害に乗じて日本を攻撃する国など存在しなかったことも、はっきりしました。
「国を守る」とは一体どういうことなのか、今こそ考えてみるべきです。その一助として、本書を手にとってみてください。
おかげさまで好評を博し、電子版の配信も始まりました。
http://www.papy.co.jp/act/books/1-158236/
戦争に反対する者ほど、正しい軍事知識を持たねばならない、という私のメッセージは、多くの皆様に、たしかに伝わったと思います
震災後、自衛隊の活躍がクローズアップされる一方で、災害に乗じて日本を攻撃する国など存在しなかったことも、はっきりしました。
「国を守る」とは一体どういうことなのか、今こそ考えてみるべきです。その一助として、本書を手にとってみてください。
- 本の長さ242ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2006/12/11
- ISBN-104022731214
- ISBN-13978-4022731210
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2006/12/11)
- 発売日 : 2006/12/11
- 言語 : 日本語
- 新書 : 242ページ
- ISBN-10 : 4022731214
- ISBN-13 : 978-4022731210
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,632,045位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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(はやし・しんご)
1958年、東京生まれ。神奈川大学中退。
1983年、英国ロンドンに渡り、現地発行日本語新聞『英国ニュースダイジェスト』の記者となる。
日本のメディアにも寄稿を続け、1989年には『地球の歩き方・ロンドン編』の企画と執筆で中心的な役割を果たす。
1993年に帰国して以降は、フリーで執筆活動に専念している。
英国史・ヨーロッパ史から軍事問題、日本国憲法、サッカーに至るまで、幅広いテーマで執筆している。
また、ノンフィクションとフィクション、どちらもこなせる。
2013年10月には、
作家・ジャーナリスト 林信吾の地球に優しいブログ
http://ameblo.jp/gojibuji
を開設した。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年1月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2007年4月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
単なるレトリックにしても曲がりなりにも「学」を謳い、帯に「基礎教養講座」と銘打つのならば、軍事という事象に関する網羅性と体系性というものが必要だ。
目次を一読しただけで判るのが、網羅性も体系性もないこと。網羅性と体系性に留意するのならば、まず、第一部においては軍隊の存在目的や存在意義(すくなくとも右派の人間が目的や意義と思っていること)について論ぜられるべきであろう。ところが、まったく意図不明瞭な小説モドキと共に語られるのは、軍隊の組織的な性質であり、現用兵器の欠陥(と著者が考えること)であり、自衛隊の海外派兵の正邪について(の著者の意見表明)である。あまりにも唐突すぎるというものだ。
自分が軍事知識を持ちあわせているのでなければ、まずここでつまずく。左派であれば、なるほど自衛隊とは役立たずの組織であり、海外派兵はやはりけしからんんことだと、今までの自分たちの意見を再確認するだけに終わる。
さらに、第2部が用語あるいは基礎知識と言うのならば、これが本来第1部にあってもおかしくなく、しかも表現は冗長に過ぎ、脱線も目立つ。概ね、全体構成が網羅性と体系性のあるものならば、ここも全体構成に則した体系的なものになるはずだろうが、あまりに自分語りの調子で語られており、断片的に過ぎる。
そして、第3部を上級編として4人の人物の言説の批判に割いているのだが、本来ならば、第1部、第2部との関連性の下に批判すべきであるのに、ほんとどつながりもないままに著者の意見表明がなされており、全体の冗長性に輪をかけている。しかも、4人をピックアップしたのは、単に時事解説的な都合によるものであることがありあり。多少なりとも「学」を謳うのならば、現代まで多大な影響を与えたクラウゼヴィッツやリデル・ハート辺りの軍事理論、時事的なところを狙うにしてももう少しまともな軍事評論家(江畑謙介氏や著者自身が本書中で何度か持ち上げている小川和久氏あたり)、ついでに米軍が進めているRMAあたりにでも目を向けるのが順当ではないのだろうか。それとも著者の力量ではそれは難しいのだろうか?
第4部に至っては、語られているのはひたすらに「政治」であり、戦争を巡る我が国の「法」(特に憲法)についてである。確かに、軍事は政治の下位に属するものである以上、政治とは無縁ではありえない。しかし、ここまで語られてきた一連の軍事についての記述と独立して、この部の文章は読むことができてしまう。ここに来てようやくと他者を批判する形で軍隊(というよりも自衛隊)の存在意義もわずかばかり語られるのだが、そのお陰もあって時事的な憲法改正議論の文章として部内で完結し、他の部とのリンケージを求めようもない。一個の書籍として一貫したストーリー性を持っておらず、部ごとの断片的な塊がひょいひょいと配置されているだけという構成の致命的な欠陥が、最後まで露呈しきってしまっているのだ。
これでは単なるエッセイである。それも「試論」の意味でのエッセイではなく、「随筆」の意味でのエッセイであり、まとまりのある「学」や「講座」ではなく、「随筆集」というものであろう。
これで書かれていることに誤りがなければ、まだ読めるのかもしれないが………いや、これはもう既に多くの人々が指摘しており、自分がこれ以上の逐語的な批判をしても、屋上屋を重ねるだけだろうから、やめておこう。
ともあれ、自分は評判を聞いたり、見たりして、「怖いもの見たさ」で本書を購入したが、そういう物好きな人でなければ一切お薦めしない。
目次を一読しただけで判るのが、網羅性も体系性もないこと。網羅性と体系性に留意するのならば、まず、第一部においては軍隊の存在目的や存在意義(すくなくとも右派の人間が目的や意義と思っていること)について論ぜられるべきであろう。ところが、まったく意図不明瞭な小説モドキと共に語られるのは、軍隊の組織的な性質であり、現用兵器の欠陥(と著者が考えること)であり、自衛隊の海外派兵の正邪について(の著者の意見表明)である。あまりにも唐突すぎるというものだ。
自分が軍事知識を持ちあわせているのでなければ、まずここでつまずく。左派であれば、なるほど自衛隊とは役立たずの組織であり、海外派兵はやはりけしからんんことだと、今までの自分たちの意見を再確認するだけに終わる。
さらに、第2部が用語あるいは基礎知識と言うのならば、これが本来第1部にあってもおかしくなく、しかも表現は冗長に過ぎ、脱線も目立つ。概ね、全体構成が網羅性と体系性のあるものならば、ここも全体構成に則した体系的なものになるはずだろうが、あまりに自分語りの調子で語られており、断片的に過ぎる。
そして、第3部を上級編として4人の人物の言説の批判に割いているのだが、本来ならば、第1部、第2部との関連性の下に批判すべきであるのに、ほんとどつながりもないままに著者の意見表明がなされており、全体の冗長性に輪をかけている。しかも、4人をピックアップしたのは、単に時事解説的な都合によるものであることがありあり。多少なりとも「学」を謳うのならば、現代まで多大な影響を与えたクラウゼヴィッツやリデル・ハート辺りの軍事理論、時事的なところを狙うにしてももう少しまともな軍事評論家(江畑謙介氏や著者自身が本書中で何度か持ち上げている小川和久氏あたり)、ついでに米軍が進めているRMAあたりにでも目を向けるのが順当ではないのだろうか。それとも著者の力量ではそれは難しいのだろうか?
第4部に至っては、語られているのはひたすらに「政治」であり、戦争を巡る我が国の「法」(特に憲法)についてである。確かに、軍事は政治の下位に属するものである以上、政治とは無縁ではありえない。しかし、ここまで語られてきた一連の軍事についての記述と独立して、この部の文章は読むことができてしまう。ここに来てようやくと他者を批判する形で軍隊(というよりも自衛隊)の存在意義もわずかばかり語られるのだが、そのお陰もあって時事的な憲法改正議論の文章として部内で完結し、他の部とのリンケージを求めようもない。一個の書籍として一貫したストーリー性を持っておらず、部ごとの断片的な塊がひょいひょいと配置されているだけという構成の致命的な欠陥が、最後まで露呈しきってしまっているのだ。
これでは単なるエッセイである。それも「試論」の意味でのエッセイではなく、「随筆」の意味でのエッセイであり、まとまりのある「学」や「講座」ではなく、「随筆集」というものであろう。
これで書かれていることに誤りがなければ、まだ読めるのかもしれないが………いや、これはもう既に多くの人々が指摘しており、自分がこれ以上の逐語的な批判をしても、屋上屋を重ねるだけだろうから、やめておこう。
ともあれ、自分は評判を聞いたり、見たりして、「怖いもの見たさ」で本書を購入したが、そういう物好きな人でなければ一切お薦めしない。
2007年3月20日に日本でレビュー済み
この本、帯に書いてあるような「軍事基礎教養講座」ではないんですよね。
軍事についてのウンチクが得られる軽いエッセー集、として見ればいいんじゃないでしょうか。
ただ、購入しようかという方は「週刊オブイェクト」というサイトをご覧になってください。
軍事についてのウンチクが得られる軽いエッセー集、として見ればいいんじゃないでしょうか。
ただ、購入しようかという方は「週刊オブイェクト」というサイトをご覧になってください。
2007年3月10日に日本でレビュー済み
日本には軍事を扱う民間高等教育機関がない。
軍事についての研究を専門的に行う機関は全て国に属する機関である。
そこで教育された人間は殆どが公務に就く。
公的機関で軍事教育を受けた人間が民間に出ても、軍事的な知識を生かせる現場は少ない。
日本の著名な軍事評論家は独学や趣味が高じてなったという人である。
彼らの中には国際的に認められた分析力を持つ人もいるが、その数はあまりに少ない。
日本には軍事的な諸問題について政府と対等に発言する民間勢力がないのである。
これ自体、既に問題なのだがこれが認識されていないということがさらなる大問題なのである。
著者は明らかに、このような日本の現状の被害者のうちの1人である。
本書で提起されている問題は重要なものでありこの種の論議はもっと公でされていいはずである。そこを評価して星2つをつけた。
この本を人に薦めることはできない。
本書での問題に対する答えは記述の多くに事実誤認や根拠不明なもの、単に著者の知識が不足していると思われるものがあるからである。
間違いは間違いだが、悪意は感じられなかった。改訂版の出版を待つ。
軍事についての研究を専門的に行う機関は全て国に属する機関である。
そこで教育された人間は殆どが公務に就く。
公的機関で軍事教育を受けた人間が民間に出ても、軍事的な知識を生かせる現場は少ない。
日本の著名な軍事評論家は独学や趣味が高じてなったという人である。
彼らの中には国際的に認められた分析力を持つ人もいるが、その数はあまりに少ない。
日本には軍事的な諸問題について政府と対等に発言する民間勢力がないのである。
これ自体、既に問題なのだがこれが認識されていないということがさらなる大問題なのである。
著者は明らかに、このような日本の現状の被害者のうちの1人である。
本書で提起されている問題は重要なものでありこの種の論議はもっと公でされていいはずである。そこを評価して星2つをつけた。
この本を人に薦めることはできない。
本書での問題に対する答えは記述の多くに事実誤認や根拠不明なもの、単に著者の知識が不足していると思われるものがあるからである。
間違いは間違いだが、悪意は感じられなかった。改訂版の出版を待つ。
2016年5月16日に日本でレビュー済み
他のレビュアーさんが書かれている通り、網羅的な軍事の入門書ではない。むしろその部分よりも、軍備や核武装、憲法改正について筆者が思う「反戦」の現実的な進め方こそが読みどころであろう。反戦・護憲のための軍事入門というような類書は他にもあるので知識を広げたい人は色々読んでみるべきだ。この本はこれでいいと思う。軍事オタクの素養があることを自認する著者の戦争への懸念、自分や子弟は前線に出る気も送る気もないくせに戦争を美化し目指したがる人々の態度(タイトルに引用した言葉を記した某オタク二世議員など)への嫌悪・軽蔑は充分伝わってくる。
2011年11月4日に日本でレビュー済み
軍事に関わる書籍をあれこれと読みました。その中で本書が最も「まともな感覚とは何か?」を教えてくれるものでした。随所にミリタリー・ヲタ的な記述がありますが、これは「読者を釣るためのエサ」のように思えますので、そちら方面を期待する方にはお勧めできません。理想と現実と史実を冷静を見つめ、常識を働かせれば、平和と軍事について何がどのように語られるべきか?という一般的な指針を模索される方にお勧めの一品です。
2016年4月30日に日本でレビュー済み
軍事学を謳っていながら軍事学入門にすらならない(兵站など重要要素が欠けている).
日本核武装論批判のつもりが,あさっての方向を向いている.
憲法改正論議に至っては,珍奇な独自の改憲案を唱える.
そんな問題点だらけの一冊.
▼
とにかく最初の章の最初のページから,早くも疑問点だらけ.
第2章は数ページごとに,軍事初心者でも指摘できそうな誤謬を含有.
第3章にいたっては,学でも論でもない罵倒ばかり目立つという酷さ.
▼
誤謬に関しては,これがあまりに多いので,ここでは書ききれない.
拙作サイトに専用ページを設けたので,ここにリンクを示しておく.
[…]
▼
もちろん間違いは誰にでもある.
江畑謙介にすらある.
しかし本書で問題なのは,間違いの数の多さのみならず,そこから伺える著者の姿勢.
核抑止理論批判を例にとろう.
著者は兵藤二十八の著作からの引用を元に,これを批判することで,核抑止理論は有効ではないということの論拠にしている.
しかし実際にはイスラエルは滅亡しかかってなどいなかったし,核攻撃準備は実際に行われていた.
その核爆弾は戦術核としては実用に耐えるレベルであったし,イスラエルは国際社会など気にしてはいなかったと考えられる.
(詳しくは,[…]参照)
▼
そのことは,兵藤の著作からの引用の中にもある『サムソン・オプション』を読めば明瞭であり,同時に兵藤が誤読をしていることも分かるはず.
つまり林は『サムソン・オプション』一冊調べることもせずに本書を書いていることが明白.
>書籍など,本棚には収まりきらないので,倉庫を手配したほどだ(p.232)
と豪語する林が,たった1冊調べることもしていないとは.
▼
また例えば,「戦艦大和の沖縄特攻は片道燃料」という箇所や,日本軍機の連合軍側呼称について,オスカーやエミリーといったコードネームと,ワンショットライターといったあだ名とを混同している箇所など,ちょっと調べればすぐ分かるというレベルの誤謬が散見.
(ちなみに「片道燃料」は,林が本書で批判対象としている小林よしのりと,全く同じ間違いをしているところが興味深し.
他にも小林と林とがほぼ同一の主張をしている部分が,複数ある)
▼
『サムソン・オプション』の事例や,ちょっと調べれば分かる程度の誤謬の多さから考えて,真摯な態度で著者が執筆に臨んだとはとうてい思えないのだが.
読者をなめてるとしか.
▼
「平和を願うなら軍事を理解せよ」という主張自体は正しい.
(そもそも西ローマの軍事史家ウェゲティウスの時代から,それに似たような格言があるわけだが)
しかし本書を元に平和論者が論争を挑んでも,秒殺されること必至.
その結果,ますます平和論者が軍事を敬遠するようになれば,本書はその意図とは逆の効果しか生まないだろう.
反戦平和主義者諸氏は本書などよりも,『軍事学入門』(かや書房)でまず勉強し,次に江畑謙介や小川和久に進むことを強くお勧めする.
▼
ゴミ.
【関心率0%:全ページ中,手元に残したいページがどれだけあるかの割合.当方の価値観基準】
日本核武装論批判のつもりが,あさっての方向を向いている.
憲法改正論議に至っては,珍奇な独自の改憲案を唱える.
そんな問題点だらけの一冊.
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とにかく最初の章の最初のページから,早くも疑問点だらけ.
第2章は数ページごとに,軍事初心者でも指摘できそうな誤謬を含有.
第3章にいたっては,学でも論でもない罵倒ばかり目立つという酷さ.
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誤謬に関しては,これがあまりに多いので,ここでは書ききれない.
拙作サイトに専用ページを設けたので,ここにリンクを示しておく.
[…]
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もちろん間違いは誰にでもある.
江畑謙介にすらある.
しかし本書で問題なのは,間違いの数の多さのみならず,そこから伺える著者の姿勢.
核抑止理論批判を例にとろう.
著者は兵藤二十八の著作からの引用を元に,これを批判することで,核抑止理論は有効ではないということの論拠にしている.
しかし実際にはイスラエルは滅亡しかかってなどいなかったし,核攻撃準備は実際に行われていた.
その核爆弾は戦術核としては実用に耐えるレベルであったし,イスラエルは国際社会など気にしてはいなかったと考えられる.
(詳しくは,[…]参照)
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そのことは,兵藤の著作からの引用の中にもある『サムソン・オプション』を読めば明瞭であり,同時に兵藤が誤読をしていることも分かるはず.
つまり林は『サムソン・オプション』一冊調べることもせずに本書を書いていることが明白.
>書籍など,本棚には収まりきらないので,倉庫を手配したほどだ(p.232)
と豪語する林が,たった1冊調べることもしていないとは.
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また例えば,「戦艦大和の沖縄特攻は片道燃料」という箇所や,日本軍機の連合軍側呼称について,オスカーやエミリーといったコードネームと,ワンショットライターといったあだ名とを混同している箇所など,ちょっと調べればすぐ分かるというレベルの誤謬が散見.
(ちなみに「片道燃料」は,林が本書で批判対象としている小林よしのりと,全く同じ間違いをしているところが興味深し.
他にも小林と林とがほぼ同一の主張をしている部分が,複数ある)
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『サムソン・オプション』の事例や,ちょっと調べれば分かる程度の誤謬の多さから考えて,真摯な態度で著者が執筆に臨んだとはとうてい思えないのだが.
読者をなめてるとしか.
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「平和を願うなら軍事を理解せよ」という主張自体は正しい.
(そもそも西ローマの軍事史家ウェゲティウスの時代から,それに似たような格言があるわけだが)
しかし本書を元に平和論者が論争を挑んでも,秒殺されること必至.
その結果,ますます平和論者が軍事を敬遠するようになれば,本書はその意図とは逆の効果しか生まないだろう.
反戦平和主義者諸氏は本書などよりも,『軍事学入門』(かや書房)でまず勉強し,次に江畑謙介や小川和久に進むことを強くお勧めする.
▼
ゴミ.
【関心率0%:全ページ中,手元に残したいページがどれだけあるかの割合.当方の価値観基準】
2009年10月25日に日本でレビュー済み
オバマ大統領が「核なき世界の実現」を目指すと表明し、その理念に対してノーベル平和賞が贈られる事になった。
3年前、この本が出た時はまだブッシュの時代で、アメリカが率先して核廃絶に動くなど、誰が考えただろうか。むしろ、徴兵制復活論議や核武装論が力を持っていた。そして、この本を書いた林氏はネット右翼からの誹謗中傷にさらされた。
しかし、どちらが正しく、どちらが間違いだらけの論をたてていたか、すでに結論は出たと言える。
戦争に反対する人ほど正しい軍事知識を----今こそ読まれるべき本だ。
3年前、この本が出た時はまだブッシュの時代で、アメリカが率先して核廃絶に動くなど、誰が考えただろうか。むしろ、徴兵制復活論議や核武装論が力を持っていた。そして、この本を書いた林氏はネット右翼からの誹謗中傷にさらされた。
しかし、どちらが正しく、どちらが間違いだらけの論をたてていたか、すでに結論は出たと言える。
戦争に反対する人ほど正しい軍事知識を----今こそ読まれるべき本だ。