大手派遣業者を向こうに回して次々と勝ち、悪名高きグッドウィルを廃業に追い込んだ主役の一人。第1章の派遣村の話は、既報で結構見聞きした話を呼びかけ人として振り返ったもので、それなりという感じだったが、面白いのは日雇い派遣の無法さに闘争を決意し、派遣業者に勝つまでを描いた2章。3年ほど前から、ワンコールワーカーが問題になり始めた頃、著者は実際に労働12時間拘束されて手取りは6000円足らずという段ボールの上げ下ろし作業を体験する。作業自体は8時間だが、拘束時間を時給に含まない制度に著者は怒りを覚える。また、業者の中にも労組がないことが幸いし(本当は幸いではないが)、著者の支援で労組を結成。派遣社員の登録情報に風貌の登録欄があることも報告した。
そして、グッドウィル。データ装備費を返す、返さないで二転三転する。記者会見で折口会長が返すと言ったのに、「正式決定してないから」と返さいと言ったり、…本当に折口雅博というのは、経営者として見下げた人物だったな、と感じた。派遣業者のひどさというのが、よく伝わってくる。一応、グッドウィル廃業、派遣村成功で少し区切りがついたのかなという感じだが、3章で今後の派遣労働の改善のポイントである均等待遇、有期雇用規制を訴えている。
それにしても、朝日は労働問題、ほかの追随を許さない強さがある。風貌情報登録も確か朝日が初出だったような。新書のテーマとして、これからも労働問題に関与してもらいたい。
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派遣の逆襲 (朝日新書 177) 新書 – 2009/5/13
関根 秀一郎
(著)
「雇用の調整弁」の名のもとに猛威をふるう「派遣切り」。どうすれば仕事と生活を守れるのか。数々の違法業者を暴き、「年越し派遣村」を主導した派遣ユニオン書記長による、強欲資本主義との闘いの記録と、日本の雇用再生への提言。
- 本の長さ222ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2009/5/13
- ISBN-104022732776
- ISBN-13978-4022732774
登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2009/5/13)
- 発売日 : 2009/5/13
- 言語 : 日本語
- 新書 : 222ページ
- ISBN-10 : 4022732776
- ISBN-13 : 978-4022732774
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,711,431位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年1月2日に日本でレビュー済み
09年の「年越し派遣村」を主導した派遣ユニオンの書記長による、明快かつ筋の通った告発リポート。「派遣村」がニュースになった折、外野からいろいろな雑音が流れ出し、それを少しばかり真に受けたような記憶が評者にはある。しかし、当事者によるこのリポートはそうした有象無象の雑音を排し、当時の状況と経過について過不足なく実情を伝えているように思えた。
「労働は商品ではない」。ILOのこの「宣言」は、さまざまな労働問題のルポや論考に頻りに登場する。それを、現実に即し、派遣労働者たちの肉声を通じて読み手に理解させていくという点で、著者の叙述はおおむね成功しているように思う。一つだけ注文を付けるなら、新自由主義経済を唱える学者のコメント(「ハイリスク・ハイリターンの正社員に対し、派遣労働者はローリスク・ロ―リターン」等々)を引用して批判しているところ(207頁)。ここは学者の名前を出しても何の問題もないと思うのに、著者はそれを伏せている。細かなところかも知れないが、少しだけ気になった。
「労働は商品ではない」。ILOのこの「宣言」は、さまざまな労働問題のルポや論考に頻りに登場する。それを、現実に即し、派遣労働者たちの肉声を通じて読み手に理解させていくという点で、著者の叙述はおおむね成功しているように思う。一つだけ注文を付けるなら、新自由主義経済を唱える学者のコメント(「ハイリスク・ハイリターンの正社員に対し、派遣労働者はローリスク・ロ―リターン」等々)を引用して批判しているところ(207頁)。ここは学者の名前を出しても何の問題もないと思うのに、著者はそれを伏せている。細かなところかも知れないが、少しだけ気になった。