ティセル・グンドラフは下級貴族の娘なのだけれど、戦争で父を亡くし、母妹を養うためにつてを頼って騎士見習いになった。ようやく叙任というところまで来たのだけれど、戦費負担の影響などもあって、正騎士を雇う余裕がないと言われちゃう。不況って恐ろしいね。これまで歯を食いしばって頑張ったのに。
さすがに悪いと思ったのか、交換条件として出されたのが、外洋に出て遺跡調査を行う博物戦艦に乗るならば、騎士に叙任してあげるよ、ということ。外洋は未踏破地域なので怖がって誰も行きたがらないらしい。
例えると、就業環境が厳しい関係会社に出向するなら正社員にしてあげるよ、みたいな条件だと思うけれど、剣を振り回す以外に特技もない16歳の少女には世間は厳しすぎる。ほとんど選択肢を奪われたような状態で引き受けることを決め、王様のもとに詳細を聞きに行くことになりました。
そこで登場する王様は、有能らしいのだけれどちょっと変態。いきなりティセルのスカートをめくって、絶対領域の素晴らしさを力説したりする。王妃様はそんな王様をニコニコ見て笑っているだけ。
そして、彼女は護衛として乗船することになるのだけれど、その護衛対象はジェムという悪ガキ。いきなりティセルに抱きついて胸に顔をうずめたりする。本当だったら成敗してやりたいところなんだけれど、金鈴道化という、王様以外の命令は聞かなくても良い立場なのでそんなこともできず、怒りを押し殺して我慢するしかないのだ。(出港してからはそうでもなくなるけどね。)
未知の海に、大型帆船で挑む大冒険。途中には困難があり、反乱があり、彼らの行く手を阻む敵が登場する。そして、ようやくたどり着いた目的地でもひと波乱ふた波乱ある。基本的にファンタジーなので、時代考証とかはそこそこにして、大いなるロマンを楽しみましょう。
あとがきで、「もっとガンガンいけ!大丈夫文章メディアならいけるはずだ!」とあるけれど、将来、東京都の条例が改正されたら大丈夫じゃなくなるかもね。
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博物戦艦アンヴェイル (朝日ノベルズ) 新書 – 2010/3/19
強大な島国ラングラフの国王は、この世界に残るさまざまな怪異を探るために、海軍の大型帆船を就航させた。一方で、少女騎士ティセルはある使命を受けた。若き探検隊員の護衛である。この少年は、特異な語学力と天真爛漫な性格から、この探検隊には不可欠の人物なのだ。一見頼りない青年船長、反乱の隙をうかがう、荒くれの水兵たちとともに、いよいよ出航の日が来た。
- 本の長さ328ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2010/3/19
- ISBN-104022739363
- ISBN-13978-4022739360
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2010/3/19)
- 発売日 : 2010/3/19
- 言語 : 日本語
- 新書 : 328ページ
- ISBN-10 : 4022739363
- ISBN-13 : 978-4022739360
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,785,261位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 118位朝日ノベルズ (本)
- - 100,867位新書
- カスタマーレビュー:
著者について
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1975年岐阜県生まれ。1996年、『まずは一報ポプラパレスより』で長篇デビュー(河出智紀名義)。
2003年発表の月面開発SF『第六大陸』が第35回星雲賞日本長編部門を受賞して以降、骨太な本格SFの書き手として活躍を続けている。また、2005年の短篇集『老ヴォールの惑星』で「ベストSF2005」国内篇第1位を獲得、収録作の「漂った男」で第37回星雲賞日本短編部門を受賞した。
他の作品に『復活の地』『天涯の砦』『時砂の王』『フリーランチの時代』(以上、ハヤカワ文庫JA)、『導きの星』など。
ホームページは、小川遊水池 http://homepage1.nifty.com/issui
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年3月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これはこれまでの朝日ソノラマ向けの作品と異なり,シリーズになるその第一作で,舞台は異世界の西洋中世 (但し大陸は見えず海ばかり) をアルゴナウタイよろしく金毛氈を求めて海を駆け巡る話.博物戦艦の概念がいま一つはっきりしないが,続く何冊かでコレクションにでも纏まるのだろうか.主人公はなりたての女騎士.国王の少年道化の護衛を務める.戦艦の艦長も少年.読み応えは十分で,奇想はよくもまあ出てくると感心する.作風の変化は,天冥の標に見られたのと同じく性的にリベラルになったことで,ここでの主人公の女性騎士はもしかすると天才道化と夜を共にする間柄になるかも知れない.物理的に一寸おかしいと感じるのは,星空に季節の変化がないことで,これは物理より幾何学的に非現実的である.そのため一点減点.作者いささか疲れが出たか,とも思う.ご自愛を祈る.
2012年9月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
騎士になれなきゃ身を売ろうかという女の子に王様とその道化がセクハラはないだろう。せめて女王様とかにぶっとばされでもしないと不愉快なだけ。プロットは、セシル・スコッ・トフォレスターの作品に似過ぎ。偶然だとしても編集さんあたりが勉強して教えてやるのがすじだろう。これはだめだめだね。
2022年4月1日に日本でレビュー済み
※以下の内容には【ネタバレ】が含まれる可能性があります
伝説のように語り継がれながらも,実際におとぎ話程度でしかない秘宝を探し求めて,
未開の大海原へと漕ぎ出していく,ジュヴナイル要素も盛り込まれた海洋冒険小説です.
海戦での幕開けに始まり,主人公の少女騎士が,身を立てるために海に出る序盤や,
因縁のある敵国との奪い合い,はたまた辿り着いた島々で待ち構えていた出来事など,
謎の第三勢力も加わっての展開は,ドキドキ,ワクワクで,わかりやすく,面白いです.
このほか,何とも不穏な空気を漂わせての結末は,海からさらなる広がりが覗き見え,
本巻だけでも楽しませてくれますが,秘宝の謎を含め,この先が大いに気になるところ.
なお, 旧版では第二巻 まで出ているのですが,復刊のこちらはこの巻で止まっており,
巻末では第三巻への意欲も見られただけに,願わくば復刊,続刊と続いて欲しいものです.
伝説のように語り継がれながらも,実際におとぎ話程度でしかない秘宝を探し求めて,
未開の大海原へと漕ぎ出していく,ジュヴナイル要素も盛り込まれた海洋冒険小説です.
海戦での幕開けに始まり,主人公の少女騎士が,身を立てるために海に出る序盤や,
因縁のある敵国との奪い合い,はたまた辿り着いた島々で待ち構えていた出来事など,
謎の第三勢力も加わっての展開は,ドキドキ,ワクワクで,わかりやすく,面白いです.
このほか,何とも不穏な空気を漂わせての結末は,海からさらなる広がりが覗き見え,
本巻だけでも楽しませてくれますが,秘宝の謎を含め,この先が大いに気になるところ.
なお, 旧版では第二巻 まで出ているのですが,復刊のこちらはこの巻で止まっており,
巻末では第三巻への意欲も見られただけに,願わくば復刊,続刊と続いて欲しいものです.
2020年7月20日に日本でレビュー済み
異世界を舞台にした、少女騎士ティセルの冒険ファンタジー。国は王国だらけ服装や武器などからみる
に、中世ヨーロッパ風の世界をイメージさせる。主人公は国王の命令でメギオスの驚異探索のため少年に
帯同する。役割は国王ともため口をきく少年の護衛だという。
登場人物のキャラクターがいい(ちょっとチャラいが)。あらゆる言語を使いこなす少年や、遠くの音
を聞き分ける少女。悪戯したりセクハラされたり・・・。
また帆船の操船や宝探しの秘境探検にワクワク感がたっぷり味わえる。これが面白くない訳がない。特
に帆船の構造や操船のみならず、海戦シーンのリアルな描写は迫力がある。帆をたたく風の音や船体のき
しむ音が聞こえてきそう。終盤の海戦はとにかく圧巻!
若干気になった点が一つ。登場人物の年齢層が十代と若いわりに、女の子の色気が過剰だったり古いジ
ェンダー観だったりで好みが分かれる部分かも知れない。
に、中世ヨーロッパ風の世界をイメージさせる。主人公は国王の命令でメギオスの驚異探索のため少年に
帯同する。役割は国王ともため口をきく少年の護衛だという。
登場人物のキャラクターがいい(ちょっとチャラいが)。あらゆる言語を使いこなす少年や、遠くの音
を聞き分ける少女。悪戯したりセクハラされたり・・・。
また帆船の操船や宝探しの秘境探検にワクワク感がたっぷり味わえる。これが面白くない訳がない。特
に帆船の構造や操船のみならず、海戦シーンのリアルな描写は迫力がある。帆をたたく風の音や船体のき
しむ音が聞こえてきそう。終盤の海戦はとにかく圧巻!
若干気になった点が一つ。登場人物の年齢層が十代と若いわりに、女の子の色気が過剰だったり古いジ
ェンダー観だったりで好みが分かれる部分かも知れない。