はっぴいさんは
こまったことや、ねがいごとを きいてくれるのです。
やまの うえの おおきな いしの うえに
はっぴいさんは ときどき くるのだそうです。
そして二人の子どもが別々に、大きな石を目ざして歩き始める…。
なんだか懐かしいなあ、と思って気がついた。
山のあなたの 空遠く “幸い”住むと 人の言う……という
カール・ブッセの名詩や
希望という名の、あなたを訪ねて遠い国へと また汽車に乗る…という歌謡曲、
あるいは「青い鳥」「母をたずねて三千里」の物語など
古今東西の文学や音楽に託されている、
生きものの本能…遠くにあるハピネス(光）を信じ、
足を踏み出していく意志を
荒井さんは彼なりに表現したかったのでは、と思う。
二人はがんばったけど、はっぴぃさんには会えなかった。
でも、知り合いになり、お互いの最大の欠点について
「のろのろは なんでもていねいだからだとおもうわ」
「あわてるのは なんでもいっしょうけんめいだからだとおもうよ」と
別の角度から光を当てあって、長年の劣等感から解放される。
本人たちは気づいてないけど、
自分自身がはっぴぃさんになって、相手を幸せにできたのだ。
表紙から最後のページまで、
心がはっぴいさんに満たされる気がする
きれいな黄色があふれて、
日光浴みたいに、元気を吹きこまれる。
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