新ヨゴ皇国のチャグム皇太子は、
祖父のトーサ大提督とともに海軍を率いて
タルシュ帝国に攻められているサンガル王国の援軍に向かう。
そこには何重もの罠が仕掛けられていて…。
タルシュ帝国の支配の仕方や
タルシュ帝国に滅ぼされた国の人々の生活が丁寧に描かれており、
本作でも地に足がどっしりついた物語が形成されている。
本書を読み終えて、
天と地の守り人に手が伸びない人はいない人は
いないだろう。
本書で張られた伏線がどう回収されるのか。
タルシュの密偵・ヒューゴとは何者なのか。
バルサはいつ、どのように登場するのか。
サグ（この世）とナユグ（あの世）はどう絡み合い
物語に影響するのか。
本書は天と地の守り人への
長めのプロローグだろう。
余談になるが、ヒューゴがチャグムを見ての評価が
私の心に残った。
「自分たちが生きている世の非情さを、
嘆いていても仕方がない。生き残る強さがあるなら、
多くの為政者がそうしてきたように、この少年も、
やがて、やわらかいものを脱ぎすてて、
したたかな男に変わっていくだろう」（p.285）
為政者に限らず、ナイーブで繊細な心持ちの子どもが
大人になるとはどういうことか、
的確に表現されているように感じた。
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