5年ほど前に一度読み、今回は二度目です。
マリア・グリーペの描く『
忘れ川をこえた子どもたち
』らが大好きで、
作者は人間を洞察する優れた力を備えていることを周知しております。
コアなファンがたくさんいて、復刊の運びとなった作品であります。
しかし、どうしても設定〈夜勤看護婦をしている母親が夜のパパを採用してしまう点。
小学生の女の子の親だったらありえない)、
と夜のパパの(大人に徹していて、女の子にとって都合のよい)人物像に
リアリティが感じられず、物語を味わう入り口で立ち止まってしまいました。
5年前も今も・・・。
私自身の物語と割り切る許容度に問題があるのかもしれません。
毎夜、母親が夜勤に出かけたあとから朝6時に帰宅するまでの時間
(夜のパパが彼女の母親と毎日顔あわせないことも不思議)を
二人は立場を越えて共有します。
それぞれの思いがこの物語を構成しています。
小学校(3.4年生くらいでしょうか)に居場所を得られず、
友達関係においても対等な関係を結べる友がいない女の子にとって、
夜のパパは、彼女の存在を丸ごと受け止めて認めてくれるばかりか、
彼女のわがままさえ喜んで引き受けてくれます。
夜のパパといる時間だけは自己が解放されていることが理解できます。
続編『
夜のパパとユリアのひみつ
』のほうが、
彼女に好意を抱いている夜のパパと、
反抗期を迎えて何だかとげとげしい女の子の、
すれ違う感情と重なり合う感情が描かれていて、
親しみを覚えました。
マリア・グリーペの作品は
ファンタジーと現実的な物語に大別されていますが、
それは、全く切り離されたものではなく、
どちらが主流になって書かれているかで二分されているとのこと。
本書は現実的な物語の顔とファンタジーの顔を備えた作品ととらえると、
合点がいくような気もしました。
さらに、彼女は娘のためにお話を作りはじめたそうですので
この作品は、彼女へのプレゼントだったと考えると
理解もいっそうすすみます。
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夜のパパ ペーパーバック – 1980/12/1
- 本の長さ214ページ
- 言語日本語
- 出版社偕成社
- 発売日1980/12/1
- ISBN-104037261200
- ISBN-13978-4037261207
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登録情報
- 出版社 : 偕成社 (1980/12/1)
- 発売日 : 1980/12/1
- 言語 : 日本語
- ペーパーバック : 214ページ
- ISBN-10 : 4037261200
- ISBN-13 : 978-4037261207
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,884,378位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2010年3月7日に日本でレビュー済み
さすがに「復刊ドットコム」の投票で復刊されただけあって、なかなか面白かったです。とくに不思議な出来事が起きるわけでもないのに、なにか神秘的な感じがするのは日記をつけているのが夜だということと、フクロウ(ペット)が登場すること、あと舞台が北欧だからなのでしょうか。現代の都会の話なのに不思議な静けさのあるお話です。挿絵もすばらしい。
2004年10月11日に日本でレビュー済み
しっかりもの、でも淋しがりやのユリアと子守り男が心を通わせてゆくさまを各々の日記形式で語られています。
マリア・グリーベの作品らしく場面場面の描写も丁寧だし、随所にはっとするような含蓄に満ちたせりふが見られ、読了後にはしみじみとした余韻が残ります。
児童書として扱う店が多いと思いますが、大人にもぜひ読んでもらいたい1冊です。
マリア・グリーベの作品らしく場面場面の描写も丁寧だし、随所にはっとするような含蓄に満ちたせりふが見られ、読了後にはしみじみとした余韻が残ります。
児童書として扱う店が多いと思いますが、大人にもぜひ読んでもらいたい1冊です。