私は二十代よりずっと文系職の世界にいます。
年を重ねる中で感じる、『優秀な人間』の定義の変化。
若いころは、今よりもっと、資格とか、知識の量なんかが評価されていました。
年々、一人当たりの仕事量が増え、高速の事務処理と、知識のすばやい検索が重視されるようになると、そういった分野にコンピュータが進出してきました。
そして、結果的に、業務は効率化されましたが、それは、肝の無い、表面的な事務処理の連続にすぎないような印象になっております。
しかし、今、優秀な人間といえば、こういったことができる必要があるのです。
頭は良くても、処理速度や量がよくない人間は、徐々に評価を落としております。
本書を通じて知りたかったのは、どのような分野に、どの程度、こういったシステムが入り込んでいるのかということです。
文系の分野は、枝葉の問題と、落としどころの問題があるため、機械にはできないだろうとタカをくくっていた部分もありましたが、本書を読む限りでは、私の考えは甘いようです。
まさか、弁護士の世界にまでこういったものが入り込んでいるとは思っていませんでした。
本物の職業人にならねば、40代50代と、もっとも脂がのっている時期に、社会から、不必要な人間とされる恐れがあると感じました。
昔から、こういった、コンピュータ技術に関する議論をはじめると、必ず、
『機械は人の心には敵わない』
とか、
『機械をどう使うかが大事だ』
というような、現実から目を背けた発言がなされます。
しかし、本書は、現実に起こっていることとして、人間以上の成果を上げているアルゴリズムを紹介しています。
この『事実』から、逃避した人間は、10年もすれば、間違いなく自身が、逃避した現実に追い込まれることになるでしょう。
10年前。一冊の本のために、あちこちの本屋や古本屋を自転車で走り回った少年は、今、kindleと、Amazon検索を使って、クリックひとつで本を買っているわけですから。
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アルゴリズムが世界を支配する (角川EPUB選書) 単行本 – 2013/10/8
クリストファー・スタイナー
(著),
永峯 涼
(翻訳)
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購入オプションとあわせ買い
古代から存在はしたが、2000年代、ウォール街で金融商品の開発に活用されたことで一気に進歩したアルゴリズム。映画や音楽のヒット予測に限らない、今や私たちの生活のあらゆる場面に進出しているのだ――。
- 本の長さ374ページ
- 言語日本語
- 出版社角川書店
- 発売日2013/10/8
- ISBN-104040800044
- ISBN-13978-4040800042
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登録情報
- 出版社 : 角川書店 (2013/10/8)
- 発売日 : 2013/10/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 374ページ
- ISBN-10 : 4040800044
- ISBN-13 : 978-4040800042
- Amazon 売れ筋ランキング: - 242,695位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 26,610位ビジネス・経済 (本)
- - 69,916位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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2019年8月18日に日本でレビュー済み
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シリコンバレーを中心としたアルゴリズムを通したIT(AI)の潮流が読める
2021年6月28日に日本でレビュー済み
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素晴らしい点を挙げると、まず、アルゴリズムの歴史、ライプニッツの記述から、金融にアルゴリズムが採用されIT産業に至るまでとてつも無い調査、インタビューを行った事などが挙げられるます。
益々、アルゴリズムへの知見を深めたと思う一冊です。アルゴリズムを毎日学習して、いずれ応用したいと考えています。
益々、アルゴリズムへの知見を深めたと思う一冊です。アルゴリズムを毎日学習して、いずれ応用したいと考えています。
2018年5月7日に日本でレビュー済み
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本文の中で、かなりの個所において文章が途中で切れてその後半が読めなくなっている。2016年10月に他の方がこのことを指摘した「なぜ虫食いに?」というタイトルでレビューされている。が、しかし今だに修正されていない。あきらかに紙の本なら回収して無料取り替えされるべき欠陥なのに、放置されているのはどういうわけであろうか!
2016年10月3日に日本でレビュー済み
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アルゴリズムってのは物事を判断するルールで人工知能、っていうとアルゴリズムを生成できる仕組みっていうのが実際の使われかたかな、って思います。
で、いま人工知能がどうのこうのっていう話がよく出てきますけどそれってアルゴリズムを精緻に組むっていうことで実現できることがほとんどです。そういう意味では人工知能について勉強しようと思ったらまずアルゴリズムを理解しなくちゃいけないのかな、って思います。で、アルゴリズムってのは条件分岐だよ、と。
そういうと大したことないようにおもえるんだけどその条件分岐でどれだけのことができるかの実例がいっぱい出てきます。そういう意味でこの本を読むと機械学習とかAIを考える上での設計の指針を整理する助けになるような気がします。すっきりしてます。
で、いま人工知能がどうのこうのっていう話がよく出てきますけどそれってアルゴリズムを精緻に組むっていうことで実現できることがほとんどです。そういう意味では人工知能について勉強しようと思ったらまずアルゴリズムを理解しなくちゃいけないのかな、って思います。で、アルゴリズムってのは条件分岐だよ、と。
そういうと大したことないようにおもえるんだけどその条件分岐でどれだけのことができるかの実例がいっぱい出てきます。そういう意味でこの本を読むと機械学習とかAIを考える上での設計の指針を整理する助けになるような気がします。すっきりしてます。
2015年1月3日に日本でレビュー済み
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「この電話はサービス品質向上のため録音させて頂きます」
このメッセージが流れた瞬間から、音声認識ボットがあなたの
口調や声色を分析し、あなたの性格パターンを特定してデータ
ベースに登録し、相性のいいオペレーターやセールストークを
選び出す。NASA の宇宙飛行士の性格マッチングから生まれた
このボットは、ある大手電話会社でのセールス成約率を86倍に
高めた。IBMの医療診断ボットは医師の診断に数日かかるような
特異な症例でも数秒で正しい診断を下すことができる。
ある作曲ボットはバッハを模した曲を一般聴衆には真贋が
分からないレベルで矢継ぎ早に何千曲も書き上げる。他にも
ニュース記事作成、映画や楽曲のヒット予測、パトロール隊の
配置、政治情勢予測(イランは核兵器を開発するか?)など、
すでに様々な分野で人工知能がその道の専門家を上回る成果を
出すようになっている。人工知能の恩恵は大きいが、代償もまた
大きいように思われる。本書が示唆する未来の姿は衝撃的だ。
医師や弁護士といった専門職を含むホワイトカラーの仕事の多くは
近いうちにボットに取って代わられるだろう。アルゴリズム設計に
携わるごく少数の専門家以外は用なしとなる。さらには芸術や
科学といった創造的な分野ですら人工知能に浸食される。
かつてチャップリンは「モダン・タイムス」で、肉体労働が
機械により代替され人間の主体性が奪われる様子をイロニーを
込めて描いたが、21世紀の産業革命ではそれと同じことが
全ての分野で徹底的に起こり、人間を追い詰めるだろう。
「機械にはできないこと」を探して漂流する人々は、おそらく
人間関係(家族や友人)の充実や、趣味、ボランティア活動など
にその答を求めるだろうが、むろんプライベートな領域にも
人工知能は入り込む。まさにオーウェルが「1984年」で
描いた管理社会である。そして遂に機械自身が自律進化を始め、
人類の手に負えなくなる特異点に到達する。本書ではここまでは
描いていないが、スティーヴン・ホーキングやイーロン・マスク
といった先鋭的思考の持ち主は人工知能を人類にとって
最大の脅威とみなしている。望むと望まざるとにかかわらず、
人類は後戻りできない一本道に入ったように思われる。
このメッセージが流れた瞬間から、音声認識ボットがあなたの
口調や声色を分析し、あなたの性格パターンを特定してデータ
ベースに登録し、相性のいいオペレーターやセールストークを
選び出す。NASA の宇宙飛行士の性格マッチングから生まれた
このボットは、ある大手電話会社でのセールス成約率を86倍に
高めた。IBMの医療診断ボットは医師の診断に数日かかるような
特異な症例でも数秒で正しい診断を下すことができる。
ある作曲ボットはバッハを模した曲を一般聴衆には真贋が
分からないレベルで矢継ぎ早に何千曲も書き上げる。他にも
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配置、政治情勢予測(イランは核兵器を開発するか?)など、
すでに様々な分野で人工知能がその道の専門家を上回る成果を
出すようになっている。人工知能の恩恵は大きいが、代償もまた
大きいように思われる。本書が示唆する未来の姿は衝撃的だ。
医師や弁護士といった専門職を含むホワイトカラーの仕事の多くは
近いうちにボットに取って代わられるだろう。アルゴリズム設計に
携わるごく少数の専門家以外は用なしとなる。さらには芸術や
科学といった創造的な分野ですら人工知能に浸食される。
かつてチャップリンは「モダン・タイムス」で、肉体労働が
機械により代替され人間の主体性が奪われる様子をイロニーを
込めて描いたが、21世紀の産業革命ではそれと同じことが
全ての分野で徹底的に起こり、人間を追い詰めるだろう。
「機械にはできないこと」を探して漂流する人々は、おそらく
人間関係(家族や友人)の充実や、趣味、ボランティア活動など
にその答を求めるだろうが、むろんプライベートな領域にも
人工知能は入り込む。まさにオーウェルが「1984年」で
描いた管理社会である。そして遂に機械自身が自律進化を始め、
人類の手に負えなくなる特異点に到達する。本書ではここまでは
描いていないが、スティーヴン・ホーキングやイーロン・マスク
といった先鋭的思考の持ち主は人工知能を人類にとって
最大の脅威とみなしている。望むと望まざるとにかかわらず、
人類は後戻りできない一本道に入ったように思われる。
2015年11月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
値段が安いので軽いまとめ本かなと思いきや、強烈に密度の濃い本です。いろいろ人工知能の本を読んでいる自分でさえ、まさかここまで技術が進んでいるかとは驚くと同時に恐ろしくなる内容です。
アメリカのトレーダー達が机にディスプレイを何台も並べてコンピューターに売り買いをさせているのは知っていました。2010年に起きた「フラッシュ・クラッシュ」では5分足らずの間に、NYダウが500ドル下がったと思ったら元にもどったという話も有名ですが、この本は、トレーダー達のわめき声でひしめきあう証券取引所に初めてコンピューターを持ち込んだピーターフィーの物語を紹介していて大変おもしろいです。明らかにオタクの異色なオーラーがただようピーターフィーは、取引を表示する端末をハッキングしてコンピューターにつなぎ、売り買いを分析、ブロンド美女を雇って、取引所の場に立たせて売り買いをさせていたのが発端なのですが、なぜブロンド美女かというと、人目を引く彼女達の指示はまっさきに聞き届けられるからだそうです。このピーターフィーという男、ただのオタクではないですね。
それが現在では、どこの会社もアリゴリズムが売買を取り仕切る、コンピュータ vs コンピュータの世界に様変わりしました。ブルームバーグはボット用のデジタルデータを配信し、金融会社はMBAの代わりにアルゴリズムが組める優秀なプログラマーを社員の75%なほど雇い、彼らにアルゴリズムの出来で勝負をさせます。それとは別に、データ通信速度の争いもあり、千分の一秒の速さを勝ち取った光ファイバーが大金をもたらすというからすごいです。ただ、おもしろいのは、株取引の世界では昔も伝書鳩を使ってよりはやく情報通信できた人間が買っていたというから、伝書鳩が光ファイバーに変わったというわけです。
本来、株取引というのは、企業のことを理解して企業の将来に対して投資するものだったはず。それがもはや完全にコンピューターによるもぐら叩きゲームのようになってしまって、本当にグローバルの資本主義は成り立つのか不安になります。リーマンショックで手痛い傷を受けたはずですが、もはやアルゴリズムの波を元にもどすことはありえないし、それを使う人間達は錬金術にしか興味がないわけで、ホント、大部分のまじめに働いている人たちは安月給で残業させられ、しかもアルゴリズムに仕事を奪われ、いったいどうなるでしょうか?
アルゴリズムの発展は、金融取引の世界だけで収まりません。特にリーマンショックのあとは、株でアルゴリズムを操っていたクオンツといわれる魔術師たちが、外の世界に流れてきているからです。
AIでもそうですが、最新コンピューターの強みは「物量作戦」。数セントの売り買いを何百万とこなすことで大量の利益を稼ぐわけです。コールセンターでは、電話をかけてきた何百万人の声としゃべり方、また使う言葉をも解析して、もっとも効果的にコミュニケーションするアプローチを提案しているらしいので、自分の声も登録されていて、いったいどういうタイプの人間と機械の中では定義されているのでしょうか?人対人のコミュニケーションだと思っていたら、相手は、コンピューターの指示通りに話をすすめているなんて、まるでコンピューターの奴隷ではないですか!
チェスはずいぶん前に人間はコンピュータの前に敗れましたが、ポーカーはチェスのようにロジカルではなく、相手の手札を探りあいながらプレーするので、人間のブラフや非合理的な行動にコンピューターは当惑されるそうです。しかし、そんな人間の動きすら予測するアルゴリズムが開発され、ついにポーカーでも人間は勝てなくなってきており、さらに恐ろしいのは、効果的な防犯パトロールやテロ対策など軍事目的に応用していることです。でも実際、メタルギアなどのFPSのゲームをやっていると、AIに操られる兵士はどんどん賢くなっているので、技術的には同じなのでしょう。さらには、そういったアルゴリズムを搭載するドローンが敵とは言え、同じ人間を追いかけ、追い詰め、殺害する時代がくるのでしょう。まさにターミネーターの世界です。
映画の世界では、Epagogixというベンチャー企業の作ったアルゴリズムが、映画の脚本やキャストで映画がヒットするかどうかを診断しているそうです。最近約10年の映画を見ていて感じたのは、そこそこ面白い映画が増えたけど、とんでもない駄作がなくなったなぁということです。自分は、マーケティング技術が進んで観客のフィードバックを頻繁にとりながら作っているのだろうと思っていましたが、どうやらそういうのは90年代のやり方で、今はアルゴリズムによって映画が作られているんですね。
音楽の世界では、Polyphonicというベンチャー企業のアルゴリズムが、曲を成分で分解し、過去のヒット曲と照らし合わせて、ヒットする確率を診断でき、すべての音楽レーベルがアルゴリズムでミュージシャンを売り出す時代がくるのは時間の問題としています。デビット・コープはさらにそれを進め、アルゴリズムに作曲をさせています。YouTubeで「Emily Howell」で探せば出来てきますが、機械が作った曲とはとても思えません。
野球の世界でもいまやアルゴリズムがどのピッチャーをいつマウンドに送り込むかを決めているらしいので、監督は何をすればいいのでしょうか?
こういう娯楽の世界でもアルゴリズムが支配力を高めていることは本当に驚きでした。マトリックスの世界では、すべての人間はカプセルで眠らされていて、コンピューターが作った夢を見て架空の人生を楽しんでいる姿が描かれていましたが、アルゴリズムが指示した料理を食べ、アルゴリズムが作った、映画を見て、曲を聞き、恋人はアルゴリズムが探し出した相手となると、現実世界に生きてはいるものの、ほぼマトリックスの世界がきているような気がして実に恐ろしいです。
しかしながら、人工知能とアルゴリズムは、これからの経済を牽引する最も革新的な技術であるわけで、技術の進歩というのは止めることはできなく、しかも技術の進歩が文明を決めていくわけです。ホーキング博士やビル・ゲイツも警告しているように、人工知能は人類の最後の発明にならなければいいのですが...
アメリカのトレーダー達が机にディスプレイを何台も並べてコンピューターに売り買いをさせているのは知っていました。2010年に起きた「フラッシュ・クラッシュ」では5分足らずの間に、NYダウが500ドル下がったと思ったら元にもどったという話も有名ですが、この本は、トレーダー達のわめき声でひしめきあう証券取引所に初めてコンピューターを持ち込んだピーターフィーの物語を紹介していて大変おもしろいです。明らかにオタクの異色なオーラーがただようピーターフィーは、取引を表示する端末をハッキングしてコンピューターにつなぎ、売り買いを分析、ブロンド美女を雇って、取引所の場に立たせて売り買いをさせていたのが発端なのですが、なぜブロンド美女かというと、人目を引く彼女達の指示はまっさきに聞き届けられるからだそうです。このピーターフィーという男、ただのオタクではないですね。
それが現在では、どこの会社もアリゴリズムが売買を取り仕切る、コンピュータ vs コンピュータの世界に様変わりしました。ブルームバーグはボット用のデジタルデータを配信し、金融会社はMBAの代わりにアルゴリズムが組める優秀なプログラマーを社員の75%なほど雇い、彼らにアルゴリズムの出来で勝負をさせます。それとは別に、データ通信速度の争いもあり、千分の一秒の速さを勝ち取った光ファイバーが大金をもたらすというからすごいです。ただ、おもしろいのは、株取引の世界では昔も伝書鳩を使ってよりはやく情報通信できた人間が買っていたというから、伝書鳩が光ファイバーに変わったというわけです。
本来、株取引というのは、企業のことを理解して企業の将来に対して投資するものだったはず。それがもはや完全にコンピューターによるもぐら叩きゲームのようになってしまって、本当にグローバルの資本主義は成り立つのか不安になります。リーマンショックで手痛い傷を受けたはずですが、もはやアルゴリズムの波を元にもどすことはありえないし、それを使う人間達は錬金術にしか興味がないわけで、ホント、大部分のまじめに働いている人たちは安月給で残業させられ、しかもアルゴリズムに仕事を奪われ、いったいどうなるでしょうか?
アルゴリズムの発展は、金融取引の世界だけで収まりません。特にリーマンショックのあとは、株でアルゴリズムを操っていたクオンツといわれる魔術師たちが、外の世界に流れてきているからです。
AIでもそうですが、最新コンピューターの強みは「物量作戦」。数セントの売り買いを何百万とこなすことで大量の利益を稼ぐわけです。コールセンターでは、電話をかけてきた何百万人の声としゃべり方、また使う言葉をも解析して、もっとも効果的にコミュニケーションするアプローチを提案しているらしいので、自分の声も登録されていて、いったいどういうタイプの人間と機械の中では定義されているのでしょうか?人対人のコミュニケーションだと思っていたら、相手は、コンピューターの指示通りに話をすすめているなんて、まるでコンピューターの奴隷ではないですか!
チェスはずいぶん前に人間はコンピュータの前に敗れましたが、ポーカーはチェスのようにロジカルではなく、相手の手札を探りあいながらプレーするので、人間のブラフや非合理的な行動にコンピューターは当惑されるそうです。しかし、そんな人間の動きすら予測するアルゴリズムが開発され、ついにポーカーでも人間は勝てなくなってきており、さらに恐ろしいのは、効果的な防犯パトロールやテロ対策など軍事目的に応用していることです。でも実際、メタルギアなどのFPSのゲームをやっていると、AIに操られる兵士はどんどん賢くなっているので、技術的には同じなのでしょう。さらには、そういったアルゴリズムを搭載するドローンが敵とは言え、同じ人間を追いかけ、追い詰め、殺害する時代がくるのでしょう。まさにターミネーターの世界です。
映画の世界では、Epagogixというベンチャー企業の作ったアルゴリズムが、映画の脚本やキャストで映画がヒットするかどうかを診断しているそうです。最近約10年の映画を見ていて感じたのは、そこそこ面白い映画が増えたけど、とんでもない駄作がなくなったなぁということです。自分は、マーケティング技術が進んで観客のフィードバックを頻繁にとりながら作っているのだろうと思っていましたが、どうやらそういうのは90年代のやり方で、今はアルゴリズムによって映画が作られているんですね。
音楽の世界では、Polyphonicというベンチャー企業のアルゴリズムが、曲を成分で分解し、過去のヒット曲と照らし合わせて、ヒットする確率を診断でき、すべての音楽レーベルがアルゴリズムでミュージシャンを売り出す時代がくるのは時間の問題としています。デビット・コープはさらにそれを進め、アルゴリズムに作曲をさせています。YouTubeで「Emily Howell」で探せば出来てきますが、機械が作った曲とはとても思えません。
野球の世界でもいまやアルゴリズムがどのピッチャーをいつマウンドに送り込むかを決めているらしいので、監督は何をすればいいのでしょうか?
こういう娯楽の世界でもアルゴリズムが支配力を高めていることは本当に驚きでした。マトリックスの世界では、すべての人間はカプセルで眠らされていて、コンピューターが作った夢を見て架空の人生を楽しんでいる姿が描かれていましたが、アルゴリズムが指示した料理を食べ、アルゴリズムが作った、映画を見て、曲を聞き、恋人はアルゴリズムが探し出した相手となると、現実世界に生きてはいるものの、ほぼマトリックスの世界がきているような気がして実に恐ろしいです。
しかしながら、人工知能とアルゴリズムは、これからの経済を牽引する最も革新的な技術であるわけで、技術の進歩というのは止めることはできなく、しかも技術の進歩が文明を決めていくわけです。ホーキング博士やビル・ゲイツも警告しているように、人工知能は人類の最後の発明にならなければいいのですが...
2017年1月31日に日本でレビュー済み
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この本こそ、電子書籍で読むに相応しい。暇を見つけては読み進め、どの角度で読んでも話のオチがある。素晴らしい。