'FIRST〜THIRDまで一挙購入して、読了しました。
FIRST、SECOND''は、ゼロゼロナンバーサイボーグ各人の章で、戦闘に明け暮れた日々の後、それぞれの日常と、波乱に満ちた今後への事件、怪異に巻き込まれる、といった内容です。
'FIRSTは、多大なるプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、やっとの思いで脱稿した、というのが溢れんばかりに伝わってきましたが、SECONDは面白い。無論、アイディアは石ノ森先生オリジナルなのでしょうが、小野寺氏自ら書き上げた、といった趣です。
005ことジェロニモの章「ガイアの都」
サイボーグ改造時すでに『どこへでも行く。ふるさとはもうない』といったような独白とともに居住地をあとにした彼は、仲間たちとの共闘の後、南米で密猟取締官の職に就きます。
萬画では、寡黙で、あまり見せ場という見せ場に乏しかった彼ですが、この小説では、深慮で誇り高く、スピリチュアルな能力に長けている、彼の魅力が活き活きと描き出されています。仏頂面で、雲をつくような大男が、草花や小鳥たちと対話している、なんて想像すると、キュンときます。
006こと張々湖の章「天空の食」
普段は上海で飯店を営んでいる張大人。時空を超えた不思議な青年との出会いに触発され、シャングリ・ラ(桃源郷、ではないのですね)を目指して荷運び兼非常食用の黒豚ちゃんと珍道中。のらりくらりとした名古屋弁と、ふてぶてしい”相棒”とのやり取りに、思わずニヤリ。さすが、張大人。コメディ担当の面目躍如。
007ことブリテンの章「幽霊劇場」
萬画では張大人とのコンビでコメディ担当だった彼ですが、母国では役者に戻ります。演者としてのピークはとうに過ぎているのですが、舞台への情熱、後輩に兄貴風を吹かせる彼のダンディズム、詫び暮らしのシリアスさがよく表れていました。著者の小野寺氏は、本業は俳優さんですので、筆が走っておられるなあ、と感じ入りました。
008ことピュンマの章「深海ピラミッド」
難解で、読了にやや苦慮しました。同朋の宇宙飛行士の依頼により、火星探査の共同プロジェクトで、深海探査に赴いたピュンマ。ミッション中に、彼の最愛の恋人がアクシデントに見舞われます。それと前後して、火星探査のクルー達にも異変が起きて―
009ことジョーの章「女神の陰謀(はかりごと)」
考古学者の研究チームで調査のアシスタントをしているジョー。プロジェクトの中心人物である女性と恋仲になります。'FIRSTのフランソワーズの章でも触れられますが、お互いがお互いを振り切ろうともがいている様が、痛々しいです。ともすれば、微笑ましいとすら思えるほどに。若さゆえか、自らの宿命からか、純粋で、熱い思い。そして、新しいお相手も、どこかしらそれぞれを想起させる描写になっています。
あらすじを掻い摘んで書き連ねましたが、いずれも、物語中盤から最後にかけては、奇怪な、あるいは陰惨な事象にさらされ、平穏な生活は望めないのだ、という命題をつきつけられます。
誰がために…
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サイボーグ009 完結編 2012 009 conclusion GOD'S WAR II second (角川文庫) 文庫 – 2012/9/25
ファン待望のシリーズ第2巻は、サイボーグ戦士達の誕生秘話続編。005から009まで、サイボーグになるまでの秘密が明かされる。彼らはいかにして神々と闘うようになったのか?
- 本の長さ441ページ
- 言語日本語
- 出版社角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日2012/9/25
- 寸法10.7 x 1.7 x 14.9 cm
- ISBN-104041004683
- ISBN-13978-4041004685
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商品の説明
著者について
石ノ森章太郎-萬画家。『サイボーグ009』『仮面ライダー』など数々の傑作を発表。1998年没。小野寺丈-俳優、演出家。石ノ森章太郎の長男。
登録情報
- 出版社 : 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012/9/25)
- 発売日 : 2012/9/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 441ページ
- ISBN-10 : 4041004683
- ISBN-13 : 978-4041004685
- 寸法 : 10.7 x 1.7 x 14.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 484,665位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 8,855位角川文庫
- - 20,687位評論・文学研究 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年4月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文章体がいろいろ個々にやや違う工夫を凝らしているようで、
読みにくい~のぉという意見もありましたが、
私としてはその読みにくさが、味わいと感じれて
よしと思いました。
それで、星は
読みにくい~のぉという意見もありましたが、
私としてはその読みにくさが、味わいと感じれて
よしと思いました。
それで、星は
2012年11月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
第一巻と同じで、筆者も述べているように、文章に統一性がないところや、表現が不自然なところが多数あって読んでいて気になりました。サイボーグ009のファンなので我慢して読みました。
2012年11月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『005編』。私は全編を通して、この章を一番重く受け止めました。北米ネイティブ・アメリカン、南米インディオ、そして地球上の希少動植物たち。この三者が、「滅び」の象徴として論じられます。その厳然たる事実が、グサリと突きつけられる、前半部分。明らかに石ノ森先生の文章であると思われる、この前半部分が、非常に文学性に優れ、完成度も高いのです。ジェロニモの深い悲しみに、精霊たちが語りかけます。ところがその後、信じられない殺戮場面があり、ショッキングな展開となります。石ノ森先生の、心の闇を垣間見る思いがします。欧米の白人の文明に対して、これほどに強い憎しみを持っておられた、ということなのでしょうか。後半は小野寺さんが書いていることが分かります。でも私は、この章だけは、最後まで石ノ森先生の文章で読みたかった。それほどの感動を与えられます。
『006編』。こればかりは張大人の楽しいチベット漫遊記になってくれるのかと思いきや、やはり様々な悲しい社会問題が提示され、胸に来ます。悲しい話です。これも途中までは石ノ森先生の文章で(すごいスピード感と名調子、そしてブラックユーモア!)、結末は小野寺さんがまとめています。
『007編』。これはタイトル以外は小野寺さんの完全オリジナルで、傑作ホラーなのです! ロンドンの演劇街の描写が楽しく、またブリテンの人間味が素晴らしく、大好きな章です。
『008編』。現実のデータを巧みに取り入れた、読みごたえのあるSF小説。「ピラミッドの謎」を追って行きます。ピュンマの内面がとても繊細に描かれていて、大変嬉しかったです。
『009編』。いきなりジョーがある女性とドロドロの男女関係になっています。しかもそれが、この章の主題なのです。日本が狂って行きます。密閉された空間の中に嫌な湿気がこもっているようなこの国の、独特の暗さが全体を覆っています。
それにしても、石ノ森先生がこれ程に深く、人間の文明を懐疑的に洞察し、暗黒の未来を憂いていたのかと思うと、暗澹たる気持ちになります。ずっしりと重いこの第2巻は、私にとってとても大切な本となりました。
『006編』。こればかりは張大人の楽しいチベット漫遊記になってくれるのかと思いきや、やはり様々な悲しい社会問題が提示され、胸に来ます。悲しい話です。これも途中までは石ノ森先生の文章で(すごいスピード感と名調子、そしてブラックユーモア!)、結末は小野寺さんがまとめています。
『007編』。これはタイトル以外は小野寺さんの完全オリジナルで、傑作ホラーなのです! ロンドンの演劇街の描写が楽しく、またブリテンの人間味が素晴らしく、大好きな章です。
『008編』。現実のデータを巧みに取り入れた、読みごたえのあるSF小説。「ピラミッドの謎」を追って行きます。ピュンマの内面がとても繊細に描かれていて、大変嬉しかったです。
『009編』。いきなりジョーがある女性とドロドロの男女関係になっています。しかもそれが、この章の主題なのです。日本が狂って行きます。密閉された空間の中に嫌な湿気がこもっているようなこの国の、独特の暗さが全体を覆っています。
それにしても、石ノ森先生がこれ程に深く、人間の文明を懐疑的に洞察し、暗黒の未来を憂いていたのかと思うと、暗澹たる気持ちになります。ずっしりと重いこの第2巻は、私にとってとても大切な本となりました。
2014年3月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中身も観ずに電子書籍で買った自分が悪いのだが・・・
数十年来の未完結大作をこれで終わらせていいのか?という読後感(I~IIIまで通読しての感想)
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2013年4月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いよいよ009完結に向け、漫画と小説が動き出しました
映画が締めくくりになるのかな?楽しみです
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2014年1月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
三巻から入ってしまったので、この二巻の位置づけはむつかしいですね。
原作者に生きていて欲しかった。
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2013年1月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とにかく読みにくい文章。
009の最後がどうなるか知りたいということで読んでいますが、中々物語に入りにくかったです。
IIIまで読んで、あそうだったのかとなるのかもしれませんが、単独ではちょっと、という印象です。
009の最後がどうなるか知りたいということで読んでいますが、中々物語に入りにくかったです。
IIIまで読んで、あそうだったのかとなるのかもしれませんが、単独ではちょっと、という印象です。