データを元に冷静に考察する「経済屋」である著者の『中国停滞の核心』(文春新書 2015)は経済オンチには多少敷居が高かったが、中国の行動や発想を「経路依存性」(端的にいえば歴史から来る惰性に規定される発想パターンといった感じ)という言葉で読み解いたのは面白かった。
そこで、もっと読みやすそうな本書も購入。
経済書というよりは政治方面に多く言及されており、読みやすい。
もちろん著者は中国政府の発表する統計が粉飾されたものであることは百も承知。私も、中国のGDPは3~5%底上げされていると見ている。
では、著者が見た中国の置かれた状況と課題、そして習近平はなにゆえ権力を自分に集中させ、何をしようとしているのか?
民主の建前のための全人代に詳しかったが、それよりずっと重要と思われる党大会に言及されてなかったのが、残念といえば残念。
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巨龍の苦闘 中国、GDP世界一位の幻想 (角川新書) 新書 – 2015/5/10
津上 俊哉
(著)
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購入オプションとあわせ買い
「中国の高成長は続き、GDPで世界1になる」。この"幻想”によって、経済も安全保障も環境が攪乱されてきた!!今、中国は崖っぷちに立っている。その危機感で習近平は改革を始めているのだ。最も現実的な中国論
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA/角川書店
- 発売日2015/5/10
- 寸法11 x 1.3 x 17.3 cm
- ISBN-104041027489
- ISBN-13978-4041027486
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA/角川書店 (2015/5/10)
- 発売日 : 2015/5/10
- 言語 : 日本語
- 新書 : 256ページ
- ISBN-10 : 4041027489
- ISBN-13 : 978-4041027486
- 寸法 : 11 x 1.3 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 537,945位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 915位その他の地域の世界経済関連書籍
- - 1,197位角川新書
- - 2,170位経済学 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年7月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年6月4日に日本でレビュー済み
タイでミヤンマーのロヒンギャの人身売買事件を詳細に報道してます。タイだからこの情報が開示されミヤネ屋で解説報道された。何故ミヤネ屋はこの事件より規模が大きく悪質な中国共産党一党独裁軍国主義ファシズム専制統治国家の中共の人権弾圧「人種差別や宗教差別」の現実にミヤネ屋は「眼と耳と口を閉ざし」報道しないのか?漢民族中共の人種差別は1940年代から現在迄東トリキスタン(現在新疆ウイグル民族)やチベット族、内モンゴル族を弾圧し植民地にしている。また宗教差別として法輪功信者への弾圧です。中共東北3省の一つ 遼寧省では地下刑務所が存在。
法輪功信者を不法逮捕し生体解剖し臓器売買ビジネスの秘密拠点に成っている。世界アムネスティーが摘発報道したが中国共産党人民解放軍の恫喝に屈し継続報道が出来ていない。更には浙江省の温州市ではキリスト教教会が焼き討ちに会いキリスト教信者が撲殺される事件が多発している。ミヤネ屋は宮根氏はこの中共の非人権・人道的行動に対しジャーナリストとして「眼と耳と口を閉ざし」自己保身を図る積りですか?中共からの脅しが恐いのですか?1980年代にトウ小平が提唱した史上最悪の御都合主義3思想①先富論②黒猫白猫論③社会主義市場経済論です。中国共産党が一党独裁で社会主義国家を継続して統治する為に必要な思想原理を立案したのです。しかし中共は世界の社会主義国家の基本原理(a)階
級制度無し(b)格差無し(c)差別無し
3原理を基本にすれば中国共産党一党独裁統治が出来ないと考えた。そこでトウ小平は①②③を考案したのです。即ち①先に富を獲得しても良い!しかし先に富を獲得した人は富の2/3を富の無い人に分けなさい。一時的富格差は条件付き認める②黒猫でも白猫でも鼠を捕る猫は良い猫とした。つまり鼠(=金儲けや中国共産党に利する行為)の為なら猫(=手段)は選ばずと言う理屈。富の獲得方法に制限は付けない。中国共産党の為になる行為は新疆ウイグル人等他民族他国侵略行為も許す。有名映画や歌DVDやロレックス等有名ブランド腕時計、ルイビトン等有名バックのcopy商品知的財産侵害等中国共産党の資金源に成るならなら何しても良いと言う理屈***全て中国共産党幹部が裏経営***時折公安が摘発し国際的批判を避ける③市場経済ならぬ「私情経済」です。つまり中国共産党高級幹部の匙加減で国際法違反のRMB(人民元)為替操作は当たり前。株式市場ではインサイダー取引や不動産市場の地上げによる土地取引は高速鉄道建設に係わるインフラ建設計画に依る億単位の蓄財が常識。習近平(日本では別名:集金平)が2015年を「新常態:シンチャンタイ」とした。つまり習一派が平素から集金出来る社会にし資金源を法制化。習体制が(1)階級社会制度<Top:中国共産党特権階級。second:都市戸籍階級。finish:農民戸籍階級:中国共産党特権階級から搾取される下層階級>と言う偽社会主義国家を「特色」ある社会主義国家」と呼称。御都合主義で設定し中国共産党一党独裁で永遠に統治する***(集金平)になる!と言う宣言です。ミヤネ屋の宮根さん、貴殿もジャーナリストと自認するなら「ミヤネ屋」で半年間「中共」の実態を解りやすい解説で報道してください。中共は100年計画で中国共産党の欲を実現する為に御都合主義をあらゆる機会を展開してます。一喜一憂する日本のジャーナリストやマスメディアは中共に取って格好のPR道具です。過去50年の中共の言動・行動を精査すれば普通の頭を持つジャーナリストなら直ぐ理解出来るでしょう。宮根さんも中共の片棒を担がせされない様に注意して下さいね!貴殿なら逆に中共の行動・言動を逆手に取り中共の「中華夢」の野望をソフトパワーで打破してくれるよう期待します!「ペンは剣よりも強し」と言います。エドワード・ブルワー=リットンが1800年代に
The pen is mightier than the sword!
と話された。
しかし現在はSNSの時代です。
また現在程マスメディアTVshowの役割が大きい時代は無い。政治が良くも悪くも「劇場型政治」になりやすい影響力は甚大です。
宮根さん貴殿の責任は大きいですぞ!
貴殿に期待する下記三項目①米国追随からの脱却②米国追随の原因の究明***「実は原因は明白なんですね!原因は(日本国憲法)です。戦後GHQが創設し、GHQ監視の元に日本国議会で決定した米国の作並びに演出の「憲法」です。日本国憲法の真髄は「日本人を精神的物質的肉体的に再び白人に手向かわなくする為の世紀の魔典」なのです。70年間もこの魔典を日本国民に植え付けた機関が「日教組」です。皮肉な事に米国が日本人を飼育するた為の教育機関が「左翼の巣窟」になるとは。中共の現在の行為を詳細に検証してください。世界の平和のワンステップは「中国共産党の解党」です。
法輪功信者を不法逮捕し生体解剖し臓器売買ビジネスの秘密拠点に成っている。世界アムネスティーが摘発報道したが中国共産党人民解放軍の恫喝に屈し継続報道が出来ていない。更には浙江省の温州市ではキリスト教教会が焼き討ちに会いキリスト教信者が撲殺される事件が多発している。ミヤネ屋は宮根氏はこの中共の非人権・人道的行動に対しジャーナリストとして「眼と耳と口を閉ざし」自己保身を図る積りですか?中共からの脅しが恐いのですか?1980年代にトウ小平が提唱した史上最悪の御都合主義3思想①先富論②黒猫白猫論③社会主義市場経済論です。中国共産党が一党独裁で社会主義国家を継続して統治する為に必要な思想原理を立案したのです。しかし中共は世界の社会主義国家の基本原理(a)階
級制度無し(b)格差無し(c)差別無し
3原理を基本にすれば中国共産党一党独裁統治が出来ないと考えた。そこでトウ小平は①②③を考案したのです。即ち①先に富を獲得しても良い!しかし先に富を獲得した人は富の2/3を富の無い人に分けなさい。一時的富格差は条件付き認める②黒猫でも白猫でも鼠を捕る猫は良い猫とした。つまり鼠(=金儲けや中国共産党に利する行為)の為なら猫(=手段)は選ばずと言う理屈。富の獲得方法に制限は付けない。中国共産党の為になる行為は新疆ウイグル人等他民族他国侵略行為も許す。有名映画や歌DVDやロレックス等有名ブランド腕時計、ルイビトン等有名バックのcopy商品知的財産侵害等中国共産党の資金源に成るならなら何しても良いと言う理屈***全て中国共産党幹部が裏経営***時折公安が摘発し国際的批判を避ける③市場経済ならぬ「私情経済」です。つまり中国共産党高級幹部の匙加減で国際法違反のRMB(人民元)為替操作は当たり前。株式市場ではインサイダー取引や不動産市場の地上げによる土地取引は高速鉄道建設に係わるインフラ建設計画に依る億単位の蓄財が常識。習近平(日本では別名:集金平)が2015年を「新常態:シンチャンタイ」とした。つまり習一派が平素から集金出来る社会にし資金源を法制化。習体制が(1)階級社会制度<Top:中国共産党特権階級。second:都市戸籍階級。finish:農民戸籍階級:中国共産党特権階級から搾取される下層階級>と言う偽社会主義国家を「特色」ある社会主義国家」と呼称。御都合主義で設定し中国共産党一党独裁で永遠に統治する***(集金平)になる!と言う宣言です。ミヤネ屋の宮根さん、貴殿もジャーナリストと自認するなら「ミヤネ屋」で半年間「中共」の実態を解りやすい解説で報道してください。中共は100年計画で中国共産党の欲を実現する為に御都合主義をあらゆる機会を展開してます。一喜一憂する日本のジャーナリストやマスメディアは中共に取って格好のPR道具です。過去50年の中共の言動・行動を精査すれば普通の頭を持つジャーナリストなら直ぐ理解出来るでしょう。宮根さんも中共の片棒を担がせされない様に注意して下さいね!貴殿なら逆に中共の行動・言動を逆手に取り中共の「中華夢」の野望をソフトパワーで打破してくれるよう期待します!「ペンは剣よりも強し」と言います。エドワード・ブルワー=リットンが1800年代に
The pen is mightier than the sword!
と話された。
しかし現在はSNSの時代です。
また現在程マスメディアTVshowの役割が大きい時代は無い。政治が良くも悪くも「劇場型政治」になりやすい影響力は甚大です。
宮根さん貴殿の責任は大きいですぞ!
貴殿に期待する下記三項目①米国追随からの脱却②米国追随の原因の究明***「実は原因は明白なんですね!原因は(日本国憲法)です。戦後GHQが創設し、GHQ監視の元に日本国議会で決定した米国の作並びに演出の「憲法」です。日本国憲法の真髄は「日本人を精神的物質的肉体的に再び白人に手向かわなくする為の世紀の魔典」なのです。70年間もこの魔典を日本国民に植え付けた機関が「日教組」です。皮肉な事に米国が日本人を飼育するた為の教育機関が「左翼の巣窟」になるとは。中共の現在の行為を詳細に検証してください。世界の平和のワンステップは「中国共産党の解党」です。
2015年6月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今の中国を動かしている基本原理について理解ができた。
ビジネスに対する助言は少々期待はずれだった。
一読しておくと、中国の行動の理解が進むと思う
ビジネスに対する助言は少々期待はずれだった。
一読しておくと、中国の行動の理解が進むと思う
2015年5月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は旧通産省の官僚出身で中国経済を専門とする経済コンサルタントの著者が、中国経済の現況分析、将来性、習近平体制(中国共産党の独裁体制ーー内政・金融など)、そして政治・外交、昨今のAIIBの志向などを経済統計資料などを中心に紐解いていくものである。タイトルに見えるように、『巨龍』、即ち中国(国家及び中国共産党独裁体制)の経済成長の鈍化(景気下降)と国内問題(不動産バブル後・投資バブル終焉・地方財政危機など)、そして汚職・腐敗問題に対峙する習近平とこれに伴う権力集中を概観し、政治(外交)的志向の「右旋回」と「左の巻き戻し」と言う歴史的法則性と位置付ける「振り子」の歴史(第1章)を観ながら、2013年の「三中全会改革案」(共産党中央委員会第三回全体会議)を基に考察を加えていくスタイルである。全体を通読してみて、経済関係の専門家だけに、経済統計データをグラフ・表等に視覚化して経済・財政的な面での、きめ細かな中国の置かれた現況、このページの「商品の説明」の弁を借りると「崖っぷちに立っている」中国共産党と「その危機感で」進める習近平の「改革」の情況と将来的な予測を展開していく。ただ私が読む限り全体に著者自身の論旨としては、中国経済・財政(及び中国共産党の統治体制)にそれほど強い危機感を抱いているものではないように見える。
本書の全体的な筆致は概ねデータ重視の中立的なスタンスに近いと言えるが、私見ながら政治・外交面ではやや中国寄りまたは楽観的な印象も受ける。この点について著者は「まえがき」の中で、「しがらみのない自営業と門外漢の強みを活かして……外交・安保論」と表現しているが、経済・財政的(内政的)な観点からの外交政策の考察も、強ち失当と評すべきではなく有意義な政策動機・背景となりうるものである。ただ著者は中国の司法体制改革について、前記の「三中全会改革案」を引き合いにしつつ、「依法治国」ーーいわゆる法治主義ーーの強化、司法体制の独立(三権分立)と積極的に観ているが(第6章)、形式的法治主義は如何なる政治体制(独裁体制)とも親和性があるのであって、実質的法内容と立法プロセスを保障するものではない。ここが国民の意思に基づき人権保障を目的として国家権力を“法”で拘束する“法の支配”の理念と異なるところで、中国共産党中央の追認機関でしかない全人代(立法機関)にしろ、立法はもちろん憲法改正の発議権までが中国共産党中央に留保されている現実(162頁)からは、著者の言うほどに右改革(司法体制の独立性確保)が実のあるものかは疑義を容れざるを得ない。中国共産党独裁(王朝)と言う、中国の権力構造(ヒエラルキー)の制度原理は越えられないと思う。
私が最も興味を惹いたのが、やはり習近平が音頭を取るAIIBに関する、著者の経済・財政的な視点からの考察で、著者は第8章で取り上げている(206頁以下)。まず著者はアメリカ側の態度をして、中国の経済・財政面での国際的台頭を認めないスタンスを批判的に指摘した上で、五月雨的な欧州諸国の参加表明に日米の「孤立」を指摘するが、私見では著者ほど悲観的には思わない。そもそもロシアの参加は「ウクライナ」問題に依る国際的孤立が背景にあるわけで、中国経済を無視できない東南アジア諸国は出資より“借入”に期待する事情があると言うべきだろう。またEU加盟国の財政危機問題を抱える欧州(イギリス・フランス・ドイツなど)の思惑が単純にアジア諸国への開発出資と観るのも拙速であり(もっと切実な利害的歓心があると観るべき)、背景には中国との経済関係(2014年の習近平訪欧に依るEUとの巨額の貿易経済協力関係の協定合意への配慮)及びロシアの参加に対する牽制とも観うるべきもので、かかる欧州の参加から直接に日米の国際的孤立(経済的損失)と評するのは(些か分析に不充分さが感じられ)時期尚早であろう。
尤も著者はAIIBについて両手を挙げて賛同している訳ではなくて、「シルクロード基金」と併せてAIIBが中国の「国内利益に引きずられる兆候」を懸念している辺りが注目される(203〜218頁)。ただ欧州諸国がどれ程「結束して反対する」かは些か未知数で、この点では「ウクライナ問題」対応において、ロシアに天然ガスを依存していたEU各国の不協和音(フランスの武器輸出問題など)も充分に考慮すべきだろう。加えて著者は言及していないが、AIIBへの出資はUSドルながら、融資・決済には(市場性の担保のない)“人民元”を要望する(人民元のハードカレンシー化の意図)らしいニュースも仄聞するところで、中国の真意がそれほど単純でないことは明らかである。著者は外部から「様子をみながら、数年後の増資のタイミングで参加するかどうか」(210頁)を検討することを説くが、参加の是非は格別、著者の言う“外部からの様子見”は現在の日本が採るべき賢明なオプションであろう。以上細かい論旨は別論として、全体的には経済・財政的側面からの中立的な中国論と言える。
本書の全体的な筆致は概ねデータ重視の中立的なスタンスに近いと言えるが、私見ながら政治・外交面ではやや中国寄りまたは楽観的な印象も受ける。この点について著者は「まえがき」の中で、「しがらみのない自営業と門外漢の強みを活かして……外交・安保論」と表現しているが、経済・財政的(内政的)な観点からの外交政策の考察も、強ち失当と評すべきではなく有意義な政策動機・背景となりうるものである。ただ著者は中国の司法体制改革について、前記の「三中全会改革案」を引き合いにしつつ、「依法治国」ーーいわゆる法治主義ーーの強化、司法体制の独立(三権分立)と積極的に観ているが(第6章)、形式的法治主義は如何なる政治体制(独裁体制)とも親和性があるのであって、実質的法内容と立法プロセスを保障するものではない。ここが国民の意思に基づき人権保障を目的として国家権力を“法”で拘束する“法の支配”の理念と異なるところで、中国共産党中央の追認機関でしかない全人代(立法機関)にしろ、立法はもちろん憲法改正の発議権までが中国共産党中央に留保されている現実(162頁)からは、著者の言うほどに右改革(司法体制の独立性確保)が実のあるものかは疑義を容れざるを得ない。中国共産党独裁(王朝)と言う、中国の権力構造(ヒエラルキー)の制度原理は越えられないと思う。
私が最も興味を惹いたのが、やはり習近平が音頭を取るAIIBに関する、著者の経済・財政的な視点からの考察で、著者は第8章で取り上げている(206頁以下)。まず著者はアメリカ側の態度をして、中国の経済・財政面での国際的台頭を認めないスタンスを批判的に指摘した上で、五月雨的な欧州諸国の参加表明に日米の「孤立」を指摘するが、私見では著者ほど悲観的には思わない。そもそもロシアの参加は「ウクライナ」問題に依る国際的孤立が背景にあるわけで、中国経済を無視できない東南アジア諸国は出資より“借入”に期待する事情があると言うべきだろう。またEU加盟国の財政危機問題を抱える欧州(イギリス・フランス・ドイツなど)の思惑が単純にアジア諸国への開発出資と観るのも拙速であり(もっと切実な利害的歓心があると観るべき)、背景には中国との経済関係(2014年の習近平訪欧に依るEUとの巨額の貿易経済協力関係の協定合意への配慮)及びロシアの参加に対する牽制とも観うるべきもので、かかる欧州の参加から直接に日米の国際的孤立(経済的損失)と評するのは(些か分析に不充分さが感じられ)時期尚早であろう。
尤も著者はAIIBについて両手を挙げて賛同している訳ではなくて、「シルクロード基金」と併せてAIIBが中国の「国内利益に引きずられる兆候」を懸念している辺りが注目される(203〜218頁)。ただ欧州諸国がどれ程「結束して反対する」かは些か未知数で、この点では「ウクライナ問題」対応において、ロシアに天然ガスを依存していたEU各国の不協和音(フランスの武器輸出問題など)も充分に考慮すべきだろう。加えて著者は言及していないが、AIIBへの出資はUSドルながら、融資・決済には(市場性の担保のない)“人民元”を要望する(人民元のハードカレンシー化の意図)らしいニュースも仄聞するところで、中国の真意がそれほど単純でないことは明らかである。著者は外部から「様子をみながら、数年後の増資のタイミングで参加するかどうか」(210頁)を検討することを説くが、参加の是非は格別、著者の言う“外部からの様子見”は現在の日本が採るべき賢明なオプションであろう。以上細かい論旨は別論として、全体的には経済・財政的側面からの中立的な中国論と言える。
2015年5月13日に日本でレビュー済み
著者は、日本人の認識が中国の実態から離れだすと機敏に指摘してくれる。例えば、早くも昨年8月からAIIBが成立しかねないとネットで指摘していた。
本書の前半では、歴史的にみて中国共産党政権は、共産主義的左派(保守派)と市場経済的右派との間を振り子のように揺れていると説明する。そのスイングの中で、習近平が、共産党の統治力に強い危機意識をもっていると習政権の政治からみてとる指摘は生々しくも鋭い。
後半では、今後10年の中国の経済成長率は、5%から2%程度に順次下がり、長期的にみてもGDPでアメリカを抜くことなどありえず、2/3程度になるのがせいぜい。一方で、経済の崩壊もないと予測する。そのシナリオを軸に、これからの中国の行く末のボラティリティ(変動性)は、2010年の頃に比べればむしろ小さいとする。
中国経済について、極端な脅威、礼賛、崩壊、激動を扇情的に指摘しがちな日本の論壇にあって、実に穏当でありながら、希少で現実的な予測である。フェアであるとも言えるだろう。
本書の前半では、歴史的にみて中国共産党政権は、共産主義的左派(保守派)と市場経済的右派との間を振り子のように揺れていると説明する。そのスイングの中で、習近平が、共産党の統治力に強い危機意識をもっていると習政権の政治からみてとる指摘は生々しくも鋭い。
後半では、今後10年の中国の経済成長率は、5%から2%程度に順次下がり、長期的にみてもGDPでアメリカを抜くことなどありえず、2/3程度になるのがせいぜい。一方で、経済の崩壊もないと予測する。そのシナリオを軸に、これからの中国の行く末のボラティリティ(変動性)は、2010年の頃に比べればむしろ小さいとする。
中国経済について、極端な脅威、礼賛、崩壊、激動を扇情的に指摘しがちな日本の論壇にあって、実に穏当でありながら、希少で現実的な予測である。フェアであるとも言えるだろう。
2015年9月1日に日本でレビュー済み
経済アナリシスとしては皮相的すぎます。中国人自身は本音でどう思っているのか?そのあたりの深みが感じられません。
著者のいうように習近平体制で中央のエリートが乗り出して、地方エリートに代わって統治を強化したとして、事態が改善する根拠・条件を著者は示しません。東芝の不正会計と同じで監査法人への報酬を、被監査会社の役員が決定している限り、不正の根絶ができないのと同じです。
かつて、旧ソ連のスチール机は大変重かったそうです。何故か?。スチール机を作る工場の成績は、産出重量で評価されていたので、決算末が近づいて、目標未達のときは、製品を重くしたとのことです。
また最後のビジネス・パーソンへのアドバイスは、コンサルタント失格です。
万が一に備えて、日本人駐在員とその家族に香港行きオープンチケットを持たしておく、などはブラック・ジョークですよね。
外務省の統計では、中国の在留邦人は14万人いるんですよ! そんな国とビジネスしているから、あなたの本に読者は期待して読んでいるのに、こんな能天気なアドバイスはないでしょう。
人口統計から出発して中国の隠れた財政問題や共産党の統治構造を検討した『データで読み解く中国経済』川島博之著のほうを強く勧めます。
著者のいうように習近平体制で中央のエリートが乗り出して、地方エリートに代わって統治を強化したとして、事態が改善する根拠・条件を著者は示しません。東芝の不正会計と同じで監査法人への報酬を、被監査会社の役員が決定している限り、不正の根絶ができないのと同じです。
かつて、旧ソ連のスチール机は大変重かったそうです。何故か?。スチール机を作る工場の成績は、産出重量で評価されていたので、決算末が近づいて、目標未達のときは、製品を重くしたとのことです。
また最後のビジネス・パーソンへのアドバイスは、コンサルタント失格です。
万が一に備えて、日本人駐在員とその家族に香港行きオープンチケットを持たしておく、などはブラック・ジョークですよね。
外務省の統計では、中国の在留邦人は14万人いるんですよ! そんな国とビジネスしているから、あなたの本に読者は期待して読んでいるのに、こんな能天気なアドバイスはないでしょう。
人口統計から出発して中国の隠れた財政問題や共産党の統治構造を検討した『データで読み解く中国経済』川島博之著のほうを強く勧めます。
2017年11月5日に日本でレビュー済み
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内容が良く整理されており、断片的な記述ではなく背後にしっかりした考察力を感じました。