80年代にすでに天に還られた敬愛する寺山修司さんは当時の恋人後に嫁様になられる九条英子さんと交際中、それはもう頻繁に手紙のやり取りをなさったようで、現在二人の間に交わされた書簡集が出版されていて読んだ。わたしの胸の内にこみあげるものがあった。寺山さんは言葉を職業とする実に文章の達者な作家であるがゆえに、英子さんにあてた手紙が実に情緒にあふれたものであった。英子さんを羨ましいと思った。
わたしもこんな手紙が欲しいと思った。
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寺山修司のラブレター 単行本 – 2015/4/27
天才寺山修司とパートナー九條今日子。アート・ディレクションに寺山ファンの増田セバスチャンを迎え、二人のラブレターをもとに、深い絆で結ばれ時代を超えてなお新しいカップルの姿に迫る。
- 本の長さ109ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA/角川書店
- 発売日2015/4/27
- 寸法18.5 x 1.2 x 25.8 cm
- ISBN-104041028310
- ISBN-13978-4041028315
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商品の説明
著者について
てらやましゅうじ●1936年青森生まれ。早稲田大学教育学部中退。歌人、詩人、小説家、劇作家、劇団「天井桟敷」主宰など、マルチな才能を発揮し、60年代のオピニオンリーダーとして活躍。83年没。 てらやましゅうじ●1936年青森生まれ。早稲田大学教育学部中退。歌人、詩人、小説家、劇作家、劇団「天井桟敷」主宰など、マルチな才能を発揮し、60年代のオピニオンリーダーとして活躍。83年没。 くじょうきょうこ●1935年東京生まれ。松竹映画で映画スターとして活躍するとき、若き寺山修司と出会い結婚。67年ともに「天井桟敷」を設立。 くじょうきょうこ●1935年東京生まれ。松竹映画で映画スターとして活躍するとき、若き寺山修司と出会い結婚。67年ともに「天井桟敷」を設立。
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA/角川書店 (2015/4/27)
- 発売日 : 2015/4/27
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 109ページ
- ISBN-10 : 4041028310
- ISBN-13 : 978-4041028315
- 寸法 : 18.5 x 1.2 x 25.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 512,097位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 89,242位ノンフィクション (本)
- - 143,679位文学・評論 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年5月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「きみが歌うクロッカスの歌も新しき家具の一つに数えむとする」 これは、恋人の女優・九條映子との結婚を前に、彼女のために寺山が作った歌の一つである。本書は、1960年7月10日の午後、二人が飯田橋駅前で初めて出会ってから、1962年4月2日に、26歳の二人が結婚するまでの間に書かれた、寺山の私信を収録したものである。実物が残っているので、その写真版がとてもよい。彼が作った自分専用の名前入り原稿用紙に、主に鉛筆で、寺山特有の几帳面な字で書かれている。俳句、短歌、戯曲・・・、寺山が書くものはどれも、その瑞々しい言語感覚と詩情に天才を感じさせるが、恋人の映子に当てた手紙はどれも、ユーモラスな詩情に溢れて、とても楽しい。1961年に書かれたと思われる手紙の一部を引用しよう。こんな具合だ。「きみは多分、もう眠っている。この手紙を渡すときのことをひとりで考えながらぼくはにやにやしている。「いゝかい。この手紙は将来すごく値がはるんだ」「どうして?」「文豪の書簡ってやつは一枚何万円もする」「へえ」ときみは驚く。「大体ね、ぼくの原稿は、週刊誌なら一枚三千円するんだからね。これだけでざっと・・・・」「そんなミミっちいこと言いながらくれる手紙ならいらないわ」「いらない?」「いらないわよ」。ぼくはくさる。折角かいたんだからせめて読んでくれよ。するときみは多分勿体つけて「読み賃」をくれ。というかもしれない。そんなときのきみの得意そうな笑顔が思い浮かぶ。いまは午前三時。・・・」(行替えは無視してベタにした) 。こんな仕方で自分の愛情を表現するなんて、寺山修司って本当に素晴らしい奴だと思う。映子の返信もわずかだが収録されており、寺山よりずっと短い手紙だが、それは仕方がないだろう。寺山に伍した見劣りしない返事を書くなんて、誰にも出来やしない。本書は、書簡の他にも、二人の新婚当時の私的な写真がたくさんあるのが嬉しい。そして、劇団「天井桟敷」の写真とポスター。皆とても若々しい。「天井桟敷」には若い劇団員がどんどん集まり、二人の自宅兼稽古場兼事務所の建物に寝泊まりするので、寺山と映子はプライベートな生活がなくなってしまった。それが嫌ではなく、むしろ楽しんでいるような二人。映子は妻というよりは、プロデューサーとして、寺山と二人で劇団を仕切る“同志”のような存在になってゆく。そして、寺山は47歳であっけなく死んだ。その後、寺山の著作権を一手に引き受け、寺山の遺産を世にアピールし続けた映子も、2014年末に78歳で亡くなる。本書は、素晴らしい夫婦の物語でもある。
2015年9月12日に日本でレビュー済み
私は、以前から寺山修司の才能は認めていましたが、そのお盛んな女性関係には納得できないものを感じてきました。妻の九條映子が気の毒に思われたのです。ところが、今回、『寺山修司のラブレター』(寺山修司・九條今日子<映子から改名>著、KADOKAWA)を読んで、認識を改める必要を感じました。
同い年生まれの女優・九條映子に恋をした24歳の寺山は、手紙魔になります。その第3信に、このような一節があります。「今夜はなぜだか、きみがそんなに遠くにいるという気がしない」。
恋人時代のラブレターの一節。「誇りや自尊心よりも大事なものが、たった一つだけあるのです。そして、それが二人の『愛情』であるということを忘れないで下さい。わかれる、という言葉を口にしたら四十万円の罰金ってきめたのをぼくは忘れていませんよ。また、手紙をかきます」。
寺山による映子讃歌の一首。「きみが歌うクロッカスの歌も新しき家具の一つに数えむとする」。
寺山の文章の一節。「映子とは書かない。A子と書く。そのほうが書きやすいし面倒くさくなくっていい。・・・A子のAは私にとって未知の一つだ。A子はたとえば青くさいキャベツみたいに生意気であり、子馬のようにやんちゃであり、そら豆のようにはじけてよく笑う。・・・私は、そんなA子を診断する。彼女は、マヨネーズとハムと哲学とブラームスがきらいである。そして赤ん坊とスポーツと青草とウイントン・ケリーがすきらしい。勝ち気で明朗でよく動く。私はふと、ペンではなく、彼女自身の動作でもって一遍(篇)の詩をかきたい、と思う事があるのである。恋の履歴書 それは去年の夏、突然に生まれた。現在一才。恋はおしゃべり。喧嘩の前科二回。私たちは立ったまま、歩いたままで、よく夢を見るのが好きらしい」。
「映子はまず若さをもっている。キング・コールのLPをもっている。健康な二人の妹をもっている。歌劇の踊り子の経歴をもっている。わがままをもっている。高村光太郎の詩集とレイモン・ペイネの画集をもっている。幸運をもっている。映子はまた夢をもっている。スラックスを少なくとも十本以上もっている。明朗快活をもっている。マラカスをもっている。恋人ももっている。きれいな沼のある故郷ももっている。アポロデシアの香水とロンソンのライターをもっている。ちっぽけな虚栄心もまたもっている。小さい家計簿をもっている。天婦羅をあげる技術ももっている。空想のなかに殺人計画のトリックをいっぱいもっている。乙女心もまたもっている。それから・・・ それから・・・」。
恋人時代を偲ぶ映子の言葉。「寺山がプレゼントしてくれる、人生の楽しみ方に夢中になっていた」。
離婚後の映子の言葉。「寺山も私も二人で作る家庭を守るより、劇団の中で生活し、行動していることによりどころを感じるようになって、それじゃ家庭なんかいらないね、と話し合って・・・それで別れたの。そんなわけだから、今でも彼のアパートにときどき出かけていくわよ。洗たくなんかもたまってたらやってあげちゃうし、部屋がちらばってれば掃除もしてくる」。「寺山は才能があるし、忙し過ぎる。これ以上、家庭のわずらわしさにかかずらわせたくないの、それで解放してあげたのね」。「寺山がこういう小道具をそろえてこういう舞台を創りたいというオーダーに女房だと家の経済が気になってしまう。離婚してからも一緒に劇団活動をしていたから人から不思議に思われたけれど、私はかえって寺山に優しくなれたんですよ。いい作品を創るための協力者としてね」。「女優って、一部でしょ。一つのパート。制作は全部よ。面白さが全然違う」。「私にとって寺山は、元恋人であり、 元旦那であり、師匠であり、劇団をやってきた同志であり・・・親友ですね。離婚した当初は、いろいろインタビューも受けたけど、私たちにとっては不自然なことじゃなかった。無理も、我慢もしていなかったし、自然にやってこれちゃったわけ」。
寺山と映子の摩訶不思議な男女の関係は、当の二人にしか分からないでしょう。映子自身がこう言っている以上、私が寺山を責めるのはお門違いですね。
同い年生まれの女優・九條映子に恋をした24歳の寺山は、手紙魔になります。その第3信に、このような一節があります。「今夜はなぜだか、きみがそんなに遠くにいるという気がしない」。
恋人時代のラブレターの一節。「誇りや自尊心よりも大事なものが、たった一つだけあるのです。そして、それが二人の『愛情』であるということを忘れないで下さい。わかれる、という言葉を口にしたら四十万円の罰金ってきめたのをぼくは忘れていませんよ。また、手紙をかきます」。
寺山による映子讃歌の一首。「きみが歌うクロッカスの歌も新しき家具の一つに数えむとする」。
寺山の文章の一節。「映子とは書かない。A子と書く。そのほうが書きやすいし面倒くさくなくっていい。・・・A子のAは私にとって未知の一つだ。A子はたとえば青くさいキャベツみたいに生意気であり、子馬のようにやんちゃであり、そら豆のようにはじけてよく笑う。・・・私は、そんなA子を診断する。彼女は、マヨネーズとハムと哲学とブラームスがきらいである。そして赤ん坊とスポーツと青草とウイントン・ケリーがすきらしい。勝ち気で明朗でよく動く。私はふと、ペンではなく、彼女自身の動作でもって一遍(篇)の詩をかきたい、と思う事があるのである。恋の履歴書 それは去年の夏、突然に生まれた。現在一才。恋はおしゃべり。喧嘩の前科二回。私たちは立ったまま、歩いたままで、よく夢を見るのが好きらしい」。
「映子はまず若さをもっている。キング・コールのLPをもっている。健康な二人の妹をもっている。歌劇の踊り子の経歴をもっている。わがままをもっている。高村光太郎の詩集とレイモン・ペイネの画集をもっている。幸運をもっている。映子はまた夢をもっている。スラックスを少なくとも十本以上もっている。明朗快活をもっている。マラカスをもっている。恋人ももっている。きれいな沼のある故郷ももっている。アポロデシアの香水とロンソンのライターをもっている。ちっぽけな虚栄心もまたもっている。小さい家計簿をもっている。天婦羅をあげる技術ももっている。空想のなかに殺人計画のトリックをいっぱいもっている。乙女心もまたもっている。それから・・・ それから・・・」。
恋人時代を偲ぶ映子の言葉。「寺山がプレゼントしてくれる、人生の楽しみ方に夢中になっていた」。
離婚後の映子の言葉。「寺山も私も二人で作る家庭を守るより、劇団の中で生活し、行動していることによりどころを感じるようになって、それじゃ家庭なんかいらないね、と話し合って・・・それで別れたの。そんなわけだから、今でも彼のアパートにときどき出かけていくわよ。洗たくなんかもたまってたらやってあげちゃうし、部屋がちらばってれば掃除もしてくる」。「寺山は才能があるし、忙し過ぎる。これ以上、家庭のわずらわしさにかかずらわせたくないの、それで解放してあげたのね」。「寺山がこういう小道具をそろえてこういう舞台を創りたいというオーダーに女房だと家の経済が気になってしまう。離婚してからも一緒に劇団活動をしていたから人から不思議に思われたけれど、私はかえって寺山に優しくなれたんですよ。いい作品を創るための協力者としてね」。「女優って、一部でしょ。一つのパート。制作は全部よ。面白さが全然違う」。「私にとって寺山は、元恋人であり、 元旦那であり、師匠であり、劇団をやってきた同志であり・・・親友ですね。離婚した当初は、いろいろインタビューも受けたけど、私たちにとっては不自然なことじゃなかった。無理も、我慢もしていなかったし、自然にやってこれちゃったわけ」。
寺山と映子の摩訶不思議な男女の関係は、当の二人にしか分からないでしょう。映子自身がこう言っている以上、私が寺山を責めるのはお門違いですね。
2021年3月18日に日本でレビュー済み
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寺山さんは、演劇で有名ですが、私はこの人は根っからの詩人だと思います。筆跡もとても良いです。そんな人のラブレターです。買って良かったです。