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いまさら翼といわれても 単行本 – 2016/11/30
米澤 穂信
(著)
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購入オプションとあわせ買い
「大人」になるため、挑まなければいけない謎。待望の〈古典部〉最新作!
累計230万部突破の〈古典部〉シリーズ最新作!
誰もが「大人」になるため、挑まなければいけない謎がある――『満願』『王とサーカス』の著者による、不動のベスト青春ミステリ!
神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。
夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘――折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)
時間は進む、わかっているはずなのに。
奉太郎、える、里志、摩耶花――〈古典部〉4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇。
累計230万部突破の〈古典部〉シリーズ最新作!
誰もが「大人」になるため、挑まなければいけない謎がある――『満願』『王とサーカス』の著者による、不動のベスト青春ミステリ!
神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。
夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘――折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)
時間は進む、わかっているはずなのに。
奉太郎、える、里志、摩耶花――〈古典部〉4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇。
- 本の長さ360ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2016/11/30
- 寸法13.7 x 2.3 x 19.5 cm
- ISBN-104041047617
- ISBN-13978-4041047613
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商品の説明
著者について
●米澤 穂信:1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞、14年『満願』で山本周五郎賞を受賞。『満願』は同年の年間ミステリランキングで三冠をとるなど、話題を呼んだ。近著に『ふたりの距離の概算』『王とサーカス』『真実の10メートル手前』などがある。
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2016/11/30)
- 発売日 : 2016/11/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 360ページ
- ISBN-10 : 4041047617
- ISBN-13 : 978-4041047613
- 寸法 : 13.7 x 2.3 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 333,785位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,112位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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米澤 穂信(よねざわ・ほのぶ)
1978年岐阜県生まれ。2001年、第5回角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門)奨励賞を『氷菓』で受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』(東京創元社)で第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』(新潮社)で第27回山本周五郎賞を受賞。『満願』、15年刊の『王とサーカス』(東京創元社)はそれぞれ3つのミステリ・ランキングで1位となり、史上初の2年連続3冠を達成。
(本データは「いまさら翼といわれても 「古典部」シリーズ」が刊行された当時に掲載されていたものです。「BOOK著者紹介情報」より)
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2024年2月26日に日本でレビュー済み
アニメを何度か見て、物足りないとなって漫画を読み始めましたが、
2年生となった折木奉太郎、千反田える、福部里志、伊原摩耶花が2年となっていたことから、
新たなキャラクタ・後輩の登場で次回の巻は待ちきれず本を購入しました。
「ふたりの距離の概算」と「いまさら翼といわれても」と変わっていく折木奉太郎・千反田えるの関係を読めて楽しいが、なんだか最後はスッキリしなく、早く次の物語が知りたくなります。
福部里志・伊原摩耶花ぺあはバレンタイン以降からは安定していて、ほっこりします。
今回の1冊は過去と将来についてのテーマでもあって、心に刺さってくるが、満足している。
「古典部」シリーズの中で一番読み返している。
これからこちらの話は漫画でのように描かれるか楽しみです!
そして、「折木奉太郎・千反田える」の関係の2人の関係の着地も
ものす~ご~く「気になります!」
2年生となった折木奉太郎、千反田える、福部里志、伊原摩耶花が2年となっていたことから、
新たなキャラクタ・後輩の登場で次回の巻は待ちきれず本を購入しました。
「ふたりの距離の概算」と「いまさら翼といわれても」と変わっていく折木奉太郎・千反田えるの関係を読めて楽しいが、なんだか最後はスッキリしなく、早く次の物語が知りたくなります。
福部里志・伊原摩耶花ぺあはバレンタイン以降からは安定していて、ほっこりします。
今回の1冊は過去と将来についてのテーマでもあって、心に刺さってくるが、満足している。
「古典部」シリーズの中で一番読み返している。
これからこちらの話は漫画でのように描かれるか楽しみです!
そして、「折木奉太郎・千反田える」の関係の2人の関係の着地も
ものす~ご~く「気になります!」
2020年12月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古典部メンバーのそれぞれのキャラクターの内面に、少し踏み込んだ作品集で、私は楽しく読みました。
楽しいこともつらいこともありますが、べつにおとぎ話ではなく、高校生のいろいろな事情や葛藤と少しのミステリが混ざったところがこの作品の持ち味の一つだと思います。
たとえいろいろな葛藤や山谷があっても、最終的には古典部メンバーが不幸になるようなことはないと思います。購入する前に、低評価のレビューを読んでいたので購入をためらいましたが、買って良かったです。
その上で低評価のレビューを再び見ると、ずいぶんひどい内容なので一言。
まず、編集者でもないのに編集者面して自分の発言に権威を持たせようとしている。世の編集者に失礼ですよ。まずはご自分の褌で勝負してください。
さらに、キャラクターに対する勝手な思い込みを開陳し押し付けようとしている。
さらには、Amazonの書評欄で同人活動を始める始末。
創作は楽しいものですが、やるべき場所でやってください。
判断するべき対象はお金を投じないと読めないのに、書評のほうはタダで読めてしまうというのはジレンマですが、私のようにためらってしまう人がいたら気の毒です。できれば、ご自分の目で判断していただきたいと思います。
楽しいこともつらいこともありますが、べつにおとぎ話ではなく、高校生のいろいろな事情や葛藤と少しのミステリが混ざったところがこの作品の持ち味の一つだと思います。
たとえいろいろな葛藤や山谷があっても、最終的には古典部メンバーが不幸になるようなことはないと思います。購入する前に、低評価のレビューを読んでいたので購入をためらいましたが、買って良かったです。
その上で低評価のレビューを再び見ると、ずいぶんひどい内容なので一言。
まず、編集者でもないのに編集者面して自分の発言に権威を持たせようとしている。世の編集者に失礼ですよ。まずはご自分の褌で勝負してください。
さらに、キャラクターに対する勝手な思い込みを開陳し押し付けようとしている。
さらには、Amazonの書評欄で同人活動を始める始末。
創作は楽しいものですが、やるべき場所でやってください。
判断するべき対象はお金を投じないと読めないのに、書評のほうはタダで読めてしまうというのはジレンマですが、私のようにためらってしまう人がいたら気の毒です。できれば、ご自分の目で判断していただきたいと思います。
2023年1月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アニメーション作品「氷菓」をご覧になり、食後の物足りなさを感じた方にお勧めです。
折木とえるの関係は相変わらずですが、その関係を保ちつつ補足を付け加えてくれます。
えるが置かれている立場や、人間関係上の役割に苦悶する姿が理解できるので私は最高に満足でした。
折木とえるの関係は相変わらずですが、その関係を保ちつつ補足を付け加えてくれます。
えるが置かれている立場や、人間関係上の役割に苦悶する姿が理解できるので私は最高に満足でした。
2019年6月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本棚に並べたときの美しさかつ収納スペースの問題から小説は文庫本になってから読むことに
しているため、前作『ふたりの距離の概算』文庫版から七年、『小説野性時代』ほかへの掲載
そして単行本刊行から待ちに待ち続け、約二年半を経てようやく刊行された本作を手に入れる。
『箱の中の欠落』
六月。生徒会長選挙で投票総数が有権者数を上回る水増しが発覚する。総務委員会副委員長と
して投票に立ち会っていた里志は夜中に奉太郎を呼び出し事情を話すも、「やらなくてもいい
ことならやらない」という奉太郎のポリシーにより一度は断られるが、一年の選挙管理委員に
責任をなすりつけた選挙管理委員会委員長の言動が気に入らないという点で意見が一致し、
道すがらのラーメン屋で一転して推察を繰り広げることに――という話。序盤に何気なく提示
された情報がきっかけとなって解答を導き出すことになるのだが、罪をなすりつけられた
一年の選挙管理委員や真犯人の具体的な情報が言及されていないのは、この話で最も重要なのは
フーダニットではなくハウダニットであるということを呈示している。
また、話の本筋とは少し外れるが、ふたりの会話の内容から、奉太郎がえるに対して
社会的階級の違いをまざまざと感じされられていることに言及しており、おそらくこれが何か
の伏線になっていることを予感させる。
『鏡には映らない』
日曜日。Gペンを買いに街に出た摩耶花は鏑矢中学時代の同級生と偶然再会する。
ふとしたきっかけで折木奉太郎の名前が出たとき、嫌悪感を隠そうとしなかった彼女の表情に
摩耶花は中学三年の頃の話を思い出す。
卒業制作で大きな鏡のフレームを作ることになった三年生。フレームを細かく分割し、
各グループでひとつのパーツを彫刻刀で彫り、再びそれを組み合わせることになっていたが、
締め切りギリギリに奉太郎が提出したのは明らかに手抜きをしたであろう代物だった。
いざフレームを組み上げると、場所ごとに出来の善し悪しがばらけていたことに一度は
安心した摩耶花だったが、デザインを担当した鷹栖亜美の態度が急変したことから奉太郎は
その責任を一身に背負うスケープゴートにされてしまう。だが、えるの叔父のメッセージを
汲み取り、未完の映画を完成させ、なんだかんだ言って真面目に文集を仕上げた奉太郎と
フレームに手を抜いた当時の奉太郎が一致せず、何か別の理由があるのではないかと考え
奉太郎に色々尋ねるが適当にはぐらかされてしまう。そこで摩耶花は自分で調査を
始めるのだが――という話。
確か小説野性時代掲載時は、摩耶花が奉太郎と里志の目の前で真相を突き付けるのではなく、
摩耶花が奉太郎に謝ることで真相にたどり着いたことを悟った奉太郎が摩耶花に軽く手を
挙げるという終わり方だったと記憶している。
『クドリャフカの順番』以来である摩耶花視点で描かれており、本シリーズでは初めて
奉太郎以外が探偵役を務めている。また、なぜこのシリーズの当初で摩耶花が奉太郎に
対しあまり良くない感情を抱いていたのかという理由が分かる。
『連峰は晴れているか』
部室の窓の外に飛ぶ一機のヘリコプターを見た奉太郎が、中学時代の教師・小木が授業中、
同じく部室の窓の外に飛ぶ一機のヘリコプターを見て「ヘリが好きなんだ」と言っていた
ことを思い出すが、里志の「編隊を組む自衛隊のヘリには興味を持たなかった」という言葉に、
小木は本当にヘリコプターが好きだったのだろうか、そして雷が多い地域ではないにも
かかわらず「雷に三度打たれた」という小木のエピソードに疑問を抱いた奉太郎はその
真相を調べることに……が簡単なあらすじ。
小説野性時代に掲載されたあと単行本化されることなくアニメーション化され、
さらにコミカライズ化されたのちようやく単行本化されるという、順番が前後してしまった
珍しい経緯があるエピソードであり、本巻唯一のアニメーション化されているエピソードでもある。
この出来事から数年の時を経て、仲間が遭難する中、気丈にも授業を執り行い、あまつさえ
自身の動揺を悟られまいとヘリコプターに興味があるふりまでした小木の思いを知るとともに、
物事の表面だけを見てすべてを断じるべきではない(これを奉太郎は『無神経』と表現した)と
いうことを読者に突き付けている。
『わたしたちの伝説の一冊』
文化祭の一件(参照:クドリャフカの順番)から漫画研究会は、『読む派』と『描く派』に分裂し、
もはや関係の修復は不可能な状態になっていた。そんな折、摩耶花は『描く派』の浅沼から
部費を流用して同人誌を作り、漫画研究会は漫画を描くところだということを明らかにしようと
持ちかけられる。この企てには田井、西山、針ヶ谷も参加することになっていたが部長の湯原が
引退し、パワーバランスが崩壊するとともに『読む派』の羽仁が新部長に就任、追い詰められた
田井がすべてを吐いてしまったため、摩耶花と浅沼は吊し上げられ、同人誌を完成させたら
『読む派』は退部して新しい部活を立ち上げる、逆なら『描く派』が退部させられるという
条件を呑まされてしまう。そんな中、摩耶花がしたためていたネームを描いたノートが
盗まれてしまい――というストーリー。
純粋に漫画を描きたかっただけだったのが、いつの間にか『読む派』を追い出すことが
目的となってしまったことを通じ、実は本作には「現状維持バイアスにかまけてレベルの低い
ところに居続けると時間や才能を奪われる」という教訓が含まれていることが分かる。
また、実は摩耶花が隠れて努力をして、その結果が少しずつ出つつあるとともに、かつて対立
していた河内亜也子(作中作『ボディトーク』の作者)と「互恵関係」になったのはある意味
救いなのかも知れない。
『長い休日』
日曜日。珍しく体調が良い奉太郎は午後から散歩がてら自宅から適度な距離に位置する
荒楠神社に向かうと、境内で偶然十文字かほと出会い、「えるもいる」と言われるがままに
詰所内にあるかほの部屋に連れて行かれ、えると会う。かほが買い物に行っている間、
えると一緒に神社の清掃をすることになった奉太郎はえるから「やらなくていいことなら、
やらない。やらなければいけないことなら手短に」という考えに至ったのかという質問を
受ける。そこで奉太郎は小学生の時のある出来事を話し始める――というのが序盤の
ストーリー。
小学生の頃の話であるため、周囲から都合の良い存在として使われる程度で済んでは
いるが、実は『氷菓』において周囲によって名目上のリーダーに仕立て上げられ、
スケープゴートにされた関谷純の姿がオーバーラップする。つまり奉太郎は
『省エネ主義』というよりも、他者に自分のリソースを使われることに対し癪に
触ったということになる。
『いまさら翼といわれても』
二年の夏休み初日。摩耶花から奉太郎のもとにえるの居場所を尋ねる電話がかかってくる。
今日市民文化会館で開催される市の合唱祭に参加予定、しかもソロパートがあるえるが
バスで文化会館に到着してからの行方が分からなくなってしまったという。
奉太郎は文化会館に向かうとともに、えるがどこに行ってしまったのか、そしてその理由を
探るべく、考えを巡らせる――というおはなし。
本作を読み終えることで『いまさら翼といわれても』が何を意味しているのかが分かるだけ
でなく、彼女の中で信じ、受け入れていたものが崩壊してしまったというシリーズの重大な
転換点であろう展開から、個人的にはおそらく次に描かれるであろう長編は千反田家の謎と、
えるに『翼』が与えられた理由について迫る話になると勝手に睨んでいる。
しているため、前作『ふたりの距離の概算』文庫版から七年、『小説野性時代』ほかへの掲載
そして単行本刊行から待ちに待ち続け、約二年半を経てようやく刊行された本作を手に入れる。
『箱の中の欠落』
六月。生徒会長選挙で投票総数が有権者数を上回る水増しが発覚する。総務委員会副委員長と
して投票に立ち会っていた里志は夜中に奉太郎を呼び出し事情を話すも、「やらなくてもいい
ことならやらない」という奉太郎のポリシーにより一度は断られるが、一年の選挙管理委員に
責任をなすりつけた選挙管理委員会委員長の言動が気に入らないという点で意見が一致し、
道すがらのラーメン屋で一転して推察を繰り広げることに――という話。序盤に何気なく提示
された情報がきっかけとなって解答を導き出すことになるのだが、罪をなすりつけられた
一年の選挙管理委員や真犯人の具体的な情報が言及されていないのは、この話で最も重要なのは
フーダニットではなくハウダニットであるということを呈示している。
また、話の本筋とは少し外れるが、ふたりの会話の内容から、奉太郎がえるに対して
社会的階級の違いをまざまざと感じされられていることに言及しており、おそらくこれが何か
の伏線になっていることを予感させる。
『鏡には映らない』
日曜日。Gペンを買いに街に出た摩耶花は鏑矢中学時代の同級生と偶然再会する。
ふとしたきっかけで折木奉太郎の名前が出たとき、嫌悪感を隠そうとしなかった彼女の表情に
摩耶花は中学三年の頃の話を思い出す。
卒業制作で大きな鏡のフレームを作ることになった三年生。フレームを細かく分割し、
各グループでひとつのパーツを彫刻刀で彫り、再びそれを組み合わせることになっていたが、
締め切りギリギリに奉太郎が提出したのは明らかに手抜きをしたであろう代物だった。
いざフレームを組み上げると、場所ごとに出来の善し悪しがばらけていたことに一度は
安心した摩耶花だったが、デザインを担当した鷹栖亜美の態度が急変したことから奉太郎は
その責任を一身に背負うスケープゴートにされてしまう。だが、えるの叔父のメッセージを
汲み取り、未完の映画を完成させ、なんだかんだ言って真面目に文集を仕上げた奉太郎と
フレームに手を抜いた当時の奉太郎が一致せず、何か別の理由があるのではないかと考え
奉太郎に色々尋ねるが適当にはぐらかされてしまう。そこで摩耶花は自分で調査を
始めるのだが――という話。
確か小説野性時代掲載時は、摩耶花が奉太郎と里志の目の前で真相を突き付けるのではなく、
摩耶花が奉太郎に謝ることで真相にたどり着いたことを悟った奉太郎が摩耶花に軽く手を
挙げるという終わり方だったと記憶している。
『クドリャフカの順番』以来である摩耶花視点で描かれており、本シリーズでは初めて
奉太郎以外が探偵役を務めている。また、なぜこのシリーズの当初で摩耶花が奉太郎に
対しあまり良くない感情を抱いていたのかという理由が分かる。
『連峰は晴れているか』
部室の窓の外に飛ぶ一機のヘリコプターを見た奉太郎が、中学時代の教師・小木が授業中、
同じく部室の窓の外に飛ぶ一機のヘリコプターを見て「ヘリが好きなんだ」と言っていた
ことを思い出すが、里志の「編隊を組む自衛隊のヘリには興味を持たなかった」という言葉に、
小木は本当にヘリコプターが好きだったのだろうか、そして雷が多い地域ではないにも
かかわらず「雷に三度打たれた」という小木のエピソードに疑問を抱いた奉太郎はその
真相を調べることに……が簡単なあらすじ。
小説野性時代に掲載されたあと単行本化されることなくアニメーション化され、
さらにコミカライズ化されたのちようやく単行本化されるという、順番が前後してしまった
珍しい経緯があるエピソードであり、本巻唯一のアニメーション化されているエピソードでもある。
この出来事から数年の時を経て、仲間が遭難する中、気丈にも授業を執り行い、あまつさえ
自身の動揺を悟られまいとヘリコプターに興味があるふりまでした小木の思いを知るとともに、
物事の表面だけを見てすべてを断じるべきではない(これを奉太郎は『無神経』と表現した)と
いうことを読者に突き付けている。
『わたしたちの伝説の一冊』
文化祭の一件(参照:クドリャフカの順番)から漫画研究会は、『読む派』と『描く派』に分裂し、
もはや関係の修復は不可能な状態になっていた。そんな折、摩耶花は『描く派』の浅沼から
部費を流用して同人誌を作り、漫画研究会は漫画を描くところだということを明らかにしようと
持ちかけられる。この企てには田井、西山、針ヶ谷も参加することになっていたが部長の湯原が
引退し、パワーバランスが崩壊するとともに『読む派』の羽仁が新部長に就任、追い詰められた
田井がすべてを吐いてしまったため、摩耶花と浅沼は吊し上げられ、同人誌を完成させたら
『読む派』は退部して新しい部活を立ち上げる、逆なら『描く派』が退部させられるという
条件を呑まされてしまう。そんな中、摩耶花がしたためていたネームを描いたノートが
盗まれてしまい――というストーリー。
純粋に漫画を描きたかっただけだったのが、いつの間にか『読む派』を追い出すことが
目的となってしまったことを通じ、実は本作には「現状維持バイアスにかまけてレベルの低い
ところに居続けると時間や才能を奪われる」という教訓が含まれていることが分かる。
また、実は摩耶花が隠れて努力をして、その結果が少しずつ出つつあるとともに、かつて対立
していた河内亜也子(作中作『ボディトーク』の作者)と「互恵関係」になったのはある意味
救いなのかも知れない。
『長い休日』
日曜日。珍しく体調が良い奉太郎は午後から散歩がてら自宅から適度な距離に位置する
荒楠神社に向かうと、境内で偶然十文字かほと出会い、「えるもいる」と言われるがままに
詰所内にあるかほの部屋に連れて行かれ、えると会う。かほが買い物に行っている間、
えると一緒に神社の清掃をすることになった奉太郎はえるから「やらなくていいことなら、
やらない。やらなければいけないことなら手短に」という考えに至ったのかという質問を
受ける。そこで奉太郎は小学生の時のある出来事を話し始める――というのが序盤の
ストーリー。
小学生の頃の話であるため、周囲から都合の良い存在として使われる程度で済んでは
いるが、実は『氷菓』において周囲によって名目上のリーダーに仕立て上げられ、
スケープゴートにされた関谷純の姿がオーバーラップする。つまり奉太郎は
『省エネ主義』というよりも、他者に自分のリソースを使われることに対し癪に
触ったということになる。
『いまさら翼といわれても』
二年の夏休み初日。摩耶花から奉太郎のもとにえるの居場所を尋ねる電話がかかってくる。
今日市民文化会館で開催される市の合唱祭に参加予定、しかもソロパートがあるえるが
バスで文化会館に到着してからの行方が分からなくなってしまったという。
奉太郎は文化会館に向かうとともに、えるがどこに行ってしまったのか、そしてその理由を
探るべく、考えを巡らせる――というおはなし。
本作を読み終えることで『いまさら翼といわれても』が何を意味しているのかが分かるだけ
でなく、彼女の中で信じ、受け入れていたものが崩壊してしまったというシリーズの重大な
転換点であろう展開から、個人的にはおそらく次に描かれるであろう長編は千反田家の謎と、
えるに『翼』が与えられた理由について迫る話になると勝手に睨んでいる。
2021年12月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アニメ「氷菓」のファンです。普段、小説は、読んでいません。「古典部」シリーズの最新刊である、本書を読んでみました。とても、楽しかった。小説が、こんなに楽しいと思ったのは、すごく久しぶり。登場人物の心を丁寧に描いているので、とても、好きです。いろいろな発見も、ありました。
読むときには、Fireタブレットの、「自動読み上げ(合成音声)」を使用しています。目が疲れないです。読了までの日数は、目で読むときよりも、耳で聞く方が、すごく短いです。あっという間に、読んでしまった。(聴いてしまった。)(オーデイブルは、高いので、いらない。)
読むときには、Fireタブレットの、「自動読み上げ(合成音声)」を使用しています。目が疲れないです。読了までの日数は、目で読むときよりも、耳で聞く方が、すごく短いです。あっという間に、読んでしまった。(聴いてしまった。)(オーデイブルは、高いので、いらない。)
2021年4月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
おもしろすぎる〜何回も読み返したくなる
2016年12月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「箱の中の欠落」「鏡には映らない」「連峰は晴れているか」「私たちの伝説の一冊」「長い休日」そして書名にもなった「今更翼といわれても」の6作からなる古典部シリーズの最新刊。このうち2008年発表の「連峰は晴れているか」はアニメ化されています。他は時期的にも少し離れているので、作中の雰囲気も微妙に違います。初期の作品には折木奉太郎の推理が冴える場面がメインに据えられていましたが、本巻ではむしろそれぞれのキャラクターの内面をテーマにしたエピソードが中心です。結構、伊原摩耶花が活躍するので個人的には満足です。「鏡には映らない」と「私たちの伝説の一冊」では主役を張って謎解きをします。
「鏡には映らない」は彼等の同級生にまつわる過去の謎を解くエピソードですが、結果として折木奉太郎の内面を浮き彫りにする物語でもあります。伊原摩耶花のまっすぐさが偏屈な折木奉太郎の心のうちを照らし出すと言えば当たっているだろうか。
もう一遍、伊原摩耶花メインの「私たちの伝説の一冊」は謎解きは少な目でむしろ人間関係の闇が主題になっています。もともと古典部シリーズには人間関係の闇がスパイスとして効いているのですが、ここでは伊原摩耶花と漫画研究会の関係と決着がテーマなので、いささか、重い。スパイスではなく主題と言って良い。それだけに謎解きよりは終盤のネタ晴らしはむしろ安息と言って良い。ようやく始まる伊原摩耶花の薔薇色の高校生活を暗示している。
最後に書名にもなった「いまさら翼と言われても」です。古典部シリーズは折木奉太郎と千反田えるの不器用な恋物語の側面がありますが、その意味でメインストリームとなるエピソードです。今時、家を継ぐ跡取りとかなかなか実感がわかない人がほとんどだと思うのですが、そこから始まる悲喜劇は古今東西の名作の母体となってきました。ネタバレになるのでたとえ話になりますが、ロミオとジュリエットなんかも大きくみればそんな一面がありますが、ジュリエットの気持ちに焦点を当てたら家と恋とのジレンマは理解しやすいでしょう。そんな話です。だからこそ、古典部シリーズの新展開のプロローグと言えるし、消化不良の感が否めない。
でも、まあ、個人的には千反田えるより伊原摩耶花が好みなので、本巻は満足のいく一冊です。
「鏡には映らない」は彼等の同級生にまつわる過去の謎を解くエピソードですが、結果として折木奉太郎の内面を浮き彫りにする物語でもあります。伊原摩耶花のまっすぐさが偏屈な折木奉太郎の心のうちを照らし出すと言えば当たっているだろうか。
もう一遍、伊原摩耶花メインの「私たちの伝説の一冊」は謎解きは少な目でむしろ人間関係の闇が主題になっています。もともと古典部シリーズには人間関係の闇がスパイスとして効いているのですが、ここでは伊原摩耶花と漫画研究会の関係と決着がテーマなので、いささか、重い。スパイスではなく主題と言って良い。それだけに謎解きよりは終盤のネタ晴らしはむしろ安息と言って良い。ようやく始まる伊原摩耶花の薔薇色の高校生活を暗示している。
最後に書名にもなった「いまさら翼と言われても」です。古典部シリーズは折木奉太郎と千反田えるの不器用な恋物語の側面がありますが、その意味でメインストリームとなるエピソードです。今時、家を継ぐ跡取りとかなかなか実感がわかない人がほとんどだと思うのですが、そこから始まる悲喜劇は古今東西の名作の母体となってきました。ネタバレになるのでたとえ話になりますが、ロミオとジュリエットなんかも大きくみればそんな一面がありますが、ジュリエットの気持ちに焦点を当てたら家と恋とのジレンマは理解しやすいでしょう。そんな話です。だからこそ、古典部シリーズの新展開のプロローグと言えるし、消化不良の感が否めない。
でも、まあ、個人的には千反田えるより伊原摩耶花が好みなので、本巻は満足のいく一冊です。