この本に収められている「私は海をだきしめていたい」は坂口安吾の小説の中でも特に好きな小説です。
主人公の男女は貞操観念がなく受動的に思えるのですが、自分の肉欲の限界を、自分の存在の限界を、「海」という絶対的な存在の前に感じさせるラストの段の美しさにこの小説家の大きさを感じました。
いつまでも忘れることの出来ない物語です。
池内紀さんの解説も素晴らしい!
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肝臓先生 (角川文庫クラシックス さ 2-4) 文庫 – 1997/12/1
坂口 安吾
(著)
戦争まっただなか、どんな患者も肝臓病に診たてたことから“肝臓先生”とあだ名された赤木風雲の滑稽にして実直な人間像を描き出した感動の表題作をはじめ五編を収録。安吾節が冴えわたる異色の短編集。
- 本の長さ253ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日1997/12/1
- ISBN-104041100186
- ISBN-13978-4041100189
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (1997/12/1)
- 発売日 : 1997/12/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 253ページ
- ISBN-10 : 4041100186
- ISBN-13 : 978-4041100189
- Amazon 売れ筋ランキング: - 197,550位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2004年1月14日に日本でレビュー済み
戦中の日本を猛威に襲った流行性肝炎。如何なる病症の患者、全てを委細なく蝕んだ肝臓病と唯一人戦った肝臓医者赤城風雨の伝記的エッセイ。安吾の愛情に満ち溢れた書き口で、海の藻屑と消えた風雨の生き様が克明に記されている。
情熱や愛情に欠いた今の日本には、必読の一冊。
人の為に生きるとはこう言うことだ。
情熱や愛情に欠いた今の日本には、必読の一冊。
人の為に生きるとはこう言うことだ。
2009年2月13日に日本でレビュー済み
『魔の退屈』は安吾の自伝的小説の一つですが、これが中々いいです。
戦争を題材とした小説や随想の中では最も読み易くまとまっていると思います。
『私は海をだきしめていたい』には筋書きらしい筋書きがありませんが、
点在するアフォリズムが中々よろしいです。
「肉慾すらも孤独でありうることを見出した私は、もうこれからは、
幸福を探す必要はなかった。私は甘んじて、不幸を探しもとめればよかった。」
という一節に惚れました。
『ジロリの女』はいかにも安吾さんらしい痴情小説でした。
『行雲流水』はほんのり痴情くさい小話でした。
『肝臓先生』は、「そういうお医者様がいたんだね〜」くらいの感覚で読み流しました。
全体的に、ファン以外の方向けのキャッチーなお話は無いです。
『白痴』『青鬼の褌を洗う女』あたりが気に入った方は手を出しても大丈夫かもしれません。
戦争を題材とした小説や随想の中では最も読み易くまとまっていると思います。
『私は海をだきしめていたい』には筋書きらしい筋書きがありませんが、
点在するアフォリズムが中々よろしいです。
「肉慾すらも孤独でありうることを見出した私は、もうこれからは、
幸福を探す必要はなかった。私は甘んじて、不幸を探しもとめればよかった。」
という一節に惚れました。
『ジロリの女』はいかにも安吾さんらしい痴情小説でした。
『行雲流水』はほんのり痴情くさい小話でした。
『肝臓先生』は、「そういうお医者様がいたんだね〜」くらいの感覚で読み流しました。
全体的に、ファン以外の方向けのキャッチーなお話は無いです。
『白痴』『青鬼の褌を洗う女』あたりが気に入った方は手を出しても大丈夫かもしれません。
2004年8月8日に日本でレビュー済み
私が坂口安吾に飢えている時は、厭世的な気分になっているのが常で、そしてその文章は、作品により程度の差はあれ、決して爽快だとか楽観だとか、一義的な明るいイメージを起こさせるものは少ない。しかしこの作品を読んで感動の余り途中から涙が止まらなくなった。心が本当に弱ったら読み返して、冗談抜きに最後の詩を口ずさんでしまう私。感情をあんまり露にしない私の友人迄、同じことをやっているらしい・・・。私は直截的に励ましを受けるのが煩い質なので余計だが、流行のポジティブシンキング本に身に積まされる痛い部分を指摘されて余計落ち込むよりは、この本を買って読んで欲しい。
2009年9月28日に日本でレビュー済み
坂口安吾の作品はすごく直截的だ。直球勝負で、ぼやかしたり迷うところが感じられない。最初の2作品では、どこに向かっても、誰に対してもその姿勢が変わらないことを必死に主張しているように思える。それが矜持だと感じる。しかし、この作家は怖い。意味なく人におごったりする気持ちを持つ一方で、相手を突き放しているという。人間嫌い。他人との関係が固定的に維持されることを嫌っているのだろうか。それでも肉欲からは離れない。矛盾した寂しがり屋なのかも知れない。
「ジロリの女」が面白い。彼がどういう女を苦手として、どういう女を相手にするのか。そして女のためにどんなに奔走するかという事が克明に描かれている。ある意味、普通の神経では書けない、自虐的に映る作品だ。主人公を女に置き換えたのが、それに続く「行雲流水」と言えようか。最後に食らうお仕置きは作家が深層心理で求めているものなのではないかと穿ってしまう。
解説でも指摘しているが、表題作の「肝臓先生」を作家に重ねるのが一般的な評価のようだが、残念ながら比較対象になっている「ドン・キホーテ」をまだちゃんと読んだことはない。ただ、「信念に基づいた猪突猛進」という意味では適切な例えだと思える。
「ジロリの女」が面白い。彼がどういう女を苦手として、どういう女を相手にするのか。そして女のためにどんなに奔走するかという事が克明に描かれている。ある意味、普通の神経では書けない、自虐的に映る作品だ。主人公を女に置き換えたのが、それに続く「行雲流水」と言えようか。最後に食らうお仕置きは作家が深層心理で求めているものなのではないかと穿ってしまう。
解説でも指摘しているが、表題作の「肝臓先生」を作家に重ねるのが一般的な評価のようだが、残念ながら比較対象になっている「ドン・キホーテ」をまだちゃんと読んだことはない。ただ、「信念に基づいた猪突猛進」という意味では適切な例えだと思える。