問題意識としては面白い。実際、90年代に比べればそういう傾向はあるのだろう。サブタイトルの「彼女たちはなぜ男に求められない?」への回答をまとめるなら、
1.プライドと理想が高くなった。
2.「恋愛」よりも社会性を求める傾向が強くなった。(特定の異性に承認されることより、社会的な承認が重要)
3.男性の側がガツガツ女を求めなくなった。(セクハラなり、「空気を読む」傾向なり)
というところだろう。
ただ、色々と粗の多い本だった。このレビューのタイトルにした「東大の文系の半分が就職できない」は本文の中で何度も登場するが、本当か?
(伝聞で、「2010年ではそうだったと聞く」と書いてあるのが、その後は規定事実であるかのように扱っている)
あとは、東京圏在住の4大卒で、ホワイトカラー+いくらかサービス業の女性、と取材対象がかなり限られている。キャバクラ嬢は最大月収300万で、風俗嬢は150万、と3章の「セックスがお金にならない」で取り上げているが、なんで20代の彼女たちには取材しないのか?
補足しておくと、「男性はセックスより擬似恋愛にお金を落とすから」とキャバクラ嬢のほうが稼げると断言しているが、風俗は1度に1人の相手しかできないが、水商売は1度に複数人の相手をできる、また、高価なシャンパン等を入れるなど客単価を上げる方法がある、客層が違う、などが主な理由だし、「キャバクラ嬢」の半分はOLのアルバイト、というのが実際のところでそんな稼いでるわけでもないのだが、まあいいか。
思うに、著者は根が真面目な人なのだろう。「20代のころセックスできなかった」と少しこじらせたライターが、取材対象の女性たちに過去の自分を投影した本、ってところだ。
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20代女性がセックスしてない 彼女たちはなぜ男に求められない? (角川oneテーマ21 B 153) 新書 – 2011/12/10
杉浦 由美子
(著)
彼氏がいるのにセックスレス。自分の性生活と欲望を抵抗なく語る、ごくごく普通の現代20代女性たち。取材して浮かび上がってきた、彼女たちが考える「社会性」とは……?
- 本の長さ204ページ
- 言語日本語
- 出版社角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日2011/12/10
- ISBN-104041101050
- ISBN-13978-4041101056
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商品の説明
著者について
すぎうらゆみこ●1970年生まれ。ノンフィクションライター。日大卒業後、一般企業に就職。その後派遣社員などを経て、2005年よりライターとして活動。女性の消費やライフスタイルなどを取材。
登録情報
- 出版社 : 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011/12/10)
- 発売日 : 2011/12/10
- 言語 : 日本語
- 新書 : 204ページ
- ISBN-10 : 4041101050
- ISBN-13 : 978-4041101056
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,333,327位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,266位角川新書
- カスタマーレビュー:
著者について
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1970年埼玉県生まれ。日本大学農獣医学部卒業後、OLや派遣社員などとして働いていたが、書評雑誌 『レコレコ(recoreco)』(メタローグ)の『書評道場』へ投稿していた文章が朝日新聞社の編集者の目にとまり、執筆活動を開始。ライターとしては2005年6月、雑誌 『AERA』に掲載された記事「萌える女オタク」がデビュー。『婦人公論』『読売ウィークリー』『VOICE』『文藝春秋』『新潮45』等の雑誌でルポタージュ記事を書く。現在、単著は12冊。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年7月28日に日本でレビュー済み
2013年11月11日に日本でレビュー済み
題材が面白いので買って読んでみたが、
駄目書籍だった。
それぞれの具体例、エピソードも、そこそこ面白いが、
問題提起のメインが何なのかはっきりせず、
また著者の持論がほとんど無く、結論も導き出せていない。
せっかく著者の若い頃との比較も出してくれているが、
比較対象として不適当で、非常にもやもやした。
また文章力も低く、お金を出して読む本ではなかった。
世俗誌の短編の連載を1冊の本にまとめると、こんな結果になりがちで、
時間の無駄だった。
これは著者一人が悪いわけでなく、出版した担当者が頑張らなければならない部分である。
駄目書籍だった。
それぞれの具体例、エピソードも、そこそこ面白いが、
問題提起のメインが何なのかはっきりせず、
また著者の持論がほとんど無く、結論も導き出せていない。
せっかく著者の若い頃との比較も出してくれているが、
比較対象として不適当で、非常にもやもやした。
また文章力も低く、お金を出して読む本ではなかった。
世俗誌の短編の連載を1冊の本にまとめると、こんな結果になりがちで、
時間の無駄だった。
これは著者一人が悪いわけでなく、出版した担当者が頑張らなければならない部分である。
2012年7月22日に日本でレビュー済み
「現代の二十代は男女ともに恋愛至上主義から社会性至上主義へと移行した。」これが本書の最重要指摘ポイントである。恋愛至上主義とは社会的活動全般の内、恋愛を恋愛以外のものに優先させる思想であり、90年代に社会の大勢を占めた。恋愛においても市場原理が導入され、モテ、非モテの階層構造が生み出された。そこにおいては労働市場での成功とは別の次元で恋愛が考えられており、一般に社会的に成功せずとも恋愛市場において勝利をおさめることは可能であった。 一方、社会性至上主義とは恋愛至上主義におけるモテ、非モテ概念が「社会性の有無問題」へと集束していくことで産まれた恋愛における新思想である。社会性とはコミュニケーション能力のことである。社会性=コミュ力の重要性は90年代後半ごろから労働市場において徐々に認められるようになり、企業は学生を採用する際に偏差値や学歴よりもコミュ力を重視するようになった。企業の求めに応じて学生もコミュ力を異常なまでに重要視するようになり、KYという言葉を利用することによってある意味コミュ力万能思想のようなものが産出された。これによって恋愛市場においてもコミュ力の重要性が叫ばれるようになり、いまや長年のモテ、非モテ体制が瓦解しつつある。恋愛においても社会性が問われるようになると、もはや恋愛市場でだけ成功をおさめて他の市場においては守勢に回るというような「つまみ食い的人生」をもはや人は歩めなくなる。恋愛市場において成功するには労働市場において一定の社会性の発揮を求められる。更には恋愛市場における成功も労働市場における成功も実はそれが最終目的ではなく、あくまで社会性が有ることを証明するための手段へと成り下がってしまった。現代の二十代は社会性を実証するためにあらゆる市場を手段としてしか捉えることが出来ず、尚且つ全市場において社会性を発揮することによってのみ得られるであろう成功をおさめるように強いられている。