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合言葉はオヨヨ (角川文庫 緑 382-6) 文庫 – 1974/11/1

4.9 5つ星のうち4.9 6個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ KADOKAWA (1974/11/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1974/11/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 432ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4041382068
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4041382066
  • カスタマーレビュー:
    4.9 5つ星のうち4.9 6個の評価

著者について

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小林 信彦
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2018年5月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この巻だけカバーを無くしてしまっていて。もう諦めていたところでした全巻無事に揃いました。古木良き昭和の景色が目に浮かぶ作品です。特に「きのうのジョー」が大好きです。
2012年3月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「エンタの生き字引」、「テレビ創世記の語り部」として知られる小林信彦氏は同時に、様々な文章技法を駆使した様々な形式の小説を世に送り出してきた。氏の小説はその実験的意欲の旺盛さ故に、その出来不出来にいささかのムラがあるように感じるのは筆者だけであろうか。氏の得意分野の一つと言えるライト感覚のエンターテインメント小説の中でも、「超人探偵」シリーズなどは笑いの取り方が強引すぎ興醒めしたし、「唐獅子もの」も笑いの釉薬ののりの悪さを拭いきれない。その中で「オヨヨもの」は小林風の「笑いの悪のり」の釉薬が、作品の作り出す世界に上手くしみこんで焼き上がった氏の代表作であろう。「オヨヨもの」の中で従来より最も世評が高いのは『大統領の晩餐』であるが、今回この『合言葉はオヨヨ』を再読してみて、この作品が『晩餐』に劣らぬ極上のエンターテインメントとしてのみずみずしさをもっていることを確認したのは、筆者にとって大きな収穫だった。『晩餐』や『大統領の密使』が専ら70年代の東京を舞台に繰り広げられる「お宝の争奪戦」(これ自体はよく指摘されるようにアクション・アドベンチャー小説の定石だが)を骨組みに、高度経済成長で変貌を遂げつつある東京風俗を点描しながら、そこに氏お得意の蘊蓄を盛り込みつつ濃密な小説世界が構築される(この点小林氏の高度経済成長による「東京殺し」批判にもかかわらずこれらの小説は、それ自体黄金の70年代への「三丁目の夕日」的ノスタルジーの素材として現代の若い読者を引きつけるものがあろう)のに対して、『合言葉』では香港取材を下地に物語の組んずほぐれつがより広い空間で展開される。
 作品は三つの大きな「幕」によって構成されている。第一幕では食通として知られる筆者の「美食の都」香港取材が実によく活用され、それ自体「英領香港」の魅力的観光案内になっている。最先端の高楼大廈と廟街や九龍城に代表されるチープかつ怪奇な迷宮が交錯する混沌こそ、返還前のこの東洋の真珠の魅力であった。読んでいるだけでも中華料理屋に駆け込みたくなる程おいしそうな食事のシーン(特にアバディーンの水上レストランのエビ定食!)を背景に、お馴染み狂言回しのテレビ・プロデューサー細井忠邦(凄みとドタバタを同時に演じなければならないこの役は、成田三樹夫でなければ演じられない)に、中国的茫洋さとこすっからさと育ちの良さを同居させた楊警部補(バブル期によくテレビに出ていたチューヤンというタレントを思い浮かべる)、現代版木枯らし紋次郎−麻薬捜査官黒田、彼が悪のりすればするほど世界がスラープスティック化していく変な小説家安田などがからむ中、ホテルの細井の部屋で怪死した中国美女の謎をめぐって物語は発端する。 第二幕では、事件の背後に香港を牛耳る三元会=オヨヨ大統領による大規模な麻薬取引の計画が隠されているのを知った細井たちが、南シナ海を舞台に大統領の貨物船を追う段である。「オヨヨもの」の真の主役である怪人オヨヨ大統領−過日刊行された岡田斗司夫の『世界征服は可能か』という本が、オヨヨ大統領の存在の可笑しさがどこにあるのかという、筆者が子供の頃から抱えていた疑問を氷解させてくれた。「世界征服」は簡単に言えば面倒なばかりで割に合わない事業なのである。こんなばかばかしい事業の遂行のために、世にも恐ろしい狡知の限りを尽くしているところにショッカーやナゾーの正統な後継者たるオヨヨ大統領の真骨頂はある。ともあれ大統領の貨物船を追うシーンは、舞台が南シナ海ということもあり、スペイン語と中国語と英語が混じり合ったパイレーツ・オブ・カリビアンを思わせるクレオール的状況を堪能することができる。
 第三幕で舞台は日本に転じる。大統領と細井たちの追いかけっこは神戸−東京−釧路と港めぐりを繰り返し、ついには広大な北海道の原野を舞台とするカーチェイスへと雪崩れ込んだ。その間に宍戸錠を彷彿とされる流れ者の用心棒「きのうのジョー」やピンクパンサーのドレフェスとクルーゾーのパロディとも言える鬼面警部と旦那刑事のコンビなど、「オヨヨもの」の常連たちも顔をそろえ(『晩餐』以来の旦那刑事の行動のデタラメさが記念碑的頂点をむかえるのが、本作の伊丹空港に向かうタクシーのくだりだ。だが彼こそ実は、オヨヨ世界を構築する「機械仕掛けの神」なのではないか)、物語は終末へと加速していく。そこで明かされる追跡劇の驚愕の?真実。争奪戦の的となったブツの真の運び手は…。そして長い追撃戦の果てホームズとモーアリティーさながら深夜のオホーツクの流氷の中に姿を消す細井とオヨヨ。
 日本人が海外を知るのが未だ困難で、『どくとるマンボウ航海記』が大好評を博した70年代初頭。憧れの魔都香港の香りを満喫しつつ小気味良いテンポで展開するストーリーに身を委ねるのは心地良い体験だったに違いない。だが小林氏のこの仕事が時代を映す鏡として完璧の域に達した結果、40年後の今日もなお物語は古びることなく、失われた「海外旅行」の世界へと遡る時間旅行の格好のツールとして新たな輝きにに包まれはじめているように感じるのは評者だけであろうか。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2010年2月1日に日本でレビュー済み
今までの流れであるならば、パロディあり、ナンセンスギャグあり、推理小説風のミステリー仕立てあり、という作風であったのに対し、今作はもちろんその流れを踏襲しているのですが、ややシリアス、そしてトリックに重きを置いているように感じさせます。そして冒険活劇のようになっているのです。

テレビプロデューサーの細井は中国返還前の香港に仕事帰りに立ち寄ります。そこで推理作家の安田に出会うのですが、安田と出会って今まで非常に不運が重なった経験を持つ細井はその不運をまた予感します。そしてその不運は当たってしまうのです。ホテルに帰るとドアに鍵がかかっていて、さらにチェーンまでも施錠してある密室になっています。不安を感じた細井はそのチェーンを壊して中に入ったのですが、浴槽には女の死体と凶器が。またその凶器に安田を触ってしまい、偽装工作を行おうとするのですが、警察に踏み込まれ身柄を拘束されます。香港警察の楊(ヤン、と読む)は身柄を拘束しながらも、細井にある組織との対決に強力するように迫ります。もちろんその組織はあの「オヨヨ大統領」の息がかかっているのですが...

密室トリック、輸送のトリック等のミステリ仕立ての部分、楊警部のキャラクター、そしてパロディもいつも通り冴えていて、面白く感じましたし、ストーリーの動きが非常にダイナミックになっていて(パロディとしてでなく)ハラハラドキドキさせます。が、妙に今までよりシリアスなのです。ちゃんとオヨヨ大統領が悪人になって来ているのです。恐らく、これから続く次への布石なのでしょうし、大きな「オヨヨ大統領」シリーズの完結へ向けての流れなんだと思います。任侠映画のトリビアル、時々挟まれる読者への語りかけ、食に関する話しなど、どれも楽しく面白かったです。

オヨヨ大統領シリーズが好きな方に、古びないポストモダンな物語が好きな方にオススメ致します。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2009年8月15日に日本でレビュー済み
「オヨヨ大統領」シリーズ第六作。本シリーズは当初子供向けにスタートしたが、一転、本作のような大人向けのエンターテインメントとなった。映画・音楽を中心とするパロディ・地口の洪水の中で、作者の本格指向が活かされている点が特徴である。

御馴染みのプロデューサ細井が香港のホテルの密室状態の自室で女性の死体を発見するのが発端。細井の連れの悪ノリ推理作家の安田、「毛沢東語録」命の楊警部補、"木枯らし紋次郎"を模したヤクザの黒田、黒田の組と敵対する<三元会>。被害者は楊の恋人の刑事で、事件は麻薬密輸絡みらしい。そして、<三元会>の裏には"オヨヨ"の影が...。設定は充分である。密室を貶しておきながら、章の題名にカーの作品名を付ける等、分かる人にしか分からない趣向を凝らしているのも洒脱。小刻みなギャグも心地良い。舞台はマカオに移って、黒田の未亡人キャシー(安田の憧れの的)、楊の部下李、殺し屋<きのうのジョー>と登場人物が増える。更に、<三元会>の二隻の船を追って、南シナ界での海賊騒ぎ。後方の一隻に乗り込んだ李は血反吐を吐いて倒れるが、安田は完全に夢想の中で捕われの身。赤木圭一郎まで出す作者の執念は凄まじい。そして、全員が神戸へ向かうが、楊と接触したのは何と鬼面警部と旦那刑事。オールスター出演である。旦那の暴走ぶりは相変わらず。"オヨヨ"の真意も登場人物達の役割も不明のまま、横浜から釧路、網走(!)へと追走劇が続く...。亜熱帯から寒帯への壮大な追走劇である。雪と氷の中での最終対決の行方は ?

"オヨヨ"(=作者)の構想は皮肉が効いている。軽快なサスペンス・コメディの中、作者の本格味がピリリと光る快作。
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