1978年から1984年（昭和59年）にかけて、『野性時代』ほかに掲載された岸田今日子さんの掌篇集。全部で25篇、収録されてます。
時に残酷、時にエロティック、時に不思議な味わいの幻想的な掌篇たち。
蛤（はまぐり）が気を吐いて、それがぼわぼわあっと空中に漂い、流れていく‥‥そういう、蜃気楼めいたお話に耳を傾けているみたいな、なんともいえないユニークな妙味がありました。著者が話を紡いでいく、その自由奔放な空想の羽ばたきに魅惑されました。
本書収録の一篇、「暖炉の前できいた話」を収めたアンソロジー、江坂 遊さんが編んだ『猫の扉 猫ショートショート傑作選』（扶桑社文庫）の中で出会って「おっ！ なんて不思議な味わいなんだろう」となり、それで図書館から借りてきて読んでみた岸田今日子さんの掌篇集。
思いがけない掘り出し物を見つけた気持ち。
読んでみて、良かったです。
25の収録作品は、次のとおり。
📽️ ジャングル・ジム
📽️ 繃帯（ほうたい）
📽️ あしおと
📽️ 里芋畑を抜けて‥‥
📽️ ミスターヴラッドの鋏（はさみ）
📽️ 冬休みに あった人
📽️ おとといの‥‥
📽️ キタキツネ物語
📽️ 北海道の鳥
📽️ 鏡
📽️ セニスィエンタの家
📽️ 白の絹糸
📽️ 始発の乗客
📽️ 手
📽️ Jの悲劇
📽️ 年譜
📽️ 暖炉の前できいた話
📽️ ピエロの恋
📽️ 転校生
📽️ みにくいあひるの子
📽️ 魔術師
📽️ 林の中の家
📽️ 女のためいき
📽️ 再会
📽️ ラストシーン
なかでも、「面白いな」「これ、いいな」と気に入ったのは、次の六つのお話。
「あしおと」「冬休みに あった人」「北海道の鳥」「セニスィエンタの家」「暖炉の前できいた話」「林の中の家」。
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