ミステリ作家で鉄道ファンでもある有栖川有栖氏が、海外国内の作品から、これは!というものを収集されたアンソロジーです。ミステリというジャンルにこだわらず、様々な種類の作品が集められています。
オースチン・フリーマン「青いスパンコール」や、ウィリアム・アイリッシュ「高架殺人」はミステリの古典ですが、他には、犯人が真相を語る倒叙ものである雨宮雨彦「泥棒」や、漫画の西岸良平「江ノ電沿線殺人事件」、ショートショートの江坂遊「0号車」「臨時列車」「魔法」、ミステリ・イベントの脚本「箱の中の殺意」などなどが収められています。
個人的に気に入ったのは、ヴィクトリア時代の香気漂うほぼ怪奇小説であるアメリア・B.エドワーズ「4時15分発急行列車」、摩訶不思議な幻想小説ともいうべきフィリップ・K.ディック「地図にない町」、地下鉄に乗るのがちょっと怖くなりそうなパラレルワールドもの、A.J.ドイッチュ「メビウスという名の地下鉄」、そして、英文学者で鉄道ファンでもある小池滋氏のエッセイ「田園を憂鬱にした汽車の音は何か」は明治の作家佐藤春夫の小説に登場する鉄道の音はいったいどの路線から聞こえてくるのか?なぜなら当時、そのあたりに鉄道は敷かれていなかったから、というちょっとした謎を推理する知的遊戯で、なかなかおもしろいかったです。
それぞれの作品に好みはあると思いますが、未知の作家や作品を知ることができるというアンソロジーならではの良さがあり、結構楽しめました。それにしても有栖川氏が本当に鉄道好きだということが伝わってくるような作品集です。いつも思うのですが、好きなことを仕事にできて、幸せな人だなあとこちらの顔までほころんでくるのでした(笑)。
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有栖川有栖の鉄道ミステリ・ライブラリー (角川文庫 あ 26-7) 文庫 – 2004/10/1
青いスパンコール,地図にない町,メビウスという名の地下鉄,高架殺人 他
- 本の長さ391ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2004/10/1
- ISBN-10404191308X
- ISBN-13978-4041913086
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2004/10/1)
- 発売日 : 2004/10/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 391ページ
- ISBN-10 : 404191308X
- ISBN-13 : 978-4041913086
- Amazon 売れ筋ランキング: - 969,691位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1959年、大阪生まれ。1989年、『月光ゲーム』で鮮烈なデビューを飾る。以後、精力的に作品を発表し、2003年『マレー鉄道の謎』で第56回日本 推理作家協会賞を受賞。2008年には『女王国の城』で第8回本格ミステリ大賞を受賞した。精緻なロジックを積み重ね、構築した世界そのものをひっくり返 してみせる鮮やかな手腕と、物語性豊かなその作品は、世代を問わず常に読み手を魅了しつづけている(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 闇の喇叭 (ISBN-13: 978-4652086353 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年4月18日に日本でレビュー済み
オースチン・フリーマン「青いスパンコール」、フィリップ・K.ディック「地図にない町」、A.J.ドイッチュ「メビウスという名の地下鉄」、ウィリアム・アイリッシュ「高架殺人」、アメリア・B.エドワーズ「4時15分発急行列車」、雨宮雨彦「泥棒」、西岸良平「江ノ電沿線殺人事件」、江坂遊「0号車」「臨時列車」「魔法」、小池滋「田園を憂鬱にした汽車の音は何か」、上田信彦・有栖川有栖「箱の中の殺意」の12篇を収めたアンソロジーだ。
古典的なミステリから、「地図にない町」のようなファンタジー、なんとも分類のしようのない「メビウスという名の地下鉄」、怪奇小説の「4時15分発急行列車」、漫画「江ノ電沿線殺人事件」、随筆「田園を憂鬱にした汽車の音は何か」とバラエティ豊かな内容だ。「箱の中の殺意」は1999年に実際に行われた推理イベントの脚本。
鉄道ミステリの幅広さを楽しめる一冊だ。
古典的なミステリから、「地図にない町」のようなファンタジー、なんとも分類のしようのない「メビウスという名の地下鉄」、怪奇小説の「4時15分発急行列車」、漫画「江ノ電沿線殺人事件」、随筆「田園を憂鬱にした汽車の音は何か」とバラエティ豊かな内容だ。「箱の中の殺意」は1999年に実際に行われた推理イベントの脚本。
鉄道ミステリの幅広さを楽しめる一冊だ。
2008年9月2日に日本でレビュー済み
よくある鉄道ミステリーのように、
旅情を煽るようなものではないけれども、
なるほどと思わせる作品が多く収められていて、
一概に鉄道ミステリーと言ってもいろいろな手法があるのだなと感じた。
海外鉄道ミステリーは古さや地名等の点で、
日本人にあまり馴染みがないためとっつき難いかもしれないが、
とても面白く読めた。
ただ、最後の作品は私がイヴェントに行っていないからなのかもしれないが、
少しわかりにくかった。
著者らの意義は大変認めるところではあるけれども、
消化不良だった感は否めない。
只、どの作品も大変興味深く読むことができた。
旅情を煽るようなものではないけれども、
なるほどと思わせる作品が多く収められていて、
一概に鉄道ミステリーと言ってもいろいろな手法があるのだなと感じた。
海外鉄道ミステリーは古さや地名等の点で、
日本人にあまり馴染みがないためとっつき難いかもしれないが、
とても面白く読めた。
ただ、最後の作品は私がイヴェントに行っていないからなのかもしれないが、
少しわかりにくかった。
著者らの意義は大変認めるところではあるけれども、
消化不良だった感は否めない。
只、どの作品も大変興味深く読むことができた。
2006年9月6日に日本でレビュー済み
『青いスパンコール』のような鉄道を扱ったミステリ小説ばかりでない、
バラエティに富んだアンソロジーで、なかなか面白い構成であった。
特に、『田園の憂鬱』(佐藤春夫)の主人公を悩ませた音の謎解きをする
鉄道に関するエッセイの『田園を憂鬱にした汽車の音は何か』(小池滋)や
江ノ電を用いた殺人を描いた漫画『江ノ電沿線殺人事件』(西岸良平)は楽しめた。
ただし、巻末のミステリ・イベントを再現した『箱の中の殺意』は
色々な仕掛けが凝ったイベントの雰囲気は味わえたものの、
残念ながら、ストーリー展開や謎解きがいまひとつな感じがした。
バラエティに富んだアンソロジーで、なかなか面白い構成であった。
特に、『田園の憂鬱』(佐藤春夫)の主人公を悩ませた音の謎解きをする
鉄道に関するエッセイの『田園を憂鬱にした汽車の音は何か』(小池滋)や
江ノ電を用いた殺人を描いた漫画『江ノ電沿線殺人事件』(西岸良平)は楽しめた。
ただし、巻末のミステリ・イベントを再現した『箱の中の殺意』は
色々な仕掛けが凝ったイベントの雰囲気は味わえたものの、
残念ながら、ストーリー展開や謎解きがいまひとつな感じがした。