コレットやボリス・ヴィアンのことをぼんやり考えていたら、無性にコクトーが読みたくなり、本棚を探してみると、角川文庫と岩波文庫の「恐るべき子どもたち」が出てきました。どちらかを読んだはずですが、どちらだったかどうしても思い出せなくて、とりあえず少しページ数の多い角川文庫を読みました。
コクトーの認識が詩人から始まっているためもあると思いますが、あらすじよりも、その密室的な「秘密の部屋」から他の作品や個人的な思い出に「出かける」ことを繰り返したり、「最大の簡潔。」といったフレーズを拾いあげることに執心して、解説と年譜を入れても170ページ程度であるにもかかわらず、読み終わるのに2週間近くかかってしまいました。しかし、半世紀生きてきて、一週間や一年が呆れるほど短く感じてしまう昨今、一日一日がいまよりずっと長かった子ども時代を思い出すよすがにもなったように思います。
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怖るべき子供たち (角川文庫 (コ2-1)) 文庫 – 1992/12/17
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未開なそして新鮮な、善悪を識別することの出来ない子供たちの本体は、ちょうど阿片の場合に似ている。同性愛、盗み、虚偽、毒薬、百万の富を濫費する無目的な混乱の中に子供達の官能が露出している。
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未開なそして新鮮な、善悪を識別することの出来ない子供たちの本体は、ちょうど阿片の場合に似ている。同性愛、盗み、虚偽、毒薬、百万の富を濫費する無目的な混乱の中に子供達の官能が露出している。
- 本の長さ174ページ
- 言語日本語
- 出版社角川書店
- 発売日1992/12/17
- ISBN-104042047017
- ISBN-13978-4042047018
登録情報
- 出版社 : 角川書店; 改版 (1992/12/17)
- 発売日 : 1992/12/17
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 174ページ
- ISBN-10 : 4042047017
- ISBN-13 : 978-4042047018
- Amazon 売れ筋ランキング: - 704,295位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,083位フランス文学 (本)
- - 11,398位角川文庫
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年7月1日に日本でレビュー済み
【世界で、最も美しい小説のひとつに数えられる作品】
コクトオが描く世界は「白」と「黒」。
サイレンと血の「赤」は鮮烈なまでに心に映りその余韻が影を落とす。
混沌とした少年期の男女は善悪の区別無く、体だけが大人になっていく。
ポールとエリザベートの心を象徴するような
雑然とした部屋があまりに美しくて眩暈がします。
読み終えたあとの恍惚感が一週間も消えずにいました。
新しく装丁され、手に届きやすくなった本作は、
文学史に載らない秀作であり、問題作。
コクトオが描く世界は「白」と「黒」。
サイレンと血の「赤」は鮮烈なまでに心に映りその余韻が影を落とす。
混沌とした少年期の男女は善悪の区別無く、体だけが大人になっていく。
ポールとエリザベートの心を象徴するような
雑然とした部屋があまりに美しくて眩暈がします。
読み終えたあとの恍惚感が一週間も消えずにいました。
新しく装丁され、手に届きやすくなった本作は、
文学史に載らない秀作であり、問題作。
2013年10月18日に日本でレビュー済み
これは訳が古いですね。
東郷青児さんは高名な画家ですが、昔はこういう方が翻訳をされていたのかと逆に驚きました。
正直、翻訳調という感じでわかりにくい。
というか、こちらの教養、読解力が低いのか。昔の方はすごいなと改めて思った次第です。
でも、実際意味が通らない文章もあるんですよね...。
使っている言葉は美しいので格調高さ素晴らしいなと思うんですが。
翻訳って、やはり訳者の文章構成力が出ますね。
異論はあると思いますが、光文社古典新訳文庫で読むと今度は内容がしっかり頭に入ってきました。
ドストエフスキーなども翻訳を変えるとするっと頭に入ってくるので、読む側の力量もあるんでしょう...。
小説自体は、世紀末的な雰囲気を醸して素晴らしいものであると思います。
東郷青児さんは高名な画家ですが、昔はこういう方が翻訳をされていたのかと逆に驚きました。
正直、翻訳調という感じでわかりにくい。
というか、こちらの教養、読解力が低いのか。昔の方はすごいなと改めて思った次第です。
でも、実際意味が通らない文章もあるんですよね...。
使っている言葉は美しいので格調高さ素晴らしいなと思うんですが。
翻訳って、やはり訳者の文章構成力が出ますね。
異論はあると思いますが、光文社古典新訳文庫で読むと今度は内容がしっかり頭に入ってきました。
ドストエフスキーなども翻訳を変えるとするっと頭に入ってくるので、読む側の力量もあるんでしょう...。
小説自体は、世紀末的な雰囲気を醸して素晴らしいものであると思います。
2015年5月11日に日本でレビュー済み
コクトーのエッセイはえらく難解で回りくどく苦手なのですが、この小説は詩的な表現を好むコクトーが畏怖を込めて若い世代の危うさも含んだ輝きをスケッチしていると思います。何かの折にこの小説のモデルになった姉弟の写真を見たのですが、純粋で衝動的な危うさを秘めた美しい姉と、繊細でロマンチスト的な傾向の弟、そしてその知人のどちらかというと現実主義的な子供、というのは個人的な感想ですが、現代においてもゲームや映画・アートへのインスピレーションを与え続けていると思います。これを発表した頃のコクトーの写真も素敵な印象ですね
2013年4月15日に日本でレビュー済み
子供たちというからには幼い10歳以下の子供が出てくるのかと思っていました。
実際には十代半ばから後半にかけての物語でした。
社会から孤立して自分たちの部屋だけで過ごすエリザベスとポールの姉弟。
ポールが引きこもるようになったきっかけは彼の憧れの存在だったダルジェロに雪玉をぶつけられて失神したことだった。
それに母親の病死があって二人は罵り合いながら混沌とした部屋の中でのみ生きている。
そのポールに惹かれて部屋に入り浸るようになるジェラールは、姉弟の無邪気とは言い難い遊びに付き合わされていた。
テーブルの下で蹴りあいながらすました顔をしているのはともかく、万引きやその他の悪戯はまさに怖るべき子供たちの姿だった。
子供の世界を抜け出すきっかけになっただろうエリザベスの結婚は、夫の事故死でより彼らを社会から孤立させるだけに終わった。
ポールに惹かれて仲間に入ったアガートと、ダルジェロの姿をアガートに見たポールの間はお互いに見るだけで満足していたため進展しない。
そしてエリザベスはポールが自分たちの世界から抜け出していくことを許せず、ジェラールとアガートを結婚させてしまった。
すべてが破綻したとき、ダルジェロが届けてよこした黒い玉が登場する。
姉と弟はふたりだけの世界へと旅立っていった。
白い雪玉、赤い部屋、そして黒い玉。
色のイメージが強く残る小説だった。
実際には十代半ばから後半にかけての物語でした。
社会から孤立して自分たちの部屋だけで過ごすエリザベスとポールの姉弟。
ポールが引きこもるようになったきっかけは彼の憧れの存在だったダルジェロに雪玉をぶつけられて失神したことだった。
それに母親の病死があって二人は罵り合いながら混沌とした部屋の中でのみ生きている。
そのポールに惹かれて部屋に入り浸るようになるジェラールは、姉弟の無邪気とは言い難い遊びに付き合わされていた。
テーブルの下で蹴りあいながらすました顔をしているのはともかく、万引きやその他の悪戯はまさに怖るべき子供たちの姿だった。
子供の世界を抜け出すきっかけになっただろうエリザベスの結婚は、夫の事故死でより彼らを社会から孤立させるだけに終わった。
ポールに惹かれて仲間に入ったアガートと、ダルジェロの姿をアガートに見たポールの間はお互いに見るだけで満足していたため進展しない。
そしてエリザベスはポールが自分たちの世界から抜け出していくことを許せず、ジェラールとアガートを結婚させてしまった。
すべてが破綻したとき、ダルジェロが届けてよこした黒い玉が登場する。
姉と弟はふたりだけの世界へと旅立っていった。
白い雪玉、赤い部屋、そして黒い玉。
色のイメージが強く残る小説だった。
2009年7月3日に日本でレビュー済み
角川文庫による松山ケンイチさんカヴァーの、ジャン・コクトー『怖るべき子供たち』(2009年度)。
何故、昔の作品、そしたまた、外国の作品(訳されたもの)は、こんなにも難解で面倒な言い回しが多いのでしょうか? ジャン・コクトーの作品だから、こういう難解さが目立つのか、それとも…。…。
『同性愛』とありますが、わたし個人としては、これは、同性愛というくくりではなく…
“敬愛”というか、なんというか…“憧れ”というか…
ダルジュロそのものに恋をしていたわけではなく、彼の、その、かおかたちというか、そういった外見上のなにかに惹かれていたのであって…なんだか、違う気がしました。うまく言えないのがもどかしい。
『無垢』とは、『無知』とは、『愛』とは、恐るべきものである。
そう感ぜられた作品でした。
何故、昔の作品、そしたまた、外国の作品(訳されたもの)は、こんなにも難解で面倒な言い回しが多いのでしょうか? ジャン・コクトーの作品だから、こういう難解さが目立つのか、それとも…。…。
『同性愛』とありますが、わたし個人としては、これは、同性愛というくくりではなく…
“敬愛”というか、なんというか…“憧れ”というか…
ダルジュロそのものに恋をしていたわけではなく、彼の、その、かおかたちというか、そういった外見上のなにかに惹かれていたのであって…なんだか、違う気がしました。うまく言えないのがもどかしい。
『無垢』とは、『無知』とは、『愛』とは、恐るべきものである。
そう感ぜられた作品でした。
2010年4月24日に日本でレビュー済み
装丁に惹かれて手にした一冊。
そこには、混乱・無秩序・歪んだ愛などに溢れたモノクロの世界が存在し、近づこうとする者を遠ざける。
他の方が書かれていたように、翻訳された文章の中には読みづらい部分もありますが、それも彼らが存在する「部屋」の一部分なのでしょうか?
読みながら、最近多い子供の虐待のニュースを思い出しました。
現代の日本にも、あるいは人の心の中にも、「部屋」は扉を閉ざしたまま、密かに存在しているのかもしれません。
そこには、混乱・無秩序・歪んだ愛などに溢れたモノクロの世界が存在し、近づこうとする者を遠ざける。
他の方が書かれていたように、翻訳された文章の中には読みづらい部分もありますが、それも彼らが存在する「部屋」の一部分なのでしょうか?
読みながら、最近多い子供の虐待のニュースを思い出しました。
現代の日本にも、あるいは人の心の中にも、「部屋」は扉を閉ざしたまま、密かに存在しているのかもしれません。
2005年5月10日に日本でレビュー済み
作品については今更論ずるのも憚られるほどのものだが、東郷青児の翻訳はあまり良くないように思う。例えば「一人のエリザベートという犯人が彼らを会話から浮かんできた」(P.143)という表現は、どう読んでみても意味不明だ。で、結構そういうのが多い。コクトーの原文はフランス語で、私はフランス語が読めないのでそのあたりを論ずる資格はないのだが、原文を忠実に訳すとこうなるのだろうか。ポールとエリザベートは近親相姦的関係にあると思うが、この作品はイアン・マキューアンの「セメントガーデン」に連なる精神を内包している。