もうほとんど忘れていたので、新鮮な喜びを得ることができました。主人公のティム・ケアリーは、どじなチンピラのはずが、実は海兵隊で勲章をもらった英雄で、銃撃戦となれば結構無双状態です。子供を連れての逃亡劇という設定はありがちですが、さすがにこの作者は飽きさせません。
この作品の後日譚が、中編「パラダイス」で、さらにその後日譚が(出版は早いけど)「紳士の黙約」になります。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ボビーZの気怠く優雅な人生 (角川文庫 ウ 13-1) 文庫 – 1999/5/21
伝説的な麻薬ディーラー、ボビーZが死んだ。ボビーを麻薬王ドン・ウェルテロとの秘密取引の条件にするつもりだった麻薬取締局は困り果てる。そこへ服役中の泥棒ティムがボビーZに生き写しと判明し……。
- 本の長さ325ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日1999/5/21
- ISBN-104042823017
- ISBN-13978-4042823018
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (1999/5/21)
- 発売日 : 1999/5/21
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 325ページ
- ISBN-10 : 4042823017
- ISBN-13 : 978-4042823018
- Amazon 売れ筋ランキング: - 597,243位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年9月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年10月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
新品に近い綺麗な中古本で、ウィンズロウならではの内容で期待通り、大変気に入りました。
2021年2月12日に日本でレビュー済み
ボビーZに扮したティムは、①北メキシコの麻薬王に追われ、②カリフォルニアのメキシカン・マフィアに追われ、ティムとして③ヘルズ・エンジェルに追われ、④麻薬取締局のグルーザにまで追われる羽目になる。まさに絶体絶命。
300頁余りの長さしかないのに、豪快な詰め込み具合である。
これに対するティムは、掛け値なしに学のないコソ泥にすぎない。
一時期海兵隊員としてクウェートに派遣され、一度は英雄的行為で勲章を貰ったことがあるというのが、この絶対的窮地から抜け出すのに役立つかもしれないスキルである。
兵隊経験とは言っても一般兵で、特殊部隊でもないのにそんな戦術を考えたりトラップをしかけたりする技能なんて、身につかないでしょと思わないでもないが、デッドウェイトを抱えながらなかなか頑張って逃走する。
しかしそれだけでは生き残るにまったくの不十分。
あとは結局、敵同士の潰しあい。
つまり著者のプロットの妙である。
ここは『用心棒』を思い起こすところだが、ティムは三船敏郎と違って、計画して敵同士を克ち合わせるわけではない。
ずるがしこい奴等ゆえに疑心暗鬼に襲われ、必要以上の手を打った挙句、タイミングが悪くて自ら破滅するといった感じか。
まぁ特に隠す必要はないだろうから書いてしまうが、最終的にティムが生き残るのは、彼の能力というわけではなく、著者たる神の贔屓の賜物ということ。
しかしそこが徹底されているわけではなくて、ティムはそこそこの、いやかなりの戦闘能力があるし、人を殺すのは好かないとしながらもそこそこ殺しもしている。そこが若干の中途半端に感じた。
そんな感覚があるので、②が雇ったスナイパーとティムに過去にの縁があるというせっかくの設定が何の触媒にもならないという事まで、すれ違いの妙とは思わずに中途半端に感じた。もう要らんやん。そんな設定。
グルーザの隠し玉については、プロットの根幹からして、そらそー来るでしょと驚きはしなかったし。
まぁ頁を繰らせる力は十分で、あっという間に読み終わったのだが、今ひとつ夢中になれなかった所以である。
夢中になれなかったのは、別の要因かもしれない。
本作も軽快な語り口である。ニール・ケアリーシリーズの終盤のようなおふざけではないので、それはもちろん売りにもなるのだが、登場人物のほとんどが人殺しOKな奴等の抗争なので、ユーモラスな活劇と楽しむには、血なまぐさく死体が多い。
個人的に、ユーモアミステリでの殺人さえ、若干感覚のズレを感じてしまうのでなおさら。
時代劇やファンタジーなら、ばっさばっさ敵が屠られてもおそらく流せるので、自分との距離感が近くなる現代劇において大量殺人+軽快な語り口の組み合わせが肌が合わないのだろう。
決して本作はふざけているわけではないのだが。
300頁余りの長さしかないのに、豪快な詰め込み具合である。
これに対するティムは、掛け値なしに学のないコソ泥にすぎない。
一時期海兵隊員としてクウェートに派遣され、一度は英雄的行為で勲章を貰ったことがあるというのが、この絶対的窮地から抜け出すのに役立つかもしれないスキルである。
兵隊経験とは言っても一般兵で、特殊部隊でもないのにそんな戦術を考えたりトラップをしかけたりする技能なんて、身につかないでしょと思わないでもないが、デッドウェイトを抱えながらなかなか頑張って逃走する。
しかしそれだけでは生き残るにまったくの不十分。
あとは結局、敵同士の潰しあい。
つまり著者のプロットの妙である。
ここは『用心棒』を思い起こすところだが、ティムは三船敏郎と違って、計画して敵同士を克ち合わせるわけではない。
ずるがしこい奴等ゆえに疑心暗鬼に襲われ、必要以上の手を打った挙句、タイミングが悪くて自ら破滅するといった感じか。
まぁ特に隠す必要はないだろうから書いてしまうが、最終的にティムが生き残るのは、彼の能力というわけではなく、著者たる神の贔屓の賜物ということ。
しかしそこが徹底されているわけではなくて、ティムはそこそこの、いやかなりの戦闘能力があるし、人を殺すのは好かないとしながらもそこそこ殺しもしている。そこが若干の中途半端に感じた。
そんな感覚があるので、②が雇ったスナイパーとティムに過去にの縁があるというせっかくの設定が何の触媒にもならないという事まで、すれ違いの妙とは思わずに中途半端に感じた。もう要らんやん。そんな設定。
グルーザの隠し玉については、プロットの根幹からして、そらそー来るでしょと驚きはしなかったし。
まぁ頁を繰らせる力は十分で、あっという間に読み終わったのだが、今ひとつ夢中になれなかった所以である。
夢中になれなかったのは、別の要因かもしれない。
本作も軽快な語り口である。ニール・ケアリーシリーズの終盤のようなおふざけではないので、それはもちろん売りにもなるのだが、登場人物のほとんどが人殺しOKな奴等の抗争なので、ユーモラスな活劇と楽しむには、血なまぐさく死体が多い。
個人的に、ユーモアミステリでの殺人さえ、若干感覚のズレを感じてしまうのでなおさら。
時代劇やファンタジーなら、ばっさばっさ敵が屠られてもおそらく流せるので、自分との距離感が近くなる現代劇において大量殺人+軽快な語り口の組み合わせが肌が合わないのだろう。
決して本作はふざけているわけではないのだが。
2008年10月25日に日本でレビュー済み
作品の持つ話運びのテンポの良さと、無駄がなく強弱の効いたリズムのいい文章が好き。
伝説的なサーファー、麻薬王、海兵隊あがりの泥棒、替え玉、ミステリアスな女−。
下手な人が扱うと、陳腐になりがちな設定も、ウィンズロウの手にかかると、最高に格好良い西海岸の舞台が見えてくるからさすが。
最初から最後まで興奮して読みました。
お気に入りの1冊です。
伝説的なサーファー、麻薬王、海兵隊あがりの泥棒、替え玉、ミステリアスな女−。
下手な人が扱うと、陳腐になりがちな設定も、ウィンズロウの手にかかると、最高に格好良い西海岸の舞台が見えてくるからさすが。
最初から最後まで興奮して読みました。
お気に入りの1冊です。
2013年4月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
先に映画の方を見ていたのですが、原作が気になり購入しました。映画とはいろいろと違う点がありましたが、原作の方が私は好きです。どういう想いで子供を助けたのか、謎めいたエリザベスの揺れる気持ちとかを詳しく知れてよかったです。不運な人生を歩みながらも不器用な優しさを持つヒーロー・ティムも、このキャラクター達でなければご都合主義ではと思えるストーリーを素直に良かったと思わせてくれました。
2003年7月19日に日本でレビュー済み
「代表作といえばニール・ケアリー・シリーズだろ!」と言う方もいるだろうが、僕的なベストはボビーZ。完璧なまでに贅肉の削ぎ落とされた文章は、ため息が出るほど美しい。それでいて、思わずニヤリとしてしまうような彼ならではのウィットが非常によく活きている。内容も、ただのサスペンス小説ではなく、きっちりとした文学性とカタルシスを持ったもの。ドラマ性も高く、ラスト数ページまで「おいおい、この話、ちゃんと終わるのか!?」と疑わずにはいられない展開など、大笑いしてしまうほどナイス。
ちょっと大人っぽい少年キットと、ちょっと子供っぽい大人ティムの掛け合いは、何度読み返してもいい。
ちょっと大人っぽい少年キットと、ちょっと子供っぽい大人ティムの掛け合いは、何度読み返してもいい。
2012年7月29日に日本でレビュー済み
飲んだくれのろくでもない父親に育て(?)られ、やがてろくでもないこそ泥稼業に手を染めるに至り、ついにはろくでもない刑務所ぐらし。
あげくの果てに塀の中で暴走族の一員を先手必勝で片付けてしまい、予想される報復攻撃は多勢に無勢。
もはや人生詰んだ男が主人公ティム・カーニーだ。
彼は麻薬捜査官グルーザの持ち出した取り引きに乗り、伝説の麻薬王ボビーZの替え玉となる。
やがて彼はボビーZの落としだね、6歳の少年キットと邂逅。
二転三転する状況のうち、キットを連れて砂漠の逃避行をするハメとなる。
ボビーは言う
「ごっこ遊びをしたくないか?」
「いいよ。何ごっこ?」
「(中略)海兵隊ごっこをやるか?」
「うん、やる」
「頑張れるか?」
「頑張れる」
そうして数分後、砂地を歩いて疲れた子どもを背負いながら尋ねる。
「名前はなんだっけ?」
「キットだよ。おじさんは?」
「ボビーと呼んでくれ」
ティムはアル中の父親に殴られながら、劣悪な環境で育って来た。
彼の事を気にかける者など一人としていなかった。
だからだろうか、キットの目前で淫らな行動をとる輩に腹をたてて殴り倒し、殺伐とした銃撃戦を「ごっこ遊びだ」とはぐらかして安心させようとする。
小さな自分を、今度こそ悲しませぬ為に。
そんな気遣いは愚にもつかない滑稽さなのだが、子どもらしく扱われた事の無かったキットの心には強く響いた。
もはや離れ難い絆をお互いに抱き、2人の脱出劇が繰り広げられてゆく。
さてその手並みは、と言えば。
盗みに入れば、芝生のスプリンクラーにけつまづいて御用!のボンクラなこそ泥…と誰もがあなどっていたティムだったが、彼の追っ手の予想を裏切り、驚くべき快進撃を繰り広げる事となる。
その追っ手に連なる野郎どもは、いずれ劣らぬキャラ立ちしまくった面々ばかり。
待ってました!の超絶セクシー美女(ボンドガールか、はたまたふ〜じこちゃ〜ん的な)も登場で、おいしいオカズがてんこ盛り。
ベタ中のベタ、コッテコテのベタな物語に、安心してハラハラドキドキ!
読後感は、土曜午後ポップコーン片手に観たハリウッド映画!
「あ〜面白かった!」
と映画館を後にする気軽な爽快さ。
週末の「気怠く優雅な」ひとときを過ごせて満足!の一冊でした。
追記:
すでに映画化されているそうです。
私的には、ティムの役者さんがイメージと違ったなぁ…。
あげくの果てに塀の中で暴走族の一員を先手必勝で片付けてしまい、予想される報復攻撃は多勢に無勢。
もはや人生詰んだ男が主人公ティム・カーニーだ。
彼は麻薬捜査官グルーザの持ち出した取り引きに乗り、伝説の麻薬王ボビーZの替え玉となる。
やがて彼はボビーZの落としだね、6歳の少年キットと邂逅。
二転三転する状況のうち、キットを連れて砂漠の逃避行をするハメとなる。
ボビーは言う
「ごっこ遊びをしたくないか?」
「いいよ。何ごっこ?」
「(中略)海兵隊ごっこをやるか?」
「うん、やる」
「頑張れるか?」
「頑張れる」
そうして数分後、砂地を歩いて疲れた子どもを背負いながら尋ねる。
「名前はなんだっけ?」
「キットだよ。おじさんは?」
「ボビーと呼んでくれ」
ティムはアル中の父親に殴られながら、劣悪な環境で育って来た。
彼の事を気にかける者など一人としていなかった。
だからだろうか、キットの目前で淫らな行動をとる輩に腹をたてて殴り倒し、殺伐とした銃撃戦を「ごっこ遊びだ」とはぐらかして安心させようとする。
小さな自分を、今度こそ悲しませぬ為に。
そんな気遣いは愚にもつかない滑稽さなのだが、子どもらしく扱われた事の無かったキットの心には強く響いた。
もはや離れ難い絆をお互いに抱き、2人の脱出劇が繰り広げられてゆく。
さてその手並みは、と言えば。
盗みに入れば、芝生のスプリンクラーにけつまづいて御用!のボンクラなこそ泥…と誰もがあなどっていたティムだったが、彼の追っ手の予想を裏切り、驚くべき快進撃を繰り広げる事となる。
その追っ手に連なる野郎どもは、いずれ劣らぬキャラ立ちしまくった面々ばかり。
待ってました!の超絶セクシー美女(ボンドガールか、はたまたふ〜じこちゃ〜ん的な)も登場で、おいしいオカズがてんこ盛り。
ベタ中のベタ、コッテコテのベタな物語に、安心してハラハラドキドキ!
読後感は、土曜午後ポップコーン片手に観たハリウッド映画!
「あ〜面白かった!」
と映画館を後にする気軽な爽快さ。
週末の「気怠く優雅な」ひとときを過ごせて満足!の一冊でした。
追記:
すでに映画化されているそうです。
私的には、ティムの役者さんがイメージと違ったなぁ…。
2002年6月29日に日本でレビュー済み
ドンウィンズロウの代表作といえば『ストリートキッズ』を始めとするニールケアリーシリーズだと思いますが、シリーズ外の作品もかなり完成度が高いです。この作品も然り。
この作品の主人公であるティムカーニーは、一見ぱっとしないのですが、非常に人間味に溢れ、心優しい人物です。また、キットという少年は、芯が強く、それでいて健気な感じがものすごく愛くるしいです。終始息もつかせぬ展開で、最後の見事にさわやかな結末まであっという間に読み終えることと思います。
この作品の主人公であるティムカーニーは、一見ぱっとしないのですが、非常に人間味に溢れ、心優しい人物です。また、キットという少年は、芯が強く、それでいて健気な感じがものすごく愛くるしいです。終始息もつかせぬ展開で、最後の見事にさわやかな結末まであっという間に読み終えることと思います。