カントの主著であり、今なお西洋哲学史の古典を題名にしているので、昔懐かしい思いで手に取った方には、読後の失望が大きかろう。私もひよっとして、カント先生が名探偵として、安楽椅子からの縦横な推理を展開するものかと期待して読んで見たのだが、アレレ・・・という感想です。
19世紀初頭のドイツの蒙昧なる社会諸相をいろいろと描きこんではいるけれど、既成の風俗史、世相史からの引き写しで、ただにオドロオドロしいだけだ。一言でいって出来の悪い西洋時代小説で、翻訳された方もご苦労様だ。この程度の小説がこうして出版されるというのも、日本には、まだまだ「哲学好き」の読書人が多いということの証左だろう。
それにしても、なんでカント先生がこういう形で引っ張り出されるのだろう。イギリス読書界には、今だにドイツ観念哲学に対する怨念が渦巻いているのかな。
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純粋理性批判殺人事件 上 (角川文庫 ク 17-1) 文庫 – 2006/8/1
哲学者カントが連続殺人事件の謎に挑む!
1804年のドイツ。連続殺人事件に頭を抱える捜査員の前に現れたのは哲学者カントだった! 悪魔の爪が殺した、という唯一の手掛かりをもとに極上の推理を展開する才人の活躍をノンストップで読ませる歴史ミステリ!
1804年のドイツ。連続殺人事件に頭を抱える捜査員の前に現れたのは哲学者カントだった! 悪魔の爪が殺した、という唯一の手掛かりをもとに極上の推理を展開する才人の活躍をノンストップで読ませる歴史ミステリ!
- 本の長さ327ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2006/8/1
- ISBN-104042963013
- ISBN-13978-4042963011
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2006/8/1)
- 発売日 : 2006/8/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 327ページ
- ISBN-10 : 4042963013
- ISBN-13 : 978-4042963011
- Amazon 売れ筋ランキング: - 2,027,958位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2006年11月23日に日本でレビュー済み
勿論、「純粋理性」の名に惹かれて書店に走ったが、十章を過ぎた時点でうんざりした。
予審判事の組織上の位置は?権限は?上司や部下はいないのか? いきなり場末の宿屋に泊まるのか?
十四章で、被害者のうなじの傷を保存するため首を切って保管するという、「カント」を自称する人物の指示に呆れた。(切断するときに傷そのものを損傷する懼れがある)
あとはどうでもよくなった。
哲学者イマヌエル・カントとは何の関係もないお話。
予審判事の組織上の位置は?権限は?上司や部下はいないのか? いきなり場末の宿屋に泊まるのか?
十四章で、被害者のうなじの傷を保存するため首を切って保管するという、「カント」を自称する人物の指示に呆れた。(切断するときに傷そのものを損傷する懼れがある)
あとはどうでもよくなった。
哲学者イマヌエル・カントとは何の関係もないお話。
2006年11月26日に日本でレビュー済み
久しぶりにミステリを読みました。こんなタイトルにやられちゃうんだから、あたしもまだまだ修業が足りないね。
まったく暗い。ケーニヒスブルクの、時代の陰欝さの描写かと思いきや、主人公ハノ君がはてしなく暗いのだった。
そしてカントの人物造形はどうよ!栗本薫の生んだ絶世の美少年ゼフィール王子を彷彿とした私の目は確実に腐っているさ。なんじゃこの美老人ぶりは!異様に萌えてしまったじゃないか…。こうなるとほとんどBL小説を読むノリですすんでいったのでありました。ま、イロモノという点では両者にさして差はないが。
不道徳ではあるものの、設定を現代にもってくるとたいして衝撃的ではないプロットを機能させるために、くどくどしい風俗描写でこけおどしているだけなんじゃないかしら?理性と魔術の混沌って、もう古いよね。カントとか出てきちゃうと期待が膨らむだけ余計にむなしい。
エーコくらいの知への愉悦的アプローチを期待してしまったあたしがおバカさんでした。
まったく暗い。ケーニヒスブルクの、時代の陰欝さの描写かと思いきや、主人公ハノ君がはてしなく暗いのだった。
そしてカントの人物造形はどうよ!栗本薫の生んだ絶世の美少年ゼフィール王子を彷彿とした私の目は確実に腐っているさ。なんじゃこの美老人ぶりは!異様に萌えてしまったじゃないか…。こうなるとほとんどBL小説を読むノリですすんでいったのでありました。ま、イロモノという点では両者にさして差はないが。
不道徳ではあるものの、設定を現代にもってくるとたいして衝撃的ではないプロットを機能させるために、くどくどしい風俗描写でこけおどしているだけなんじゃないかしら?理性と魔術の混沌って、もう古いよね。カントとか出てきちゃうと期待が膨らむだけ余計にむなしい。
エーコくらいの知への愉悦的アプローチを期待してしまったあたしがおバカさんでした。
2011年1月11日に日本でレビュー済み
上下あわせた感想です。
私の理解力が足りないのか、あまり楽しめませんでした。高校の倫社や世界史で習う、謹厳な哲学者とはかなり違った、最晩年の変なカントに出会えます。意外な歴史上の人物が探偵役となる、いわゆる歴史ミステリーなのでしょうが、あれで謎が解けたといってよいのでしょうか。疑問が残る本です。正直言って、読まなくてもよかったかな、という感じ。
私の理解力が足りないのか、あまり楽しめませんでした。高校の倫社や世界史で習う、謹厳な哲学者とはかなり違った、最晩年の変なカントに出会えます。意外な歴史上の人物が探偵役となる、いわゆる歴史ミステリーなのでしょうが、あれで謎が解けたといってよいのでしょうか。疑問が残る本です。正直言って、読まなくてもよかったかな、という感じ。
2007年1月16日に日本でレビュー済み
特にカントが重要と言う訳じゃないけど、街と時代にコントラストを出したかったのでしょう。悪魔や迷信が信じられていた時代に理性で殺人事件を解決しようとする男のお話でした。主人公と実直な助手と言う古典的なスタイルに、アドバイザー的なカントの手助け。その面では、ちょっとアイデアを生かしきれていないですね。日本語タイトルが、ちょっと誤解するかも。でも、面白い。星4つはあげられないけど、3以上かな。と思ったけど、懲りずに下巻を読み終えたら、うーん、なるほど。カント(哲学)がやはりポイントだったのか。