毎朝の夜明け前からの散歩時、小さな川が海へ注ぎ込む場所がある。ちょっとした砂浜になっていて、
その小川の海への注ぎ込み口が振り子のように変化する。面白いなと思って見ていたが、まさに、この
「さまよえる湖」を読んで、納得できた。最もこちらの場合は天山山脈から流れ出て、タリム河となり、
その後タクラマカン砂漠を流れてロプ湖に消え入るという、壮大なる自然の営みなのではあるが。
そのタリム川が流れを変え、ロプ湖を砂漠の北から南へ移動させる。そして、それがまた南から北へと戻るという。
その周期は、おそらく1,000年以上なのかもしれない。我が小川の海への注ぎ込み口の変化・振り子の周期は
数週間くらいだろうか。
スウェン・ヘディンの緻密で熱意を持った自然科学の考察が「さまよえる湖」の秘密を暴いたのだ。
なんと感動的な!! また岩村忍の訳が素晴らしかったことは容易に納得できる。(多くの冒険談や日記調の
記述が非常に退屈になってしまうのを考えると、彼の訳が如何に素晴らしいかがわかる。)
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さまよえる湖 (角川文庫 リバイバル・コレクション K 24) 文庫 – 1968/3/30
人の目を避けるようにさまよいつづけていた湖“ロプ・ノール”。四十年の歳月をついやし、シルク・ロードの果てに神秘的な遭遇を遂げたスウェーデンの探険家ヘディンの感動の一大探険記。(荒俣 宏)
- 本の長さ236ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日1968/3/30
- ISBN-104043074026
- ISBN-13978-4043074020
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (1968/3/30)
- 発売日 : 1968/3/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 236ページ
- ISBN-10 : 4043074026
- ISBN-13 : 978-4043074020
- Amazon 売れ筋ランキング: - 349,376位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,998位紀行文・旅行記
- - 4,581位海外旅行ガイド (本)
- - 6,845位角川文庫
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年1月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アカデミックな内容だが、読み応え十分で良かった。本の汚れもまあまあであった。
2003年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
楼蘭の廃墟の発見、伝説の「ロプ湖」の仮説。
幸運な探検家の30年後の真実。
あなたも砂漠へ旅をする。
作者のヘディンには申し訳ないが、
岩村忍が訳したことに意味がある。
戦前戦後と中央アジアの国々を学術探検して歩いた経験は
この翻訳に実感をもたせていると思う。
幸運な探検家の30年後の真実。
あなたも砂漠へ旅をする。
作者のヘディンには申し訳ないが、
岩村忍が訳したことに意味がある。
戦前戦後と中央アジアの国々を学術探検して歩いた経験は
この翻訳に実感をもたせていると思う。
2012年1月13日に日本でレビュー済み
中央アジアの広大な砂漠地帯に広がる長径100kmもある巨大な湖、ロプ・ノール。その湖畔の楼蘭王国は2200年前に歴史に登場し、シルクロードの要衝として栄えたが、5世紀には歴史の波間に没してしまう。楼蘭の消長が、その生命の源泉だったロプ・ノールと密接な関係にあったことは間違いないだろう。
不世出の中央アジア探検家、スウェン・ヘディンがロプ・ノールの謎を究明するために、40年間も情熱を燃やし続けたことには驚かされる。
1900年、厳しい自然条件と戦いながら2度目のタリム盆地探検を敢行したヘディンであるが、中国の古地図に記されていた地域にロプ・ノールを発見することはできなかった。そこには乾いた湖底と、かってはその湖に注いでいたと思われる河幅100m、深さ4〜5mの干上がった河床があるだけであった。しかし、乾いた湖の畔で1600年に亘って深い眠りに沈んでいた楼蘭王国の遺跡を、夜の砂嵐の中で偶然のことから発見している。
そして、彼はそこから遥か南方にあるカラ・ブラン、カラ・コシュンという2つの湖こそロプ・ノールが移動した現在の姿であると考えた。さらに驚くべきことに、やがてロプ・ノールはそこに注ぎ込むタリム河の流れとともに、北方の元の場所に戻るであろうという大胆な仮説を発表したのだ。つまり、ロプ・ノールは1600年を周期として南北に400kmも移動する「さまよえる湖」だというのである。
60歳を過ぎても中央アジア探検への情熱を失わず、再びタリム盆地を訪れたヘディンが、幾多の苦難を乗り越えて、奇跡ともいうべき変化に遭遇したのは、実に1934年の春のことであった。34年前には干上がっていて、ラクダに乗って歩いていったあのタリム河の支流、クルク・ダリヤ(乾いた河)の河床に、滔々と水が流れているのを自分の目で確かめることができたのだ。そして、その河をカヌーで漕ぎ下り、遂に、1600年前と同じ場所に水を湛えている広大なロプ・ノールに辿り着いたのだ。その途中で発見した若い女性のミイラに、彼は「楼蘭とロプ・ノールの女王」という名を贈っている。
こうして自分の学説の正しさを実証する幸運に恵まれた、ロプ・ノール湖上のヘディンの嬉しさはいかばかりであったか。この時の感動が、彼の探検記『さまよえる湖』(スウェン・ヘディン著、関楠生訳、白水社)から生き生きと伝わってくるので、私もヘディン隊の一員になったような気がしてしまう。
ロプ・ノールの謎に挑戦したのはヘディンだけではない。ヘディンのライヴァルともいうべきロシアの探検家・プルジェワルスキーとその弟子のコズロフ、ヘディンの師で、「シルクロード」という言葉の生みの親でもあるリヒトホーフェンなどを忘れるわけにはいかない。ロプ・ノールに関する論争は、尊敬するそれぞれの師の学説の正しさを証明しようという学問上の競い合いでもあったのだ。
不世出の中央アジア探検家、スウェン・ヘディンがロプ・ノールの謎を究明するために、40年間も情熱を燃やし続けたことには驚かされる。
1900年、厳しい自然条件と戦いながら2度目のタリム盆地探検を敢行したヘディンであるが、中国の古地図に記されていた地域にロプ・ノールを発見することはできなかった。そこには乾いた湖底と、かってはその湖に注いでいたと思われる河幅100m、深さ4〜5mの干上がった河床があるだけであった。しかし、乾いた湖の畔で1600年に亘って深い眠りに沈んでいた楼蘭王国の遺跡を、夜の砂嵐の中で偶然のことから発見している。
そして、彼はそこから遥か南方にあるカラ・ブラン、カラ・コシュンという2つの湖こそロプ・ノールが移動した現在の姿であると考えた。さらに驚くべきことに、やがてロプ・ノールはそこに注ぎ込むタリム河の流れとともに、北方の元の場所に戻るであろうという大胆な仮説を発表したのだ。つまり、ロプ・ノールは1600年を周期として南北に400kmも移動する「さまよえる湖」だというのである。
60歳を過ぎても中央アジア探検への情熱を失わず、再びタリム盆地を訪れたヘディンが、幾多の苦難を乗り越えて、奇跡ともいうべき変化に遭遇したのは、実に1934年の春のことであった。34年前には干上がっていて、ラクダに乗って歩いていったあのタリム河の支流、クルク・ダリヤ(乾いた河)の河床に、滔々と水が流れているのを自分の目で確かめることができたのだ。そして、その河をカヌーで漕ぎ下り、遂に、1600年前と同じ場所に水を湛えている広大なロプ・ノールに辿り着いたのだ。その途中で発見した若い女性のミイラに、彼は「楼蘭とロプ・ノールの女王」という名を贈っている。
こうして自分の学説の正しさを実証する幸運に恵まれた、ロプ・ノール湖上のヘディンの嬉しさはいかばかりであったか。この時の感動が、彼の探検記『さまよえる湖』(スウェン・ヘディン著、関楠生訳、白水社)から生き生きと伝わってくるので、私もヘディン隊の一員になったような気がしてしまう。
ロプ・ノールの謎に挑戦したのはヘディンだけではない。ヘディンのライヴァルともいうべきロシアの探検家・プルジェワルスキーとその弟子のコズロフ、ヘディンの師で、「シルクロード」という言葉の生みの親でもあるリヒトホーフェンなどを忘れるわけにはいかない。ロプ・ノールに関する論争は、尊敬するそれぞれの師の学説の正しさを証明しようという学問上の競い合いでもあったのだ。
2001年7月25日に日本でレビュー済み
私が小学生の時に夢中になった本に、スウェン・ヘディンの「中央アジア探検記」というものがありました。大人になってから探してみましたが、同じタイトルのものは見つかりません。どうやらヘディンの一連の探検記の中からの抜粋を子ども向きの訳に書き直したもののようでした。
中央アジア、そしてさまよえる湖ロプ・ノールというのは、見たこともなければ、もちろんその時代に自分が存在したこともないのになにか懐かしい響きがあります。ヘディンの代表作であるこの本は、古代シルクロードのロマンへといざなってくれます。探検の時代に生まれることができなかったのが残念です。
中央アジア、そしてさまよえる湖ロプ・ノールというのは、見たこともなければ、もちろんその時代に自分が存在したこともないのになにか懐かしい響きがあります。ヘディンの代表作であるこの本は、古代シルクロードのロマンへといざなってくれます。探検の時代に生まれることができなかったのが残念です。
2007年11月21日に日本でレビュー済み
中央アジアの「さまよえる湖」ロプ・ノールの「発見」は、20世紀の探検史上に燦然と輝くものだが、本書で報告されるその一部始終は、意外にもあっさりとしている。
地道な事前調査と周到な準備を行い、先人の残した記録を読み込み再検討を加えた上で仮説を立て、チームワークでそれを実証していくという過程を経ての新事実の発見というのは、もちろん幸運も必要だが、ある意味「必然」だということだろう。
まだ地球上に前人未到の地が残されていた幸福な時代の、誇り高い記録である。
地道な事前調査と周到な準備を行い、先人の残した記録を読み込み再検討を加えた上で仮説を立て、チームワークでそれを実証していくという過程を経ての新事実の発見というのは、もちろん幸運も必要だが、ある意味「必然」だということだろう。
まだ地球上に前人未到の地が残されていた幸福な時代の、誇り高い記録である。
2005年6月25日に日本でレビュー済み
さまよえる湖ことロプノールを探険したヘディン博士の雄大な自叙伝。
考古学と冒険小説を愛する方は必見である。
その所在は古代から知られていたが正確な位置を知る者はおらず、永らく歴史の謎として学会の関心を集めていた中央アジアの巨大塩湖。
偉大な探険家にして、1300年周期でロプノールを形成する川床が移動するという大胆な仮説をたてた博士の、芳醇なる活動記録が本書だ。
専門用語やマイナーな歴史知識が突発的に出てくることもあるのでやや読みにくいきらいはあるが、上述の条件に当てはまる人ならぜひ一読を。この内容でこの価格は安い!
考古学と冒険小説を愛する方は必見である。
その所在は古代から知られていたが正確な位置を知る者はおらず、永らく歴史の謎として学会の関心を集めていた中央アジアの巨大塩湖。
偉大な探険家にして、1300年周期でロプノールを形成する川床が移動するという大胆な仮説をたてた博士の、芳醇なる活動記録が本書だ。
専門用語やマイナーな歴史知識が突発的に出てくることもあるのでやや読みにくいきらいはあるが、上述の条件に当てはまる人ならぜひ一読を。この内容でこの価格は安い!
2004年8月11日に日本でレビュー済み
中央アジアに存在するとされるロプ湖を求めた探険家の探険記録をもとに書かれた本。「さまよえる湖」というタイトルを見て、ふと思ったのはアラビアンナイトに出てくる百年に一度だけ現れる湖とお城の話だった。だけど実はもっと現実的で、なおかつ神秘的な話だ。冒頭部分は探険の必要物質の調達、それから探険での測量や行程に関する日誌のような話が続く。最後まで読んで、この探険紀行がどんな意味を持っていたかについて明らかにされるという構成だ。
ロプ湖はプトレマイオスの地図にその名を記されてから場所も存在も確認されなかった。それをスウェーデンの探検家ヘディンが、19世紀の後半から20世紀初頭にかけての探険でその姿を明らかにした。中国の奥地、タクラマカン砂漠とゴビ砂漠の間くらいにあるロプ湖の水源のタリム河が、沈澱と風食の作用を受けて流れる道を変える。そのためロプ湖もまた移動する。ヘディンがこの学説を唱えた24年後に実際に河の流れが変わってロプ湖も移動し、彼の学説が正しかったことをロプ湖自身が立証した。砂漠の中でオアシスが移動していくということは、湖が元あった場所の生態系が滅んで砂漠へと帰っていき、新しい湖の周りに新しい生命が生まれていくことだ。人さえも例外ではなく、ヘディンが発見した楼蘭はロプ湖が移動したために廃都となった遺跡だった。だがロプ湖が再び戻っていくときに、楼蘭も甦る。
ロプ湖はプトレマイオスの地図にその名を記されてから場所も存在も確認されなかった。それをスウェーデンの探検家ヘディンが、19世紀の後半から20世紀初頭にかけての探険でその姿を明らかにした。中国の奥地、タクラマカン砂漠とゴビ砂漠の間くらいにあるロプ湖の水源のタリム河が、沈澱と風食の作用を受けて流れる道を変える。そのためロプ湖もまた移動する。ヘディンがこの学説を唱えた24年後に実際に河の流れが変わってロプ湖も移動し、彼の学説が正しかったことをロプ湖自身が立証した。砂漠の中でオアシスが移動していくということは、湖が元あった場所の生態系が滅んで砂漠へと帰っていき、新しい湖の周りに新しい生命が生まれていくことだ。人さえも例外ではなく、ヘディンが発見した楼蘭はロプ湖が移動したために廃都となった遺跡だった。だがロプ湖が再び戻っていくときに、楼蘭も甦る。