2011年4〜5月、NHKで視聴者参加型推理クイズ番組「探偵Xからの挑戦状!Season3」が放送されましたが、第2話「ビスケット」の出題者が著者であり、本作品の続編と言う設定でした。
著者の作品は「日常の謎」を扱うことで有名になった【空飛ぶ馬】や【夜の蝉】は既読でしたが、本作品は知らなかったので、読んでみることとしました。
本シリーズは、「探偵は存在であり意志である」と言う哲学により名探偵を自称する巫(かんなぎ)弓彦を主人公とする連作ミステリ。
本書には、2つの短篇と1つの中編が収録されています。
短篇の【三角の水】と【蘭と韋駄天】は「日常の謎」を題材としており、中編の【冬のオペラ】はダイイング・メッセージがテーマの殺人事件の謎、と言うのが大まかな特徴です。
読み始めてすぐに感じたのが、文章の巧みさ。
直木賞作家に、文章がうまいなどと言っても誉め言葉にはならないでしょうが、単なる「謎解き」ではなく、「物語」として綺麗にまとまっています。
ワトソン役を自ら買って出た二十歳の女性、姫宮あゆみの一人称で描かれる本シリーズは、明るくユーモアにも富んだ彼女によって、エキセントリックな探偵を小気味良く読者に橋渡しすることに成功しています。
作中のトリックは奇抜さや斬新さはあまり感じませんでしたが、物語全体としてみた場合、無理なく溶け込んでおり、ストーリーテリングの妙を感じさせます。
巧みな小説を読んだな、と言う充足感を持って書を閉じることの出来る作品だと思いました。
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冬のオペラ (角川文庫) 文庫 – 2002/5/24
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探偵は、犯人を知ろうとするものなのです--それが誰であったとしても
名探偵はなるのではない、存在であり意志である――名探偵巫弓彦に出会った姫宮あゆみは、彼の記録者になった。そして猛暑の下町、雨の上野、雪の京都で二人は、哀しくも残酷な三つの事件に遭遇する……。
名探偵はなるのではない、存在であり意志である――名探偵巫弓彦に出会った姫宮あゆみは、彼の記録者になった。そして猛暑の下町、雨の上野、雪の京都で二人は、哀しくも残酷な三つの事件に遭遇する……。
- 本の長さ304ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2002/5/24
- ISBN-104043432054
- ISBN-13978-4043432059
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA; 一般文庫版 (2002/5/24)
- 発売日 : 2002/5/24
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 304ページ
- ISBN-10 : 4043432054
- ISBN-13 : 978-4043432059
- Amazon 売れ筋ランキング: - 211,310位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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北村 薫
1949(昭和24)年、埼玉県生れ。早稲田大学ではミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、’89(平成元)年「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。’91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。作品に『ニッポン硬貨の謎』(2006年本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(’09年直木賞受賞)など:本データは『1950年のバックトス (ISBN-13:978-4101373324 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年3月3日に日本でレビュー済み
妙な探偵を生み出したものだ。
現代において名探偵として生きるには、こうでもしないと成立しない。
著者の本格に対する愛を強く感じる。
このような探偵像は一歩間違えば、滑稽にもなる。
しかし、真摯な姿勢に心を打たれる。
哀しい3つの事件
ヒロインの存在が温もりとなる
現代において名探偵として生きるには、こうでもしないと成立しない。
著者の本格に対する愛を強く感じる。
このような探偵像は一歩間違えば、滑稽にもなる。
しかし、真摯な姿勢に心を打たれる。
哀しい3つの事件
ヒロインの存在が温もりとなる
2015年12月7日に日本でレビュー済み
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三編の連作短編集ですが、第三話目の「冬のオペラ」が立っていました。
探偵&助手コンビより、各話の犯人のキャラクター造形に引き込まれました。
京都に椿の花を観に行きたくなります。
探偵&助手コンビより、各話の犯人のキャラクター造形に引き込まれました。
京都に椿の花を観に行きたくなります。
2012年2月23日に日本でレビュー済み
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「名」探偵、巫弓彦と筆記者である姫宮あゆみの物語。
この物語を言いかえるならば、「素敵」である。
ミステリの体裁をとってはいるものの、
描かれる人の哀しさは読者の胸をうちます。
目新しいトリックはないけど、発想の変化が巧いと思ました。
この物語を言いかえるならば、「素敵」である。
ミステリの体裁をとってはいるものの、
描かれる人の哀しさは読者の胸をうちます。
目新しいトリックはないけど、発想の変化が巧いと思ました。
2007年6月2日に日本でレビュー済み
女性としていろいろ考えさせられる内容。
推理とかサスペンスというまえに、
文学といいたい。やるせなくつらい女性心理が
よく描けてます。
推理とかサスペンスというまえに、
文学といいたい。やるせなくつらい女性心理が
よく描けてます。
2006年3月23日に日本でレビュー済み
1996年にC★NOVELS BIBLIOTHEQUEの一冊として出たものの文庫化。
2つの短篇と1つの中篇から構成された連作ミステリ。
けっこう残酷で、人間の醜い部分を描いた作品となっている。特に名探偵という存在のわびしさが描き込まれている点が凄い。犯罪を暴くというのは、決して英雄的な行為ではない。名探偵はしばしば嫌われ者に成り得るのだ。
トリックも申し分ないし、なかなか興味深い一冊。
2つの短篇と1つの中篇から構成された連作ミステリ。
けっこう残酷で、人間の醜い部分を描いた作品となっている。特に名探偵という存在のわびしさが描き込まれている点が凄い。犯罪を暴くというのは、決して英雄的な行為ではない。名探偵はしばしば嫌われ者に成り得るのだ。
トリックも申し分ないし、なかなか興味深い一冊。
2008年10月13日に日本でレビュー済み
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高校を卒業した私、こと姫宮あゆみが勤めだした不動産屋の2階に、自称名探偵、巫(かんなぎ)弓彦が引っ越してきた。名探偵として、難事件の依頼しか受け付けないことをポリシーとする巫に興味を持ったあゆみは、ワトソンよろしく事件の記録者を買って出た…。
一目(一度聞いただけ)で真実が見えてしまう名探偵「巫弓彦」とワトソン役「姫宮あゆみ」が活躍する連作中編集。3篇からなるが、最初の2編は巫の能力の一端を明らかにするような導入的作品で、「冬のオペラ」がメインディッシュ。
文字通りオペラ仕立てだが、中身はダイイング・メッセージと奇妙な犯行現場の謎解きを中心とする本格派。最後の最後までダイイングメッセージの解は伏せられるが、探偵の一言が、虚空に消え行くヴァイオリンの音のように余韻を残す鮮やかな幕切れ。同時にタイトルの意味に気づかされる。
著者特有のぞくりとする人の悪意、妄執も作品に陰影と哀切を与えている。
なお、円紫さんと私シリーズとの類似性を嫌ってか、その後続編が出ていないようだが、もう少し読んでみたい気がするものの、上述のような3篇の構成からすると、これで読みきりと考えた方が良さそうである。
一目(一度聞いただけ)で真実が見えてしまう名探偵「巫弓彦」とワトソン役「姫宮あゆみ」が活躍する連作中編集。3篇からなるが、最初の2編は巫の能力の一端を明らかにするような導入的作品で、「冬のオペラ」がメインディッシュ。
文字通りオペラ仕立てだが、中身はダイイング・メッセージと奇妙な犯行現場の謎解きを中心とする本格派。最後の最後までダイイングメッセージの解は伏せられるが、探偵の一言が、虚空に消え行くヴァイオリンの音のように余韻を残す鮮やかな幕切れ。同時にタイトルの意味に気づかされる。
著者特有のぞくりとする人の悪意、妄執も作品に陰影と哀切を与えている。
なお、円紫さんと私シリーズとの類似性を嫌ってか、その後続編が出ていないようだが、もう少し読んでみたい気がするものの、上述のような3篇の構成からすると、これで読みきりと考えた方が良さそうである。
2003年7月12日に日本でレビュー済み
北村薫氏の作品は「スキップ」を読んでから、
ほとんど全て読みましたが、探偵物ではこれが
一番好きです。探偵の巫弓彦の「名探偵」と
しての生き方が胸にぐっときました。
探偵・巫弓彦に惹かれていく主人公もとても
透明感のある「北村印」の女性です。
内容は、探偵・巫弓彦にふさわしい、胸をつくような
せつない物語です。
他のかたも書かれていますが、シリーズ化されなかった
のが本当に残念です。
ほとんど全て読みましたが、探偵物ではこれが
一番好きです。探偵の巫弓彦の「名探偵」と
しての生き方が胸にぐっときました。
探偵・巫弓彦に惹かれていく主人公もとても
透明感のある「北村印」の女性です。
内容は、探偵・巫弓彦にふさわしい、胸をつくような
せつない物語です。
他のかたも書かれていますが、シリーズ化されなかった
のが本当に残念です。