私は90年代生まれだけれど、レビューを読んで、こんな物語がわりと現実に存在することを信じられない大人がいるのに驚きを隠せない。
私の母は瀬戸内海の内海のそれも端っこに生まれた。流石にこのような貧しさと賑わいは、今は影を潜めているけれど、祖母の家に帰れば、飲み屋しかない寂れた商店街とスナックに勤めるハの字眉毛のお姉さんたち、それにとんでもない言葉遣いで話す漁師やら木工所のひとたちやら、団地に住む夏休みだけの友達、岬の先にある原発なんかからこの漫画の世界の残り香みたいみたいなものをいくらでも感じることができる。
それは海外に出ればなおのこと、どんな国だってこんな貧しさは、どこにだって存在しているし、日本にだって今もなおどこかしらには残っているだろうと感じられる。
だからこの漫画をどこにもないフィクションの物語として受け止めないでほしい。
再び訪ねた誰かの家がもうまるっきり焼けてたり、建て壊されてたり、家族がいなくなってたり、増えてたり、それでも笑って生きてる母さんもいれば、私にお金をせびってロクに働かないで遊んでる父さんもいるし、不幸が山を走るように転がり落ちてきて、それでもどこ吹く風で強く生きる人というのはどこにでもある美しい日常だったんだなと改めて実感した。
子供の目線で見た現実って、そういえばこんなんだったなって思い出させてくれる、本当に素晴らしい一冊。
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ぼくんち 上 (角川文庫 さ 36-10) 文庫 – 2009/4/25
西原 理恵子
(著)
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- 本の長さ79ページ
- 言語日本語
- 出版社角川グループパブリッシング
- 発売日2009/4/25
- ISBN-104043543107
- ISBN-13978-4043543106
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著者について
1964年高知県生まれ。漫画家。武蔵野美術大学在学中に『ちくろ幼稚園』でデビュー。97年『ぼくんち』で文藝春秋漫画賞を受賞。04年『毎日か
登録情報
- 出版社 : 角川グループパブリッシング; 一般文庫版 (2009/4/25)
- 発売日 : 2009/4/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 79ページ
- ISBN-10 : 4043543107
- ISBN-13 : 978-4043543106
- Amazon 売れ筋ランキング: - 838,126位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1964年高知県生まれ。武蔵野美術大学卒。97年『ぼくんち』で文藝春秋漫画賞を受賞。2004年『毎日かあさん カニ母編』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を、05年『上京ものがたり』『毎日かあさん』で手塚治虫文化賞短編賞を受賞。著者に『ゆんぼくん』『鳥頭紀行』『できるかな』『女の子ものがたり』『営業ものがたり』『いけちゃんとぼく』『パーマネント野ばら』『この世でいちばん大事な「カネ」の話』など多数。2010年7月には絵本『きみのかみさま』も発売になった。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年6月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2023年11月15日に日本でレビュー済み
ほとんどの登場人物が父親と母親との関係に問題があり
正直愛されてもいないし、孤独よりマシだから一緒にいる
ポエム多めだが現実逃避だろうか
正直愛されてもいないし、孤独よりマシだから一緒にいる
ポエム多めだが現実逃避だろうか
2015年7月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
絵柄はかわいいし一見ハートフルな物語なのだが、描かれている貧困に容赦が無い。
これがリアルな絵柄だったら読まずに放り出しているはずだ。
お話として貧乏や貧困を描いても、まずここまでのものにはならないだろう。
恐らく作者が見て、聞いて、体験したことがベースにあるからのリアリティだ。
この本を読んだ後では、ハンパな貧乏物語などはおとぎ話と化してしまう。
とにかく凄まじい本だった。
これがリアルな絵柄だったら読まずに放り出しているはずだ。
お話として貧乏や貧困を描いても、まずここまでのものにはならないだろう。
恐らく作者が見て、聞いて、体験したことがベースにあるからのリアリティだ。
この本を読んだ後では、ハンパな貧乏物語などはおとぎ話と化してしまう。
とにかく凄まじい本だった。
2015年2月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
こんなに真剣にマンガを読んだのは10年ぶりくらいな気がしますが・・・サイバラワールドの真髄というだけの事はあるなぁと。
軽いタッチの絵柄からは想像もつかない、というかド肝を抜かれる重さを、思い知らされた質量感が胸に残ります。
自分は本当の貧困を知らないし、本当の苦労も知らない。
そして本当の幸せも・・・知らないのかも、しれない。
軽いタッチの絵柄からは想像もつかない、というかド肝を抜かれる重さを、思い知らされた質量感が胸に残ります。
自分は本当の貧困を知らないし、本当の苦労も知らない。
そして本当の幸せも・・・知らないのかも、しれない。
2014年5月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今回、3回目読んでます。
笑えるし、グッとくる。ほわっと胸が暖かくなる。
これからも西原さんの漫画は読み続けると思う。
笑えるし、グッとくる。ほわっと胸が暖かくなる。
これからも西原さんの漫画は読み続けると思う。
2016年7月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1964年、東京オリンピックが開催され、東海道新幹線が開通し、日本は高度成長期を駆け上っていた。
そんな年に生まれた著者と私は全く違う世界を見て、成長したらしい。
余りに貧しい日々。体で稼ぐ女、薬で人生終える男、盗んだものを売って金を得る少年たち。
こんな現実が本当にあったのだろうか。
完全に作り物とは思えない。
さおりちゃんの言葉に、西原氏の思いを感じた。
さおりちゃんがまっとうな大人になっているといいな。
二太は元気に大きくなっただろうか。
こういちくんがまともになってくれて良かった。
文庫だと、老眼にはちと辛いです。
私の知らない世界を教えて下さってありがとう。
少し世界を見る目が変わったかもしれません。
そんな年に生まれた著者と私は全く違う世界を見て、成長したらしい。
余りに貧しい日々。体で稼ぐ女、薬で人生終える男、盗んだものを売って金を得る少年たち。
こんな現実が本当にあったのだろうか。
完全に作り物とは思えない。
さおりちゃんの言葉に、西原氏の思いを感じた。
さおりちゃんがまっとうな大人になっているといいな。
二太は元気に大きくなっただろうか。
こういちくんがまともになってくれて良かった。
文庫だと、老眼にはちと辛いです。
私の知らない世界を教えて下さってありがとう。
少し世界を見る目が変わったかもしれません。
2010年12月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
西原理恵子のぼくんちを読みました。
最後は涙があふれてしまいました。
考え得る最悪の環境の中で見える
純粋な家族の、兄弟の愛情に圧倒されました。
人はアングラだのといろいろいうかもしれないですが、
これはわたしは、家族の本当の愛情を描いた作品だと思います。
最後は涙があふれてしまいました。
考え得る最悪の環境の中で見える
純粋な家族の、兄弟の愛情に圧倒されました。
人はアングラだのといろいろいうかもしれないですが、
これはわたしは、家族の本当の愛情を描いた作品だと思います。
2010年2月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どうしようもない貧困の中で色々な人たちが生きている世界。
どの人の存在も否定せずに皆がそれぞれ受け止めて生きる様は、感動的ですらあります。
何も無くて何も見えないのに、人を思いやる心と人間の価値について教えてくれる、素晴らしい作品です。
世代によっては、描かれている世界を想像するのも困難かもしれません。
大人の人にこそ、お勧めします。
読めば、あふれる物と引き換えに失っていた心を取り戻せると思います。
もちろん、上、中、下、全巻揃えての購入が必須です。
西原さんは天才だと改めて認識しました。
何度、読み返しても涙が溢れてきます。
どの人の存在も否定せずに皆がそれぞれ受け止めて生きる様は、感動的ですらあります。
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世代によっては、描かれている世界を想像するのも困難かもしれません。
大人の人にこそ、お勧めします。
読めば、あふれる物と引き換えに失っていた心を取り戻せると思います。
もちろん、上、中、下、全巻揃えての購入が必須です。
西原さんは天才だと改めて認識しました。
何度、読み返しても涙が溢れてきます。