『夜警』の画家としてあまりにも有名なレンブラント。
レンブラント自身に関して言えば、才能にあふれ、20代から画家として成功をおさめながら、次々と家族の死に見舞われ最後には破産に至ったという話も有名。私生活の変遷に伴う画風の変化も解説されています。
オランダ絵画を代表する画家ですから、私生活だけでなく、その画風は、オランダの経済や宗教などの影響も受けています。レンブラントはトローニー(「頭部の習作」、誰とは特定されない人物の胸から上を描いた作品)と呼ばれる肖像画を数多く残していますが、こちらも貧しい身なりや豪奢な服装、誇らしい表情や陰鬱な表情と、時代やレンブラント自身の内面もうかがえ、興味深いです。
オランダ絵画は風俗画もたくさんありますが、その時代背景などもこの本からわかります。
レンブラントだけではなく、オランダ絵画の変遷の概要もわかる良書だと思います。
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Kadokawa Art Selection レンブラント 光と影のリアリティ 文庫 – 2011/2/25
熊澤 弘
(著)
早熟な天才としてのデビュー、画家としての成功による経済的繁栄、そして没落、破産、孤独な死……文字通り波乱に満ちた生涯を生きた「光と陰影」の画家の生涯を作品と共に綴る、大好評カラー版アートガイド。
- 本の長さ261ページ
- 言語日本語
- 出版社角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日2011/2/25
- 寸法10.5 x 1.5 x 15 cm
- ISBN-104043944128
- ISBN-13978-4043944125
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商品の説明
著者について
1970年生まれ。東京藝術大学大学院修了。東京藝術大学大学美術館において、「歌川広重《名所江戸百景》のすべて」展2007年)、「線の巨匠たち」展(2008年)、「黙示録--デューラー/ルドン」展(2010年)などの企画展を担当。現在は国立西洋美術館客員研究員。
登録情報
- 出版社 : 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011/2/25)
- 発売日 : 2011/2/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 261ページ
- ISBN-10 : 4043944128
- ISBN-13 : 978-4043944125
- 寸法 : 10.5 x 1.5 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 807,578位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,121位趣味・実用の絵画 (本)
- - 5,694位手芸 (本)
- - 51,863位アート・建築・デザイン (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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熊澤弘
1970年生 東京藝術大学大学美術館准教授。東京藝術大学美術研究科修士課程修了。東京藝術大学大学美術館常勤助手/助教、武蔵野音楽大学をへて、2017年4月より現職。 オランダを中心とした西洋美術史、博物館学を専門とし、日本国内外の美術展覧会企画にかかわる。主な担当/監修展覧会としては「線の巨匠たち――アムステルダム歴史博物館所蔵素描・版画展」(2008年、東京藝術大学大学美術館他)、「Japans Liebe zum Impressionismus(日本が愛した印象派)」展(2015年、ドイツ連邦共和国美術展示館)、「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展」(2017年、東京都美術館他)など。著書に『レンブラント 光と影のリアリティ』(角川書店 2011年)、『脳から見るミュージアム アートは人を耕す』(中野信子と共著、講談社現代新書 2020年)、訳書に『ヒエロニムス・ボスの世界』(パイインターナショナル 2019年)など
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年3月2日に日本でレビュー済み
レンブラントの作品を、その生涯に照らし合わせながら鑑賞していくという書籍。20代から肖像画家として富と名声を手に入れてから、破産、家族との死別という晩年までを概観していく。
本書ではレンブラントの本質に適った自然な描写を生み出すための創作的な態度が強調されている。イタリア・ルネッサンスの巨匠へのライバル意識=創造的競争、古典主義的な時代の流れに抗うといった反骨精神が印象的。率直すぎる描写に当時は違和感を感じた人もいたという。レンブラント工房の存在や、コレクションに精進しリファレンスとして自身の芸術に取り入れるといった自己表現のあり方が面白い。
初めてレンブラントに触れるものにとっては最適なガイドブックだと思う。
残念ながら光と影に焦点をあてた記述があまりに少ないので、美術館で鑑賞して感じたものとのギャップが大きい。文庫本サイズの図版では、文中で紹介されている細かな描写が判然としないのも難点だ。絵画として鑑賞するならば、あとがきにもあるとおり大き目の画集が良いのだろう。
17世紀前半のオランダでは芸術家同志があつまってヌードデッサンを行う場をアカデミーと言ってたのね。勉強になります〜
本書ではレンブラントの本質に適った自然な描写を生み出すための創作的な態度が強調されている。イタリア・ルネッサンスの巨匠へのライバル意識=創造的競争、古典主義的な時代の流れに抗うといった反骨精神が印象的。率直すぎる描写に当時は違和感を感じた人もいたという。レンブラント工房の存在や、コレクションに精進しリファレンスとして自身の芸術に取り入れるといった自己表現のあり方が面白い。
初めてレンブラントに触れるものにとっては最適なガイドブックだと思う。
残念ながら光と影に焦点をあてた記述があまりに少ないので、美術館で鑑賞して感じたものとのギャップが大きい。文庫本サイズの図版では、文中で紹介されている細かな描写が判然としないのも難点だ。絵画として鑑賞するならば、あとがきにもあるとおり大き目の画集が良いのだろう。
17世紀前半のオランダでは芸術家同志があつまってヌードデッサンを行う場をアカデミーと言ってたのね。勉強になります〜
2011年4月17日に日本でレビュー済み
文庫ですが、カラー図版だけで30数点掲載してありますし、モノクロの図版も数多く載せていますので、作品のサイズを問わなければ十分に満足させられる内容でした。
レンブラント・ハルメンス・ファン・レイン、所謂「レンブラント」の展覧会が今国立西洋美術館で開催されていることもあり、非常にタイムリーな出版だと思います。
筆者の熊澤弘氏は、現在は国立西洋美術館客員研究員で、オランダ美術史、西洋素描・版画研究を専門とする美術史研究者ですから、本書の執筆には打ってつけでしょう。
過去の研究史を丹念に追い、代表的な論考を引用しながら、レンブラントの作品を論じるだけでなく、その生涯の光と影を浮き彫りにしています。特に代表的な作品の解説はとても参考になりますので、実際の作品と対峙する前に予備知識として読んでおくと観賞が深まると思います。
実際、2002年の京都国立博物館での「大レンブラント展」にかかっていた大作「目を潰されるサムソン」が108ページ以降に紹介してありますが、あの時の感激が蘇りました。「ダナエ」もダメージを受ける前の図版を掲載してありますし、工房での制作をはっきりさせたレンブラント・リサーチ・プロジェクトにも触れられています。
口絵に見開きで掲載してある「夜景」が完成した1642年、最愛の妻サスキアが29歳で亡くなっています。そして放蕩な生活の後に破産し、息子ティトゥスも27歳で亡くなり、それを追うように翌1669年10月4日にレンブラントは亡くなっています。オランダの市民社会の興隆とともに多くの作品を残し、今なお全世界で愛されている彼の生き様と作品の素晴らしさを本書で確認してください。
本書の章立てです。掲載内容の流れをご確認ください。
プロローグ 「レンブラント」に対するイメージ
第1章 才能ある若き天才のデビュー(〜1631)
第2章 アムステルダムでの活躍
第3章 称賛と批判
第4章 レンブラントのコレクション
第5章 “夜警”前後
第6章 レンブラントの後半生
第7章 晩年と「ラフな様式」
レンブラント・ハルメンス・ファン・レイン、所謂「レンブラント」の展覧会が今国立西洋美術館で開催されていることもあり、非常にタイムリーな出版だと思います。
筆者の熊澤弘氏は、現在は国立西洋美術館客員研究員で、オランダ美術史、西洋素描・版画研究を専門とする美術史研究者ですから、本書の執筆には打ってつけでしょう。
過去の研究史を丹念に追い、代表的な論考を引用しながら、レンブラントの作品を論じるだけでなく、その生涯の光と影を浮き彫りにしています。特に代表的な作品の解説はとても参考になりますので、実際の作品と対峙する前に予備知識として読んでおくと観賞が深まると思います。
実際、2002年の京都国立博物館での「大レンブラント展」にかかっていた大作「目を潰されるサムソン」が108ページ以降に紹介してありますが、あの時の感激が蘇りました。「ダナエ」もダメージを受ける前の図版を掲載してありますし、工房での制作をはっきりさせたレンブラント・リサーチ・プロジェクトにも触れられています。
口絵に見開きで掲載してある「夜景」が完成した1642年、最愛の妻サスキアが29歳で亡くなっています。そして放蕩な生活の後に破産し、息子ティトゥスも27歳で亡くなり、それを追うように翌1669年10月4日にレンブラントは亡くなっています。オランダの市民社会の興隆とともに多くの作品を残し、今なお全世界で愛されている彼の生き様と作品の素晴らしさを本書で確認してください。
本書の章立てです。掲載内容の流れをご確認ください。
プロローグ 「レンブラント」に対するイメージ
第1章 才能ある若き天才のデビュー(〜1631)
第2章 アムステルダムでの活躍
第3章 称賛と批判
第4章 レンブラントのコレクション
第5章 “夜警”前後
第6章 レンブラントの後半生
第7章 晩年と「ラフな様式」
2011年5月22日に日本でレビュー済み
オランダの大画家レンブラントの生涯と彼の画業、作品の特徴等を代表作<夜警>等豊富な図版で紹介しながらまとめられた入門書風の文庫本です。
私も本書で言及されている2002年の『大レンブラント展』は観させて貰ったので、読みながら展示室の壁に映画館のスクリーンのように掛けられていた巨大な絵画<サムソン>の大迫力を思い出して感慨を覚えました。有名な自画像や息子テティウスの絵、テュルプ博士の解剖学講義等も載ってますがルーブル美術館で観て感動した<ユディト>が載っていなくてちょっと残念。
本書で扱われている作品は、現在開催中の『光と、闇と、レンブラント』展に出展されているものが多いです(とはいえ<夜警>は来ないですが!)。私はこれから同展を観に行くので、本書を鑑賞前の予習として有難く使わせていただきました。
本書は、レンブラントが生きた時代のオランダ−故郷レイデンや工房を構えたアムステルダムは勿論、オランダ独立戦争(80年戦争)等のマクロな時代背景まで−の当時の芸術家の社会的地位や役割、影響、流行っていた絵画の様式やまた工房のシステムや経営の様子なども解説されており、時代の雰囲気を感じ取れます。
また、欠点も多い一人の人間としてのレンブラントと、存命中・死後を問わず評価やキャリアの浮沈を経験しながらも(一般にレンブラントの生涯に関しては、私生活も仕事も順調な栄光の前半生、家庭崩壊と、リアリズムに基づいたレンブラント絵画が批判されていく悲惨な後半生というのが定説であったらしいですが、著者は同時代人から最後まで一流の画家として注文を受けていた事実などを挙げて、定説に異を唱えています)天才としてのレンブラント、両方の顔も知ることができます。
当時レンブラントも自画像などで描いたトローニーという絵が流行したことや、レンブラントはエッチングも素晴らしいものを残しているということ、またラファエロやティツィアーノらイタリアルネサンスの巨匠たちから触発を受け彼等の描き方を研究して自分の画力を高めていたという事等は初めて知りました。
現在のレンブラント研究の模様や成果についても記述があり、これまでレンブラント作と言われていた作品が、レンブラントの工房で師匠の手本を参考に有能な弟子達が描いたものだと分かってきている等の新しい情報も手に入れることができます。
また、レンブラントが事実を理想化する古典主義的(また新古典主義)のスタイルではなく、女性の弛んだ肌や腹部まで徹底して事実を大切にして描くスタンスで評価され、晩年そういう描き方が流行らなくなっても生涯その姿勢を変えなかったということには、考えさせられるものがありました。
図版が充実して値段的にもお手ごろですし、文章もすっきりとしていて読みやすいので、「ざっくりとレンブラントの基礎情報を知りたい」私の様なビギナーの方にはお勧めの本です。
私も本書で言及されている2002年の『大レンブラント展』は観させて貰ったので、読みながら展示室の壁に映画館のスクリーンのように掛けられていた巨大な絵画<サムソン>の大迫力を思い出して感慨を覚えました。有名な自画像や息子テティウスの絵、テュルプ博士の解剖学講義等も載ってますがルーブル美術館で観て感動した<ユディト>が載っていなくてちょっと残念。
本書で扱われている作品は、現在開催中の『光と、闇と、レンブラント』展に出展されているものが多いです(とはいえ<夜警>は来ないですが!)。私はこれから同展を観に行くので、本書を鑑賞前の予習として有難く使わせていただきました。
本書は、レンブラントが生きた時代のオランダ−故郷レイデンや工房を構えたアムステルダムは勿論、オランダ独立戦争(80年戦争)等のマクロな時代背景まで−の当時の芸術家の社会的地位や役割、影響、流行っていた絵画の様式やまた工房のシステムや経営の様子なども解説されており、時代の雰囲気を感じ取れます。
また、欠点も多い一人の人間としてのレンブラントと、存命中・死後を問わず評価やキャリアの浮沈を経験しながらも(一般にレンブラントの生涯に関しては、私生活も仕事も順調な栄光の前半生、家庭崩壊と、リアリズムに基づいたレンブラント絵画が批判されていく悲惨な後半生というのが定説であったらしいですが、著者は同時代人から最後まで一流の画家として注文を受けていた事実などを挙げて、定説に異を唱えています)天才としてのレンブラント、両方の顔も知ることができます。
当時レンブラントも自画像などで描いたトローニーという絵が流行したことや、レンブラントはエッチングも素晴らしいものを残しているということ、またラファエロやティツィアーノらイタリアルネサンスの巨匠たちから触発を受け彼等の描き方を研究して自分の画力を高めていたという事等は初めて知りました。
現在のレンブラント研究の模様や成果についても記述があり、これまでレンブラント作と言われていた作品が、レンブラントの工房で師匠の手本を参考に有能な弟子達が描いたものだと分かってきている等の新しい情報も手に入れることができます。
また、レンブラントが事実を理想化する古典主義的(また新古典主義)のスタイルではなく、女性の弛んだ肌や腹部まで徹底して事実を大切にして描くスタンスで評価され、晩年そういう描き方が流行らなくなっても生涯その姿勢を変えなかったということには、考えさせられるものがありました。
図版が充実して値段的にもお手ごろですし、文章もすっきりとしていて読みやすいので、「ざっくりとレンブラントの基礎情報を知りたい」私の様なビギナーの方にはお勧めの本です。