和食ブームに伴い日本酒が世界から注目されつつあるが、その一方で、そもそも日本での日本酒の売り上げが頭打ちだと言う話を聞いた事がある。
確かに、周囲を見渡してもお酒が好きな人は多いものの、ビール党、ワイン派等が圧倒的に多く、日本酒贔屓の人は割合としては僅かなようにも思えるが如何だろうか。
だが、日本酒は単に「アルコール飲料」だけでは片付けられない奥深い歴史と文化がある。
そこで、日本酒を一つの「文化」として扱ったのが本書であり、本書を読むと、改めて、これからは日本酒を愛好して行こうと言う気にさせられるであろう。
さて、本書は「酒と神」「神と酒と人」「人と酒」の三章で纏められているが、ここで、大半は「神」について語っている事に注目せざるを得ないのではなかろうか…そう、実は、酒は神様とは切っても切れない関係にあるのだ。
「祭りや行事は酒無くしては成り立たない」…即ち、日本の酒の文化は先ずは神聖なものに始まり、それがやがて酒宴となり、末端の日常へと広まっていくのである。
因みに本書は、酒との関係における日本の米文化、酒の肴、酒造り、麴と酛、水、技法等々、実に多角的に論じている。
特に、著者自身の実体験も織り交ぜながら語っている所は具体性があり、酒造りの奥深さ、或いは大手に淘汰されたり時代の波に対応出来なくなったりで小さな酒造所が廃れて行くのを目の当たりにした侘しさを訴えている所は心に染みるものがあったように思う。
…とは言え、酒造りは決して終息期に向かっている訳では無く、新たな時代を迎えようとしているのではなかろうか。
確かに、昔に比べればチョイスが増えた分、日本酒の存在感は薄れたかもしれないが、それでも尚、日本古来の伝統に基く「酒」が消失するとは思えない。
美味しい酒がある限り…酒は単なる飲料ではなく、日本の文化としての一端を担っていくに違いないし、そう信じたいと思う。
こうした意味に於いては、本書が酒を単なる嗜好品としてではなく、日本の大切な「文化」として民俗学的視点で扱っている所に最大の意義があると言えよう。
何を隠そう、実は私自身は洋酒派ではあるのだが、本書を読んで、自分の好み如何ではなく「日本酒文化」を繋いでいきたいと思った次第である。
簡易な文庫本ではあるものの、ここには日本の酒文化には欠かせない精神史や民族史が一杯詰まっており、非常に読み応えのある一冊であった。
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酒の日本文化 知っておきたいお酒の話 (角川文庫ソフィア) 文庫 – 2006/9/22
神崎 宣武
(著)
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今日では芳醇な吟醸酒を少量たしなむのが好まれるが、薄目酒であった江戸の大酒飲みは、酒くらべでなんと3升も4升も飲んだという。お酒にまつわる習慣や文化は、時代によって大きく様変わりしてきた。その日本酒の原点を、神と「まつり」と酒宴にもとめ、民俗学的な視点から、酒と肴の関係や酒宴の移り変わり、飲酒習慣の変化、醸造の話や食文化とのかかわりなどを含蓄豊かに語り、お酒とその周辺の文化をやさしく説く。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社角川学芸出版
- 発売日2006/9/22
- ISBN-104044064016
- ISBN-13978-4044064013
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著者について
1944生。民俗学者。旅の文化研究所所長、岡山県宇佐八幡神社宮司。著書に『「まつり」の食文化』角川選書、『江戸の旅文化』岩波新書、『「うつわ」を食らう―日本人と食事の文化』NHKブックス、『神さま、仏さま、ご先祖さま―「ニッポン教」の民俗学』小学館など。
登録情報
- 出版社 : 角川学芸出版 (2006/9/22)
- 発売日 : 2006/9/22
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 256ページ
- ISBN-10 : 4044064016
- ISBN-13 : 978-4044064013
- Amazon 売れ筋ランキング: - 483,605位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年6月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書に、酒の語源を扱った章はない。14頁に少しだけ出ているだけである。そこで著者は「言語学の解析法で、古い言葉すべてが解明できるとは限らない」と言っているのだ。そこと著者紹介の一部分だけ読んで、禰宜が書いていると思い込んで酷評しているひどいレビューが下にあるが、民俗学にまったく触れたこともない人が、酷評したいだけの理由で書いたのだろう。こういうものを信用してしまうと、非常に損をする。
民俗学が、時に、ほとんどヤマ勘ではないかと思えるぐらいの飛躍で、語源を決めつけてしまうことがあるのは事実である。それは、柳田國男だろうが同じことで、確かに注意しなくてはいけないところなのだが、それゆえに民俗学は非常に想像力に富んだ学問であり続けたのだ。
神崎氏は、民俗学者としては食文化の専門家として、石毛直道氏と双璧である。素人などとんでもない。
昨今は、日本酒ブームで、何が美味しいかとか、どう作られるかとかいった本は非常に充実してきた一方で、文化として歴史的や社会学的に捉えるような著作が少ない。しかも本書はかなり射程が広い。そういった意味でも貴重な本なので、愚か者のレビューに騙されずに、自分の目で確認してもらいたい。
民俗学が、時に、ほとんどヤマ勘ではないかと思えるぐらいの飛躍で、語源を決めつけてしまうことがあるのは事実である。それは、柳田國男だろうが同じことで、確かに注意しなくてはいけないところなのだが、それゆえに民俗学は非常に想像力に富んだ学問であり続けたのだ。
神崎氏は、民俗学者としては食文化の専門家として、石毛直道氏と双璧である。素人などとんでもない。
昨今は、日本酒ブームで、何が美味しいかとか、どう作られるかとかいった本は非常に充実してきた一方で、文化として歴史的や社会学的に捉えるような著作が少ない。しかも本書はかなり射程が広い。そういった意味でも貴重な本なので、愚か者のレビューに騙されずに、自分の目で確認してもらいたい。
2020年2月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
歴史や現在にも残る祭祀、酒造の方法など、広く浅くといった感じの本。
ただ、矢鱈と「だろう」が多い。
「諸説あるが、〇〇が正しい」と書きつつも、なぜそれが正しいとしたのか根拠を示さない。
「〇〇といえるのである/いえるだろう」
確かにそういうものかと頷ける理屈ではあるけれど、かといってこの書き方では根拠が曖昧で、本当に民俗学の研究でそうなったのか、ただ筆者がそう思ったのか分からない。
これは民俗学というよりも雑学系の本といった方が良いかもしれない。
もっと真面目に民俗学的な酒の研究について知りたいのであれば、法政大学出版局の「ものと人の文化史」シリーズの「酒」を読むのが良いと思う。
ただ、矢鱈と「だろう」が多い。
「諸説あるが、〇〇が正しい」と書きつつも、なぜそれが正しいとしたのか根拠を示さない。
「〇〇といえるのである/いえるだろう」
確かにそういうものかと頷ける理屈ではあるけれど、かといってこの書き方では根拠が曖昧で、本当に民俗学の研究でそうなったのか、ただ筆者がそう思ったのか分からない。
これは民俗学というよりも雑学系の本といった方が良いかもしれない。
もっと真面目に民俗学的な酒の研究について知りたいのであれば、法政大学出版局の「ものと人の文化史」シリーズの「酒」を読むのが良いと思う。
2006年10月12日に日本でレビュー済み
民俗学的な視点から日本酒と神及び食文化とのかかわり、醸造技術の歴史を解説した本。日本酒という世界に類を見ない特殊な醗酵過程を経る酒が神事と深いかかわりを持ちながら飲まれ、また醸造・保存技術がご先祖様の知恵で発展してきたことが良く分かる。晩酌するときに日本酒の歴史に思いを馳せ、美味しい日本酒を当然のように飲める時代に感謝の意を表したくなる本だ。