本作「シャンク！！ザ・ロードストーリー」は、同作者の手になる「シャンク！！ザ・レイトストーリー」の直接の続編である。
雑誌連載形式で発表されていたレイト〜から著者の都合で文庫書き下ろしに移行する際、リニューアルの一環としてタイトル変更、担当イラストレーターも依澄れいからつたえゆずにバトンタッチした。
両者の画風の違いはこれはもう受け入れるしかないのだが、つたえの挿絵は素人目にも作業時間が足りないのではと思わせる、クオリティの高くないものが何点か含まれていて、読者の間ではあまり評判はよくなかった。
別に珍しいことではない。週刊連載の漫画同様、ライトノベルのイラストのスケジュールのタイトさは、昔からそこかしこで聞く。シリーズが長く続いていれば挽回の機会もあったのかもしれないが、ロード〜はレイト〜同様全2巻、計4巻で2005年に円満完結してしまい、読者の評価が覆されることはなかった。
それから約10年が経過した2014年。世間の波に乗って本作も電子書籍化されたのだが、実際読んでみて驚いた。なんと何点かのイラストが加筆修正されていたのだ。中には、構図から全く別のものもあった。著者の秋田禎信によると、つたえの方から描き直ししたいと提案してきたそうだ。
電子書籍化に当たって何らかの特典をつけることは珍しいことではない（レイト〜の方は雑誌連載→文庫化に当たり削除されたイラストが収録されている）し、本文の細かい部分を修正するというのも稀に見られるが、イラストを描き直すというのは初めて聞いた。紙の書籍と電子本で内容が食い違うことには賛否両論あるだろうが、制作者が加筆修正を望むなら、紙しかなかった頃と比べ（多分）容易にそれが可能だ、というのは利点ではあるだろう。
だからといって既読者に向けこの電子版をお勧めするかどうかはまた別の話だが、自分の中でつたえによるイラストの評価が上がったのは事実であり、商品情報を見る限り角川は特に加筆修正をフィーチャーしていないようなので、わたしがここに記しておく。
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