![ガンヘッド・メカニクス[復刻版] (HOBBY JAPAN MOOK)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/81zHbOu-+-L._AC_UL165_SR165,165_.jpg)
1980年代末に角川が主体となって行ったメディアミックス作品の一貫として刊行されたのが本書。
原題となったガンヘッドは東宝がこれでもかと金をかけて広告を打ちまくったが、鳴かず飛ばずの大コケとなり、本書も最終巻まで刊行されずにお蔵入りになってしまったから、わざわざガンヘッドを読もうという人は著者の會川昇のファンくらいではなかろうか。
さてこのガンヘッド、所謂ラノベである。
刊行当時はSFが流行っていた時期だから、ラノベと言えどもSF作品が多かった。
舞台は人類が外宇宙に行ける様になった頃の設定である。
それであれば別に珍しくもなんともないのだが、この作品を特徴づけているのが「AI」である。
この作品の人類はAIに生活の全てを依存しており、AIがなければ何も出来ない。
これが何とも今日の人類の延長線上に存在する様に思えるのだ。
主人公はAIの管理下に置かれていない非登録者で、AIに依存する事を否定してはいるのだが…
さて、もう一つこの作品を特徴づけているテーマに「暴力」と言うものがある。
SFアクションと言っていい作品だから暴力（アクション）シーンは当然出てくるのだが、暴力は人間の本能でありいくらAIで教育、管理をしたところで消せるものではないと語っている。
作中で敵対人物が「暴力とは火なのだ」と御高説を述べるのだが、これは恐らく會川昇独自の哲学精神なのであろう。
今日の技術から見れば設定されている未来の技術に対して「？」と思うところもあるにはあるのだが、著者の哲学と物語の展開はラノベだけに留めておくのは惜しい。
しかしそのこりすぎた故に映画もコケてしまったのかもしれない…
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