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日本文化の模倣と創造 オリジナリティとは何か (角川選書 341) 単行本 – 2002/6/29
〈目次〉
序
第一部 模倣と創造──オリジナリティとは何か
1 似ているとはどういうことか
ことばの獲得と制約/母国語の影響/類似性とアナロジー/類似品の見分け方/類似性の科学の必要性/浮世絵の類似性の科学
2 ものまねの美術
陶芸の伝播とものまね/西洋美術とものまね/『モナ・リザ』の秘密/ものまねの浮世絵史/見立て/美術の創造性と近代国家
3 写真の神話
写真のコピー力/幕末明治の日本と写真/見世物としての写真/写真の所有権/写真家の誕生/空想の美術館
第二部 著作権は何を守っているのか──著作権制度の光と影
1 著作権の狂想曲
いま何が起こっているのか/著作権とは/著作権の変容/著作権の歴史/本の海賊/テクノロジーとお金/文化と経済の隘路/コピーレフト/デジタル植民地主義
2 コピーと国のかたち
近世日本の出版と文芸/福沢屋諭吉の版権運動/版権から著作権へ/水野錬太郎と求著作権法/外交カードとしての著作権/帝国議会での応酬/ベルヌ条約への批判/著作権による精韓支配/沖縄の著作権
第三部 日本文化と再創主義のすすめ
1 つながりの歌
花の下で/連歌と再創/付けと本歌取り/芸道のコピー/「風」の創造性/再創による技術の伝達/心あるコピー
2 デジタル社会のジャポニスム
IT革命の旗手たち/ハッカー文化と日本文化/ラクダの贈り物/連歌の大事/日本の貢献
3 クリエーションからレクリエーションへ
マンガ・アニメの広がり/アニメ・ミュージックビデオのゆくえ/デファクト・スタンダードのとりかた/独創主義の弊害/再創主義のすすめ
参考文献
あとがき
- 本の長さ232ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA/角川学芸出版
- 発売日2002/6/29
- ISBN-104047033413
- ISBN-13978-4047033412
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商品の説明
著者からのコメント
日本の芸能や芸道、文芸、工芸では、規範から大きくはずれた表現をすることは、決してほめられない。先人を模倣することが、表現の第一歩なのである。ところが、明治以後の近代化の流れのなかで、伝統文化は衰退し、模倣という文化の継承システムが一部で破壊され、まねすることは戒められるような風潮が支配的になっている。
模倣を禁じ、独創を守ってきた制度のひとつが著作権である。ところがこの著作権というものは、著作者の精神的な尊厳のようなものを保護する制度だという表の顔と、富を生み出す打出の小槌としての裏の顔がある。歴史的にみると、著作権制度が生み出され、それが国境を越えて広がる原動力になったのは、この裏の顔のほうであった。また、著作権の越境に国家間の支配・被支配の関係が、深くかかわってきたという事情もある。
インターネットという、人類の歴史上、例をみないようなコミュニケーション文化が生まれたことで、情報の流布を制限することによって富を生み出すという、近代的な情報産業の基盤が崩れつつある。『日本文化の模倣と創造―オリジナリティとは何か』というテクストは、日本文化という着物の縦糸と横糸を解きほぐし、わたしたちの進むべき方向を読者とともに考えるために織り直したテクスチャ(織物)である。
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA/角川学芸出版 (2002/6/29)
- 発売日 : 2002/6/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 232ページ
- ISBN-10 : 4047033413
- ISBN-13 : 978-4047033412
- Amazon 売れ筋ランキング: - 674,152位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 152位著作権
- - 5,487位社会一般関連書籍
- - 6,346位その他の思想・社会の本
- カスタマーレビュー:
著者について
大阪市出身。筑波大学大学院修士課程医科学研究科修了。筑波技術短期大学助手などを経て、国際日本文化研究センター教授・総合研究大学院大学教授。京都大学博士(工学)。専門は情報学と文化交流史。日本文化、大衆文化、情報文化、著作権、人文情報学などを主なフィールドにしながら、情報の生成・伝達・変容・保存・消滅から再創までの、すべてを視野に置いた執筆活動を行っている。
「古文書を読むための電子くずし字辞典の開発」で、日刊工業新聞社第2回(H19)モノづくり連携大賞特別賞を受賞。『東京ブギウギと鈴木大拙』(人文書院、2015年)で第31回(H27)ヨゼフ・ロゲンドルフ賞を受賞。
Twitter: @yamadashoji
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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オリジナリティーとは何か?模倣とは何か?よく分かった。
日本の著作権に詳しい著者による、日本の文化と著作権との関係についてまとめられた一冊。
浮世絵や陶器といった美術品からアニメ、ゲーム、写真まであらゆるジャンルの著作権保護について述べている。
「そもそも著作権とは?」という基礎の部分から触れているので、初めて著作権問題を学ぼうとする人にも安心だと思います。
読みやすく、著作権制度の成り立ちや各国の知的財産事情についての考察もしっかりしておられるのでお勧めの一冊です。
しかしこの本を読むと、そのようなオリジナリティ重視の考え方(独創主義)がたかだか19世紀末から成立した神話であるにすぎないことがよくわかる。それまで日本でも西洋でも、模倣を軸にした豊かな文化が展開されていた。本書は、そうした「模倣文化」の豊かさを明らかにして、独創主義に代わる再創主義を提示する書である。
この本の長所は、単なる日本文化論を越えて、アメリカのハッカー文化やインターネット上のオープンソースにもきちんと触れている所だろう。また、「似ているとはどういうことか」という基本的な問題にまで踏み込んでいた点がよかった。著者の専門は情報学とのことだが、おそらく国文学者ではこうはならなかったはず。著作権制度の弊害を考えるためにも、ぜひ読んでいきたい一冊。