![[新版]指導者の帝王学](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61a1mWza6-S._AC_UL165_SR165,165_.jpg)
著者、山本七平氏の鋭い分析、明快な説明を総称して山本学とネーミングされているが、本作に於いても十分に氏の魅力を堪能できる。
氏は武田信玄を、戦国時代の中で、早い時期から天下を取る事を現実的目標とした唯一の武将であり、現実に取る事の出来た逸材と評し、彼の成り上がりと彼の生活、思想の背景から、武田家の領地経営と家臣との主従関係、近隣大名との戦力関係や信玄の取った戦略、戦術方針を説明し、信玄没後の武田家の問題から、時代の転換点に於ける武田家が抱えていた致命的な問題を、それぞれ分析している。
我々は、武田というと騎馬隊を連想するが、騎馬隊の本当の強みは物資の輸送力の高さであって、我々が連想している騎馬戦術は実際の戦の中では限定的なものだろうという主張とそれに関連する説明は、読者の興味を惹くだけでなく、氏ならではの現実的な説得力を感じる。
信玄の内面に関しては、勇猛果敢な猛将という信玄のイメージが巷によくみられるが、人や家臣に対して常に注意をはらい、古典に通じて情報戦略、輸送戦略を重視した非常に繊細で緻密な人間性を説明している。そしてそれを彼の取った戦略や生涯に関連付けている。
総評として、氏の武田信玄の分析は、乱世の帝王学のサブタイトルにふさわしい内容であり、歴史から教訓を得るに満足いく本であったが、武田家の問題提起に対しては、問題提起だけで終わったのが、いささか残念だったので星4とする。
余談だが、ビジネス社の「山本勘助はいなかった―「風林火山」の真実 」と本著は内容が同じなので、通販などで両方買ってしまった私の様なミスはしないように気をつけて下さい。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
