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日本人の心のかたち (角川SSC新書) 新書 – 2013/11/9
玄侑 宗久
(著)
日本人は両行(りょうこう)と不二(ふに)の間を行ったりきたりしながら、つねに柔らかな思考で、物事に対処してきた民族である。
漢字に対抗して仮名文字を作り出したように、何か一つに絶対化せず、あえて対抗するものを作り出してきた。西の文化に対抗して東の文化、わび、さびに対抗して婆娑羅に伊達、犬も歩けば棒にあたる/果報は寝て待てのような、ことわざの持つ二面性・・・などがそれで、これはまさしく荘子のいう「両行」であり、どうちらか一方という西欧の二元論ではなく、どちらもOKという考え方である。
一方で、このように対抗させた二つを、なんとか一つに纏め上げることも大切にしてきた。たとえば、神と仏、身と心などがそうで、これがまさに和の心、物事を常に俯瞰してみる「不二」という考え方であり、唯一絶対の西欧的思考ではない。
グローバリズムの潮流のなか、TPPというアメリカ的システムや価値基準を押し付けられている昨今、本来の日本的価値基準に戻してこそ、本当意味での東日本大震災からの復興もなしえるのではないか。
震災後2年半かけて熟成してきた玄侑宗久氏の心情と、「両行」と「不二」から日本人の特殊性、そして素晴らしさを解き明かした待望の一冊である。
漢字に対抗して仮名文字を作り出したように、何か一つに絶対化せず、あえて対抗するものを作り出してきた。西の文化に対抗して東の文化、わび、さびに対抗して婆娑羅に伊達、犬も歩けば棒にあたる/果報は寝て待てのような、ことわざの持つ二面性・・・などがそれで、これはまさしく荘子のいう「両行」であり、どうちらか一方という西欧の二元論ではなく、どちらもOKという考え方である。
一方で、このように対抗させた二つを、なんとか一つに纏め上げることも大切にしてきた。たとえば、神と仏、身と心などがそうで、これがまさに和の心、物事を常に俯瞰してみる「不二」という考え方であり、唯一絶対の西欧的思考ではない。
グローバリズムの潮流のなか、TPPというアメリカ的システムや価値基準を押し付けられている昨今、本来の日本的価値基準に戻してこそ、本当意味での東日本大震災からの復興もなしえるのではないか。
震災後2年半かけて熟成してきた玄侑宗久氏の心情と、「両行」と「不二」から日本人の特殊性、そして素晴らしさを解き明かした待望の一冊である。
- 本の長さ212ページ
- 言語日本語
- 出版社角川マガジンズ
- 発売日2013/11/9
- 寸法10.9 x 1.3 x 17.3 cm
- ISBN-104047316245
- ISBN-13978-4047316249
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商品の説明
著者について
玄侑宗久(げんゆう・そうきゅう)1956年福島県生まれ。慶應義塾大学卒業後、さまざまな仕事を経て、京都・天龍寺専門道場に入門。現在、臨済宗妙心寺派福聚寺住職。2001年「中陰の花」で第125回芥川賞受賞。『光の山』『しあわせる力』など、著書多数。
登録情報
- 出版社 : 角川マガジンズ (2013/11/9)
- 発売日 : 2013/11/9
- 言語 : 日本語
- 新書 : 212ページ
- ISBN-10 : 4047316245
- ISBN-13 : 978-4047316249
- 寸法 : 10.9 x 1.3 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 405,027位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1956(昭和31)年、福島県三春町生まれ。安積高校卒業後、慶應義塾大学文学部中国文学科卒業。さまざまな職業を経験した後、京都の天龍寺専門道場に入門。現在は臨済宗妙心寺派、福聚寺住職。2001年、「中陰の花」で第125回芥川賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 龍の棲む家 (ISBN-13:978-4167692056 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年1月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本人の愛すべき純朴さ、正直、真面目、こまやかさ、他のどの国とも違う?愛おしくなるような純朴さ、を、もう一度見直したくなった
2014年3月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
凡人の私には、興味ある話題から逸れていて本に集中することが出来ませんでした。もう少し歳をとってからもう一度読みたいと思います。
2013年12月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本人の身体、心の流れが良くわかりました。西洋の動き、ながれが明らかに異なっている事が良く解りました。現在の政治の流れを戻さなければ、日本自体が消失してしまう。
2014年1月5日に日本でレビュー済み
日本人はどんなものも「仕合わせ」、「対」を生み出し、「さいわい」(=咲き賑わい)にしてしまう民族だ。そんな日本人の心の基底にあるのは2つの思想だという。
一つは、対になる在り方を両方認める「両行」(りょうこう)という荘子の思想であり、もう一つは、両行する価値観を矛盾なくまとめあげる「不二」(ふに)という維摩経の思想である。
「菊と刀」のベネディクトには、日本人の行動が一貫性がなく場当たり的なものに映ったようだ。しかし、それは「両行」する考え方を認めたうえで、その時その場で、無心に直感的判断を下す日本人特有の思考なのだと著者はいう。たとえば「善は急げ」に対し「急がば回れ」、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」に対し「君子危うきに近寄らず」など、どちらに転んでも初動の判断を肯定するための諺がある。その理由として、日本人が「たった今」の状況判断を最重要視するからであり、それは武士道とも無縁ではないだろうとする解釈も面白かった。
一方、両行したままでは単なる矛盾で終わりかねないけれども、日本人は、それを「不二」という思想で俯瞰し、合一させようとしてきた。こうした不二の思想が日本人の心の奥底に入り込んだのは、多分に富士山のせいであるという論考も興味深かった。
両行のまま停滞するのではなく、不二に到るように努めること。そして、不二から唯一が芽生えたら、再び両行に戻ってカウンターとなる価値観を見つけ、自らを相対化すること。著者は、このような不断の思考サイクルを「心の柔軟体操」と呼び、そうしたことを本来的に実践できる強みこそ、日本人の心の免疫力ではないかと結ぶ。
日本人としての自分自身を知るキッカケとして、大変有意義な本であると思った。
一つは、対になる在り方を両方認める「両行」(りょうこう)という荘子の思想であり、もう一つは、両行する価値観を矛盾なくまとめあげる「不二」(ふに)という維摩経の思想である。
「菊と刀」のベネディクトには、日本人の行動が一貫性がなく場当たり的なものに映ったようだ。しかし、それは「両行」する考え方を認めたうえで、その時その場で、無心に直感的判断を下す日本人特有の思考なのだと著者はいう。たとえば「善は急げ」に対し「急がば回れ」、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」に対し「君子危うきに近寄らず」など、どちらに転んでも初動の判断を肯定するための諺がある。その理由として、日本人が「たった今」の状況判断を最重要視するからであり、それは武士道とも無縁ではないだろうとする解釈も面白かった。
一方、両行したままでは単なる矛盾で終わりかねないけれども、日本人は、それを「不二」という思想で俯瞰し、合一させようとしてきた。こうした不二の思想が日本人の心の奥底に入り込んだのは、多分に富士山のせいであるという論考も興味深かった。
両行のまま停滞するのではなく、不二に到るように努めること。そして、不二から唯一が芽生えたら、再び両行に戻ってカウンターとなる価値観を見つけ、自らを相対化すること。著者は、このような不断の思考サイクルを「心の柔軟体操」と呼び、そうしたことを本来的に実践できる強みこそ、日本人の心の免疫力ではないかと結ぶ。
日本人としての自分自身を知るキッカケとして、大変有意義な本であると思った。
2013年12月15日に日本でレビュー済み
荘子の「両行」と維摩経の「不二」という考え方から日本人について論じている。
日本人は古来から必ず対比するものを作って、物事を唯一絶対化をしてこなかったという。
ものにとらわれず、直観的に生きてきた日本人を、『菊と刀』を書いた
ルース・ベネディクトは「矛盾」と取ったそうだが、
アメリカ人には日本人の心の機微はわかるまいと感じた。
先が見えない時代だからこそ、日本人が持つ直観力を鍛えなければと考えさせられる本だ。
日本人は古来から必ず対比するものを作って、物事を唯一絶対化をしてこなかったという。
ものにとらわれず、直観的に生きてきた日本人を、『菊と刀』を書いた
ルース・ベネディクトは「矛盾」と取ったそうだが、
アメリカ人には日本人の心の機微はわかるまいと感じた。
先が見えない時代だからこそ、日本人が持つ直観力を鍛えなければと考えさせられる本だ。
2013年12月9日に日本でレビュー済み
素晴らしい内容です。
しかしながら、彼はついぞニコチン依存症から抜けきれていません。
いつ見ても、唇は青く、歯は真っ黒です。
これを克服した頃、再び本書を手にしたいと思いました。
しかしながら、彼はついぞニコチン依存症から抜けきれていません。
いつ見ても、唇は青く、歯は真っ黒です。
これを克服した頃、再び本書を手にしたいと思いました。
2013年12月31日に日本でレビュー済み
「美しい日本」などというまるで空虚な言葉と対極にある日本人論。そんなに肩を張ることはないよと安心させてくれる反面、少し生き方を変えてみたらとささやいているような、ちょっと怖い本だ。