今年の電撃小説大賞は先に電撃文庫の方で刊行された2冊が比較的「当たり」だったので「おう、今年は当たり年じゃねーか」と喜び、「これならMW文庫も
そこそこ弾が揃っているかな」と期待度高めで手を出したもう一つの大賞作品。今年のMWの受賞作って全部女主人公なんだな、とレーベルの方向性に
やや違和感を持ちつつ拝読
物語は主人公、アメリカ資本の証券会社L&Lで毎月トップセールスを誇るトレーダー・橘立花が自分のパソコンが突然ログインできなくなり、自分の顧客
サクマファンドからの取引指示が出来なくなった事に苛立ちを感じた直後、上司の松永から更に突然な解雇を告げられる場面から始まる。毎月トップの
成績を出し続けてきた自分の解雇が理解できないと主張する立花に「会社の決定だ」と押し通そうとする松永。張り詰めた様な雰囲気の中、人事部の
社員が現れ、立花に私物だけ持って退社よう告げる。立花の退室後、伝説のトレーダーの突然の解雇に騒然となる同僚たちに松永は無断売買があったと
漏らしてしまう。腕っこきの上に分かれた旦那は金融庁の役人だった人間がそんな分かり易い不正をする筈が無いと不信感を抱く同僚一同。オフィスビルから
放り出された立花だったが、人事部の社員が用意してくれたタクシーに乗り、一旦人形町にある自宅マンションへと帰宅する事に。訳の分からない解雇に
苛立つ立花は「とりあえず、腹ごしらえか」と近所のラーメン屋に出向こうとするが、曲がり角で飛び出してきた青年と危うく衝突しそうになる。その刹那、
目の前を猛スピードで車が走り抜け、結果的に間一髪で事故を免れる事になる。情けなく尻もちをついた青年は永山一樹と勝手に名乗り、立花が行こうと
したラーメン屋が休みだと告げ、他にも良い店があるからと立花をある洋食店へ連れて行くが…
隙だらけなのに「隙があったらかかってこんかい!」と堂々と見栄を切った上で毎度ボコボコにされるのは吉本新喜劇での岡八朗の持ちネタだったけど、
穴だらけの作品を出して「穴があったらツッコんでこんかい!」と全力で主張しているのか、電撃の編集部は?
大まかなストーリーは身に覚えの無い無断売買で突然の解雇を告げられたトレーダーの立花が無断売買の相手、自分の顧客であったサクマファンドの
社長から真犯人を見つけなければ立花相手に百億円の賠償請求を行う、と無理難題を突き付けられた上でやたらと人懐っこい洋食屋のバイト青年・一樹や
下町の住人の世話になりながら自分を嵌めた犯人を捜し出すが、その裏で医療器業界の絡む不正なTOBが進行していくというのが主な筋書き
「天才キャラが描ける程頭が良くない作家は代わりに周りの人間を全員バカとして描く事で主人公を天才化する」というのはダメなラノベに共通する
黄金の法則ではあるのだが…まさに本作は地で行っているね。主人公の橘立花(この名前何とかならなかったのか?地の文で「立花」と書かれても
読者の脳内には「たちばな」とルビが打たれてメッチャ読み辛かったんだが!)が伝説のトレーダーという設定なのだけど、読んで感じたのは立花の
頭のキレではなく、立花以外の登場人物の頭のユルさの方
特に会社を追い出された立花が世話になる下町の住人は仏さまの様な善男善女だらけであまりにステレオタイプな人物描写ばかりで胸焼けがする
一見の客で基本的には見ず知らずの立花に「ウチに住んで良いから」って…しかも後半では身内の会社を助けて貰った恩を裏切り空き巣みたいな
真似までした人間に怒りも見せず、「色々大変だったね」と同情するとか「冷酷な金融業界から追放された女性を温かく迎えてくれる善人揃いの下町の人々」
という寅さん映画を下手に真似た様な「下町」のステレオタイプ描写にゲンナリさせられた
その中でも序盤から立花に絡んでくるバイト青年の一樹。このキャラを出した意味がさっぱり分からない。立花の調査活動に延々と纏わり付いてくるのだけど
何かストーリー中で謎解きのきっかけを掴む役割でも果たすのかな?と読み進んでみたが、本ッッッ当に一ミリたりとも何の役割も果たしていない
立花が無職の身分を隠して乗り込んだ医療機器メーカーでも名刺を貰っただけで大はしゃぎしたりしたり、こんな頓狂な人間を連れた相手に社内の
事情をボロボロ喋る経理担当者の頭は大丈夫なのか、と他のキャラクターの描写の粗を引き立てるだけだった。一応は家族を失ったらしい、という
少女マンガにありがちな「傷を抱えたイケメン」的要素を持たせたり、フランス出身という過去を匂わせてはいるけど、ストーリー上、これらの要素が
活かされる場面は一切無かった
立花の元同僚の間宮(これまたイケメン)の描写がこれまた酷い。本作を女性相手に売り込みたいのかもしれないけどホモセクシュアルなキャラって…
一応、この趣味が元で立花の調査に協力させられるのだけど、立花が使った脅しの道具「男同士で肩を組んでラブホテルに入って行く写真」ってのは
作者が一般的なラブホテルは男同士での利用を断る、という事情すら下調べしていない事が丸わかり。しかも調査に協力する事を約束しただけで
結果も出していないのに証拠写真を消しちゃう立花の行動は理解できない。伝説のトレーダーと言う割に脅しの基本すらままならない頭の持ち主なのか?
物語の序盤から立花は車に轢かれそうになったり命を狙われ続けるんだが、不正取引事件の濡れ衣で金融マンとしては死に体となった立花を実際に
殺そうとする意味が分からない。殺そうとする事で黒幕にどんなメリットがあるの?リスクしか無いやん。しかもご近所で八件も空き巣が、それも一件は
意識不明の重体を出す強盗傷害を起こしてしまって警察の目が厳しくなりそうな界隈で轢き逃げを何度も試みたり、果ては堂々と顔を晒して刺しに来たりと
黒幕側もやる事が粗すぎて、だんだん頭痛がしてきた。この世界にはバカしかいないのか?
バカの極めつけは立花を嵌めた真犯人。裏取引している相手と全ての通話記録が残る金融会社の電話で話し合うって…外資系のエリート金融マンが
やらかすミスなのか、これは?……ああ、社内のパソコンから2ちゃんねる荒らしたバカのいる会社もあったっていう高度な自虐系ギャグですか!
出てくる登場人物が全員この調子なのでミステリとしてのレベルは推して知るべし。金融庁の役人である立花の元旦那とかヒント与える為だけにしか
出した意味が無いし、立花が何もしなくてもゴロゴロと手掛かりが入ってくるので主人公の頭のキレなんて見せる要素が欠片も無いのである
登場人物の描写のお粗末さを指摘するだけでほとんどレビューが埋め尽くされそうになったけど、文章の方もかなり難あり。幾つも気になる場面はあったが
取り合えず立花が殺されそうになる場面。「ぶらぶらとこちらに向かって歩いてくる男の、何かが気になる」…いや、その前に男が立花の方に向かって
歩いてくるという描写無かったよね?どこから現れたの、この男?続いて、黒幕の企業が利用しようとした拝島にある会社に立花が乗り込む場面だが
「じっと顔を俯けて、押し黙ったままの佳恵の前に、つと一樹が屈みこんだ」…場面転換から6ページもの間、立花が一樹を連れていた、なんて描写は
一つも無いぞ?いったいどこから現れたの、一樹は?文章が基本の部分でおかしいだろ、編集者は何のチェックをしていたんだ???
登場するキャラクターの数も多いが、その全てに個人名付けてるのも勘弁してくれ。普通個人名付けるキャラクターってその後でストーリー上絡ませる
要素のある人物だけだろ?ご丁寧に金融系の人物から下町の住人まで個人名付けているので誰が重要な意味を持つキャラクターなのか色分けが
全く出来ていないので読者は全員分の名前を覚えるという無駄な「作業」を強いられるのである、こういう最低限の読者への配慮も出来ないのか?
登場人物の描写もユルユルなら彼らの頭の中もユルユル、登場させる必然性もユルユル。ミステリーとしてもご都合主義。ラノベのキャラクター小説としての
面からみても下町の人間、悪役、マスコットキャラ、全てがステレオタイプその物で個性ゼロ。おまけに文章力はガタガタ。これが大賞作品だって???
…悪い冗談に付き合わされた様な一冊だった。時間をドブに捨てたいと言う奇特な方以外には全くお勧めできない
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トーキョー下町ゴールドクラッシュ! (メディアワークス文庫) 文庫 – 2016/2/25
角埜杞真
(著)
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購入オプションとあわせ買い
負ければ賠償金100億円――。一世一代の大勝負に、大逆転は起こるのか!?
賠償金100億円――。伝説の女トレーダー・橘立花は罠に嵌められた。身に覚えのない罪を着せられ、勤めていた証券会社からクビを宣告されたのだ。
億単位の金を稼ぐ華々しい活躍から一転、無職となった立花は下町の商店街に偶然辿り着く。そこで出会ったのは、顔だけが取り柄のダメフリーターや、頑固な洋食店店主など、お金はなくても人情味溢れる江戸っ子たち。
自らの解雇の裏にある巨大な陰謀に気づいた立花は、彼らの助けを得て、悪人どもを叩っ斬る!!!
どんな人生にも逆転はある。痛快すぎる下町金融ミステリ!
賠償金100億円――。伝説の女トレーダー・橘立花は罠に嵌められた。身に覚えのない罪を着せられ、勤めていた証券会社からクビを宣告されたのだ。
億単位の金を稼ぐ華々しい活躍から一転、無職となった立花は下町の商店街に偶然辿り着く。そこで出会ったのは、顔だけが取り柄のダメフリーターや、頑固な洋食店店主など、お金はなくても人情味溢れる江戸っ子たち。
自らの解雇の裏にある巨大な陰謀に気づいた立花は、彼らの助けを得て、悪人どもを叩っ斬る!!!
どんな人生にも逆転はある。痛快すぎる下町金融ミステリ!
- 本の長さ326ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日2016/2/25
- 寸法10.7 x 1.6 x 15.1 cm
- ISBN-104048657615
- ISBN-13978-4048657617
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商品の説明
著者について
第22回電撃小説大賞〈大賞〉を受賞し、デビュー。東京生まれ東京育ち、心の故郷は岐阜県関市。昔、深夜の新青梅街道で引ったくりにあい、パトカーに乗って連行されたのが唯一の自慢。
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2016/2/25)
- 発売日 : 2016/2/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 326ページ
- ISBN-10 : 4048657615
- ISBN-13 : 978-4048657617
- 寸法 : 10.7 x 1.6 x 15.1 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 572,200位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 963位メディアワークス文庫
- - 13,539位日本文学
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年2月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年5月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
電撃小説大賞にしては珍しく、キャリアウーマンを主人公に据えた小説。
一般的に最近ではビジネス系の小説が人気だから、それを意識したのかなと思う。
ただ、こうしたビジネス系だと、読者を納得させるリアリティが必要だと思うのですが、
この小説はいかにも作者が頭の中で考えましたという感じで、
ビジネスシーンなどでそれはありえないだろうと場面が少し鼻につきました。
金融の最先端と下町という両極端の世界を対比的に描くという発想はいいと思いますが、
(ある意味、下町ロケット?)
これがライトノベルなら許されることでも、エンタメ小説としては、
もう少し取材が必要なのではと思いました。
一般的に最近ではビジネス系の小説が人気だから、それを意識したのかなと思う。
ただ、こうしたビジネス系だと、読者を納得させるリアリティが必要だと思うのですが、
この小説はいかにも作者が頭の中で考えましたという感じで、
ビジネスシーンなどでそれはありえないだろうと場面が少し鼻につきました。
金融の最先端と下町という両極端の世界を対比的に描くという発想はいいと思いますが、
(ある意味、下町ロケット?)
これがライトノベルなら許されることでも、エンタメ小説としては、
もう少し取材が必要なのではと思いました。
2016年2月28日に日本でレビュー済み
好みですね。
当方、割と大人なので、こういう感じ好きですよ。
webの試し読みで結構面白そうだと思って、先が気になって買って読みました。
立花(りっか)ちゃん、かっこいいけど可愛い。自分もこういう人になりたかったなあ。
それと周りの登場人物がね、いいんです。優しい人たち。
理想論かもしれないけど、いいじゃない。小説なんだもん。おじさんおばさんが優しいと嬉しいんですよ。
会社でいろいろくたびれた後で読んだので、何だか癒やされました。
何より、大事にしたいじゃないですか、人情ってものを。
そういう作品なんだと思いました。
金融系さっぱり解らないので「へー」「そうなんだーー」と感心することも多かったです。
全体的にふわっとしてて、ちょっと物足りないとこもあるので、マイナス☆。
当方、割と大人なので、こういう感じ好きですよ。
webの試し読みで結構面白そうだと思って、先が気になって買って読みました。
立花(りっか)ちゃん、かっこいいけど可愛い。自分もこういう人になりたかったなあ。
それと周りの登場人物がね、いいんです。優しい人たち。
理想論かもしれないけど、いいじゃない。小説なんだもん。おじさんおばさんが優しいと嬉しいんですよ。
会社でいろいろくたびれた後で読んだので、何だか癒やされました。
何より、大事にしたいじゃないですか、人情ってものを。
そういう作品なんだと思いました。
金融系さっぱり解らないので「へー」「そうなんだーー」と感心することも多かったです。
全体的にふわっとしてて、ちょっと物足りないとこもあるので、マイナス☆。
2020年9月16日に日本でレビュー済み
非常につまらない、ターゲットも中途半端な作品です。
どうしてこれが電撃小説大賞をとれたのか、理解に苦しみます。
作者はこれ以降、新作を書いていない、要するに「一発屋」です。
三百万円をあげて、その結果がコレ。
電撃さん、大損でしたね。
どうしてこれが電撃小説大賞をとれたのか、理解に苦しみます。
作者はこれ以降、新作を書いていない、要するに「一発屋」です。
三百万円をあげて、その結果がコレ。
電撃さん、大損でしたね。
2016年2月29日に日本でレビュー済み
関係のなさそうな話をいくつも出す展開に,早くからそれらの繋がりを予感させられ,
その通り,最後には結びついていくものの,期待したほどの驚きや真実は見られません.
また,『一世一代の大逆転劇』と謳われた割には,最後の対決はあっさりしており,
かといって,『金融ミステリ』の方も,金融はともかくミステリとしては弱めの印象.
エンタメとして見た場合も,粗をごまかせるほどの勢いや痛快さといったものに乏しく,
事件とその関係者らの杜撰な判断や手口,都合の良さにどうしても目が向いてしまいます.
おかげで,『超』がつくほどのキャリアウーマンだった主人公が,下町の人情に触れ,
気持ちの変化と暖かな今後を窺わせる幕引きも,残念ながら今ひとつ響いてはきません.
このほか,『橘立花』という彼女の名前の字面が,読む側からすればとても煩わしく,
苗字で呼ばれ,名前で呼ばれ,使い分けのルールはあったようですが誤植を疑ったほど.
下町の人たちも,誰が何屋でどういう関係なのか,その把握に最後まで手こずらされます.
カバーデザインについても,キャラクタを含めてもう少し何とか…といったところで,
美女とイケメンハーフとされる主人公ら二人も,どうしてもそういう風には見えません.
その通り,最後には結びついていくものの,期待したほどの驚きや真実は見られません.
また,『一世一代の大逆転劇』と謳われた割には,最後の対決はあっさりしており,
かといって,『金融ミステリ』の方も,金融はともかくミステリとしては弱めの印象.
エンタメとして見た場合も,粗をごまかせるほどの勢いや痛快さといったものに乏しく,
事件とその関係者らの杜撰な判断や手口,都合の良さにどうしても目が向いてしまいます.
おかげで,『超』がつくほどのキャリアウーマンだった主人公が,下町の人情に触れ,
気持ちの変化と暖かな今後を窺わせる幕引きも,残念ながら今ひとつ響いてはきません.
このほか,『橘立花』という彼女の名前の字面が,読む側からすればとても煩わしく,
苗字で呼ばれ,名前で呼ばれ,使い分けのルールはあったようですが誤植を疑ったほど.
下町の人たちも,誰が何屋でどういう関係なのか,その把握に最後まで手こずらされます.
カバーデザインについても,キャラクタを含めてもう少し何とか…といったところで,
美女とイケメンハーフとされる主人公ら二人も,どうしてもそういう風には見えません.
2016年3月4日に日本でレビュー済み
この作者のデビュー作ですね。普段はあまりライトノベルは読まないので他との比較はできないのですが、作家さんの善意というか温かさというか、そういうものを感じました。登場人物全員に名前を付ける必要は確かにない、メインキャラの一樹くんはどこかで光ってほしい、死人はいらないかもしれない、等々は思いましたが、後味が良かったので星4つ、とデビューなんだものね、という応援で星を1つ足しました。