全3巻完結したので、結末までトータルでの感想です。
内容は、ファンタジーアースのようなPvPメインのMMOを舞台に、
死ぬと唯一キャラロストする勇者と魔王がクラスメイトと幼馴染だった事から、
双方の狭間で頑張る三角関係の物語。
文章のテンポがとても良く、
主人公はモテるイケメン設定ですが、
ボケやツッコミが面白かったり、事態を何とかしようと必死に考え抜いて行動したり、
きちんとモテる要素が作中で表現されています。
三角関係となるWヒロインの麻未と亜梨沙の間で、偶然から二人の狭間で板挟みとなり、
よくある「どちらも傷つけたくない」という葛藤と奮闘がメインのストーリーとなりますが、
悩んで悩んで最後はきっちり決着が付きます。
例えるとすれば、ドラクエVのビアンカとフローラ、
それぞれとどのような関係にあり、どのような時を共に過ごし、どのように悩んだ末に彼女を選んだのか、を描いた作品ですので、
その点で王道の三角関係物語かなと思います。
文章のテンポや主人公のボケ方に合う合わないが分かれるかもしれません。
個人的には大好きなタイプです。
最後に、俺も勇魔戦争やりたい!はよどこか作って!!
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今日からかけもち四天王! ~ネトゲの彼女はボスでした~ (電撃文庫) 文庫 – 2013/11/9
勇者軍と魔王軍で戦争するネットゲーム「勇魔戦争オンライン」を始めた初島理央。勇者としてプレイする宇留野麻未と仲良くなった彼は、ネトゲ素人ながら勇者を守る親衛隊の一人になってしまう。
そんな中、幼馴染の早坂亜梨沙が魔王役であることを知った理央。彼は、ぼっちな亜梨沙を守るため、こっそり別キャラを作成し魔王を守る四天王の一人に。 負けたらキャラ消滅という厳しい条件でプレイする可愛い勇者&可愛い魔王を守るため、理央は一人二役で二人の決着の邪魔をすることになり……!?
そんな中、幼馴染の早坂亜梨沙が魔王役であることを知った理央。彼は、ぼっちな亜梨沙を守るため、こっそり別キャラを作成し魔王を守る四天王の一人に。 負けたらキャラ消滅という厳しい条件でプレイする可愛い勇者&可愛い魔王を守るため、理央は一人二役で二人の決着の邪魔をすることになり……!?
- 本の長さ312ページ
- 言語日本語
- 出版社アスキー・メディアワークス
- 発売日2013/11/9
- 寸法10.6 x 1.6 x 15 cm
- ISBN-104048661086
- ISBN-13978-4048661089
登録情報
- 出版社 : アスキー・メディアワークス (2013/11/9)
- 発売日 : 2013/11/9
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 312ページ
- ISBN-10 : 4048661086
- ISBN-13 : 978-4048661089
- 寸法 : 10.6 x 1.6 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,902,258位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2014年10月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年2月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本の題名と内容紹介を見て、よくあるフラグ乱立無自覚のハーレム物かチート系かな、と試し読みしてみたら予想外にしっかりした面白さだったので最終巻まで一気に読んでしままった。
物語は異能や異世界も無く、作中のゲームも現代のありふれたオンライン・ゲームで現実に則した設定になっている。
一人の男の子と二人の女の子の三角関係を縦糸に、約半年間の学校生活とネットゲームの展開を横糸に絡めた作品で、三人の青春小説と言って良い。
地に足のついた展開で物語は進行して行き、登場人物達が学校の中でも、ゲームの中でも夫々の家庭、思惑、立場、友人関係から悩み、笑い、そこから新たな関係を築いていく過程が丁寧に描かれていて最終巻までページを繰るのが楽しかった。
1970年代~1980年代にNHKで放送された”少年ドラマシリーズ”(筒井康隆の時かけ、超能力少女七瀬、眉村卓の謎の転校生、幻のペンフレンドetc)を現代のラノベの設定で甦らせたと言えば私と同世代の方には分かり易いだろうか(W)
起承転結もしっかりしており、三人の関係にもきちんと納得できる結末が用意されていて、人気に後押しされて徒に巻数を重ねた挙句に途中で破綻してしまった某有名ラノベたちより読後感も爽快で完成度も遥かに高い。
ただ常に打ち切りと隣り合わせのせいか(この作者さんは打ち切りが多いのも有名らしいW) 物語の進行につれて人物設定に少し祖語が生じていたことが気になった。最初は背が高いだけとしか設定されてなかった主人公が最終巻では超イケメンになり、同じく前髪で目を隠した女の子が美少女になっていたり。(文ではなくイラストから人物像を読み込む人なら違和感ないかもW)
またこのゲームのシステムなら主人公以外にも複数アカウントのプレイヤーが物凄く多そうなんだけど。
もう一つはラノベとして書かれてあるので、設定やギャグ、話し言葉がラノベ仕様になっている点。
これは当たり前で、それを咎めるつもりは毛頭ないのだが、平易な文章、展開に拘らず、行動や心理の内面を掘り下げた書き方をしていれば、
もっと魅力と味わいの深い作品に仕上がったのではないか。
真に面白いジュブナイルは大人が読んでも面白い、昔から言い尽くされた言葉だが、テーマ、設定、ストーリー共に十二分のポテンシャルを持っているので、”ライト”ではないノベルとして読みたかった。そう思わせるだけの深さのある良作である。
物語は異能や異世界も無く、作中のゲームも現代のありふれたオンライン・ゲームで現実に則した設定になっている。
一人の男の子と二人の女の子の三角関係を縦糸に、約半年間の学校生活とネットゲームの展開を横糸に絡めた作品で、三人の青春小説と言って良い。
地に足のついた展開で物語は進行して行き、登場人物達が学校の中でも、ゲームの中でも夫々の家庭、思惑、立場、友人関係から悩み、笑い、そこから新たな関係を築いていく過程が丁寧に描かれていて最終巻までページを繰るのが楽しかった。
1970年代~1980年代にNHKで放送された”少年ドラマシリーズ”(筒井康隆の時かけ、超能力少女七瀬、眉村卓の謎の転校生、幻のペンフレンドetc)を現代のラノベの設定で甦らせたと言えば私と同世代の方には分かり易いだろうか(W)
起承転結もしっかりしており、三人の関係にもきちんと納得できる結末が用意されていて、人気に後押しされて徒に巻数を重ねた挙句に途中で破綻してしまった某有名ラノベたちより読後感も爽快で完成度も遥かに高い。
ただ常に打ち切りと隣り合わせのせいか(この作者さんは打ち切りが多いのも有名らしいW) 物語の進行につれて人物設定に少し祖語が生じていたことが気になった。最初は背が高いだけとしか設定されてなかった主人公が最終巻では超イケメンになり、同じく前髪で目を隠した女の子が美少女になっていたり。(文ではなくイラストから人物像を読み込む人なら違和感ないかもW)
またこのゲームのシステムなら主人公以外にも複数アカウントのプレイヤーが物凄く多そうなんだけど。
もう一つはラノベとして書かれてあるので、設定やギャグ、話し言葉がラノベ仕様になっている点。
これは当たり前で、それを咎めるつもりは毛頭ないのだが、平易な文章、展開に拘らず、行動や心理の内面を掘り下げた書き方をしていれば、
もっと魅力と味わいの深い作品に仕上がったのではないか。
真に面白いジュブナイルは大人が読んでも面白い、昔から言い尽くされた言葉だが、テーマ、設定、ストーリー共に十二分のポテンシャルを持っているので、”ライト”ではないノベルとして読みたかった。そう思わせるだけの深さのある良作である。
2013年11月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ネットゲームが題材の作品ですが、『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』ほどディープな感じではなく、むしろ割とリア充な感じです。クラスメイトのアイドル的な子がやっている「勇者」と久しぶりに再会した幼なじみの「魔王」との間で、それぞれの事情を知っているがゆえに決着を付けまいと(下心や友情や恋心や保護欲やらを抱えながら)奮闘する主人公が少しとぼけた感じでいいキャラだと思います。あっち程凝っているわけではないが(事情を知っているのが主人公だけなので)バカテスに近いかなという感じがします。今後リアルの方の人間関係がどう変化していくのかなど気になるので、続きが読みたい作品です。
2014年10月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトルがネトゲ流でオチャラケていると一旦敬遠していましたが、内容はどうしてリアルでの人間関係を縦横に広げ、大切にするお話で、なかなかの傑作でした。「勇魔戦争」というネットゲームで「勇者」をやっているクラスメートの麻未とお近づきになりたくて新たに参加した初島理央は、麻未を含め何人かの友人と共にゲームとリアル両面での付き合いを広げ、ゲーム内では麻未を守る四天王のひとりになります。これだけなら楽しくおかしい日々ですが、敵対する「魔王」をやっているのが実は6年ぶりに会えた幼馴染の亜里沙だったことで、事態が複雑化します。親の職業柄で転校の多い亜里沙には転居しても関係の切れないネットでの繋がりがとても大切だという事、一方の麻未も両親が離婚して離れていった父親が実はこのゲームの開発者で、父親と繋がり続けるためにもゲームでがんばりたいと思っている事を知った理央は悩みます。敗北してのゲーム退場はどちらにもさせたくないので、理央はアカウントを二つ持って「勇者」麻未と「魔王」亜里沙の両方をゲーム内で守るという矛盾した行動に突入します。
ネットゲーム内人格とリアルとは違うのは当たり前ではありますが、卑怯な奴、悪い奴がいるし、高校生だけでなく、大学生、会社員、臨月の奥さん、老人もプレーで繋がっていて、良い意味で高校生活以上に交際範囲が広がり、社会を知っていく様子が描かれ、さらにいろいろな有職無職の人がいることにも思いを及ばせながらネットの力でリアルワールド理解を深めます。理央があまり親しくないクラスメートにも「いいところ、きっとあるはずだから」と思えるのも、ゲーム内で助け合っての実感です。矛盾に引き裂かれながらも、エロにも当然の興味を持つフツーの男の子がリアルへのより豊かな理解を手に入れていくところが爽やかです。
他人との繋がりがテーマだけに、他人以上に濃いはずの父母妹といった家族が頻繁に現れてくるのは自然ですが、これはラノベでは珍しいのではないでしょうか。
「勇魔戦争」が決戦に向けて盛り上がっていくのと同時に、理央と亜里沙と麻未の間が三角関係に発展し、そして迎える最終決戦。ゲームとはいえ、二人の女の子を共に守ることに全てを賭ける理央は魅力的です。そしてその上でのエンディングで、理央がごちゃごちゃ説明せずに思いに身をゆだねてスタッと着地し、うやむやにしないところが男らしい。
サクサク楽しく読み進められる男の子×女の子2のゲーム小説でありながら、リアルから逃げない、リアル密着の良質な恋愛小説とも言えます。ゲームをしない人にもお薦めです。現にそんな私も楽しめたので。女性が読んで気分を悪くするところは一切なく楽しめるかと思いますが、基本は理央目線で書かれているので、一応男性向けかな。あと2巻が続いていますが、本巻はそれだけできっちりまとまっていますから、ご心配なく。まずこれだけを読んでみればいいと思います。
ネットゲーム内人格とリアルとは違うのは当たり前ではありますが、卑怯な奴、悪い奴がいるし、高校生だけでなく、大学生、会社員、臨月の奥さん、老人もプレーで繋がっていて、良い意味で高校生活以上に交際範囲が広がり、社会を知っていく様子が描かれ、さらにいろいろな有職無職の人がいることにも思いを及ばせながらネットの力でリアルワールド理解を深めます。理央があまり親しくないクラスメートにも「いいところ、きっとあるはずだから」と思えるのも、ゲーム内で助け合っての実感です。矛盾に引き裂かれながらも、エロにも当然の興味を持つフツーの男の子がリアルへのより豊かな理解を手に入れていくところが爽やかです。
他人との繋がりがテーマだけに、他人以上に濃いはずの父母妹といった家族が頻繁に現れてくるのは自然ですが、これはラノベでは珍しいのではないでしょうか。
「勇魔戦争」が決戦に向けて盛り上がっていくのと同時に、理央と亜里沙と麻未の間が三角関係に発展し、そして迎える最終決戦。ゲームとはいえ、二人の女の子を共に守ることに全てを賭ける理央は魅力的です。そしてその上でのエンディングで、理央がごちゃごちゃ説明せずに思いに身をゆだねてスタッと着地し、うやむやにしないところが男らしい。
サクサク楽しく読み進められる男の子×女の子2のゲーム小説でありながら、リアルから逃げない、リアル密着の良質な恋愛小説とも言えます。ゲームをしない人にもお薦めです。現にそんな私も楽しめたので。女性が読んで気分を悪くするところは一切なく楽しめるかと思いますが、基本は理央目線で書かれているので、一応男性向けかな。あと2巻が続いていますが、本巻はそれだけできっちりまとまっていますから、ご心配なく。まずこれだけを読んでみればいいと思います。
2013年11月11日に日本でレビュー済み
「男子三日会わざれば括目して見よ」とは使い古された言葉だけど、三巻・三巻・二巻と打ち切りが重なった上に
前作から二年近く間が空いたので「引退かな?」と思っていた高遠豹介がここまで化けてみせたとは驚いた!
物語は主人公の高校生・初島理央がクラスメイトで学年一の人気女子である宇留野麻美がネトゲーにハマっているという
噂を聞きつける所から始まる。何とかして麻美に近付きたい理央は一念発起、夏休みをバイトで埋め尽くしてパソコンを
購入、何とか件のネトゲー「勇魔戦争」を始めて運良く麻美に接触成功。麻美はゲームの中心キャラ「勇者」という事も知る
高校でも麻美に話す切っ掛けを得た理央だったが、二学期初日に幼馴染・早坂亜梨紗が転校してきた。内気な亜梨紗が学校に
馴染めるよう張り切る理央だったが、何と亜梨紗も「勇魔戦争」のプレーヤー、しかも「魔王」だと判明、見事な板挟みに…
ネトゲー物というと「現実世界じゃ冴えない主人公がバーチャル空間で俺TUEE」というイメージでどうにも食指が動かない
タイプのジャンルという印象があったが、本作は軸足があくまで現実世界に置かれている点が特徴。プレーヤーが主人公の身近な
高校生以外にも様々な素性(大学生、中卒フリーター、妊婦、サラリーマンetc…)と多岐にわたっていて、それぞれの立場から
発言していたり、酒飲みながらログインしているユーザーが肝心の場面で寝落ちしたりと「あくまでもゲーム」という位置づけで
描かれておりネトゲーをしない読者にも大変親しみやすい作風となっている
しかしネトゲーをあくまでも「ゲーム」という立場に位置づけながらも、現実世界で重要な意味を持たせている点は実に特徴的
麻美にとっては多忙すぎて母と離婚する羽目になった「勇魔戦争」のゲーム開発者である父親と自分を結ぶ絆
亜梨紗にとっては転勤の多い父の仕事の影響で長続きしない筈だった人間関係を確かなものにするコミュニケーションツール
そして二人の抱える事情を知ってしまった理央にとっては二人を傷付けないための道筋を作るためのただ一つの方法
それぞれにとって掛け替えのないものとして、その重要さが描かれている。更に勇者と魔王のプレーヤーにはキャラクターが
死んだらアカウント抹消という意外とシャレにならないルールが課されている事でいやが上にも緊張感は高まる
そしてゲームを通じた交流の中で麻美は嘘か本気か分からない調子で理央への想いを告白するし、亜梨紗も幼い頃から
内気な自分を守ってくれてた幼馴染への想いを自覚し始めるなど三人の恋模様も進展する。しかし二人が抱える事情を知って
板挟みの状態の理央にとっては迂闊に動けないまま時は過ぎ、メインイベントである勇者軍の魔王城への総攻撃が迫る中で
麻美と亜梨紗との関係にも微妙なすれ違いが生まれる。二人を傷付けまいと一人二役で奮闘する理央のケチのつけようがない
ナイスガイぶりが光っていた。特に理央がゲームの中でとはいえ体を投げ打って破綻を回避するまでの盛り上げ方は見事
打ち切りを重ねていた時代から光っていた高遠豹介のギャグのセンスは衰えるどころか、キレを増している。以前はギャグセンスだけに
頼っている部分があり、キャラクターの造形やストーリーの構築に難のある作家という印象だったが、現実の重みをしっかりと
描いている分、かえって一つ一つのギャグが生きている。タイミング良くオリジナリティを感じさせるネタを入れてくる
ギャグ作家としての手腕はストーリー重視で臨んだ本作で遂に実を結んだと言う印象を受けた
以前の良さを保ちながら、フワフワした印象の強いかつての作風から地に足の着いた、それでいてしっかりと起伏を付けた
ストーリーを展開させるようになった作者の努力はしっかりと伝わってきた。後書きによれば前作終了後、二本もボツを食らった
らしいが、それにも挫けず本作を生み出した高遠豹介に心から賛辞を送りたい。見事な一冊でした!
前作から二年近く間が空いたので「引退かな?」と思っていた高遠豹介がここまで化けてみせたとは驚いた!
物語は主人公の高校生・初島理央がクラスメイトで学年一の人気女子である宇留野麻美がネトゲーにハマっているという
噂を聞きつける所から始まる。何とかして麻美に近付きたい理央は一念発起、夏休みをバイトで埋め尽くしてパソコンを
購入、何とか件のネトゲー「勇魔戦争」を始めて運良く麻美に接触成功。麻美はゲームの中心キャラ「勇者」という事も知る
高校でも麻美に話す切っ掛けを得た理央だったが、二学期初日に幼馴染・早坂亜梨紗が転校してきた。内気な亜梨紗が学校に
馴染めるよう張り切る理央だったが、何と亜梨紗も「勇魔戦争」のプレーヤー、しかも「魔王」だと判明、見事な板挟みに…
ネトゲー物というと「現実世界じゃ冴えない主人公がバーチャル空間で俺TUEE」というイメージでどうにも食指が動かない
タイプのジャンルという印象があったが、本作は軸足があくまで現実世界に置かれている点が特徴。プレーヤーが主人公の身近な
高校生以外にも様々な素性(大学生、中卒フリーター、妊婦、サラリーマンetc…)と多岐にわたっていて、それぞれの立場から
発言していたり、酒飲みながらログインしているユーザーが肝心の場面で寝落ちしたりと「あくまでもゲーム」という位置づけで
描かれておりネトゲーをしない読者にも大変親しみやすい作風となっている
しかしネトゲーをあくまでも「ゲーム」という立場に位置づけながらも、現実世界で重要な意味を持たせている点は実に特徴的
麻美にとっては多忙すぎて母と離婚する羽目になった「勇魔戦争」のゲーム開発者である父親と自分を結ぶ絆
亜梨紗にとっては転勤の多い父の仕事の影響で長続きしない筈だった人間関係を確かなものにするコミュニケーションツール
そして二人の抱える事情を知ってしまった理央にとっては二人を傷付けないための道筋を作るためのただ一つの方法
それぞれにとって掛け替えのないものとして、その重要さが描かれている。更に勇者と魔王のプレーヤーにはキャラクターが
死んだらアカウント抹消という意外とシャレにならないルールが課されている事でいやが上にも緊張感は高まる
そしてゲームを通じた交流の中で麻美は嘘か本気か分からない調子で理央への想いを告白するし、亜梨紗も幼い頃から
内気な自分を守ってくれてた幼馴染への想いを自覚し始めるなど三人の恋模様も進展する。しかし二人が抱える事情を知って
板挟みの状態の理央にとっては迂闊に動けないまま時は過ぎ、メインイベントである勇者軍の魔王城への総攻撃が迫る中で
麻美と亜梨紗との関係にも微妙なすれ違いが生まれる。二人を傷付けまいと一人二役で奮闘する理央のケチのつけようがない
ナイスガイぶりが光っていた。特に理央がゲームの中でとはいえ体を投げ打って破綻を回避するまでの盛り上げ方は見事
打ち切りを重ねていた時代から光っていた高遠豹介のギャグのセンスは衰えるどころか、キレを増している。以前はギャグセンスだけに
頼っている部分があり、キャラクターの造形やストーリーの構築に難のある作家という印象だったが、現実の重みをしっかりと
描いている分、かえって一つ一つのギャグが生きている。タイミング良くオリジナリティを感じさせるネタを入れてくる
ギャグ作家としての手腕はストーリー重視で臨んだ本作で遂に実を結んだと言う印象を受けた
以前の良さを保ちながら、フワフワした印象の強いかつての作風から地に足の着いた、それでいてしっかりと起伏を付けた
ストーリーを展開させるようになった作者の努力はしっかりと伝わってきた。後書きによれば前作終了後、二本もボツを食らった
らしいが、それにも挫けず本作を生み出した高遠豹介に心から賛辞を送りたい。見事な一冊でした!
2018年2月15日に日本でレビュー済み
最終巻まで読み終えました。ゲームの仕様は実際のネトゲとしては無理がある設定もありますが
そこはファンタジーとして捉えると、とても読みやすかったです。
既存の三角関係にネトゲを用いた事が良かった点だとおもいます。あくまで主軸はゲームではなく、三角関係なとこが
近年の異世界転生モノとの違いを出せています。
クラスのみんながプレイしているネトゲというのも面白そうで憧れました。
アニメ化しないのがもったいないですよ、この作品は!
そこはファンタジーとして捉えると、とても読みやすかったです。
既存の三角関係にネトゲを用いた事が良かった点だとおもいます。あくまで主軸はゲームではなく、三角関係なとこが
近年の異世界転生モノとの違いを出せています。
クラスのみんながプレイしているネトゲというのも面白そうで憧れました。
アニメ化しないのがもったいないですよ、この作品は!