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5 単行本 – 2007/1/1

3.9 5つ星のうち3.9 49個の評価

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『ジャンプ』から七年。著者会心の最高傑作。
結婚八年目の記念日にもらったチケットでバリ島に訪れた中夫婦。倦怠期を迎えた二人だったが、ある出来事をきっかけに、愛の記憶を取り戻す事になるが・・・。

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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ KADOKAWA (2007/1/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2007/1/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 506ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4048737252
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4048737258
  • カスタマーレビュー:
    3.9 5つ星のうち3.9 49個の評価

著者について

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佐藤 正午
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上位レビュー、対象国: 日本

2013年9月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
津田さん(主人公の小説家)今『鳩の撃退法』でまた・・・もてるんですね。ほんとに・・・・
他人の嫁口説いて騒動起こすのはなぜだろう
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年2月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「鳩の撃退法」に出てきた津田伸一の小説家時代のお話。
「鳩の撃退法」が感動的に面白かったので、佐藤さんの小説をそれから何冊か読んでみると、いずれも面白く、徹夜して読んでしまったものもありました。きっと文章自体が好みなのでしょう。
さて、そんな私でもこの作品は読むのに結構な時間がかかってしまいました。主人公・津田さんの考え方が結構独特で(「鳩の撃退法」の時はそんなこと思わなかったのですが)、それはとっても作品としては興味深いですし、共感できるところもないわけではないのですが、女性としては反感を覚えるところもあり…。一応の緩やかなあらすじはありますし、ファンタジー的なこともありますが、やはりメーンは主人公・津田さんの日常のあれこれだと思いますので。
凄く好きか、退屈で読むのがしんどいか、結構好みが分かれるのでは?と感じました。
佐藤さんの文章がとにかく大好き!という方なら文章自体を楽しむという意味で面白く読めるとは思います。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2007年3月12日に日本でレビュー済み
中志郎と真智子は倦怠期の夫婦。バリ島旅行に出かけた先で、常夏の国でも手袋をしている不思議な女・石橋と出会う。その石橋が手袋を脱いで、中志郎と手を合わせたところ、石橋から志郎へとあるものが移動していくのがわかった…。

 あのベストセラー「
ジャンプ 」から7年。待ちに待った佐藤正午の新作がようやく登場しました。この7年間、佐藤正午の長編小説に今一度じっくり・どっぷりつかってみたいと飢餓感を募らせていた私にとって、本書は読書の愉悦に浸ることの出来た一冊となりました。

 そもそもこれはジャンル分けを拒む小説です。出版元は恋愛小説として売るつもりなのかもしれませんが、そうであるともいえるし、そうではないともいえます。石橋という不思議な能力を持った女と志郎との物語かと思わせて、にわかに津田伸一という物書きの一見軽佻浮薄でスキャンダラスな恋愛物語へと乗り換わっていくところなど、読者を見事に欺いてくれるコンゲームのような様相も呈しています。ミステリアスで、幻想的で、荒唐無稽で、とにもかくにもつかみどころのない、一体どこへ読者を連れて行くつもりなのかといぶかしい思いを募らせながら頁を繰ること数時間。

 浮世離れした物語にしかみえなかったこの小説は最後の段落(505頁)で突如として、痛ましくも苦い愛の現実を突きつけてくるのです。世に溢れる“恋愛小説”の大半こそが実はどうしようもなく現実離れしたお話に思えてきて仕方ないほど、この物語の最後は、うつし身のやるせなさを、輪郭線も鮮やかに浮かび上がらせてくるのです。私はこの最終段落で、この物語の謎めいた展開が一気に氷解したように思え、そしてまたその「答え」を前にしばし呆然と言葉を失ったほどです。

 これほど面白い小説を読み終えた今、早くも私は佐藤正午の次なる長編小説に対して飢餓感を募らせ始めています。次回もまた7年待たされるのでしょうか。

ーーーー
2016年5月20日文庫版読了後に追記
でたらめな物語と思わせながら、実はどんな恋愛小説よりも明日への希望を見せてくれるみごとな小説
 かつて筆禍事件を2度起こしながらも作家・津田伸一はなんとか文壇に生き残り続けていた。2度の離婚を経て、今はネットを使っては次々と複数の女性との逢瀬を、手軽に気楽に、そして自棄ともいえる具合に続けている。
 ある日、津田は密会相手の夫から、不思議な体験を聞かされる。夫婦で出かけたバリ旅行中に出会った石橋という女と手を合わせたところ、その手を介して何かが自分に移ってきたというのだ…。

---------
 この小説『
5 』を私は単行本で出た直後の2007年に一度読んでいます。その時、津田伸一という主人公の、出鱈目だらけに見える日常と、石橋という女との幻想的な邂逅を通して描かれる、愛の苦みに接して、大いに感応(かんのう)した自分を見出していたことをよく覚えています。
 今回、9年ぶりに文庫本で読み返してみることにしました。669頁もあって手にずしりと重い書ですが、それでもあの時と同じく、津田の物語に魅せられました。

 佐藤正午の文章のリーダビリティの高さには、本当にうならされます。衒学的な漢字熟語が並ぶでもなく、馥郁たる文学表現が豪奢に散りばめられるでもなく、ごく当たり前の日本語によって綴られる彼の文章はするすると読者の目を通して体内へと取り込まれます。それでいて、心内で文章が緩(ゆる)りと発酵を始めるような感覚を味わうのです。

 かつて作家・関川夏央がこの小説を評して、夏目漱石『明暗』の実にみごとなパロディになっている、と言ったことがあります。(NHK『週刊ブックレビュー』出演時)
 なるほど、そう言われて読み返すと、漱石のあの、どこか世間に倦み疲れた高等遊民がごとき主人公が和光同塵という体(てい)でたどる、どこへ向かうとも知れぬ日々と似た物語がここにはあります。事実、『5』の主人公・津田は、物語の中で幾度も夏目漱石の名を口にしていて、読者にあの文豪の小説を思い返すよう重ねて念を押しているようです。

 さて、私は単行本で読んだ際にはこれを痛ましくも苦い愛の現実を描いた悲劇として読んだのですが、今回文庫本で読み返してみて思うところに変化がありました。

「必ず冷めるもののことをスープと呼び愛と呼ぶ」(234頁)
「愛の記憶と、愛は別のものだ」(519頁)
「人は思い出すだけじゃだめなんじゃないかな? たぶん、だめだというか、足りないんだ。古い記憶をどれだけなまなましく取り戻すことができても、いま生きている実感とのあいだには、ずれがあるんだよ。(中略)だから人は、これからも生きていくつもりなら、思い出すだけじゃ足りないんだ。思い出した記憶はまたいずれ消えるだろう。でもひとりの男がひとりの女を愛する、いま愛している、その自然な感情は永遠に続いていくだろう」(523頁)

 愛をめぐるこうした言辞があちらこちらで顔を出す小説が描こうとしているのは、かつて誰かを愛した記憶に淫することなく、明日への一歩を踏み出すことこそが大切さなのだ、という点だと私は思い直したのです。最終章で津田は、石橋の手から身内へと移動してきたものに背中を押されるように一歩を踏み始めます――少なくとも私にはそう見えます。
 冷めないスープは確かにない。ないのだけれども一方で、ならば温め直すか、もしくはもう一度スープを作りなおせばよい。
 そんなことを、かなりの程度いい加減な主人公の人生に託して、佐藤正午は読者に語りかけているように思えてなりません。

 ひとつの小説を9年の歳月を経たのちに読み返すことで、見えてくるもの、感じることに違いが生まれる。それは読書の醍醐味でもありますし、同時にみずからの人生のたどった月日を想うよすがにもなるということです。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年4月17日に日本でレビュー済み
津田伸一のような駄目人間、すごく魅力的。何でもこなしちゃう完璧人間よりもこういう人の方が万人受けはしないと思うけど、私は好きだな~。こういう人種と出会えるなら出会い系も悪くないかもと思ってしまった。フィクションだから成立しているとわかっとりますが。

5の数字が好きってだけで買った一冊だったけど、愛の脆さというか不完全さというかやっぱ絶対的なものではないなと。ますます他人を愛するなんて私にはできないと思った。絶対的主義、完璧主義だと恋愛しにくいんですよなまったく~。不完全を好むのにいざ自分がとなると完璧を求めてしまう。…単に興味ないだけか。
2007年11月22日に日本でレビュー済み
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登場人物は異性への欲望だけで動いている。それを突き放す視点がないので、読後感がよくない。美しくて快楽を与えることの上手な人のみをよしとする価値観を、若い読者に与えてしまうことを恐れます。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年2月10日に日本でレビュー済み
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こ、これは好き嫌いの分かれる本だ。
正午ファンとしてはもうまさに正午節全開!の本だけど、
いきなり佐藤正午の本を読むのはこれが初めて!という人には向かないかも…
とにかくダメすぎる男の話ですからね(笑)
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2012年2月27日に日本でレビュー済み
佐藤正午氏の最高傑作の触れ込みのとうり、堪能させていただきました。 細かい内容に就いては、控えさせていただきますが、今作も文章表現が微に入り細にわたり、超絶技巧の限りを尽くしており、また語りの視点を意図的にぶれさせる手法を採っており、正午氏のファンならずとも、この作家が単なるエンターテイメントとしての文学を指向するものではなく、本物の文学を究めつつある道程にあるのはわかっていただきたいと、一ファンとしておもいました。 最後の名文句がありますが、書くことに関してはたとえ手書きであろうと情熱は失わないという、隠れた作者の決意をよんだ気がして、頼もしく感じました。一切内容に触れない、レビューなんてすみません。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2014年11月23日に日本でレビュー済み
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作家を主人公として私小説風に描いた理解不能の創作。冒頭に、「記憶術」をマスターしていて、"手のひら"を相手と重ねるだけで、相手に「(愛を主とした)「記憶」を蘇らせる」能力を持った女が登場するので、「愛」と「記憶」の考察を主体とした物語が紡がれるかと思いきや、夜郎自大の作家の日常がダラダラと綴られるだけ。

それも、読者が本作を途中で投げ出す事を予期しているかの様な投遣りな文体・台詞(作者も計算済みなのだろうが)で、読み通すのに苦労した。現代の文壇に対する不満、本当の文学のあり方といったものを描きたかったのかも知れないが、トンだ空回りといった所。困った作家の困った小説だと思った。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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