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星に降る雪,修道院 単行本 – 2008/3/1
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死と生、愛と憎悪の葛藤のなか、生き延びるために遺された者が自ら選んだ超越体験。
この世ならぬものを心に想った二人の男が、二つの星をめざした短篇集。
「星に降る雪」
岐阜。かつて雪山で起こったあの事件。記憶を封印するかのように、田村は、山奥の観測所にこもり働いている。ある日、亡くなった親友の恋人が訪れ、二人は山に登る。あの時、何があったのか。記憶は、白い闇だ―― 初出「考える人」2006年春・夏号
「修道院」
クレタ。ふらりと島に現れ、村に住みついた石工。彼は、修道院の修復をしながら、寡黙で質素な生活を送るが、ふとした折に告白する。自分は魂に重い荷を背負っている、と。その夏の日曜の午後、馬車に乗った都会の女が村に現れ―― 初出「野性時代」2007年1月号~4月号、6月号、8月号
- 本の長さ232ページ
- 言語日本語
- 出版社角川書店
- 発売日2008/3/1
- ISBN-104048738380
- ISBN-13978-4048738385
登録情報
- 出版社 : 角川書店 (2008/3/1)
- 発売日 : 2008/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 232ページ
- ISBN-10 : 4048738380
- ISBN-13 : 978-4048738385
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,422,268位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 33,417位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
1945年、北海道生れ。埼玉大学理工学部中退。
二十代から世界各地を旅し、ギリシャ、沖縄、フランスで暮らす。現在は、札幌在住。公式サイトは[cafe impala]
http://www.impala.jp
1988年「スティル・ライフ」で芥川賞を受賞。詩、小説、随筆、翻訳(英・ギリシャ語)、書評と執筆は多岐にわたる。広く深い文学的教養と理系的知識を土台に、自然と人間の関わりについての示唆に富んだ作品を多く著している。
ワープロ原稿で芥川賞を受賞した初めて作家でもあり、9.11をきっかけに毎日メールマガジンを通じて意見を表明する(『新世紀へようこそ』に収録)など、早くからデジタル・メディアの活用に関心を持つ。2014年からは株式会社ボイジャーと共同で自身の著作の電子アーカイブ化にも取り組んでいる。
主な著書に『母なる自然のおっぱい』(読売文学賞)『マシアス・ギリの失脚』(谷崎潤一郎賞)『ハワイイ紀行』(JTB出版文化賞)『花を運ぶ妹』(毎日出版文化賞)『すばらしい新世界』(芸術選奨文部科学大臣賞)『イラクの小さな橋を渡って』『憲法なんて知らないよ』『言葉の流星群』(宮沢賢治賞)『静かな大地』(親鸞賞)『パレオマニア』等。2003年、著作活動全般について司馬遼太郎賞、「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」の編纂で朝日賞を受賞。
東日本大震災の後は被災地に通い、『春を恨んだりはしない』『双頭の船』『アトミック・ボックス』を執筆。震災をきっかけに日本と日本人について思索したいとの思いから、「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」に取り組み、2014年末から刊行開始。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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これのその1冊。
文体は以前のものと似ていて、確かに池澤氏のものと思われた。
しかし、そこに描かれている世界は似て非なるもの、という印象。
試しに初期の「スティル・ライフ」を読み直した。私の好きな
池澤世界が、確かにある。
この1冊では池澤小説のもつ小気味よい異次元空間の醍醐味を感じることが
できなかった。
作家の紡ぐ世界が変化するのは当然だと思う。
しかしこれは私にとっては残念な変化と言うしかない。
静かで美しい物語。
冥界に思いを馳せる主人公。
ただ、女を登場させなければいけなかったのか、そしてそういう関係を結ぶべきだったのか。
主人公が「閉じた」人間だから、そうさせることで有り体に物語を語らせるようにしたのか?
最後までどことなく腑に落ちなかった。
対照的で主人公とコントラストをなす人生観だったのだけれど、作者の女性の描き方のゆるさにちょっと首をひねるところ。
整った日本語の言葉遣いとかそういうところは抜きにしても、情緒とか思慮が浅いというか…。
どことなく短絡的に見えてしまう。いやいやそうじゃないのでは?
これがハードボイルドやマッチョなサスペンスなら仕方ないかなーと思うのですが、繊細な池澤作品で、そこが共感できなかった所でしょうか。
「マリコ・マリキータ」「花を運ぶ妹」のたくましく輝く女性像が印象に残っているので。強いようで流される、弱い女って、実は結構難しい…。
しかし、その一点を除いては、素晴らしい小説でした。
「修道院」南フランスの古い修道院をひとりぼっちでめぐった記憶が蘇った作品。
あの不思議な感覚はなんとも言えないもの。
南ヨーロッパの人々の温かさが、生き生きと蘇ってきました。
反面、悲劇ではあるけどプロテスタント的な宗教観が見えて、興味深いです。
職業における人間の使命感を支えているのは、実は罪悪感なのかもしれない。
背景に描かれるのは、ありえない悲劇。
しかし、誰もがもっている子供の頃に刻みつけた罪の意識、エスカレートする欲への抑えきれない衝動、そしてその末に待つ疑い、怒り、怨恨。
いわゆる人間の向上心や勤勉さの裏にある、形にならない黒い業が鮮やかに描かれています。
「君のためのバラ」と一緒に読みました。
村上春樹よりも世界的にもっと注目されていいのに。
そこもちょっと悔しいかなあ。
どうやったらこんな人智を超えた、古くて新しい物語を描けるんでしょうか。
特に修道院の出来が良かったから。
「星に降る雪」
雪の神岡にある、ニュートリノ望遠鏡を有する地下天文台で働く田村は、かつて雪山で友・新庄を失った。
6人のパーティは雪崩の遭い、新庄のみ命を失った。
同行していたが生き残った新庄の彼女・亜矢子(恋人というには期間が……)が田村を訪ねてくるところから物語は始まる。
生と死のはざまを垣間見てしまった二人は、それぞれ微妙に異なるが抱えた心の闇を解放できずにいる。
それは見てしまったものにしかわからない、禁忌に触れたものにしか理解できない領域の「闇」かもしれない。
田村のココロが解放されるのはいつのことか? 我々の魂も物語と一緒に旅をする……。
「修道院」
オフをクレタ島で過ごす「私」が出遭った修道院。
土地の老女が語る50年前の物語。
罪を背負った男の贖罪の日々に、そもそものきっかけとなった美しい女が村に現れ更なる悲劇を生む。
ミステリアスなストーリイ展開と、グイグイと物語に惹きこんでいく池澤の文章が素晴らしい。
寝食を忘れて一気に読ませるだけの力が宿っている。さすが芥川賞作家!
物語の雰囲気は、浦沢直樹の「マスターキートン」や「パイナップル・アーミー」に出てくるエピソードのような感じがある。
登場人物たちの造形がしっかりしており、それぞれの心の闇は深い。
久しぶりに内容の充実した作品を読むことができた喜びに満足!!
「星に降る雪」は日本の話。
神岡でニュートリノの測定の仕事をしている男が、
雪崩で死んだ友人から何を教えてもらい、何を目指しているのかを友人の元彼女に話す話。
男と、元彼女との人生への向かい方の違いが鮮明。
自分は男の方の考え方が好き。
どんな考え方か、一方、元彼女はどんな考え方なのか、
それは、それこそ読んで感じて下さい。
・・・このあと、この男の人がどうしたのかなぁ。
「修道院」は、なんだか説話を聞いている気分になってきます。
こっちはクレタ島とアレキサンドリアの話。
ふらりと村に住み着いた男が、一人で荒れた修道院を修繕する。
それには理由があって・・・という話。
しっかりオチがついてます。
語り手の「私」が宿の女性に目をしっかりと向けているのが、最後まで読んだとき、
とてもいい読後感を与えてくれました。自分もこの人いいなぁって思いましたよ。
どっちも出だしに少し戸惑うのですが
(名前が多く出てきたり、「私」という人称に慣れなかったり)、
話が転がり出すとめくる手が止まりませんでした。
出てくる人々は、地に足のついていないような浮遊感を持って日々を過ごす。
「星に降る雪」では、主人公はニュートリノの降る宇宙、雪、死んだ友人のメッセージを待ち、「修道院」では、彫刻家が修道院を直しながら、いなくなってしまった友人の魂と対話を重ねる。
ひさびさ、「スティル・ライフ」以来の、「ここではなく向こうに目を向けた人々」の話で、個人的には好きだった。
池澤氏は、命への賛歌よりも、ちょっと浮世離れした人の物語を書く方が似合っているような気がする。
今回の作品で、また、「スティルライフ」の頃の雰囲気が見られて、嬉しかった。空気感が全く同じ、というわけではないのは、この人が成熟していったからだろうと思う。だから、初期の作品のファンには、お勧め。