前作『女騎手』の続篇です。
登場人物の関係などは前作を読んでいたほうがわかりやすいですが、
単独で読んでも問題ないと思いました。
騎手の中では珍しい女性騎手・夏海を主人公とする本シリーズは、
競馬を舞台にして起きるミステリを描くものです。
孤独死した元騎手の遺品整理に赴いた夏海。
スポーツ新聞に掲載された不吉な誤植。
動画サイトにアップロードされた、JRAを避難するような動画。
この3つが繋がるとき、
競馬界を震撼させる事件の真相が明らかになる。
2作目である本作では、ミステリとしての完成度、構成力、
リーダビリティともに前作を上回っていて、本当にすばらしかったです。
他のレビュワーさんも仰っていましたが、
ツイッターやYoutubeなど、時代を感じる題材を盛りこんでいるのも面白い。
次回作が本当に楽しみになりました。
ぜひこのシリーズを続けてほしいです。
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無名騎手 単行本 – 2011/7/30
蓮見 恭子
(著)
一人の引退した無名騎手の孤独死。女性騎手・夏海はその後処理に出向くことに。その頃、スポーツ紙では勝利馬の誤記という致命的なミスが起きていた。そして不穏な事件が相次いで起こる--
- 本の長さ301ページ
- 言語日本語
- 出版社角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日2011/7/30
- ISBN-104048742280
- ISBN-13978-4048742283
商品の説明
著者について
1965年大阪府堺市生まれ。大阪芸術大学美術学科卒。『女騎手』で第30回橫溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞し、デビュー。
登録情報
- 出版社 : 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011/7/30)
- 発売日 : 2011/7/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 301ページ
- ISBN-10 : 4048742280
- ISBN-13 : 978-4048742283
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,413,003位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 349,584位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年7月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2012年7月16日に日本でレビュー済み
女性騎手、紺野夏海を主人公とした蓮見恭子著の競馬ミステリ第二作「無名騎手」です。
トリビアルな競馬知識がちりばめられた前作でしたが、スポーツ紙競馬面の発行に至るまでの舞台裏であるとか、
変死死体の「特殊清掃」現場の小ネタであるとか、そういったものも楽しめたと思います。
twitterによる繋がりや尖閣漁船衝突事故を思わせる内部動画の流出など、今日的な話題も盛り込まれています。
ミステリの本筋ではないかもしれませんし、そこに二作目を書くにあたっての作者の苦心を見ることも
できるかもしれませんが、タイトル通りまさに「無名」であることは今作の根本にあり、
それと「匿名」であることの類似性と差異は興味深い観点でもあると思います。
騎手としての実力では(他の多くの無名騎手同様に)存在価値を否定される寸前の夏海ですが
女性騎手である以上「無名」でもいられないというのも、あえて焦点化されていませんが
前作から連なるテーマかもしれません。
「女騎手」は夏海による一人称語りでしたが、今作は確かに三人称語りになっています。
夏海が現場を初めて見た時から違和感を抱いていたこと、それは何なのか、が
明かされるまで僕は文体変更に気付かなかったのですが。
地の文が参考人を描写していると思って読んでいたら、実は別の人物のことだった、
というシーンもあります。ミステリでは叙述トリックと言うのでしょうか。
このシーンそのものには謎解きの意味はありませんが、作者からのメタ視点でのヒントになっています。
(ここまで読んでメイントリックが読めてしまった人、すいません^^;)
前作同様競馬界の暗部を描き、競馬・馬への思い入れが動機となっている点も同じですが
今回の読後感はどこか爽やかです。JRAの不祥事としてあまりにケタが大きすぎて
逆に距離をとって読めるからでしょうか。犯人(?)が夏海に残した最後の言葉が
カッコよかったからでしょうか。この点だけでも前作より好きです。
前作で実際の重賞競走名に混じって架空の重賞が登場したことを批判しましたが、
今作では逆に事件の舞台となった全ての競走でレース名は紹介されません。またも「無名」です。
今書いた瞬間までタイトルと掛かっていることに気づきませんでしたが(笑)二重の意味でいい変更だったと思います。
騎乗依頼が集まらない夏海はついに障害競走に活路を見出そうとしますが、先行きに明るい展望は見えません。
競馬学校首席卒業の証、アイルランド大使特別賞クリスタルカップを夏海は手放します。
「こんなものを大事にしているうちはダメなんです」と言って。
現実世界でJRA唯一の現役女性騎手である増沢由貴子さんも同賞を受賞していたことは競馬ファン周知の事実です。
そして彼女が現在騎手として開店休業状態であることも、
障害に挑んだ女性騎手たちがみなあえなく引退に追い込まれていったことも。
夏海が、お婆さんになっても乗り続けると宣言すると同時に、
騎手以外の仕事をする自分を想像しながら終わるラストには「ん?」と思いました。
捜査権限のない一騎手が探偵役を続けることの無理もあるかもしれません。
やはりと言うべきか、著者の新作は続編でなく野球モノだとか。それを知ってついレビューを書きました。
前作からこなれてきている部分が見えるだけに、また書いてほしいのですが色々と難しいでしょうかね…
トリビアルな競馬知識がちりばめられた前作でしたが、スポーツ紙競馬面の発行に至るまでの舞台裏であるとか、
変死死体の「特殊清掃」現場の小ネタであるとか、そういったものも楽しめたと思います。
twitterによる繋がりや尖閣漁船衝突事故を思わせる内部動画の流出など、今日的な話題も盛り込まれています。
ミステリの本筋ではないかもしれませんし、そこに二作目を書くにあたっての作者の苦心を見ることも
できるかもしれませんが、タイトル通りまさに「無名」であることは今作の根本にあり、
それと「匿名」であることの類似性と差異は興味深い観点でもあると思います。
騎手としての実力では(他の多くの無名騎手同様に)存在価値を否定される寸前の夏海ですが
女性騎手である以上「無名」でもいられないというのも、あえて焦点化されていませんが
前作から連なるテーマかもしれません。
「女騎手」は夏海による一人称語りでしたが、今作は確かに三人称語りになっています。
夏海が現場を初めて見た時から違和感を抱いていたこと、それは何なのか、が
明かされるまで僕は文体変更に気付かなかったのですが。
地の文が参考人を描写していると思って読んでいたら、実は別の人物のことだった、
というシーンもあります。ミステリでは叙述トリックと言うのでしょうか。
このシーンそのものには謎解きの意味はありませんが、作者からのメタ視点でのヒントになっています。
(ここまで読んでメイントリックが読めてしまった人、すいません^^;)
前作同様競馬界の暗部を描き、競馬・馬への思い入れが動機となっている点も同じですが
今回の読後感はどこか爽やかです。JRAの不祥事としてあまりにケタが大きすぎて
逆に距離をとって読めるからでしょうか。犯人(?)が夏海に残した最後の言葉が
カッコよかったからでしょうか。この点だけでも前作より好きです。
前作で実際の重賞競走名に混じって架空の重賞が登場したことを批判しましたが、
今作では逆に事件の舞台となった全ての競走でレース名は紹介されません。またも「無名」です。
今書いた瞬間までタイトルと掛かっていることに気づきませんでしたが(笑)二重の意味でいい変更だったと思います。
騎乗依頼が集まらない夏海はついに障害競走に活路を見出そうとしますが、先行きに明るい展望は見えません。
競馬学校首席卒業の証、アイルランド大使特別賞クリスタルカップを夏海は手放します。
「こんなものを大事にしているうちはダメなんです」と言って。
現実世界でJRA唯一の現役女性騎手である増沢由貴子さんも同賞を受賞していたことは競馬ファン周知の事実です。
そして彼女が現在騎手として開店休業状態であることも、
障害に挑んだ女性騎手たちがみなあえなく引退に追い込まれていったことも。
夏海が、お婆さんになっても乗り続けると宣言すると同時に、
騎手以外の仕事をする自分を想像しながら終わるラストには「ん?」と思いました。
捜査権限のない一騎手が探偵役を続けることの無理もあるかもしれません。
やはりと言うべきか、著者の新作は続編でなく野球モノだとか。それを知ってついレビューを書きました。
前作からこなれてきている部分が見えるだけに、また書いてほしいのですが色々と難しいでしょうかね…
2011年12月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
横溝正史ミステリ大賞優秀賞の「女騎手」を読んだ直後に読んでいます。
いい年した中年なのに活字に弱いからかも知れませんが
いわゆるザッピングシステムは話が飛びすぎて理解しづらいです。
「女騎手」では騎手の紺野夏海の視点で終始語られたが、
今回は紺野夏海、萩原翔子、宅間耕平と主観がコロコロ変わります。
(まだ半分しか読んでいないので、主人公がまだ増えるかもしれませんが)
行間が少し空いて、◇があるだけで、いきなり場面が変わるので
しばらく読んでからでないと今誰の視点なのか、すぐに分かりません。
ザッピングはアドベンチャーゲームで慣れているつもりでしたが
ゲームでは、ザッピングしたと同時に色々なもの(舞台・人物・時にはBGMなど)が変わって
変わったことがよく分かりますが、活字では場面がすぐに出てきません。
ザッピングは活字でするものではないと思いました。
話の内容に対しては、まだ途中なので後で述べたいと思います。
いい年した中年なのに活字に弱いからかも知れませんが
いわゆるザッピングシステムは話が飛びすぎて理解しづらいです。
「女騎手」では騎手の紺野夏海の視点で終始語られたが、
今回は紺野夏海、萩原翔子、宅間耕平と主観がコロコロ変わります。
(まだ半分しか読んでいないので、主人公がまだ増えるかもしれませんが)
行間が少し空いて、◇があるだけで、いきなり場面が変わるので
しばらく読んでからでないと今誰の視点なのか、すぐに分かりません。
ザッピングはアドベンチャーゲームで慣れているつもりでしたが
ゲームでは、ザッピングしたと同時に色々なもの(舞台・人物・時にはBGMなど)が変わって
変わったことがよく分かりますが、活字では場面がすぐに出てきません。
ザッピングは活字でするものではないと思いました。
話の内容に対しては、まだ途中なので後で述べたいと思います。
2021年12月20日に日本でレビュー済み
前作に引き続き地味な話だが、最後のレースで先頭を走る騎手の清々しさ、美しさには心動くものがあった。このシーンだけでも読む価値があった。