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ベトナムから来たもう一人のラストエンペラー 単行本 – 2003/8/1

4.4 5つ星のうち4.4 8個の評価

知っていますか? 日本で孤独に死したベトナムの王子クォン・デを。

「僕らの王子は日本に殺されたようなものなのに、どうして日本人は誰もこのことを知らないのですか」日本に憧れ続け、そしてその日本から裏切られ続けて死んでいったベトナムの王子クォン・デの生涯を感動的に綴る

王位を継ぐ代わりに、祖国解放の独立運動に身を枠げたクォン・テ。革命家ファン・ボイ・チャウとの運命的な出逢いによって、一九〇六年日本を訪れる。犬養穀や玄洋社の頭山満、新宿中村農相鳥愛蔵・黒光夫妻ら、留学生を支えた日本人との交遊、そして満州国建国に奔走したアジア主義者大川周明、松井石根の暗躍。 「僕らの王子は日本に殺されたようなものなのに、どうして日本人は維もそのことを知らないのですか」ひとりのベトナム人留学生の呟きに導かれ、日本に憧れて翻弄されつづけた王族の数奇な生涯が鮮烈に廷る!

商品の説明

出版社からのコメント

映画『A』『A2』、『職業欄はエスパー』など、次々と問題作を放つ森達也がテーマに選んだのは『ベトナム』
<内容> オウム真理教から見た社会を撮った映画『A』『A2』、三人の超能力者を追った『職業欄はエスパー』、次々と問題作を放つ森達也が、選んだのは、ひとりのベトナムの王子。

1951年、東京の杉並区にある粗末な貸家で、
ベトナムの王子クォン・デはひっそりと孤独に息絶えた。
母国では伝説的カリスマだった「安南の王子」が、なぜ?

満州国皇帝溥儀を担ぎ上げた大東亜共栄圏思想が残した昭和史もうひとつのミステリー
「僕らの王子は日本に殺されたようなものなのに、どうして日本人は誰もそのことを知らないのですか」
偶然知り合ったベトナム人の言葉が森の心を深く捉えた。

フランス植民地下にあった祖国を解放するため、王位を継ぐ代わりに、独立運動に身を捧げたクォン・デ。革命家ファン・ボイ・チャウとの運命的な出逢いによって、1906年希望に燃えて日本を訪れ、やがて個性的な日本人との交流が芽生える。
時の宰相犬養毅や玄洋社の頭山満、新宿中村屋相馬愛蔵・黒光夫妻ら、留学生を支えた日本人との交遊、そして満州国建国に奔走したアジア主義者大川周明、松井石根の暗躍――。
20世紀初頭、世界を見据えて生き生きと活躍した日本人達、そして日本に憧れて翻弄されつづけた王族の数奇な生涯が鮮烈に甦る!
取材9年、執筆に2年をかけた労作がついに刊行!

●クォン・デ(1881~1951)

ベトナムの阮朝の始祖グェン・フック・アインの直系。革命の志士ファン・ボイ・チャウと交流を深め、1906年日本に亡命する。現在も信仰がつづくカオダイ教の創始にもかかわり、フランス植民地支配からの民族解放の志を持って、日本に留学をする東遊(ドンズー)運動を推進するため、中国、ヨーロッパ、南ベトナムなど、各地を奔走。1951年4月6日東京において客死。

『これまでの僕の本はすべて、実際に制作したドキュメンタリー作品のメイキング的な要素が強い。その意味ではこの本は、遂に最後まで映像作品としては成就しなかった企画の文章化という試みで、僕にとっては初の体験ということになる。

加えて(本文にも書いたけれど)半世紀前に死んだ男を主人公にするのだから、決して得意ではない「歴史」というジャンルが重要な背景となる。これまでは取材といえばキャメラを持って走り回ることがほとんどだった自分にとって、山積みとなった資料や文献の傍らでキーボードを叩き続けることが主になった今回の執筆は、予想以上に困難な作業だった。

(中略)

世紀を跨ぐとき、「二十世紀は戦争の時代だった」といろんな人が言っていた。二十一世紀となって三年が過ぎた今、「戦争の時代だった」と過去形で語る人はもういないだろう。利権やイズムや信仰などの要素が、入れ代わり立ち代り新たな秩序として組み直されて、そのたびに人は憎み合い殺し合う。そのくりかえしだ。何も変ってなどいない。進化もしていない。より良くもなっていないし悪くもなっていない。その意味では世界は停止している。でも僕は絶対にあきらめない。』(あとがきより)

内容(「MARC」データベースより)

1951年東京杉並区の粗末な貸家で、ベトナムの王子クォン・デは孤独に息絶えた…。母国では伝説的カリスマだった安南の王子が、なぜ? 満州国皇帝溥儀を担ぎ上げた大東亜共栄圏思想が残した昭和史のもう一つのミステリー。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 角川書店 (2003/8/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2003/8/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 309ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4048838288
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4048838283
  • カスタマーレビュー:
    4.4 5つ星のうち4.4 8個の評価

著者について

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森 達也
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広島県生まれ。映画監督、作家。1998年にドキュメンタリー映画『A』を発表。2001年、続編の『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『極私的メディア論』(ISBN-10:4904795075)が刊行された当時に掲載されていたものです)

カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2004年2月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表題は「もう一人のラストエンペラー」である。
なぜ、大日本帝国は満州国を建国し、ベトナムは見放したのか。
当時の国際情勢から見れば、当然の帰結ではある。
しかし、維新後の日本にはアジアの民族の解放という理念が強く意識された時代があった。そして列強としての立場からその理念は形骸化されていくのであるが。
ここにクォン・デという日本に憧れ、日本に期待し、日本に翻弄される貴公子が登場する。
クォン・デの生涯こそが維新後の日本が歩んだ道を反照している。
日本で忘れ去られただけでなく、祖国ベトナムでも救国の英雄から外国勢力への依存が強すぎる姿勢への批判を受け、次第に忘れ去られた存在になりつつあるクォン・デ。南北分断からアメリカとの戦争といった外部勢力に翻弄されるベトナムの軌跡と軌を一にする。
そこには大国の都合に翻弄される小国の悲哀がある。
ドキュメンタリー作家として有名な著者らしく、本書もドキュメンタリーの要素が濃厚である。
「問われるべきは事実があったかどうかではなく、僕が提示した世界観なのだ」
著者の思いはここに尽きるだろう。
著者にとってはアジア近代史の空白を埋めるとか、日本とベトナムのよりよい関係のためなどといった動機は重要でない。著者の提示する世界観、他の映像作品や活字作品に通底する世界観を是非今後も追求していってもらいたい。
9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年6月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ベトナムのラストエンペラーになるはずだった男が1951年に日本で死んだ。
 「僕らの王子は、日本に殺されたようなものなのに、どうして日本人は誰も、知らないのですか」というベトナムからの留学生の声に導かれて、著者は王子クオンデの足跡をたどる。
 欧米列強の植民地になっていたアジアの国々にとって、日露戦争に勝利した日本は希望の星だった。だから、孫文やチャンドラボーズらの革命家が亡命してきた。そのなかにクオンデもいた。
 植民地から解放を求め、彼は日本に武器援助を求めた。犬養毅や玄洋社の頭山満らが滞在資金などを援助した。頭山満といえば「大東亜共栄圏」を唱えた右翼の巨魁というイメージがあったから意外だが、この本によると、よい意味でのアジア主義、国際主義だったという。
 クオンデの期待に反して、日本はフランスの不興を買うことはできなかった。それどころか、むしろ欧米側の立場にたってアジアに権益を広げるようになっていく。
 ドイツやイタリアのようにカリスマ的指導者によってファシズムに向かったのではない。たとえば、日露戦争後の講和のとき、小村寿太郎に「国賊」という批判を浴びせたのはマスコミであり、一般国民だった。国際連盟を脱退して忸怩たる思いだった松岡洋右を「英雄」とたたえ、大喝采を送ったのもマスコミであり国民であった。
 いわば下から突き上げる「草の根ファシズム」だった。「軍部の独走」という言葉で片づけられるほど生やさしいものではなかったのだ。
 クオンデはそんな潮流にのまれる。開戦時、日本軍とともにベトナムに凱旋するはずだったのが、軍部の思惑でダメになり、終戦直前にも情勢打開をはかった軍部の思惑で帰国が実現する寸前までいったがダメになる。期待しては裏切られる繰り返しのなかで、若いころ離れた妻子と会えないまま客死する。
  日本にとっては用済みの人間として、解放後のベトナムでは「日本に魂を売った男」とされ、ベトナム人にさえも忘れ去られてしまう。
 筆者は、古都フエの郊外の貧しい家にクオンデの孫をさがしあてる。
 クオンデの墓は砕かれていた。王子は死んでなお、孤独だった。
 事実を淡々とつらねたルポルタージュではなく、筆者が空想した描写が多い。ドキュメンタリーはフィクションである。という彼の考えをそのまま文章にしたような本である。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2009年11月30日に日本でレビュー済み
『祖国解放の独立運動を志しながら日本に翻弄され、荻窪で孤独に最期を迎えたベトナムのラストエンペラー』というだけで、もうノンフィクションとして成立しそうだ。単に興味深い人生というだけでなく、日本人として知らなければいけない史実という気さえする。

ラストエンペラーは、革命家としては若すぎたし、準備も周到ではなかった。日本に頼りすぎた嫌いもある。運も悪かった。不条理な環境の中でもなお正直すぎたために、あまりにも孤独であった。そして没後は日本人だけではなく、ベトナム人からも忘れ去られようとしている。そんな数奇な生涯を辿った秀逸なノンフィクションである。

秀逸なノンフィクションなのだが、少し自虐的過ぎるのではないかと思う点がある。

それは日本に対する自虐。『個々の日本人は優しいのに、体制としての日本は蛮行を繰り返す。なのに何故、ラストエンペラーも現代のベトナム人も日本を手本にしたがるのだろうか?』という疑問には素直に首肯できない。

蛮行を繰返しているのは日本だけじゃない。何もアメリカも蛮行を繰返しているから日本を肯定しようというのではない。過去の歴史をみても、国家も個々の国民も野蛮極まりない国なんて存在しないだろう。国家なんてそんなもんだ。それに、経済成長が国家発展の全てとは言わないが、大きな目標の一つであることは間違いないだろう。ベトナム人が日本のように産業を興し、発展したいと思っても不思議ではない。多くの人が目を向けないことに疑問を持つことは重要だが、だからといって、自己否定して下ばかり向いたって仕方がない。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2006年6月20日に日本でレビュー済み
森達也氏の著書はよく読みますが、これは良質のTVドキュメントを見たような気にさせる本でした。確かにTV番組はくだらない!では何故そんなバカ番組ばかりになるのか?それは視聴者が望んでいるからに他なりません。俺もジャッカスやビーバス&バッドヘッド、サウスパークのようなおバカ番組は大好きですが、日本のは程度が低すぎる!くだらなさの程度も低い、中途半端なものばかりですわ。ピリ辛テイストのかけらもない。  これじゃぁTVはケーブルでディスカバリーとかMTVとかの米製番組を見るしかなくなってしまう。

 綿井健陽・吉岡逸夫といった見るに耐える映像を撮る監督はいるにもかかわらず、しょうもない巨大メディアの意向で世論操作されるような番組しか流れないようになってしまった。

 ニュースショーを「事実を流す番組ではない」と分かって見ている人はどれぐらいいるのだろうか? そんな人ははなから番組見ねぇか。 
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2005年1月21日に日本でレビュー済み
ベトナムがフランス領だった頃、ベトナム独立を目指して日本を訪れた王子がいた。
日本はベトナム独立を援助せず、王子を導いた革命家は志ならず故国で亡くなり、王子は妻子と会えないまま貧困の中、日本で客死する。
こんな人がいたなんて、この本を読むまで知らなかった。
王子は、訪日して数十年たっても日本語も碌に話せない、知り合いも作らない、学校に行っても怠慢で退学になる、など気合の入らないこと甚だしい。しかし数少ない知己の犬養が首相着任の折には新生ベトナムの旗を持って訪ねたのだから、目的を忘れたわけではないらしい。棚ボタを待っていた?
受動的で、超のん気で、気力に欠ける。この性格的特徴は、清国のラストエンペラー溥儀にも共通するように思う。
しかし革命軍にしても、錦の御旗である王子様を実務で使う予定などないだろうに、参謀もつけずに異国の地に放置したとは解せない。
紙数が多い割に情報量が乏しい、同じ内容を言葉を換えて繰り返す、事実の量よりもそれを埋める空想の量の方が多い、オレ様な語りっぷりが鼻につく、など文章は嫌いだが、この本をきっかけに近代ベトナム史に興味を持てたのは◎。
16人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年9月2日に日本でレビュー済み
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戦時の日越関係は、旧宗主国フランスを交えて複雑怪奇だ。特に越南側の事情は詳らかでない。そんな中、越南の王子クォン・デのことを本書で初めて知った。そういう読者は多いだろう。その意味で啓明の書である。ドキュメンタリータッチのストーリーも、少々筆者の価値観(逆向きのコロニアリズム?)が勝り過ぎているきらいはあるが、読ませる展開ではある。茫然と時に取り残されて行くクォン・デの悲劇は、残酷だが同時に喜劇的でもある。そうなした罪は、王子が無垢に信じ過ぎた帝国日本にあった。その事を私たちは噛み締め、南の国から来た王子を追惜すべきだろう。
ただ、書名にあるラストエンペラーはただしくはバオ・ダイ帝を指すもので、商業的配慮だと思うが、ミスリードである。満洲国皇帝溥儀を意識しているなら、もう少し両人の対比があって然るべきだったろう。
とは言え、再言になるが、空白のベトナム秘史を伝えた本書の啓蒙の功績は大きいと言わねばならない。