著者は応用物理学の研究者から「森の人」になった方で、とても広い視野で森林問題を論じています。
世界的に森林が失われて行ってる事から、その文明史的因果律、CO₂の吸収・排出から見た経済活動、中国の砂漠化と浸食の問題などがまず述べられています。
次に森によって保たれている淡水の話に移り、アマゾンの淡水が森林伐採により半分にまで減ってしまったことや、牛丼一杯につき2トンもの水が海外で消費されている事を挙げています。
それらを踏まえて、森と共生する文明的意義を訴え、飛鳥-明治時代までの日本の良き「木の文明」を取り戻そうという気概で、著者が主催している飛騨高山の「オークビレッジ」の活動紹介に移ります。 それはとても気合の入った職人の世界で、木のオーディオは最高の音質を出し、一台23万円で500個がすぐに完売したそうです。
そうした実績が買われて、近くのトヨタ社が買った172haの「トヨタ白川郷自然学校」の顧問も任されており、これは経団連も肝いりのプロジェクトらしく、自然との共生を子供達に教える施設として発展している様です。
著者の哲学も面白く、それは光合成の研究をしていて得たものだと言います。葉っぱは人類の技術レベルでは千年かかっても追いつけない程の、高効率の光利用機構を確立している。しかもそれは、太陽光線で一番エネルギーが高い緑の波長を反射しており、つまりエネルギー効率を敢えて落としているにも拘わらずです。そうして周りの生き物にも有益な緑の波長を分け与えて生きている木々に、著者はとても敵わないと脱帽して自然を活かす道に入ったそうです。
木々のお蔭で我々人類は進化して来れたので、もっと感謝して生きようと思いました。
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森と生きる 共生進化で持続可能な木の文明 単行本 – 2005/5/19
稲本 正
(著)
<これは地球温暖化を生き抜くためのサバイバルブックだ>
植物は、太陽の光と水があれば、生きていける。しかし人間は、酸素を供給してもらい、大地の恵みとして食料を得なければ、生きていけない。人間は果たしてもっとも進化した生き物なのだろうか……。
鉱物資源を掘り起こし、森林を焼き払い、大気を汚染している我々人間の行いは、“競争進化”の原理に基づいている。CO2の排出抑制をはじめとする環境問題の解決が急務の今、必要とされるのは、すべての「生命」を尊重する、“共生進化“の思想だ。
原子物理の世界を捨て、飛騨の山奥で工芸村・オークヴィレッジを立ち上げて30年。世界の森林地帯を訪ね、トヨタ白川郷自然學校の校長も務める著者がたどり着いた、人類を救う「木の文明」とは?
植物は、太陽の光と水があれば、生きていける。しかし人間は、酸素を供給してもらい、大地の恵みとして食料を得なければ、生きていけない。人間は果たしてもっとも進化した生き物なのだろうか……。
鉱物資源を掘り起こし、森林を焼き払い、大気を汚染している我々人間の行いは、“競争進化”の原理に基づいている。CO2の排出抑制をはじめとする環境問題の解決が急務の今、必要とされるのは、すべての「生命」を尊重する、“共生進化“の思想だ。
原子物理の世界を捨て、飛騨の山奥で工芸村・オークヴィレッジを立ち上げて30年。世界の森林地帯を訪ね、トヨタ白川郷自然學校の校長も務める著者がたどり着いた、人類を救う「木の文明」とは?
- 本の長さ261ページ
- 言語日本語
- 出版社角川書店
- 発売日2005/5/19
- ISBN-104048839209
- ISBN-13978-4048839204
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商品の説明
出版社からのコメント
稲本正氏は、日本の森を、世界の森をもっとも数多く見てきた人物。そして飛騨の山奥で工芸村を率いて、「森」と深く関わってきた。本書には、学者や評論家では表現できない、実践で掴んだ具体的なデータや、皮膚感覚で捉えた「環境哲学」が詰まっている。
しかしそれは何も大上段に構えたものではない。「葉っぱはなぜ緑なのか?」「レジ袋を減らすと、どんな効果がある?」と、一人の生活者の視点から問題解決をアプローチしている。
「イベントで出したCO2を吸収するために植林を」「国産材を使った木工製品の優位性」など、オークヴィレッジが30年間、環境保護のために行ってきた数々の事例に、「縄文時代の繁栄と古墳狂騒曲の末路」「誤った進化論」「デカルト・ニュートン対アインシュタイン」といった独特の論を織り交ぜ、人類が進むべき正道を説く。
しかしそれは何も大上段に構えたものではない。「葉っぱはなぜ緑なのか?」「レジ袋を減らすと、どんな効果がある?」と、一人の生活者の視点から問題解決をアプローチしている。
「イベントで出したCO2を吸収するために植林を」「国産材を使った木工製品の優位性」など、オークヴィレッジが30年間、環境保護のために行ってきた数々の事例に、「縄文時代の繁栄と古墳狂騒曲の末路」「誤った進化論」「デカルト・ニュートン対アインシュタイン」といった独特の論を織り交ぜ、人類が進むべき正道を説く。
著者について
1945年、富山県生まれ。74年、工芸村・オークヴィレッジを高山市内に創設。99年、地域の環境緑化への取り組みが評価され、「みどりの日」自然環境功労者環境庁長官表彰(緑化部門)を受ける。94年、『森の形 森の仕事』(世界文化社)で毎日出版文化賞を受賞。「森の惑星」プロジェクトで世界の森林地帯を訪ねる。家具造りから始まったオークヴィレッジの活動は、木を取り入れた生活や自然との共生を、国内外に広めている。現在はオークヴィレッジ代表、トヨタ白川郷自然學校校長、日本環境教育フォーラム常務理事、ハンズ大賞審査委員などを務める。「愛・地球博」でもさまざまなアドバイスをし、万博内のFM局でDJも行った。主な著書に『緑の生活』(角川書店)、『森の惑星』(世界文化社)、『ソローと漱石の森』(日本放送出版協会)、『森の自然学校』(岩波新書)、『木の聲』(小学館)、『森と心』(角川書店)、『森の博物館』(小学館)がある。
登録情報
- 出版社 : 角川書店 (2005/5/19)
- 発売日 : 2005/5/19
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 261ページ
- ISBN-10 : 4048839209
- ISBN-13 : 978-4048839204
- Amazon 売れ筋ランキング: - 330,323位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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2005年8月21日に日本でレビュー済み
稲本正氏。山国飛騨に移り住んで30年になる「森のひと」だ。
学生時代から、ぼくが憧れとしている人物でもある。
稲本氏は、「人類が今一度、その生まれ故郷である森を見直し「森と生きる」という決意をし直し、「共生進化」という概念をしかと踏まえ「木の文明」を新たに創出し直せば「持続可能だ」と思っている」と書いている。
この本は、上のテーマに沿って、森を破壊している「持続不可能な文明」を示すことに始まり、破滅から逃れるための「持続可能なシナリオ」のヒントを示している。科学的な根拠に加えて、漱石やソローといった文人の自然観も織り交ぜ、さらにオークビレッジなどによる実践も示しながら多面的に描いている。
カラー写真や図表を含めた編集になっているので、視覚的直感的な理解を手助けしてくれる。一度読んでしまいこんでしまうのはもったいない本でもある。現代から近未来の「森林との共生」を考える際には、必読の一冊と言える。
ここでの重要なキーワードのひとつは「共生進化」という概念だ。競い合って自分の種だけを優先させるという「競争進化」ではなく、動物と「共生」して「進化」しようとする植物たちの哲学の表明が、緑色の葉っぱに示されているというのだ。動物としての人類が、共生し続けるための仕組みが、森にはあるのだ。
「おわりに」にはこうある。
「この面倒なたびに付き合っていただき、もし何らかの共感を抱かれたら、是非とも自分に適した身近な行動の第一歩を踏み出して欲しい。もはや歩き始めている人は、これを機会に更なる一人と交流して欲しい。そしてお互いに「共生進化」できれば幸いである。」
今を生きる、あらゆる人に読んで欲しい一冊である。
学生時代から、ぼくが憧れとしている人物でもある。
稲本氏は、「人類が今一度、その生まれ故郷である森を見直し「森と生きる」という決意をし直し、「共生進化」という概念をしかと踏まえ「木の文明」を新たに創出し直せば「持続可能だ」と思っている」と書いている。
この本は、上のテーマに沿って、森を破壊している「持続不可能な文明」を示すことに始まり、破滅から逃れるための「持続可能なシナリオ」のヒントを示している。科学的な根拠に加えて、漱石やソローといった文人の自然観も織り交ぜ、さらにオークビレッジなどによる実践も示しながら多面的に描いている。
カラー写真や図表を含めた編集になっているので、視覚的直感的な理解を手助けしてくれる。一度読んでしまいこんでしまうのはもったいない本でもある。現代から近未来の「森林との共生」を考える際には、必読の一冊と言える。
ここでの重要なキーワードのひとつは「共生進化」という概念だ。競い合って自分の種だけを優先させるという「競争進化」ではなく、動物と「共生」して「進化」しようとする植物たちの哲学の表明が、緑色の葉っぱに示されているというのだ。動物としての人類が、共生し続けるための仕組みが、森にはあるのだ。
「おわりに」にはこうある。
「この面倒なたびに付き合っていただき、もし何らかの共感を抱かれたら、是非とも自分に適した身近な行動の第一歩を踏み出して欲しい。もはや歩き始めている人は、これを機会に更なる一人と交流して欲しい。そしてお互いに「共生進化」できれば幸いである。」
今を生きる、あらゆる人に読んで欲しい一冊である。