英米のロックの歌の中で、実は結構ショッキングであったり意味深長であったりする歌詞の本当の意味（内容や背景）を明らかにする本です。
若い頃（1970〜80年代）、いわゆる洋楽をよく聞きました。当時はラジオが主な情報収集源で（ラジカセで録音する、エアチェック）、希に友人からＬＰレコードを借りました。
町山さんが語るとおり、「ながら聴きなんて失礼なことはできなかった。レコードを聴くときはレコード・プレーヤーに向かって、そっと針を置いて、そっとプレーヤーの蓋を閉めて、一生懸命拝聴した。時に正座して」（６頁）聴きました。
その頃、なじんだ洋楽、ポリスの『見つめていたい』やブームタウン・ラッツの『哀愁のマンディ』の歌詞の内容や背景が実は極めてショッキングなものであったことがこの本で分かり、びっくり（前者はストーカー、後者は16歳の少女によるライフル射撃殺人事件）。
その他、英米ロックの歌詞が、「差別、イジメ、心身障害、離婚、憎しみ、宗教、コンプレックス、児童虐待、ホームレス、マスコミ、レコード会社の金儲け主義、ファンの狂信、戦争、資本主義、殺人、孤独、裏切り、犯罪、麻薬、セックス、同性愛、核兵器、そして老い…。どれも歌い手自身の生々しい体験や人生、身の回りの現実から絞り出され、聴き手の胸に突き刺さる言葉ばかり」（９頁）であることに、驚きます。それに引き換え、「極東の国」の歌の歌詞が「耳触りはいいけれど空っぽな言葉ばかり」（同）であるのは、とても興味深い。
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