他のレビュアーさんの言う通り、ちぐはぐな小説です。
言い換えれば、寄せ集め。
SAOの舞台装置に格闘漫画と俺TUEEEぶち込んで、最後に
空の境界のキャラのような考え方をスパイスにしてみましたって感じ。
いろいろ盛り込むのを前のレビュアーさんは評価されているけれど、私は評価しない。
結局，ちゃんと融合できていないから。
全体的に説明が少なぎて、他の小説なり知識なりが必要なのに、そちらを知っていたら目新しくはなく、
かといって魅力的なキャラがいたり，心動く人間ドラマがあるわけでもない。
例えば，哲学的ゾンビや正常性バイアスといった知識が必要な専門用語が説明なく使われているが，
同じことを物語自体でやっている感じ。
つまり色々なキーワードを並べて，世界観やバトル，価値観を描写して，
他の物語からなんとなく分かった気にはなれるものの，この物語の中で培われたものはなく，
ありえるかもしれないとは思わせてくれない。
単純に言えば、他人の褌で相撲を取っており，準備不足・説明不足で、何もかもが浅い。
以下、ネタバレあり。
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例えば、PK・攻撃不可のエリアで、合気を使い相手を倒すが，エリアの定義も合気の説明もほぼしない。
読み手は，多分攻撃と判定される速度なり衝撃なりがあって，それ以下でなら接触扱いとなるため，
倒せたんだろうと想像するが，その説明がほとんどないため，ただの不思議パワーである。
特に終盤，ラスボス周りはひどい。
剣術勝負が始まり，レベル１対レベル２０で全く勝てず死にまくるのだが，
戦闘中にレベル２になった途端，勝てるような雰囲気になる。
あくまで雰囲気で，勝てる必然性は全くない。
一応，剣術の勝負っていうのは紙一重だけど，スペック差があればそれも乗り越えられるんだ
みたいな描写があるが，ラスボスとの戦いがこれまで紙一重だったわけではなかった。
それで，そんな雰囲気になると，ラスボスは突然これまで物語でほとんど出ていない魔法を使い始めるブレブレさ。
しかも，何の意味もなく，簡単に乗り越えられ，ラスボスの弱さを強調するだけ。
あ，勝つんだなと思ったら，急に家族は切れないと言い出し，負ける主人公。
哲学的ゾンビとなることを肯定する主人公（ちなみに，なぜそれを肯定できるかも描写不足）で，
自分をゲームキャラのようにセーブされた記憶に戻ってもいいと言いながら，他人については違う考えのようで。
考えなしのバカや，もう少し気楽なルパンみたいなキャラならそれもいいかもしれないが，
斜に構えた主人公で内心の描写も全然出さないから，何でやねんと突っ込むしかない。
そこで，ラスボスは急に情にほだされたようで，自分を犠牲にして謎パワーで主人公を助ける……
描写しようとしてもできない支離滅裂さ。
スペック差勝てない → レベル１上がって勝てるぞ！ → 魔法だくらえー → 全然効かないもんね。覚悟！
→ やっぱ家族は切れないよ。主人公のDEATH。 → 待って死なないで！あなたを助けて，私が死ぬ！
編集も何やってたんだよってくらいのひどさ。
ある程度，約束事を使うのはありですけど、しっかり世界観を作らないといけないでしょう。
もしかしたらそんなこともあるのかも，って思わせることがSFには不可欠です。
魂が量子的に観測できたってのは、そんなにサラっと流していい情報ではないと思いますよ？
それを謎の根幹にしながら、リソースの問題と絡め，しかも本人の価値観にも関わってくるのだから、余計に。
それでも，一応最後まで読めるだけの文章力はあり，途中までは多少なりとも世界観の説明に期待したこと，
タイトルは嫌いではないことなどから，星を一つ増やして，星２つ。
P.S. もしかしたら連載で読んでいたら，マシに感じたかも知れない。
テンポ重視で，以前か以後かどこかで説明したかするんだろうと思って流しそう。
ラスボス周りも，何回かに区切って１ヶ月ごとに読んでいたら，程よく忘れてましに感じたかも。
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