大本となる3つのストーリーが、最後には融合して一つのラストを造り上げる様は確かにいい。四次元立方体とは、三次元の世界に生きる我々には決して視覚化できない超立方体を意味するが、「物語の登場人物たちは物語の一部となる出来事を体験するが、それの意味するところは知らず、全体像を理解できるのは読者だけ」というところに、それがよく現れているような気がする。この本に関して言えば、超立方体を視覚化できるのは我々読者自身で、登場人物は、視覚化できない三次元の存在なのだ。
中でも1つ目のストーリーは、ハードな展開でなかなかよかったと思う。ドン・ぺぺを疑心暗鬼に陥った主人公が射殺するまでの心理描写もいいし、その後、ぺぺの手下に追いかけられるシーンも、まるで映画の一こまを見ているような迫力だった。
ただ、1つ目がハードすぎる展開だったためか、2つ目以降のストーリーにはあまり魅力は感じられない。このあたりは中だるみ気味である。
是非一度読んでいただきたい作品。
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四次元立方体 (BOOK PLUS) 単行本 – 2000/4/1
- 本の長さ391ページ
- 言語日本語
- 出版社アーティストハウスパブリッシャーズ
- 発売日2000/4/1
- ISBN-104048973029
- ISBN-13978-4048973021
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
舞台はマニラ。うらぶれたホテルで、ギャングのボスを疑心暗鬼から射殺してしまうショーン。人々の心に渦巻く欲望と絶望。めらめらと燃える生と死の感覚。唯一、読者だけに覗き見ることを許された世界とは?
登録情報
- 出版社 : アーティストハウスパブリッシャーズ (2000/4/1)
- 発売日 : 2000/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 391ページ
- ISBN-10 : 4048973029
- ISBN-13 : 978-4048973021
- Amazon 売れ筋ランキング: - 795,680位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年10月25日に日本でレビュー済み
「ビーチ」が面白かっただけにかなりがっかりした。
複数のストーリーが最後に交わるというのはよくあるしラストも平凡。
複数のストーリーが最後に交わるというのはよくあるしラストも平凡。
2002年7月18日に日本でレビュー済み
舞台はマニラ。ギャングのボスを射殺してしまうショーン。銃を手にした男に襲われるローザ。自分を捨てた父親を執拗に探し続ける少年。この全く接点のない3つの話が、最後に交差する。よくある手法だが、ひとつひとつの話も面白くないし、交差してからも特に面白みはない。
作者はあの『ビーチ』の原作を書いた作家だが、「ビーチの何倍も刺激的で野心的と絶賛された」という割にはまるで面白くなかった。
「四次元立方体(TESSERACT)」という概念にとらわれすぎたのか、複雑にしようと無理をしてまるでまとまりのない話になってしまった感じがする。期待した分、失望も大きい。
作者はあの『ビーチ』の原作を書いた作家だが、「ビーチの何倍も刺激的で野心的と絶賛された」という割にはまるで面白くなかった。
「四次元立方体(TESSERACT)」という概念にとらわれすぎたのか、複雑にしようと無理をしてまるでまとまりのない話になってしまった感じがする。期待した分、失望も大きい。
2003年4月1日に日本でレビュー済み
赤と黒がインパクト大のカッコイイカバーです。タイトルもなんかイカしてます。本棚に無造作に寝かしておくと、オシャレですね。が・・・・・どうなんでしょう?という感じです。確かに読みやすく、臨場感もあった。暑い国の風景が眼に浮かぶようでした。しかし、いくつかに分かれた話の筋が最後にまとまっていく、その必要性があまり感じられませんでした。私の理解力がないからなのか?もう一回読んでみます。