父親と母親の間で揺れる少年の心という設定は、ブラッド・バークレイの『僕の夢、パパの愛』に似ていなくもないが、こちらはさらにいくつもの過激な要素が盛り込まれていて、ミステリーとは言えないが、それに近い驚きとドキドキ感があって、テンポもよく面白い。いきなりの場面転換には、びっくり！
主人公のドミニクは純粋ではあるが、最後に自分を犠牲にしても、復讐を遂げたいという強さも持ち合わせている。両親を思いやる気持ちや、母の死に対する責任など、むしろ自分自身に対する葛藤がうまく描かれていて、そこに彼が大人になっていく過程を見ることができる。
しかし、せっかくの面白いエピソードを生かしきれていない部分や、結末に疑問があって、★ひとつマイナスになった。
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