遺跡の名前や精神寄生体の名前をクトゥルフ神話から借りてつけているだけで、
クトゥルフ神話とは言い難いので、そちらを期待して読むなら、お薦めしません。
少々ナルシストっぽい前書きや、
ラヴクラフトを精神異常者と同列に扱ってると取られかねない一文、
まるで、先に自転車に乗れただけで乗れない者を見下すような主人公、
これらをスルーできない限りは作品としても、お薦めはしかねます。
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精神寄生体 (学研M文庫 M ウ 1-3) 文庫 – 2001/7/1
- 本の長さ381ページ
- 言語日本語
- 出版社学研プラス
- 発売日2001/7/1
- ISBN-104059000663
- ISBN-13978-4059000662
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登録情報
- 出版社 : 学研プラス (2001/7/1)
- 発売日 : 2001/7/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 381ページ
- ISBN-10 : 4059000663
- ISBN-13 : 978-4059000662
- Amazon 売れ筋ランキング: - 769,004位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2006年1月1日に日本でレビュー済み
わが師ウィルンの「英雄」的資質について述べるならば、それは意志力の重要性を片時も忘れないという事である。殆どの人間が本当なら発揮できるはずの意志の力のわずか百分の一しか発揮していない事、即ち寿命を筆頭とする環境の強制に殆ど抗えず、どんな天才でも己の賢さの十分の一程度しか作品に刻めなかった(ただ上善と下愚とは動かず;孔子の言葉。天才は自分で自分を教育するものだし、本物の阿呆は精神病院に送るしか仕様が無い。教育の無益さを説いたもの。)のはなぜなのか、この問題に彼は五十年かけて取り組んできた。万人が英雄たらんと心の底では望んでいる事を、彼はいうまでもなく知っているのだろう。それは彼自身が、自らの内部で沸騰するマグマを直観する努力を片時も怠らず、また、一見よそよそしい世界を出来るだけ広く捉え分析の対象にし続けた為である。この生の世界で活動する事、即ち英雄たるべく行動する事を決意した者にとって、第一段階は夢見る事である。意志を働かせ、ありありと夢見る事が出来るならば、ただそれだけで早くも現実が徐々にその夢に似てくるのが分かるはずだ。作家とはありありとした夢を見る専門職のようなものだ。「いかなる体験も省き得ない」実存主義者が小説を書かねばならないというのも、全ての体験を本当に含んでいるは夢だからなのだ。この小説においてウィルソンは意志力の未来という可能性を指し示し、途方もなく楽観的なヴィジョンを高らかに歌い上げた。といって彼は人間の悲惨さを(彼の中だけで)克服してしまったわけでは勿論なく(ウィルソンの殺人への興味はそこから発している)、この小説もきっかけは友人の自殺である(おそらくは、ウィルソンが『彼リ世代で最も透徹した知性の持ち主』と呼んだ一人の友人の死を素とするエピソードするだろう)。本書は、ウィルソンの思想に興味を持つがあまり小説を読まない人には特にオススメできる。僕自身がそうだったからである。読まなくとも分かるくらい敵が『はっきり』しているので、迷わず読み進む事が出来る。もしこれを読んで「単純にSFとして面白かった」人は「スパイダーワールド」「スペースバンパイア」といった<想像作品>に進むと良い。この男の一貫性と幅の広がりを堪能できるはずだ。もし思想に興味を抱いたなら、あなたはこの人物の弟子になるべきであり、いつかイギリスのコーンウォールくんだりまで出掛ける事になるだろう。
2002年2月20日に日本でレビュー済み
ウィルソンは最初ラヴクラフトをこき下ろし、次に自説を半ば訂正しかけたが、そうする代わりに自分がラヴクラフト以上の作家であるということを証明したくなった・・・というのが本作の背景であり、要するに創作動機はこの上なく卑しいのですが、ウィルソンという人は動機が卑しければ卑しいほど力作を書くというのも事実でして、動機とは言い難いような動機を以って書いた同じSFものの『スペースバンパイア』に比べると、本作は格段に優れています。ウィルソン独特の堅苦しさが炸裂する本作は、正直に言って、読みにくいですが、文学形式的にはウィルソン作品中最もすっきりしているのが救いだと思います。