絵師さんのファンなので、失礼ながら全く内容に関心が無いのに購入したが、思わぬ掘り出し物だった。
物語には、人類の危機も世界の崩壊も、もちろん異能力による激闘もない。主人公を取り巻くのは、平凡な日常。そして、突然訪れた、親友の命の危機。それに立ち向かうのは、非力だが心優しき人間と幽霊達。そんな物語だ。
大掛かりな仕掛けは無い。しかしストーリーテリングの芯は確かだ。分かりやすいギミックを一切使わず、丁寧な感情描写の積み重ねによって、生き生きとした肉体を与えられたキャラクターたち。シンプルだが周到なエピソード構成と、こつこつ積み重ねられた情景描写が、地方都市で繰り広げられる青春劇を鮮やかに描き出す。
キャラクター達は、それぞれに個性は異なっても、みな心優しい。不器用さゆえに、時には摩擦も葛藤も生み出すが、大切に思う誰かの幸せを願っているという点で、違いはない。
純朴な主人公の魅力については、他のレビューでも上げられている通り。個人的には、自分の子孫を救おうとする幽霊少年、栄之進の純情と奮闘ぶりに言及しておきたい。あらすじ等には紹介されていないが、彼と彼を取り巻く少女達を巡るストーリーが、作品のもう一つの柱だ。男性読者の目線からは、彼が主人公の那央と並ぶ、第二の主人公とも見える。
新人賞「銀賞」を受賞した作品のようだが、肯定的な意味で、正しく「銀賞」に相応しい内容。自分としては「大傑作」ならぬ、あえて「大佳作」と呼びたい。
作者の次回作への期待もこめて、星五つとした。
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ももとせ花火 (メガミ文庫 45) 文庫 – 2010/5/1
- 本の長さ277ページ
- 言語日本語
- 出版社学研プラス
- 発売日2010/5/1
- 寸法10.8 x 1.4 x 15 cm
- ISBN-104059035467
- ISBN-13978-4059035466
登録情報
- 出版社 : 学研プラス (2010/5/1)
- 発売日 : 2010/5/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 277ページ
- ISBN-10 : 4059035467
- ISBN-13 : 978-4059035466
- 寸法 : 10.8 x 1.4 x 15 cm
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5 星
爽やかな【ひと夏の奇跡】
主人公は女子高生。女友達の命を助けるためには、自分の好きな人と女友達を恋人にしなければいけないという設定。とにかく主人公がひたむきで力強く、友達を救うためだけに行動する。もちろん失恋は覚悟の上で。また主人公の味方にならないキャラもいて、不自然な仲良しごっこをしない人間関係は好感が持てた。大人しめという前評判だったが、青春ものとしてちゃんと盛り上がっていた。地味な部活の描写などは非常に細かく面白い。青春のリアル感が重視されていて、非現実的な派手さとは方向性が違う感じです。受け止め方は好みによるでしょうか。一部かなり独創的というか意外な展開や伏線もあり、ラストは特に良い意味で驚いた。心地よく”やられたなー”と思えた。詳細は伏せますが、【ひと夏の奇跡】という公式紹介文の通り。かと言って”あざとさ”や”狙った”感がない。伏線も感情の流れも丁寧で真剣に書かれているから、起こるべくして起こった奇跡と素直に感じられた。確かに話のスタートは主人公の恋だけど、恋愛は一部の要素にすぎない。友情や仲間同士の信頼などの積み重ねで、ひと夏の奇跡が演出されていった。そのあたりが琴線に触れれば、とことん楽しめる話です。なので星5つ。べっかんこう氏のイラストも素晴らしい。カラーは美麗、挿絵はコミカルで可愛らしかったです。
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上位レビュー、対象国: 日本
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2010年5月28日に日本でレビュー済み
主人公は女子高生。女友達の命を助けるためには、自分の好きな人と女友達を恋人にしなければいけないという設定。
とにかく主人公がひたむきで力強く、友達を救うためだけに行動する。もちろん失恋は覚悟の上で。
また主人公の味方にならないキャラもいて、不自然な仲良しごっこをしない人間関係は好感が持てた。
大人しめという前評判だったが、青春ものとしてちゃんと盛り上がっていた。
地味な部活の描写などは非常に細かく面白い。
青春のリアル感が重視されていて、非現実的な派手さとは方向性が違う感じです。受け止め方は好みによるでしょうか。
一部かなり独創的というか意外な展開や伏線もあり、ラストは特に良い意味で驚いた。
心地よく”やられたなー”と思えた。詳細は伏せますが、【ひと夏の奇跡】という公式紹介文の通り。
かと言って”あざとさ”や”狙った”感がない。
伏線も感情の流れも丁寧で真剣に書かれているから、起こるべくして起こった奇跡と素直に感じられた。
確かに話のスタートは主人公の恋だけど、恋愛は一部の要素にすぎない。
友情や仲間同士の信頼などの積み重ねで、ひと夏の奇跡が演出されていった。
そのあたりが琴線に触れれば、とことん楽しめる話です。なので星5つ。
べっかんこう氏のイラストも素晴らしい。カラーは美麗、挿絵はコミカルで可愛らしかったです。
とにかく主人公がひたむきで力強く、友達を救うためだけに行動する。もちろん失恋は覚悟の上で。
また主人公の味方にならないキャラもいて、不自然な仲良しごっこをしない人間関係は好感が持てた。
大人しめという前評判だったが、青春ものとしてちゃんと盛り上がっていた。
地味な部活の描写などは非常に細かく面白い。
青春のリアル感が重視されていて、非現実的な派手さとは方向性が違う感じです。受け止め方は好みによるでしょうか。
一部かなり独創的というか意外な展開や伏線もあり、ラストは特に良い意味で驚いた。
心地よく”やられたなー”と思えた。詳細は伏せますが、【ひと夏の奇跡】という公式紹介文の通り。
かと言って”あざとさ”や”狙った”感がない。
伏線も感情の流れも丁寧で真剣に書かれているから、起こるべくして起こった奇跡と素直に感じられた。
確かに話のスタートは主人公の恋だけど、恋愛は一部の要素にすぎない。
友情や仲間同士の信頼などの積み重ねで、ひと夏の奇跡が演出されていった。
そのあたりが琴線に触れれば、とことん楽しめる話です。なので星5つ。
べっかんこう氏のイラストも素晴らしい。カラーは美麗、挿絵はコミカルで可愛らしかったです。
主人公は女子高生。女友達の命を助けるためには、自分の好きな人と女友達を恋人にしなければいけないという設定。
とにかく主人公がひたむきで力強く、友達を救うためだけに行動する。もちろん失恋は覚悟の上で。
また主人公の味方にならないキャラもいて、不自然な仲良しごっこをしない人間関係は好感が持てた。
大人しめという前評判だったが、青春ものとしてちゃんと盛り上がっていた。
地味な部活の描写などは非常に細かく面白い。
青春のリアル感が重視されていて、非現実的な派手さとは方向性が違う感じです。受け止め方は好みによるでしょうか。
一部かなり独創的というか意外な展開や伏線もあり、ラストは特に良い意味で驚いた。
心地よく”やられたなー”と思えた。詳細は伏せますが、【ひと夏の奇跡】という公式紹介文の通り。
かと言って”あざとさ”や”狙った”感がない。
伏線も感情の流れも丁寧で真剣に書かれているから、起こるべくして起こった奇跡と素直に感じられた。
確かに話のスタートは主人公の恋だけど、恋愛は一部の要素にすぎない。
友情や仲間同士の信頼などの積み重ねで、ひと夏の奇跡が演出されていった。
そのあたりが琴線に触れれば、とことん楽しめる話です。なので星5つ。
べっかんこう氏のイラストも素晴らしい。カラーは美麗、挿絵はコミカルで可愛らしかったです。
とにかく主人公がひたむきで力強く、友達を救うためだけに行動する。もちろん失恋は覚悟の上で。
また主人公の味方にならないキャラもいて、不自然な仲良しごっこをしない人間関係は好感が持てた。
大人しめという前評判だったが、青春ものとしてちゃんと盛り上がっていた。
地味な部活の描写などは非常に細かく面白い。
青春のリアル感が重視されていて、非現実的な派手さとは方向性が違う感じです。受け止め方は好みによるでしょうか。
一部かなり独創的というか意外な展開や伏線もあり、ラストは特に良い意味で驚いた。
心地よく”やられたなー”と思えた。詳細は伏せますが、【ひと夏の奇跡】という公式紹介文の通り。
かと言って”あざとさ”や”狙った”感がない。
伏線も感情の流れも丁寧で真剣に書かれているから、起こるべくして起こった奇跡と素直に感じられた。
確かに話のスタートは主人公の恋だけど、恋愛は一部の要素にすぎない。
友情や仲間同士の信頼などの積み重ねで、ひと夏の奇跡が演出されていった。
そのあたりが琴線に触れれば、とことん楽しめる話です。なので星5つ。
べっかんこう氏のイラストも素晴らしい。カラーは美麗、挿絵はコミカルで可愛らしかったです。
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2010年5月29日に日本でレビュー済み
正直に言いますとイラストに惹かれ購入しました。 話題の受賞作品には目を通していますが、この作品はかなり地味な部類に感じます。 だがそこがいい! スルリと入り込むクセの無い文章と登場人物の自然な思考と感情表現。 設定先行のあまりキャラクターが暴走しがちな最近の作品と比較すると抑え気味の表現には心地よさを感じます。 特筆すべきはヒロイン!健気でいい娘さんなんですよ! デビュー作と言うことでまだ文章にぎこちなさがあり星4とさせて頂きましたが、オーガスト作品群に通じるあったかいお話しには癒されました。 少し不思議な夏の青春怪談話。 爽やかな読後感と余韻が残る地味作品。作者の今後に期待しております! 挿し絵も良いですよ!